「やはり昔から病気の症状が表れていたのですね」
「そうでした、ゆりこさんが疑問を持たれた通りで、もっと早く気づいて調べればよかったのに、迂闊でした」
「でもそれは、誠二さんが奥さんのことを想っていたからでしょう」
「それは、そうですが」
「いまからでも遅くはないですから、一緒に調べて行きましょう」
「僕と一緒に?」
誠二は少し驚いて、改めてゆりこの顔を見直した。
「一緒じゃ嫌ですか?」
「とんでもない」
誠二は思わずゆりこの手を強く握り締めた。
人気のない、秋風が雑木林を揺する音だけの中で、二人の気持ちは高まり、自然と求め合い、熱い口づけを交わしていた。
誠二にとっては、初めて女性に接した時の気持ちそのものだった。妻とは最初から淡白な関係の上に長い入院生活で、女性を感じさせる時間が殆どなかったが、目の前のゆりこは、溢れ出る様な瑞々しい美しさで、傍にいるだけで甘い果実の香りがする、いま恋を確信していた。
一方ゆりこは、かつてこれほど積極的に男性を受け入れようとした事はなかった。恋愛の経験も普通にあったが、深くのめり込める相手は見つからず、やはり父から離れたい気持ちが働いているのだろうか、誠二に抱擁されながらも、その考えが片隅にあり離れなかった。
誠二はゆりこを自分の家に連れていく気にはなれず、立川駅近くにあるPホテルのレストランで夕食を摂り、その後二階のバーに飲みにいった。
「ゆりこさん、結構飲めるんですね」
「普段は飲まないんですけど、今日は特別よ」
いままでのゆりこと全く違う面を誠二は感じ、これから後のことを想像せずにはいられなかった。
日曜なので空いており、ツインルームを一部屋予約しておいた。
ゆりこは酔いを早める様な飲み方で、1時間もすると一人では立ち上がれなくなり、誠二にもたれ掛かり、長い髪が誠二の首に纏わりついた。
「そうでした、ゆりこさんが疑問を持たれた通りで、もっと早く気づいて調べればよかったのに、迂闊でした」
「でもそれは、誠二さんが奥さんのことを想っていたからでしょう」
「それは、そうですが」
「いまからでも遅くはないですから、一緒に調べて行きましょう」
「僕と一緒に?」
誠二は少し驚いて、改めてゆりこの顔を見直した。
「一緒じゃ嫌ですか?」
「とんでもない」
誠二は思わずゆりこの手を強く握り締めた。
人気のない、秋風が雑木林を揺する音だけの中で、二人の気持ちは高まり、自然と求め合い、熱い口づけを交わしていた。
誠二にとっては、初めて女性に接した時の気持ちそのものだった。妻とは最初から淡白な関係の上に長い入院生活で、女性を感じさせる時間が殆どなかったが、目の前のゆりこは、溢れ出る様な瑞々しい美しさで、傍にいるだけで甘い果実の香りがする、いま恋を確信していた。
一方ゆりこは、かつてこれほど積極的に男性を受け入れようとした事はなかった。恋愛の経験も普通にあったが、深くのめり込める相手は見つからず、やはり父から離れたい気持ちが働いているのだろうか、誠二に抱擁されながらも、その考えが片隅にあり離れなかった。
誠二はゆりこを自分の家に連れていく気にはなれず、立川駅近くにあるPホテルのレストランで夕食を摂り、その後二階のバーに飲みにいった。
「ゆりこさん、結構飲めるんですね」
「普段は飲まないんですけど、今日は特別よ」
いままでのゆりこと全く違う面を誠二は感じ、これから後のことを想像せずにはいられなかった。
日曜なので空いており、ツインルームを一部屋予約しておいた。
ゆりこは酔いを早める様な飲み方で、1時間もすると一人では立ち上がれなくなり、誠二にもたれ掛かり、長い髪が誠二の首に纏わりついた。