今から20年前のこと
この家に家族4人と犬1匹で引っ越してきて
10日くらい経った頃のことです。
土間のかまどの上に、転がして置いたジャガイモに
小さな2本の筋がついているのを見つけました。
それは
5ミリくらいの2本の筋で
私はネズミを見たことはありませんでしたが、
きっとネズミがかじったのだろうと
思いました。
その小さな歯跡はまるで
ハートのような形でした。
ネズミは
私たちと同じ哺乳類です。
もっとも小さな哺乳類かもしれません。
その小さな歯跡が本当に可愛く愛おしく
私はネズミさんを大切にしようと決めました。
ネズミにさん付けをするのは
父からの教えです。
父は、私が若い頃、なくなりましたが、
とても化学的、数学的な人で
父の手帳には
私には
わからない記号がびっしり書いてありました。
そんな父が
「ネズミは人間の言葉がわかるから、ネズミさんと呼ぶこと」
と言ったのです。
この言葉を引き継いて
我が家では
ネズミさんと呼んでいます。
ネズミさんは越してきたばかりの私たちに、歯跡のメッセージを送り
私が、それを受け取ったことがわかったのだと思います。
ネズミさんは
言葉だけではなく
きっと
人間の心もわかるのだと思います。
そのかわいい歯跡はきっかけに
ネズミさんとの同居生活がはじまりました。