貴乃花親方の決断

　元横綱の貴乃花親方が日本相撲協会の慣例を破り、理事選挙に出馬する意向を明らかにした。所属する二所ノ関一門からも離脱することを同時に発表している。

　２年に一度行われる理事選挙では、五つある一門ごとに理事候補を調整し無投票になるのが慣例であった。これまでは二所ノ関一門は理事を３人出してきた。今回も現職の放駒、二所ノ関と新顔の鳴戸の３親方が立候補表明していた。ここに来て貴乃花親方の立候補表明があり、一門で候補を３名に絞り込む会合が持たれていたのだった。

　今日の新聞報道によると、ある親方はあと２年待って理事に選任されれば、将来の理事長候補なのに何故そんな急ぐのか分からないとコメントしている。しかし貴乃花親方には、年功序列の相撲協会に新風を吹き込みたいとの意向と、さらに「風とおしをよくしたい」との思いも人一倍強く持っているようである。

　最近の不祥事件の連発で相撲協会の対応が後手に回り、危機感を募らせた中堅・若手の親方の中にも貴乃花親方を支持する勢力がある。一方でまだ関取も育てていないし、協会の仕事も満足に出来ていない者に理事の資格はあるのかとの反発の声もあるようである。

　これまで定員１０名に対し、１０名の候補を絞り込み、無投票で理事を決定する旧来の方式が外れると、当選ラインには１０票が必要とされている。それから見ると新理事貴乃花親方の誕生はなかなか難しいと見方もある。

　小生は、旧来の体制から抜け出せない相撲協会の改革に積極的な発言をしてきた、貴乃花の理事就任を支持したいと思う。今回の理事選挙が、今後の相撲協会の改革の第一歩となることだと思うので、貴乃花親方の決断を歓迎したいのである。