佳子の話を気長に聞いていると、黒木の過去が少しずつ分かってきた。
不動産業は50才頃から本格的に始めたもので、それ以前は殆どロシアか中国に行っていたという。
ただ、何をしていたかは全く知らなくて、一度聞いてみたときも、いろいろな事をしてきたよ、と語ったそうだ。
誠二はもっと話を聞きたいのと、一緒にいたい気持ちが半々で、この後どうしようか迷っていたが、佳子の方から誘ってきた。
「私、明日は休めるので、どこか行きません?」
「僕はいいけど、どこにしようかな」
「すぐ近くに、狭いけれど落ち着いて飲める所があるんです、そこも社長の知っている店なんですけど」
「社長が来るんじゃないの」
「今日は大丈夫ですよ、疲れたのでまっすぐ家に帰るって言ってました」
佳子に伴われて行ってみると、地下の小さなカウンターバーだが、マホガニー調の静かな雰囲気の店だった。
すっかりくつろいだ感じの佳子は、飲むペースも速くなってきた。
アルコールに強いのは、母親に似たそうだ。
2時間経っても一向に帰る素振りをみせない。
誠二はこの頃、ゆりこから遠ざかっているせいもあり、佳子に強い興味を覚えた。
「どこに住んでいるの?」
「根津です」
「根津って、あの根津神社のある所?」
「ええ、一人住まいなんですけど」
「帰りは大丈夫かな」
「地下鉄の駅から近いから」
「そう、根津神社は何回か行ったことがあるよ、左側の、鳥居のある道は風情があって好きだな」
「そんなに気に入っているのなら、送って貰おうかしら」
佳子が急に大人びて見えた。
まだ学生っぽさが残っていると昼間は感じていたが、今隣りにいる彼女は、成熟した強かさを充分身に付けた女性になっていた。
地下鉄を一度乗り換えても、20分程で根津駅に着いた。
「私コーヒーが好きで、自分で豆を挽く事もあるんです」
不動産業は50才頃から本格的に始めたもので、それ以前は殆どロシアか中国に行っていたという。
ただ、何をしていたかは全く知らなくて、一度聞いてみたときも、いろいろな事をしてきたよ、と語ったそうだ。
誠二はもっと話を聞きたいのと、一緒にいたい気持ちが半々で、この後どうしようか迷っていたが、佳子の方から誘ってきた。
「私、明日は休めるので、どこか行きません?」
「僕はいいけど、どこにしようかな」
「すぐ近くに、狭いけれど落ち着いて飲める所があるんです、そこも社長の知っている店なんですけど」
「社長が来るんじゃないの」
「今日は大丈夫ですよ、疲れたのでまっすぐ家に帰るって言ってました」
佳子に伴われて行ってみると、地下の小さなカウンターバーだが、マホガニー調の静かな雰囲気の店だった。
すっかりくつろいだ感じの佳子は、飲むペースも速くなってきた。
アルコールに強いのは、母親に似たそうだ。
2時間経っても一向に帰る素振りをみせない。
誠二はこの頃、ゆりこから遠ざかっているせいもあり、佳子に強い興味を覚えた。
「どこに住んでいるの?」
「根津です」
「根津って、あの根津神社のある所?」
「ええ、一人住まいなんですけど」
「帰りは大丈夫かな」
「地下鉄の駅から近いから」
「そう、根津神社は何回か行ったことがあるよ、左側の、鳥居のある道は風情があって好きだな」
「そんなに気に入っているのなら、送って貰おうかしら」
佳子が急に大人びて見えた。
まだ学生っぽさが残っていると昼間は感じていたが、今隣りにいる彼女は、成熟した強かさを充分身に付けた女性になっていた。
地下鉄を一度乗り換えても、20分程で根津駅に着いた。
「私コーヒーが好きで、自分で豆を挽く事もあるんです」