中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

半巾帯連作「ちいさい秋みつけた I、II、III」(続)

2024年01月18日 | 紬の上質半幅帯
連作の半巾帯が仕立て上がりました。
仕立て上がるとギュッと中身が見えてきます。

リバーシブルになっていますので、季節や着物や気分で使い分けられます。
旅先に一本持っていけば、使う面で印象を変えることもできます。
結びによっては帯揚げを使ったりするのも、この手つむぎ糸の力強さ、上質さには良いと思います。


[I]

制作中にはテーブルに、使えそうな沢山の色糸を出していろいろ試し織りしてみるのですが、合わせる着物や主題の経糸の事などを考えると、結局引き算していくことになるのです。
壁に掛けるタペストリーを織っているわけではないので…。


[III]

上の[I]と[III]は遠目に縞に見えますが、地色と少し違う色の変化組織の織を加えることで厚みや重みが出ます。
お二人とも合わせる着物が濃厚なものや、シンプルだけれど深みのあるものでしたので、帯はそれらと調和しながらも、ただ馴染むだけでなく、引き立てあえるようにしました。

それでも地糸や、地に近いオフホワイト系を選ぶのには随分いろいろ試みてみました。
黄色系とピンク系の白茶を使ってます。



[II]の方は少し色糸も使いましたが、この帯に合う着物をこれから考えるそうです。
色と言っても強い格子ではないので、多分お手持ちの着物とも合うと思います。
お顔の色はオークル系で、髪も少し茶系に染めてらっしゃるので、秋の中間色が良くお似合いの方です。そのことを頭に入れて、緯糸の色を選びました。

[III]の方は、私の紬と合わせてくださいますが、またいつか着姿を撮影させてもらえたらと思っています。

そして、[I]の方は着物(御召し地に”源氏香の図”刺繍入りと、濃いピンクの色絣の入った大島)をお預けくださったのですが、許可を頂き、その上にものせて撮影してみましたが、その報告は次回に・・。

肌や髪の色、その方の印象、合わせる着物に合うよう制作することは、普通の制作よりも難しいけれど、今回もまた自分を鍛える機会となりました。
幸せな時間でした。

勇気をもって、遠方よりご参加下さった方々に敬意を表し、心よりお礼を申し上げます。





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