しばらく話を聞いていたが、粘ってなかなか動きそうもないので、出来るだけ連絡を取ってみるといって帰ってもらった。
かおりが京子に電話をすると、待ちかねていたらしく、すぐにやってきた。
「ああ、あの中村ね、あの男は真面目なのよ、面白味はないけれど」
「本当に心配はしていたわよ」
「私のお金をね、父は周りの人達と共同で事業を考えていたらしいけど、親戚連中はあまり信用していなかったみたい」
「あてにしていたのに、京子さんが全部処分したものだから、恨まれてしまったのね」
「そんなところ・・・それよりも聞いて貰いたいのは、私にお店を出さないかって、話がきているの」
「お店って、クラブを始めるの?」
「いいえ、レストランなの、私をよく指名してくれる社長さんがいてね、自分で何店舗も経営してるひとよ」
「でも、レストランの経験はないでしょう」
「店の準備と経営は全部やってくれるので、私はとりあえず経理面をみればいいって」
寺井は二人の話を黙って聞いていたが、怪しげだなと思った。
雨が続いても、ゆりが咲き、むくげの花も咲き出すと、近づく夏を実感できる。
そうしたある日、かおりは実家に帰っていった。
母親に話があるので3,4日で戻るとだけ言ったので、寺井もあえて聞かなかった。
春子の近況も知らせてくれ、と頼んでおいたが、あまり気乗りしない様子で、相変わらず春子からも連絡は全くない。
そのかおりが留守の間に、京子から、今度は寺井と二人で会いたいと連絡があった。
それも、いま錦糸町のお店にいるから、来てくれないかとの事だった。
新しい店の売り上げに協力しに行く訳だが、他に用事もなかったので、ちょっとだけ顔をだすつもりで店に向かった。
駅を降りて、高速道路に近い雑居ビルの5階にその店があった。
うす暗いドアを開けると、店の中もやはり暗くてよく見えない。
かおりが京子に電話をすると、待ちかねていたらしく、すぐにやってきた。
「ああ、あの中村ね、あの男は真面目なのよ、面白味はないけれど」
「本当に心配はしていたわよ」
「私のお金をね、父は周りの人達と共同で事業を考えていたらしいけど、親戚連中はあまり信用していなかったみたい」
「あてにしていたのに、京子さんが全部処分したものだから、恨まれてしまったのね」
「そんなところ・・・それよりも聞いて貰いたいのは、私にお店を出さないかって、話がきているの」
「お店って、クラブを始めるの?」
「いいえ、レストランなの、私をよく指名してくれる社長さんがいてね、自分で何店舗も経営してるひとよ」
「でも、レストランの経験はないでしょう」
「店の準備と経営は全部やってくれるので、私はとりあえず経理面をみればいいって」
寺井は二人の話を黙って聞いていたが、怪しげだなと思った。
雨が続いても、ゆりが咲き、むくげの花も咲き出すと、近づく夏を実感できる。
そうしたある日、かおりは実家に帰っていった。
母親に話があるので3,4日で戻るとだけ言ったので、寺井もあえて聞かなかった。
春子の近況も知らせてくれ、と頼んでおいたが、あまり気乗りしない様子で、相変わらず春子からも連絡は全くない。
そのかおりが留守の間に、京子から、今度は寺井と二人で会いたいと連絡があった。
それも、いま錦糸町のお店にいるから、来てくれないかとの事だった。
新しい店の売り上げに協力しに行く訳だが、他に用事もなかったので、ちょっとだけ顔をだすつもりで店に向かった。
駅を降りて、高速道路に近い雑居ビルの5階にその店があった。
うす暗いドアを開けると、店の中もやはり暗くてよく見えない。