京子は弟の分与の中から、月々叔母宛に仕送りをしているが、それでは納得していないそうだ。
「前に、知らない男が私の後をつけてきた事が何度かあったでしょう」
「ええ、それで一緒によく帰ったわね」
「多分、あれも親戚の仕業なんだわ」
「その根拠は?」
寺井は尋問調になってきた。
「暴走族あがりがいてね、いまは一応水商売やっているけど、殆どやくざ者なの、きっとそちらから手を回したに違いないわ、東京にも時々顔を出すって自慢してたから」
「それが本当だとしたら、ちょっと厄介だな」
「でも私、何も悪い事をした訳ではないし、父も特に借金はなかったから、問題はないと思います」
「お父さんとその人は、日頃からつき合いはあったのかな」
「法事の時に挨拶する程度だったから、皆敬遠してるでしょう」
裏で、何らかの貸し借りがあったかもしれない。
「気にしているせいか、昨日もずっと見張られているようで、それで、私の勝手で申し訳ないんですけど、またかおりさんと同じ職場で働かせて頂けないでしょうか」
「パートでしたら、いつでもOKですよ」
「よかった、知り合いもいないし、よろしくお願いします」
寺井は、きちんと連絡もしてこないで辞めて行った京子をあまり信用していなかったが、目の前で断りきれず、引き受けた。
でもそのせいで、自分達の上に暗雲たちこめる気配が、梅雨に向かう時期と重なり,憂鬱感も強まった。
京子は当分、夜の勤めには出ないつもりなので、かおりと一緒に帰ってきて、夕飯も一緒で、泊まっていく時もあり、かなり親戚を警戒している様子だ。
寺井は、かおりに京子について出来るだけ情報をくれ、と頼んでおいた。
「そおねえ、このまえの金曜日に彼女のアパートに寄ったんだけど、家具なんか高そうな物ばかりだったわ、いつも持っているバッグには、あれで500万円以上あったかしら」
「前に、知らない男が私の後をつけてきた事が何度かあったでしょう」
「ええ、それで一緒によく帰ったわね」
「多分、あれも親戚の仕業なんだわ」
「その根拠は?」
寺井は尋問調になってきた。
「暴走族あがりがいてね、いまは一応水商売やっているけど、殆どやくざ者なの、きっとそちらから手を回したに違いないわ、東京にも時々顔を出すって自慢してたから」
「それが本当だとしたら、ちょっと厄介だな」
「でも私、何も悪い事をした訳ではないし、父も特に借金はなかったから、問題はないと思います」
「お父さんとその人は、日頃からつき合いはあったのかな」
「法事の時に挨拶する程度だったから、皆敬遠してるでしょう」
裏で、何らかの貸し借りがあったかもしれない。
「気にしているせいか、昨日もずっと見張られているようで、それで、私の勝手で申し訳ないんですけど、またかおりさんと同じ職場で働かせて頂けないでしょうか」
「パートでしたら、いつでもOKですよ」
「よかった、知り合いもいないし、よろしくお願いします」
寺井は、きちんと連絡もしてこないで辞めて行った京子をあまり信用していなかったが、目の前で断りきれず、引き受けた。
でもそのせいで、自分達の上に暗雲たちこめる気配が、梅雨に向かう時期と重なり,憂鬱感も強まった。
京子は当分、夜の勤めには出ないつもりなので、かおりと一緒に帰ってきて、夕飯も一緒で、泊まっていく時もあり、かなり親戚を警戒している様子だ。
寺井は、かおりに京子について出来るだけ情報をくれ、と頼んでおいた。
「そおねえ、このまえの金曜日に彼女のアパートに寄ったんだけど、家具なんか高そうな物ばかりだったわ、いつも持っているバッグには、あれで500万円以上あったかしら」