TV番組で紹介されたアーチストの異色な経歴に驚いた。
アルバイトからボクサーへ、10年で引退して芸大に7年かけて入学して油絵を学び、木彫の世界へ。
彫刻家と言わず木彫り職人と称するところが潔い。
ヒノキの角材から金属やタイル、果物からあらゆる素材でできたものを彫出す。
一刀彫というのか、一本の木材から全てを作り出すところにこだわっている。
なんでそんな面倒なことをするのか。
一日中パチスロをやっては木彫に帰る日々を送っていたという一時期。
その生活から決別してまた木彫の世界へ。
酒も飲まないし友達もいない、立方体の木材に三次元の設計を頭に描いては彫り続ける。
折れないように極限まで彫り続けて三ヶ月、あるいは五年。
学んだ油絵の技術が表面に施される。
素材が木であることを示すために敢えて彩色を省いたりと、、
作品は数百万円で売れるそうだが、時間あたりの対価としたら決して高くない。
人はなぜそこまで自分を追い詰めるのだろうか。
食べるためにレストランで働いている画家にお会いしたことがあった。
絵画を語る時のその人の眼と語り口は、崇高に見えたものだ。
達観した人の顔はいい。
偶然、我が家に長逗留しては牛馬の爪を切る仕事をしていた「とよださん」のことを思い出していた。
大きい自転車の両サイドにハーレーのような皮のバッグをつけて、生活用具の全てを積んで渡り歩いていた。
どこかにご自身の家があったのか、ご家族がいたのか、皆目分からないが、ボヘミアンのような生活だった。
酪農業を営んでいた我が家を拠点として一ヶ月とか二ヶ月とか滞在し、近隣の酪農家のための仕事をしていたのだと思う。
彼が商売道具であるノミや小刀を利用して樹木の根株を細工しては作品を作っていた。
仕事のない日の暇つぶしで芸術というレベルではなかったかもしれない、が子どもの頃その作業をじっと見守った記憶がある。
出来上がった木彫はなんらかの収入源か、宿代代わりになったのかもしれない。
白髪交じりの立派なヒゲを貯えた「とよださん」の風貌は威厳があった。
そして優しかった。
美味しそうに飲む一合か二合の酒と、一匹の焼き魚を前に一日の終わりを楽しんでいた。
経済活動を第一として考える資本主義の世界で、ひたすら思うことを追求する男の生き方にひっかかる。
手を加え続けて完成しない作品や、ここまで手をかけた作品なので売りたくない、などなど。
映像のその方のすっきりした表情に、大昔の私の「とよださん」に共通するものを感じた。
懐かしい、とよださん。
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