16ケ月にわたりさよなら興行を続けていた、東京の「歌舞伎座」が一昨日で千亀楽を迎えた。そして今日には閉場式が行われるという。戦後間もなくの昭和26年に建築され、東京を代表する名建築と言われ、多くの海外からの観光客にも愛され、そして歌舞伎界を守り育ててきた。しかし老朽化が進みやむなく建て替えされることとなった。新たに歌舞伎座は2013年に竣工予定で工事が行われる。
戦後の荒廃した時代に、一早く完成した歌舞伎座で演じられた、華やかな歌舞伎の数々が多くの国民の復興への原動力の働きをしたことは有名な話だと思う。11代市川団十郎(現在の団十郎の父親)が市川海老蔵を襲名し「海老さま」として絶大な人気を誇り、伝統文化である歌舞伎の戦後での人気を不動のものにした。
小生は早世した11代市川団十郎に代わり、松本幸四郎、中村歌右衛門、尾上梅幸、中村勘三郎等々の先代の歌舞伎役者たちの演ずる演目を随分と楽しませてもらった。3階席のさらに上部にある一幕見の座席にも通い、有名な演目を見せて頂いたこともありました。
その後、これらの名優が相次いで亡くなり、歌舞伎界が衰退の兆しも見られたが、現在の市川団十郎の襲名以降に、松本幸四郎、中村吉右衛門、尾上菊五郎、中村勘三郎等々の若手歌舞伎役者が熟成の時期を迎え、さらに歌舞伎の人気を呼んでいる。これらは歌舞伎座が中心となった働きによることが大きいと思う。
小生は千葉の現在の住まいに移転後は、なかなか歌舞伎座には足を運べないでいるが、最後に歌舞伎座を観た日の手帳には「
成田屋と中村屋が競いし寺子屋のいろは送りの幕の哀しさ」と尾上菊五郎と中村吉右衛門の演じた「寺子屋」の感想を詠ったのが記してある。懐かしい思い出である。
幸いに新歌舞伎座が竣工するまでは、他の劇場で演じられる歌舞伎だが、2013年に完成する新歌舞伎座に引き継がれる、日本の伝統芸能の歌舞伎に大きな期待を寄せたいと思う。
千亀楽を迎えた歌舞伎座に多くの人が 2013年の完成予定図