むかし…
夕暮れ近く、奥入瀬渓谷の流れに沿って、
旅の男が、ひとり、歩いていました。
緑鮮やかな木漏れ日と、清らかな水音が心に響きます。
大きく重なった岩の近くに、たどり着いたときです。
一人の若い女が、うずくまって泣いているです。
うつむいた女のえりあしは、奥入瀬の流れのように透き通っています。
男は女に声をかけました。
顔をあげた女の眼には、木々の緑が映り、妖艶な輝きが秘められています。
若い男は心の臓が高まるのを感じました。
「私は、まつと申します。朝方、山菜をとりに、向こう岸より参りました。日が暮れそうなので、戻ってまいりますと、水かさが増し、流れが急になっているのです。
わたれずに、途方にくれております。」
女の頬に涙が光ります。
男はその涙を真珠の露の清らかさのように感じました。
「この急流を、おなごが、わたるのは無理だ。私の背中に乗りなさい。向こう岸まで、背負ってあげましょう」
女は断りましたが、男が強く勧めるので、恥じらいながら男の背にのりました。
柔らかな女の身体が、広い男の背に伝わります。
奥入瀬の水は冷たく、流れは急です。
男は、女の感触に不思議なときめきを抱きながら、流れの中程まですすんだのです。
すると…
女は、ゆっくりと右手を自分の懐に入れました。
男に気づかれないように、懐中から短刀を取り出します。
男は首筋に冷たいものを感じましたが、すでに遅かったのです。
一瞬のうちに、
女は、刃を、男の首元を突き刺さしました…………
奥入瀬の清流が真赤に染まりました。
秋の紅葉のような鮮やかな赤…
女はこの岩場にすむ「鬼神のお松」という女盗賊。
このように旅人をたぶらかしては、路銀を盗んでいたのです。
奥入瀬の石ケ戸に残る伝説を聞いて、久しぶりの創作をしました。どうでしょう。。。、
「ふん いつの時代も男はバカだね」( -"-) by zooの奥さま
↓お松が住んでたという石ヶ戸。今も残っています。
東北の旅レポートもこれで終わりにします。
八戸を出て、奥入瀬を通り、十和田湖を巡って帰路につきました。
下の数行の説明から、思い浮かんだお話でしたm(__)m
奥入瀬石ヶ戸伝説
数メートルもある大きな石がカツラの木に支えられるようにしてある場所があります。自然の岩屋のようなので石ヶ戸と言います。
昔、ここに,鬼神のお松という女山賊が住んでいました。旅人が来ると、その背を借りて川を渡りたいと言います。そして、女は流れの中央にさしかかると短刀で旅人を刺し殺しては金銭を奪っていたのです。
夕暮れ近く、奥入瀬渓谷の流れに沿って、
旅の男が、ひとり、歩いていました。
緑鮮やかな木漏れ日と、清らかな水音が心に響きます。
大きく重なった岩の近くに、たどり着いたときです。
一人の若い女が、うずくまって泣いているです。
うつむいた女のえりあしは、奥入瀬の流れのように透き通っています。
男は女に声をかけました。
顔をあげた女の眼には、木々の緑が映り、妖艶な輝きが秘められています。
若い男は心の臓が高まるのを感じました。
「私は、まつと申します。朝方、山菜をとりに、向こう岸より参りました。日が暮れそうなので、戻ってまいりますと、水かさが増し、流れが急になっているのです。
わたれずに、途方にくれております。」
女の頬に涙が光ります。
男はその涙を真珠の露の清らかさのように感じました。
「この急流を、おなごが、わたるのは無理だ。私の背中に乗りなさい。向こう岸まで、背負ってあげましょう」
女は断りましたが、男が強く勧めるので、恥じらいながら男の背にのりました。
柔らかな女の身体が、広い男の背に伝わります。
奥入瀬の水は冷たく、流れは急です。
男は、女の感触に不思議なときめきを抱きながら、流れの中程まですすんだのです。
すると…
女は、ゆっくりと右手を自分の懐に入れました。
男に気づかれないように、懐中から短刀を取り出します。
男は首筋に冷たいものを感じましたが、すでに遅かったのです。
一瞬のうちに、
女は、刃を、男の首元を突き刺さしました…………
奥入瀬の清流が真赤に染まりました。
秋の紅葉のような鮮やかな赤…
女はこの岩場にすむ「鬼神のお松」という女盗賊。
このように旅人をたぶらかしては、路銀を盗んでいたのです。
奥入瀬の石ケ戸に残る伝説を聞いて、久しぶりの創作をしました。どうでしょう。。。、
「ふん いつの時代も男はバカだね」( -"-) by zooの奥さま
↓お松が住んでたという石ヶ戸。今も残っています。
東北の旅レポートもこれで終わりにします。
八戸を出て、奥入瀬を通り、十和田湖を巡って帰路につきました。
下の数行の説明から、思い浮かんだお話でしたm(__)m
奥入瀬石ヶ戸伝説
数メートルもある大きな石がカツラの木に支えられるようにしてある場所があります。自然の岩屋のようなので石ヶ戸と言います。
昔、ここに,鬼神のお松という女山賊が住んでいました。旅人が来ると、その背を借りて川を渡りたいと言います。そして、女は流れの中央にさしかかると短刀で旅人を刺し殺しては金銭を奪っていたのです。