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【いま読む日本国憲法】 (6)第12条 人権同士の衝突で制約も 自民草案では「公益」が前面に

2016-05-07 18:19:00 | 野党は共闘
東京新聞より転載

【いま読む日本国憲法】

(6)第12条 人権同士の衝突で制約も 自民草案では「公益」が前面に

2016年5月7日


 今の憲法は、国民に対して自由と権利を広く認めた憲法です。しかし、自由と権利は、しばしば他者の自由と権利とぶつかることがあります。それを調整するのが、この条文などで出てくる「公共の福祉」という考え方です。


 公共の福祉とは、個人を超えた社会全体の幸福のことを指しますが、範囲ははっきりしていません。自民党の改憲草案は、公共の福祉の意味が曖昧なので解消を図るとして、「公益及び公の秩序」に置き換えました。この表現は草案のほかの条文にも出てきます。


 草案のQ&Aで同党は、公の秩序とは「社会秩序」「平穏な社会生活」のことと解説。「個人が人権を主張する場合、人々の社会生活に迷惑を掛けてはならない」と説明しています。


 ポイントは、同党が「基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られない」とも指摘している点。現行の一二条を巡っては、人権と人権が衝突する場合に限って人権の制約を想定しているという解釈がありますが、自民党の草案は、公益や公序に反しない範囲での人権しか認めていないようにも読めます。


 同党は「反国家的な行動を取り締まることを意図したものではない」と強調していますが、社会の秩序を守るという名目で国家が国民の自由や権利を圧迫しないか、懸念が残ります。


 草案は「自由及び権利には責任及び義務が伴う」とも付け加えました。権利より責務を重んじる同党内の視点が表れています。


 あまり注目されませんが、憲法一二条は、勝ち取った自由と権利を守るため国民に「不断の努力」も求めています。平和憲法を守ろうと訴える学者や弁護士たちは、この条文を今こそ思い起こそうと呼び掛けています。


 ◇ 


 憲法の主な条文を解説し、随時掲載しています。


《用語解説》濫用=みだりに用いること

◆自民党改憲草案の関連表記(抜粋)


 国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

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