縁戚がタヒチ旅行に出かけた際、一人の日本人に出会った。
TV番組の取材で訪れたタヒチに魅了された彼は、仕事をやめてダイビングのインストラクターとして働いていた。
その日本人インストラクターに指導を受けた縁戚は、それ以降年配にしてスキューバダイビングを始めることになった。
現地でお世話になった彼に、日本からカップヌードルなど懐かしい食品を送ったそうだ。
そして旅行のお土産はタオルに包まれた「タヒチアン・バンジョー」だった。
「タヒチアン・バンジョー」はタヒチのウクレレ様の楽器。
厚手の板を加工して釣り糸を張った楽器で、駒の部分がバンジョーのように丸い薄い板の上に乗っている。
2弦づつ4コースに張られた蛍光色の樹脂製釣り糸は同じ太さだし、大体フレットがいい加減に打ってある。
どう見てもチューニングは不完全だと思うのだが、これで良いのだ。
チューニング方法はウクレレと同じなので押さえ方も同じだが、独特の奏法がある。
とにかくリズムストロークが難しい。
もともとタヒチは、通信手段として打楽器を使って来た歴史があり、このリズムが実に複雑だ。
ポリネシアには「文字」文化がなかったので、これらの打楽器で演奏される曲は、口承で伝えられてきた。
一曲をリズムの変化で表現していて一つのストーリーを成している。
以前このポリリズムを譜面に強いKさんに依頼してオタマジャクシのリズム譜に書いてもらったことがある。
私が聴き取って「絵」を描いた譜面らしきもので練習していたのだが、正確に表現した譜面を書いてもらおうとした。
ところが五線譜に書いたリズム譜よりも、絵に描いたスケッチ様のものの方がわかりやすいという評があり笑ってしまった。
ドラムス・パートのリズム譜はとても門外漢には理解できない記号の林立だ。
もちろん現地の彼らは譜面どころかメモも見ないで延々と演奏を続ける。
代々耳から耳へと伝えられてきた楽曲は、かれらのDNAに擦り込まれているのだろう。
打楽器と民族の歴史は、長い時間をかけてポリネシア人の音楽性を高めてきたに違いない。
このタヒチの観光ガイド達の演奏と笑顔を見てご覧なさい。
素晴らしいグルーブを繰り出している。
(2011.10.13.記事)
"The Coconut Blues Band from Tahiti"
Tamariki Poerani - Vahine Dance
Tamariki Poerani - Mono'i Tupuna