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あなたから一番遠いブログ

自分が生きている世界に違和感を感じている。誰にも言えない本音を、世界の片隅になすりつけるように書きつけよう。

それが「○○の碑」だったとしたら

2013年08月05日 00時00分30秒 | Weblog
 米国ロサンゼルス近郊のグレンデール市に、従軍慰安婦の記念像が設置された。
 この問題がどのくらい日本で関心を持たれているのか知らないが、先日TBSの「サンデーモーニング」を見ていたら、意外にも司会の関口宏氏が強い反発を示していた。
 ちかごろ米国では在米韓国人団体が中心となって慰安婦問題でデモをしたり、記念碑を建てたりする運動が強まっている。今回のグランデール市の記念像については、東海岸で初めてということと、米国内では珍しく日系市民が強い反発を示し公聴会が荒れこことなどから、注目度が高かったようだ。
 記念像はソウルの日本大使館前に置かれたのと同形で、少女がベンチの片側に座っている像である。地面側にプレートが埋め込まれているようだが、特に威圧的でもないし暴力的でも挑発的でもない。
 なぜ静かに敬意を払って見守ることができないのだろうか。
 グレンデール市の公聴会では日系市民が「慰安婦問題は歴史の捏造だ」「慰安婦は売春婦だった」などと激しく市当局に抗議したそうだが、残念ながら慰安婦問題は歴史的事実であり、その点は現在の安倍政権でさえ認めているところである。「捏造」と言う方が歴史を歪曲している。
 明らかに問題を引きずっているのは日本側だ。もし戦前の日本の侵略政策とは一線を画している、戦前の日本のあり方を否定していると言うのであれば、慰安婦問題も戦争犯罪の一環として、韓国人とも米国人とも一緒に同じ立場を共有できるはずである。
 逆に言えば、慰安婦問題が捏造であると言う立場は戦前の日本を肯定する立場に他ならない。
 果たしてこれがナチスによるユダヤ人虐殺の碑だったらどうなのか。もっと踏み込んで言えば、これが原爆被害者の慰霊碑だったらどうなのか。
 これはあなたへの問いかけでもある。
 この問題は、平等、公平、平和主義、国際主義、そうした感性をあなたに問うている問題でもある。誰の立場でもないあなたという人間個人の意思、感性としてこれをどう見て、どう考えるのか。いったい誰にこそ寄り添うべきなのか。戦争を起こす側か犠牲者の側か。この碑が9.11テロ犠牲者の碑だったら? パレスチナやアフガニスタン、イラクの犠牲者の碑だったら?
 終戦の日に向けてのひとつの宿題としたい。