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政党助成金 9党で172億円ためこみ 11年分報告書 被災地の苦しみよそに

2012-09-30 07:50:59 | 日記
 しんぶん赤旗より                              2012年9月29日(土)
政党助成金 9党で172億円ためこみ
11年分報告書 被災地の苦しみよそに
 総務省は28日、2011年分の政党助成金の使途報告書を公表しました。民主、自民、公明、みんな、社民、国民新、たちあがれ日本、新党日本、新党改革の9党に交付された政党助成金の総額は319億4200万円。11年3月に東日本大震災が起こり、「政党助成金を復興財源に」との世論が広がりましたが、9党は被災地の苦しみをよそに政党助成金を受け取り続けました。
 政党助成金を受け取った9党の支出総額は10年に比べ29・5%減少して211億1800万円。11年は、いっせい地方選挙が行われましたが、国政選挙がなかったため、9党は支出を抑えて翌年に繰り越す基金の積み増しをはかりました。被災地のために国庫に返納することもなく、9党がためこんだ基金残高の総額は171億9100万円で前年末に比べ2・7倍に膨らんでいます。
 一方、政党助成金の使途の内訳をみると、民主党は、選挙関係費と宣伝事業費で計26億4500万円を支出し、全体の28・7%を占めました。自民党も選挙関係費、宣伝事業費に26億6100万円を支出しています。その他、政党職員の人件費、相変わらず飲み食いや税金の支払いまで助成金が投入されています。
 政党助成金の制度実施から17年間の各党の山分け総額は5357億5900万円にのぼります。
 日本共産党は税金を政党が山分けする政党助成金は、国民の思想信条の自由を侵し、民主主義をゆがめるものとして一貫して受け取りを拒否しています。
解説
税金頼みの体質問われる
 総務省が28日に公表した2011年分の政党助成金の使途報告書からは、復興増税、消費税増税などで国民に大負担を負わせる政治を進めながら、自らは血税を“蓄財”する政党の姿が浮き彫りになりました。
 そもそも政党助成法では、使い残しがあった場合、助成金は国庫に返納することを原則としています。ましてや震災で苦しむ人々から集めた税金まで政党助成金として受け取り、懐に納めてしまうなどもってのほかです。
 震災後には、テレビや新聞、週刊誌などでも、各党に助成金の返上を求める世論がわき起こりました。ところが、各党は「政党基金」とすれば翌年に積み立てることができるとした“抜け道”を使って助成金をため込みました。東日本大震災と原発事故で多くの国民が苦難にあえぐなか、政治活動の費用を税金でまかなうことに厳しい批判の目が注がれています。
 さらに、民自公3党は、消費税大増税を密室談合で強行しながら、「政治家も身を切る覚悟を」といって、民意を切り捨てる議員定数削減に固執しています。一方で、政党助成金を“聖域”扱いする姿勢に国民の不信が高まっています。
 今、政党に問われているのは、政党運営を税金に頼りきる体質そのものです。草の根で国民と結びつき、自主的財源をつくる努力を怠って税金と企業献金に頼ることで、政党が国民的基盤をもたない浮き草となってきました。民意を無視した政党・政治家の離合集散の基礎になってきたのも政党助成金制度です。
 一方、「既成政党」批判を繰り返す「日本維新の会」も、衆院定数半減とあわせて政党助成金の7割維持を掲げ、自らも受け取ることを明言するなど政治的特権にしがみついています。
 現在、政党の中で政党助成金の受け取りを拒否しているのは日本共産党だけです。
 政党の堕落を指摘する国民の批判に真正面から応えるためにも、苦労をしなくても税金が転がり込む政党助成金制度は今こそ廃止すべきです。 (佐藤高志)



震災復興なぜ進まず 戸羽太 陸前高田市長 高槻での公演から

2012-09-28 21:29:20 | 日記
    転載      戸羽太 陸前高田市長 高槻での講演から


 陸前高田市は、岩手県でも一番大きな被災をしたのですが、現在市内で発見されたご遺体は1555体。

そして今なお、230名を超える方々が行方不明であり、連日、警察や海上保安庁に捜索をしていただいてますが残念ながら今年に入って、どなたも発見されておりません。

 230名を超える方々をそれぞれ探しておられる、ご家族、ご友人、ご親戚が市内にどれくらいおられるだろう。

 そう考えますと、私どもは復興・復興と言ってるわけですが、一方でそういう人たちが、置いてきぼりにならないように、フォローしていかねばならないと考えているところです。

↓↓陸前高田市の街・・。消えてなくなっています。まるで、敗戦の時のB29による空襲の跡のような光景でした。(僕が、行ったのは2ヶ月後の5月でした。唖然としましたね。)









▼復興が進まない理由

気持ちが通じない、国と被災地

(発災から)1年5カ月経とうとしています、しかし現地に来ていただければ分かると思いますが
まだ復興と言える段階には至っておりません。本当に歯がゆい思いをしています。
ではなぜ、復興の段階に入れないのか、その理由の一つが国のルールです。
ルールは通常時には大変有効なものであり、ルールがあって社会が成り立つのですが
政治家の皆さんは、千年に一回、未曾有の大震災と話をされますが、その千年に一度の有事に対して
通常のルールで対応をしています。
したがって前に進もうとしても進めないでいます。

例えば、一つの山を削って、災害公営住宅を建てるという計画を、昨年の10月に市民の皆様に発表をしていますが、
それから10カ月経とうしている今日でも、石ころ一つ動いていません。
なぜなのか、それは国のルールがあるからです。

山には木が生えている、木を伐採するには森林法に基づいて国に届け出をして、許可を取る必要があります。
次に山を削って平らな土地を整備するので面積が広くなる、それは大規模開発ということになります。
大規模開発というのは本来、民間の方々が勝手に山を削って、大きなショッピングセンターを勝手に作るというような
乱開発を防ぐためにある法律だと私は理解しているが、被災地である私どもにも通常のルールのまま申請をして、許可を得なければ前に進まないというのが現状です。
 そして、今、復興交付金制度があり、そのお金を使って山を削ろうとしたら、
今度は都市計画設計をしなければいけまんよ、というルールがあります。
以前に手続きをしていた、森林法で許可が出たから、木を切ろうとする段階になれば
今度は林野庁から電話が入り、陸前高田の山にはその昔、43万円の補助金が入っていますから
ちょっと待ってください、と言われます。
たった43万円なら返してやれと担当課に言いました。
43万円返せば勝手なことしてもいいんでしょ
となれば林野庁もプライドがあります、そういうことが世の中に洩れるのが嫌なのでしょう。
返さなくてもいいから、手続きだけはしてください、手続きには6カ月かかります、と言われる。
今から6カ月待つなんてことはありえません、6カ月もかかるならお金を返します、と言うと
2ヶ月から3ヶ月でなんとかしましょう、と言う。それも待ってられないと言うと
分かりました2週間でします、となる。

 ここは本来は喜ぶべきことかもしれませんが、私たちからすればまさに、ストレスなんです。
なんで一番はじめに、被災地である我々が山の木を切る、削ると言った時に、
今2週間でできると言ったのなら、なぜ最初に6ヶ月と言ったのか?
通常のルールだと6ヶ月だけど、あなたのところは被災地だから
なんとかして2週間でしますと、なぜ一回で返答ができないのか、
そこが国と我々被災自治体とのギャップなんです。

 ルール上のギャップというのは、確かにありますが、一番悔しいのは気持ちが通じないということ。
被災地に寄り添うとか、日本全体の問題だと色んな大臣が話しますが、実際には言葉はでてきても
行動には出てこないのであります。そこが非常に悔しい思いをしてならないのです。

 昨日(8月4日)平野復興大臣にご視察をいただきました。
その際に、市街地が全部被害を受けているので、都市計画においても、
非常に広い面積だから分割してやった方が良いと大臣が仰った。
その通りですが、分割して進める場合にどの予算でやれば良いか、我々には分からないと伝えますと、
大臣から提案がありました。
すると 当者から、それは先日国交省からダメだと言われた、と言うんです。
省庁で言うことが違い、横の連携ができていません。

↓↓右が、戸羽市長さんんです。

▼国の縦割り行政の本質
 国の制度はよく縦割りだと聞かれると思いますが、被災をして、本当に国は縦割りなんだなと実感しました。
一番印象的だったのは、昨年、津波の影響でガソリンスタンドが一つも無く、ガソリンが近くまで来ても
陸前高田市までには届かない状況が続いた。そこである政治家にお願いをして、経産省に電話をしてもらい
ガソリンを持ってきてもらうことになりました。本当に喜んびました。
ガソリンが無くて一番困ったことは、市内で日々大勢のご遺体が発見され、OO小学校に収容してもすぐに一杯になり、次はこの学校・・と指示をしていると市内の学校の体育館はご遺体でいっぱいになりました。
隣町の体育館も借りて収容していただいた。


この写真は高槻での講演の記事とは関係ありません。

ガソリンが無い為に、家族を探しておられる方々が、ご遺体の安置所に行けないということになりました。
ですから身元が判明しません、するとそのまま安置したままになり、悪循環が生まれてきました。
いよいよ明日ガソリンが来ると言う時、その給油を自衛隊の方々にお願いをしていました。
それは副大臣が来ていた時に、副大臣から危険な業務なので、自衛隊にとお願いをしてもらっていたが
経産省から電話があって、
「経済産業省が出すガソリンなので、自衛隊の方々には給油をさせないでください。古いドラム缶と新しいドラム缶を交換する時は自衛隊に手伝ってもらってもいいが、ノズルには触らせないでください」
という事を言われました。
 被災地で食べ物も水もガソリンも無い状況で、経産省が出したガソリンだから、自衛隊に触らせないくださいと
そんなことを平気で言うんですよ。
これが事実なんです。

▼国の危機管理に危惧
こういった中で復興をしなくてはいけない時に、私たちは国と戦わざるえなくなっている。
震災が起った時の総理は菅直人さんだった。当初色んな批判を受けていたが
私は批判をしても仕方がない、手を携えて頑張っていかねばならない時だと思っていました。
が彼は突然辞めると言いだした、それから3ヶ月かかった。
そして辞めた後、SPを連れてお遍路さんに行っていた。
その前の総理大臣もしかりですが、ああいう人が今でも政治家として残って、力を持っています。
それは日本という国が、非常に危ぶまれることだと思います。
今回の震災は東北3県が主に大きな被害を受けましたが、日本全体のことを考えた時に
国の危機管理をしっかりと日ごろから考えていく必要があると、被災をした私たちですから
反省と教訓を皆さんに伝えていかなければいけない、そういう思いでこのお話をさせていただいています。

「即時原発ゼロ」を 増え続ける使用済み核燃料 再稼働なら6年で満杯

2012-09-28 11:20:23 | 日記
          しんぶん赤旗より               2012年9月28日(金)
「即時原発ゼロ」を
増え続ける使用済み核燃料
再稼働なら6年で満杯
 ただちに「原発ゼロの日本」を―。これが切実・緊急な課題となっているのは、日本共産党が25日発表した提言「『即時原発ゼロ』の実現を」が強調するように、原発を使い続ければ、処理する方法のない「核のゴミ」=使用済み核燃料が増え続け、危険な遺産を将来に押し付けることになるからです。原発が抱える根本矛盾である使用済み核燃料問題を検証します。(間宮利夫)
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(写真)六ケ所再処理工場=青森県六ケ所村


(写真)日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」=福井県敦賀市
 使用済み核燃料には、原発の運転中に核分裂性のウラン235が核分裂してできたさまざまな放射性物質が含まれています。核分裂生成物(いわゆる「死の灰」)です。また、ウラン燃料の大部分を占める核分裂性でないウラン238が運転中に中性子を吸収したりすることで生じるプルトニウム239などの「超ウラン元素」も含まれています。核分裂生成物は強い放射線を出し、「超ウラン元素」は長期間放射線を出し続けるという特徴があります。
1万4200トンを貯蔵
 使用済み核燃料は現在、福島第1原発を含む全国17カ所の原子力発電所の54基(廃止となった福島第1原発1~4号機を含む)の原子炉建屋や、原子炉に隣接する建物などにある使用済み燃料プールに1万4200トンが貯蔵されています(2011年9月現在、電気事業連合会の資料から)。
ますます増える
 日本で使われている商業用原発は軽水炉と呼ばれるタイプで、ウラン235の割合は3~4%程度の「低濃縮ウラン燃料」を使っています。運転中にウラン235の割合は少なくなるため、一定期間燃焼させた核燃料は使用済み核燃料として、原発の定期検査時に新しい核燃料と交換します。このため、関西電力大飯原発3、4号機に続いて残る48基を再稼働すれば、使用済み核燃料はますます増えることになります。
 各原子力発電所の使用済み核燃料貯蔵容量は合わせて2万630トンです。日本学術会議が今月11日に行った原子力委員会委員長から受けた審議依頼に対する回答では、「単純計算をした場合、それぞれの発電所をこれまで通り運転をすると約6年で満杯となる」と指摘しています。
核燃サイクル破綻 処理できない「核のゴミ」
 増え続ける使用済み核燃料を再処理して、燃え残りのウランと、新たに生成したプルトニウムを取り出して、燃料として使おう―。これが、政府・電力会社が推進している核燃料サイクル計画です。
再処理工場 トラブル続出 高速増殖炉 欧米は開発撤退
 その柱の一つが青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場です。
 全国の原発で発生した使用済み核燃料を集め、被覆管を切断して取り出したペレットを化学処理してウランとプルトニウムを取り出す、巨大な「放射能化学工場」です。ウランとプルトニウムを取り出した後に残る「死の灰」や「超ウラン元素」を含む高レベル放射性廃棄物は、ガラスと混ぜて固めたうえでステンレス製の容器に入れた「ガラス固化体」に加工します。
 1993年に着工し、97年に完成予定でしたがトラブル続出で大幅に遅れています。2001年に試験を始めたものの、03年には総延長1300キロに達する配管に300近い溶接不良箇所が見つかりました。その後も、放射性物質を含む廃液が漏れたり、作業員が被ばくする事故が次々発生。08年には、ガラス固化体をつくる溶融炉内に入れた、かくはん用の棒が抜けなくなり、長期に試験を中断。今年、再開したものの、今月、19回目の完工延期を発表せざるを得ませんでした。
 再処理の方法は軍事技術を転用したもので、世界各地にある再処理工場では爆発事故などが相次ぎ、工程自体、確立したものでないことを示しています。政府は、高レベル放射性廃棄物を固めたガラス固化体を地中深く埋める「地層処分」するとしていますが、その見通しは全くたっていません。日本の原発の現状を表す「トイレなきマンション」の象徴となっています。
推進変えぬ政府
 核燃料サイクル計画のもう一つの柱が、再処理して取り出したプルトニウムを燃やす高速増殖炉です。
 高速増殖炉は、使った以上のプルトニウムを作り出せる“夢の原子炉”と呼ばれます。しかし、空気や水にふれると激しく反応するナトリウムを冷却材として使う技術的困難さなどから欧米諸国は開発から撤退しています。
 旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃=現日本原子力研究開発機構)が福井県敦賀市に建設した高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」も、運転を開始した直後の1995年にナトリウム漏れ・火災事故を起こしました。政府は14年半近く運転できない状態が続いたもんじゅの運転を2010年に強行したものの、3カ月後には原子炉の中に重さ3トンの金属装置を落とす事故を起こし、再び停止したままになっています。
 このように、使用済み核燃料の再処理も高速増殖炉も破綻は明白です。しかし、枝野幸男経済産業相は今月15日、青森県の三村申吾知事らと会談し、再処理の継続を明言。また、平野博文文部科学相は18日、福井県の西川一誠知事と会談し、もんじゅについて従来の政策に大きな変更はないと述べました。
プールは満杯状態
 政府・電力会社が核燃料サイクルに固執するのはなぜでしょうか。その一つに、原発を再稼働すれば早晩行き場がなくなる使用済み核燃料の受け入れ先を確保する狙いがあります。
 再処理工場には3000トンの使用済み核燃料を入れることができるプールがあります。再処理は行き詰まったままなのに、同工場は3344トンの使用済み核燃料を受け入れています。このうち425トンは試験で使用したとしていますが、プールはほぼ満杯状態です。
 再処理を進め、原発から出る使用済み核燃料を受け入れられるようにしたい―。これが政府・電力会社の本音です。しかし、再処理が進めば取り出されたプルトニウムが増え、その処理が問題になります。高速増殖炉が暗礁に乗り上げる中、政府はプルトニウムを含むMOX(混合酸化物)燃料を商業用原発で燃やすプルサーマルで乗り切ろうとしています。そのためには原発を動かさなくてはならない―。
 原発を再稼働すれば、こんな悪循環の下で、処理する方法のない「核のゴミ」は増え続けます。これを断ち切るためにも、ただちに「原発ゼロ」を実現する以外ありません。

原子力規制委の取材規制 排除方針は不当

2012-09-27 13:56:41 | 日記
            しんぶん赤旗より         2012年9月27日(木)
原子力規制委の取材規制
排除方針は不当
本紙が抗議、撤回求める
 原子力規制委員会(田中俊一委員長)が、「特定の主義主張を持った機関紙はご遠慮いただきたい」などとして、本紙の記者会見出席を不当に排除したことに対して本紙は26日、「国民の信頼を回復するとして出発した原子力規制委員会のあり方の根本にかかわる重大問題だ」として、排除方針の撤回を求める栗田敏夫社会部長名の「抗議文」を届けました。
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 抗議文は、同委員会が議題で、(1)報道機関への発表を積極的に行う(2)報道機関を既存官庁よりも広く捉え、報道を事業として行う団体や個人を対象にする―と明記していることから、本紙を「排除するのは不当」と批判しています。
 また、同委員会の実務を担当する原子力規制庁の広報担当者がフリーランスの記者に対しても、「特定の主義主張を持って書かれている方はご遠慮いただいております」などと、憲法が禁止する「検閲」まがいの発言をしていることは、「憲法順守義務を負う公務員としてもってのほか」と指摘しています。
 本紙には読者から「こんなことを許していたら、日本はどんどん右傾化してしまう。抗議先を教えてほしい」という問い合わせが寄せられました。
「赤旗」報道で質問相次ぐ
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は26日、第2回委員会後の記者会見で、「しんぶん赤旗」を会見に参加させないとする事務局の方針について問われ、政党機関紙の記者を参加させると「(同委の)政治からの独立が怪しくなる」などと発言しました。
 また、広報担当者は席上、「政党機関紙は報道を事業とする趣旨からいうと違う」として、政党機関紙であることを理由に「しんぶん赤旗」の会見参加を認めない考えを示しました。
 この日、「しんぶん赤旗」の報道に関連して複数の記者から、従来の行政の対応より後退ではないかなどと質問がありました。
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言論の自由奪う これは憲法違反
ツイッター書き込み
 インターネットのツイッターには、次のような書き込みがありました。
 「つまり原子力規制庁は、『何でもかんでも真実を報道する奴らは危なっかしくて取材に応じたくない』ということですね」
 「そもそも『特定の主義主張』のないジャーナリズムなど存在するのか? もしあるとすれば、戦前のような『大本営発表』だけだろう」
 「共産党を支持しないが、これは許せない。こんなことがまかり通ったら日本は暗黒時代になってしまう」
 「言論の自由まで奪うのか? 原発利権のために」
 「反原発規制委か」
 「これは憲法違反」

「即時原発ゼロ」の実現を 日本共産党の提言

2012-09-26 18:29:40 | 佐倉チューリップ
2012年9月26日(水)
「即時原発ゼロ」の実現を      日本共産党の提言
2012年9月25日
 日本共産党の志位和夫委員長が25日、発表し、政府に申し入れた「『即時原発ゼロ』の実現を―日本共産党の提言」は以下の通り。
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 「原発ゼロ」の日本を願う国民の世論と運動が大きく広がっています。政府・民主党も、「過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」(エネルギー政策についての政府の「検証会合」)と認めざるを得なくなりました。
 しかし、財界など原発を推進してきた勢力は、「原発ゼロ」を望む国民世論に抵抗し、「『原発比率ゼロ』は現実的でない」(日本経団連会長)などと政府に圧力をかけ、原発の維持・推進に固執しています。アメリカからも「原子力発電の慎重な再開は、日本にとって正しい責任ある措置」(戦略国際問題研究所報告)など、露骨な介入があります。
 こうしたもとで、野田内閣の関係閣僚がまとめた「エネルギー・環境戦略」は、「原発ゼロ」を口にしながら、その実現を先送りし、原発に固執するものとなりました。「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という一方で、「再処理」をすすめて新たな核燃料をつくり、中断している原発の建設を再開するという、まったく矛盾した姿勢です。しかも、野田政権は、財界やアメリカからの圧力をうけて、この「戦略」を閣議決定することすら見送りました。
 「原発ゼロ」を望む国民世論に逆らって、原発再稼働を容認し原発に固執しつづけるのか、文字通りの「原発ゼロ」をただちに実現するのかが、問われています。
1、すべての原発からただちに撤退する政治決断をおこなう――「即時原発ゼロ」を実現する
 日本共産党は、すべての原発からただちに撤退する政治決断をおこない、「即時原発ゼロ」を実現することを強く要求します。
 私たちは、2011年6月の「提言」で、「『原発ゼロの日本』をめざす政治的決断」をおこなうことを求め、「原発からの撤退をどのくらいの期間でおこなうのか、日本のエネルギーをどうするのかについては、国民的討論をふまえて決定されるべき」であるが、日本共産党としては、「5~10年以内を目標に原発から撤退するプログラムを政府が策定する」ことを提案しました。
 この「提言」から1年3カ月が経過し、原発からのすみやかな撤退、一日も早く原発の危険を除去する必要性、緊急性がいっそう切実になるとともに、その条件があることも明らかになりました。
(1)事故の被害は拡大しつづけている――二度と原発事故を起こしてはならない
 福島第1原発の事故は「収束」するどころか、その被害は拡大し、多くの被災者の方々は先の見えない苦しみのもとにおかれています。福島県では、いまも県内外への避難者は16万人にのぼり、避難先で命を落とす人も少なくありません。放射能による被害は東日本を中心に全国に広がり、ホットスポットと呼ばれる放射線量の高い地域が各地に出現しています。農業、漁業、林業や観光業をはじめ、あらゆる産業、経済への深刻な打撃も続いています。
 原発事故は、ひとたび放射性物質が大量に放出されると、その被害が空間的にも、時間的にも、社会的にも限定なしに広がり続け、人類は、それを防止する手段を持っていません。この“異質の危険”が1年半たった今でも、猛威をふるっているのです。
 しかも、原発事故は、「これが最悪」ということさえも想定できません。今回の福島原発事故で大気中に放出された「死の灰」は、原子炉内総量の1割程度で、放射性ヨウ素やセシウムなどは1~2%と言われていますが、これがもっと大量に放出される事故も起こり得ます。そういう最悪の事故が起こった場合の被害については、想定すること自体が不可能です。二度と、原発の大事故を起こすことは絶対に許されません。
(2)原発稼働を続ける限り、処理する方法のない「核のゴミ」が増え続ける
 使用済み核燃料=「核のゴミ」を安全に処理する技術はありません。使用済み核燃料は、原料として使用したウラン鉱石のレベルに放射能が下がるまでに数万年、無害といえる程度になるまでには、さらに膨大な時間がかかります。
 すでに日本の原発からは2万4000トンもの使用済み核燃料がつくりだされました。各原発のプールには、大量の使用済み核燃料が貯蔵され、各原発が再稼働すれば、プールは数年で満杯になってしまいます。
 歴代政府が、使用済み核燃料の「対策」としてきた核燃料サイクル計画は完全に破たんしています。再処理した核燃料を使用するはずの「もんじゅ」はトラブル続きで完成の見込みもありません。核燃料サイクル計画からは、アメリカ、イギリスをはじめ世界各国も撤退しています。しかも、再処理は、使用済み核燃料をせん断、溶解させて、プルトニウムとウランと「高レベル放射性廃棄物」に分けるもので、この処理そのものが極めて危険であるうえ、ここで生まれる「高レベル廃棄物」などの処分についても、見通しがまったく立っていません。
 原発稼働を続ける限り、処理する方法のない「核のゴミ」が増え続けます。これ以上、この危険な遺産を増やし続け、将来の世代に押しつけ続けることは許されません。
(3)原発の再稼働が国政上の大問題になったが、その条件も必要性も存在しない
 昨年の「提言」発表後に、国政の大きな問題となったのが原発の再稼働問題です。
 原発事故の原因究明もできず、政府自身が決めた「当面の安全対策」も未実施のままで、住民避難の体制も計画もない――こんな状態でどうして再稼働ができるのか。国民の怒りが大きく広がりました。
 政府と電力業界は、「電力不足」で国民を脅し、原発再稼働を強行しましたが、関西電力管内を含めて“原発なしで猛暑の夏を乗り切る”ことができることも実証されました。
(4)国民世論が大きく変化し、「原発ゼロ」を目指す声は、国民多数となっている
 福島事故から1年半を経過し、国民の世論も大きく変化、発展しています。政府がおこなったパブリックコメント(意見公募)では8割が「即時原発ゼロ」を求め、福島市の聴取会では「すべての原発の即廃炉」を求める声が圧倒的でした。
 原発事故の被害の深刻さ、恐ろしさが、多くの国民の実感となっています。原発に頼らない社会への道をすすもうという国民の意思は明白です。国民の願いに応えるのが政治の最大の使命であり、ただちに「原発ゼロの日本」を実現することが政治の責任です。
 こうした状況を踏まえて、日本共産党は、昨年の提起をさらに一歩すすめ、つぎの諸点を政府に強く求めます。
 ――すべての原発からただちに撤退する政治決断をおこない、「即時原発ゼロ」の実現をはかること。
 ――原発再稼働方針を撤回し、大飯原発を停止させ、すべての原発を停止させたままで、廃炉のプロセスに入ること。
 ――青森県六ケ所村の「再処理施設」を閉鎖し、プルトニウム循環方式から即時撤退すること。
 ――原発の輸出政策を中止し、輸出を禁止すること。
2、原発再稼働の条件は存在しない――再稼働方針の撤回を求める
 政府の原発再稼働の方針は、道理も科学的知見もない、無謀きわまるものです。
 ――原発事故の原因究明、科学的検証は緒についたばかりであり、原因究明にはほど遠い状態です。
 ――政府がとりあえず必要とした30項目の「安全対策」もとられていません。
 ――地震と津波の科学的知見の根底からの見直しも、これからの課題です。東南海地震をはじめ大規模地震の危険もあります。原発敷地内に活断層の存在が指摘されていることも重大です。
 ――原発事故が起きた場合の放射能拡散などの被害予測も、住民の避難体制と計画も立てられていません。
 これらの問題点のなかには、この先、数年~十数年程度では、とても解決できない問題も含まれています。
 しかも、再稼働などを判断する新しい「原子力規制委員会」は、原発を推進してきた環境省のもとに設置されるなど、独立した規制機関とはとても言えません。委員長には、元原子力委員会委員長代理であり、原発推進の立場に立つ田中俊一氏が任命されました。原発推進政策の中枢にいた人物が責任者となる委員会に、まともな規制機関としての役割など、とうてい期待することはできません。
「原発なし」 でも“猛暑の夏”を乗り切れた――再稼働の「必要性」もない
 政府は、「電力不足」を再稼働の理由にあげ、野田首相は、「計画停電が余儀なくされ突発的な停電が起これば命の危険にさらされる人もでる。仕事が成り立たなくなり、働く場がなくなる人もいる。日常生活や経済活動は大きく混乱する」(6月8日記者会見)とまで言いました。
 これがまったく根拠のない、国民への“脅し”でしかなかったことは、事実で証明されました。関西電力は、大飯原発を再稼働しなくても、政府が「最低限必要」とした3%を超える余裕があったという試算を明らかにし、事実上、再稼働が必要なかったことを認めました。原発なしでも混乱は起きない、政府や電力業界の言うことは信用できない――これが、この夏に国民が体験したことです。
 再稼働方針の撤回を求めます。すでに再稼働が強行された大飯原発をすみやかに停止させることを求めます。
3、「即時原発ゼロ」は可能――エネルギーと日本経済の未来をこう考える
 財界など原発推進勢力は、「原発をやめると電気が不足する」「経済活動に支障をきたす」などと、「原発ゼロ」によって起こる問題を強調しています。
 しかし、原発事故のリスクはあまりに巨大であり、「原発ゼロ」にともなって起こる問題を、原発事故の巨大な危険と天秤(てんびん)にかけることは許されるものではありません。
 「即時原発ゼロ」を実現しつつ、電力やエネルギー、日本経済などにかかわる国民的な課題の解決にあたることこそ、国民の安全と生活に責任をもつ政治がとるべき姿勢です。政治の姿勢を変えれば、「即時原発ゼロ」に踏み切っても、エネルギーと日本経済の未来を切り開くことは可能です。
(1)再生可能エネルギー(自然エネルギー)の最大限の普及と低エネルギー社会への取り組みを本格化させる
過渡的な緊急避難として、火力での電力確保が必要だが、その時期は5~10年程度とし、その間に、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への移行をはかる
 当面、国民的な節電の努力とともに、火力による電力確保が必要になりますが、同時に、温室効果ガスによる地球温暖化を抑止するという人類的課題もあります。火力による電力確保はあくまで過渡的な緊急避難措置(5~10年程度)とし、その間に原発分のエネルギーを、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への取り組みで確保するようにします。その後は、さらに火力発電の削減へと取り組みを強めます。
 再生可能エネルギーの導入可能量は、全国で20億キロワット以上(環境省など)になり、原発54基の発電能力の約40倍です。この大きな可能性を現実にする本格的な取り組みを開始すべきです。
 ドイツは、2000年に固定価格買い取り制度を導入しましたが、再生可能エネルギーによる発電量が、2011年には導入前(1999年)の4・1倍に拡大し、原発による発電量を上回りました。
 北海道電力では、風力発電の買い取り枠20万キロワットに対して、発電を希望する事業者の応募は187万キロワットに達しました。東北電力でも30万キロワットの買い取り枠に対して、約11倍の324万キロワットの応募がありました。送電線の容量不足などの電力会社の側の「都合」で、こうした力が生かされていないのです。いまこそ、「原発への未練」をきっぱり断ち切り、再生可能エネルギーの普及のためにあらゆる手だてをつくすべきです。
電力体制の改革に直ちに着手する――発送電の分離など、再生可能エネルギーの大規模な普及にふさわしい体制に
 再生可能エネルギーの普及を大規模にすすめていくと、大中小の多様な発電所が全国各地に無数に誕生することになり、発送電分離などの電力供給体制の改革にただちに着手する必要があります。
 「電力自由化」の名のもとに、すべてを規制緩和と市場原理・競争にゆだねるというやり方では、再生可能エネルギーの普及はすすみません。固定価格買い取り制度や送電事業者への接続義務などのルールを強化します。
 再生可能エネルギーによる発電事業に、官民問わず、大中小の幅広い事業者、市民が参入できるようにするとともに、公共性が高く、地域独占になる送電事業は、公的管理の下に置く電力体制にする改革をすすめます。
 再生可能エネルギーであっても、その導入にあたっては、環境基準の設定、環境アセスメントの実施などを実施します。
(2)電気料金問題――原発こそ「高コスト」であり、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への取り組みが広がるほどコストが下がる効果は大きくなる
 政府や電力業界は、「電力不足」という脅しが通用しなくなったら、「原発ゼロで電気料金が2倍になる」などと言い出しています。この原発擁護論も二重三重のごまかしです。
「原発ゼロで料金2倍」は根拠のない過大宣伝
 政府が公表した2030年の電気料金は、試算した機関によって大きく異なります。「2倍になる」というのは、地球環境産業技術研究機構(RITE)の試算ですが、それも「現在月額1万円の家庭の電気料金が、2030年に原発ゼロだと2万円、原発20~25%だと1万8000円」というものですから、「原発ゼロ」でも全原発を稼働させても電気料金はあまり変わらないという試算なのです。国立環境研究所の試算では、原発ゼロでも、20~25%でも、2030年の料金は月額1万4000円と変わりません。
高すぎる天然ガス買い取り価格をあらためる
 日本の火力発電のコストは高すぎます。天然ガスを高い価格で買い続けているからです。日本の電力会社は、天然ガス価格を日本向け原油平均価格にリンクする方式で契約しているため、国際的には天然ガス価格が、シェールガスの開発で低下する傾向にあるにもかかわらず、原油価格高騰のために、日本は不当に高い価格で天然ガスを買い取っているのです。東京電力は、同社の子会社(TEPCOトレーディング)と三菱商事が設立した貿易会社から天然ガスを購入していますが、その価格は、対米販売価格の9倍にもなっています。天然ガスの買い取り価格は、国際的な価格水準を反映する仕組みにするようあらためるべきです。
原発こそ本質的に「高コスト」
 「原発は安い」というのもまやかしです。原発こそ本質的に「高コスト」であることは、今回の原発事故でも明らかになったことです。いったん大事故が起きれば、その賠償や除染、事故を起こした原発の管理などに莫大(ばくだい)な費用がかかります。さらに、使用済み核燃料を長期間保管し続けることなど、将来の大きなコストがあります。
再生可能エネルギーの価格は普及がすすめば低下する
 「再生可能エネルギーが高い」という議論も正しくありません。もちろん、初期投資には一定の費用がかかりますが、大規模な普及と技術開発がすすめば、そのコストは大幅に低下していきます。ドイツでは、太陽光発電の価格は、2004~2012年の間に4割程度へと大幅に下がり、風力でも継続的に引き下げられ10年間で8割程度になりました。
 日本でも2020年には風力発電コスト(陸上)が1キロワット時当たり7~11円となり、現在の火力発電コストを下回る可能性があるとされています(「NEDO再生可能エネルギー技術白書」2010年7月から)。
「値上げ」の脅しは通用しない
 国民は、電気料金の問題も冷静に見ています。政府のおこなったパブリックコメントでは、「コスト高になっても、再生エネルギーや省エネルギーを進めるべきだ」は、賛成が50・4%に対して、反対が9・6%。世論調査でも、「原発の割合を0%にするために、電気料金の追加負担」を容認する人が55%となっています(「朝日」8月28日付)。当面のコスト増はあっても、再生可能エネルギーの大規模な普及をすすめるべきだという意見が多数であり、政府や財界の「値上げ」の脅しは通用していません。
(3)原発から再生エネルギーへの大転換こそ、日本経済の持続可能な成長を実現する
 政府や財界は、原発をなくせば日本経済が衰退するかのように喧伝(けんでん)します。しかし、原発から再生可能エネルギーへの大転換こそ、日本経済と産業の新たな成長と発展の可能性をきりひらくものです。
 福島以後、ドイツ、イタリア、スイスをはじめ原発から撤退する流れが大きくなり、世界一の原発大国のフランスでさえ縮小の方向です。一方で、再生可能エネルギーの開発と実用化は、今後、世界で爆発的に広がります。原発にしがみつくのか、再生可能エネルギーの産業としての可能性に挑戦するのか、どちらが日本経済の成長と発展につながる大局的な道なのか、明白ではないでしょうか。
エネルギー自給率を向上させ、内需主導の日本経済に転換していく大きなチャンス
 再生可能エネルギーの本格的導入は、エネルギーの国産化をすすめることになります。「資源のない国」からの転換になり、日本経済の構造を大きく転換するチャンスです。エネルギー自給率を現在の4%から数十%に引き上げる可能性をもったチャレンジです。
新しい産業の振興、地域経済の活性化、中小企業への仕事づくりでも大きな可能性
 再生可能エネルギーによる発電は、地域密着型の新産業であり、地域経済への波及効果も大きくなります。エネルギーの「地産地消」、地域や自然環境の実情にあった小型の発電装置の開発、製造、維持・管理などは、中小企業への仕事を増やすことになります。雇用も、原発よりはるかに大きな可能性をもっています。ドイツでは、原発関連の雇用は3万人にたいして、再生可能エネルギー関係の雇用は38万人となっています。
 再生可能エネルギーは、これからもさまざまな分野で技術開発、実用化がすすめられる産業であり、技術革新(イノベーション)の大きな起爆剤になります。日本の中小企業の高い技術力が生かされる分野も多くあります。風力発電は、2万点もの部品を組み立てるもので、自動車産業などで培われた日本のモノづくりの力が生かされます。
 低エネルギー社会への取り組みでも、住宅の断熱リフォームをはじめ新しい需要を生み出し、技術革新をすすめることが期待できます。
浪費型社会から、人間らしく生活し、働くことができる社会に
 日本の社会、経済のあり方も問われています。地球環境の面でも、浪費型社会をいつまでも続けることはできません。同時に、低エネルギー社会は、決して「がまんの社会」ではありません。「大量生産、大量消費、大量廃棄」、「24時間型社会」など、ライフスタイルを見直し、異常な長時間労働を抜本的に是正して、人間らしく生活し、働くことができる社会に転換することで、低エネルギー社会へとすすんでいくことが必要です。
(4)大事故の科学的検証、廃炉と使用済み核燃料の処理などのための研究、技術開発と、強力な権限をもった規制機関の確立を
事故原因の徹底究明に責任ある体制を
 福島事故の原因究明と大事故にいたるすべてのプロセスを解明する科学的検証をしっかりおこなうことは、日本の国際的、人類的責任です。東京電力や経産省から独立し、東電の情報隠しなどの妨害を排除できる調査権限を持った第三者機関と研究機関を確立します。国会に特別委員会を設置し、証人や参考人を招致し、事実を明らかにしていくこともすすめます。
「原発ゼロの日本」に必要な研究と技術開発をすすめる
 「原発ゼロ」を実現した後も、原発の廃炉、使用済み核燃料の管理・処理など原発関連の「負の遺産」の後始末を安全に実施しなければなりません。
 使用済み核燃料の処分の手段・方法については、専門家の英知を結集して研究・開発をすすめます。その結論が出るまでは、政府の責任で厳重な管理をおこないます。
 こうした事業に取り組むためにも、原子力に関する基礎研究とこの仕事を担う専門家の確保・育成をすすめます。
強力な権限をもった規制機関の確立をはかる
 原発の廃炉にいたるプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的とし、従来の原発推進勢力から独立し、強力な権限をもった規制機関を確立します。
4、福島の被災者支援と復興に、総力をあげて取り組む
 すべての原発被害に対する全面賠償、迅速で徹底した除染、被災者の生活支援、子どもをはじめすべての県民のいのちと健康を守る医療制度、教育条件の整備、産業と雇用、地域経済の再生など、いま、福島の復興には課題が山積しています。原発事故の“異質の危険”が、その一つ一つに大きな困難をもたらしています。生活再建と復興への展望、明日への希望が見えない状況が続き、復興への意欲を奪っています。
 政府と東京電力は、全面賠償と徹底した除染、福島の被災者支援と復興に、総力をあげて取り組むべきです。そのさい、国が「線引き」せずにすべての被災者・被害者を支援の対象にすること、不当な「打ち切り」をやめて全面的な支援を継続することを、基本原則として明確に打ち出すことを求めます。
無責任な「収束宣言」の撤回を求める
 政府は、昨年12月に、福島第1原発は「冷温停止状態」になったなどとし、「収束宣言」なるものをおこないました。しかし、原子炉は破壊され、核燃料は溶け、応急施設で循環させた水につかっているだけで、高濃度汚染水の流出の恐れや労働者の被ばく問題など、数々の重大な問題に直面しています。破壊された原子炉を「停止状態」と強弁する、乱暴で非科学的な「収束宣言」の背景には、原発を維持するために、大事故の実態とその危険性をできるだけ小さく見せかけようという政治的意図があるのは明白です。
 この「収束宣言」が被災者・被害者を苦しめています。東京電力の不遜で傲慢(ごうまん)な態度を増長させ、賠償切り捨ての助け舟にもなっています。原発を存続させるために、福島を「見殺し」にするなど言語道断です。無責任な「収束宣言」の撤回を求めます。
「線引き」せずに、すべての被災者・被害者を支援する
 賠償と除染、生活支援、復興支援で、原発からの距離や線量で、不当な「線引き」をしてはなりません。警戒区域などの見直しに応じない自治体の住民には、住宅や土地などの財物賠償の交渉さえ認めないということまで起きています。どこに住んでいようが、受けた被害を全面的に賠償するのが当然であり、被災者・被害者の生活と生業(なりわい)が再建できるよう支援すべきです。
 福島に残っている人も、県内に避難している人も、県外に避難している人も、故郷に帰りたいと願う人も、別の地での生活再建を目指す人も、支援の対象とします。農業、漁業、製造業、小売業など、すべての産業分野での事業の再建をはかることは、雇用や仕事、地域経済の復興に不可欠です。規模や「競争力」などの名目で「線引き」せず、すべての事業の再開、再建をはたしてこそ、暮らしていける地域としての復興が可能になります。
不当な「打ち切り」をやめ、長期にわたる復興の過程を支援する
 原発事故からの復興には長期を要するにもかかわらず、支援策の不当な「打ち切り」が始まっています。生活と生業が再建され、希望する人が故郷に帰り、いのちと健康を守る医療を保障し続け、「原発事故前の安全・安心の福島県」をとりもどすまで、そのすべての過程で、国の責任で復興を支援することを明確にすべきです。
賠償、除染、廃炉の費用は、「原発利益共同体」の共同責任で確保する
 原発災害の除染と賠償には膨大な費用がかかり、被害者の救済と被災地の復興にまともに取り組むなら、政府が想定している数兆円という規模をはるかに上回る巨額になります。賠償と除染にかかる費用は、事故を起こした加害者である東京電力が負担すべきです。同時に、電力業界、原子炉メーカー、大手ゼネコン、鉄鋼・セメントメーカー、大銀行をはじめ、原発を「巨大ビジネス」として推進し、巨額の利益をあげてきた「原発利益共同体」に、その責任と負担を求めます。
 東京電力はじめ電力業界は、原発と核燃料サイクル計画推進などのために、「使用済み核燃料再処理等引当金」をはじめ約19兆円もの積み立てをおこなうこととし、すでに5兆円の積立残高があります。この積立金を国が一括して管理する基金に移し、「原発賠償・除染・廃炉基金」を創設し、廃炉とともに、原発災害対策などの財源として活用し、「原発利益共同体」に属する大企業にも、この基金への応分の拠出を求めます。
5、原発立地自治体への支援――雇用と仕事、地域経済の活性化支援は国の責任で
 原発に依存しなければ生きていけない地域に誘導した国と電力会社の責任は重大です。しかも政府が、稼働しないと補助金も出さない仕組みに変更して、ますます原発に縛り付け、再稼働を押しつけ、住民に苦渋の選択をせまっていることは許せません。
 原発の廃炉は、今後、20年以上かかり、その面での仕事や雇用も生まれてきますが、それにとどまらず、立地自治体の地域経済再生は国の責任です。
 石炭から石油へのエネルギー革命を国策ですすめた時でさえ、石炭産地の雇用対策や産業振興が40年にわたって継続され、4兆円が投入されました。当時の産炭地では、公共事業や失業対策事業が中心でしたが、原発立地自治体への支援は、それにとどまらず、住民が夢と希望をもてるものにする必要があるし、またそれは可能です。
 大きな成長が期待される再生可能エネルギーと関連する新産業の誘致と育成、原発廃炉によって可能性が広がる漁業、農業と関連産業の育成など、本格的な地域経済再生に国として取り組み、「原発ゼロ」と一体に立地自治体の住民のくらし、地域経済再建の支援をすすめます。

香港のテレビが尖閣問題での志位委員長インタビューを放送

2012-09-25 13:23:39 | 日記
 しんぶん赤旗より                     2012年9月24日(月)
香港のテレビが尖閣問題での志位委員長インタビューを放送
 【北京=小寺松雄】香港のフェニックステレビは21日夜のニュース番組で、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題についての日本共産党の「提言」を志位和夫委員長のインタビューも交えて紹介しました。
 アナウンサーは冒頭、「志位委員長は、日本政府は島の主権争いがあるということを認めるべきで、そうしてこそ次の外交対話を始めることができると考えている」とコメント。「志位氏は、武力で紛争を解決しようとするのでなく、対話こそ唯一の問題解決の道だと考えている」と述べました。
 同ニュースは、21日に志位委員長が中国大使館に尖閣問題の解決についての日本共産党の「提言」を伝えたあと、同テレビの単独インタビューに答えたと紹介。志位氏は次のように述べました。
 「(日本政府は)自分で『領土問題は存在しない』と言ってしまったために、自縄自縛になって、そういう(日本の領有権の)主張もできない、それから中国側にいろいろ批判された場合も反論もできない」
 インタビューした記者は、志位氏が中国大使館に日本共産党の「提言」を渡したさい、「志位氏は、緊張がエスカレートするのを避け、中日双方が自制しなければならない、問題を武力で解決しようとする考えは、中日どちらにも利益にならないと強調した」とコメントしました。
 ここで志位氏は次のように語りました。
 「日中双方が自制しなければならないと思うんです。日本側も自制が必要なんだけれども、私は今度の『提言』で、この問題で物理的対応の強化、あるいは軍事的対応論を持ちだすことは、非常に事態を悪くすると思う。結局、冷静な話し合いのテーブルをこわすことになっていく」
 記者は、志位氏が前日に藤村修官房長官を訪ねた際も、政府側の立場は「領土主権の問題は存在しない」というものだったと指摘。最後に記者は国会正門前から、次のようにリポートしました。
 「中日間に島の主権争いが存在するという認識は、いまのところ日本共産党一党だけにとどまっており、日本国内では少数派です。しかし国内には、こんな状況が続けば武力衝突を引き起こすことになる、外交交渉を通じて問題を解決してほしいという声があります」

原子力規制庁幹部  原発推進派ズラリ並ぶ

2012-09-25 10:44:34 | 日記
         しんぶん赤旗より               2012年9月25日(火)
原子力規制庁幹部
原発推進派ズラリ並ぶ
保安院などの職員が横滑り
 原子力規制委員会の事務的機能をはたす原子力規制庁が20日から本格的に業務を開始しました。しかし、原子力の「推進」と「規制」の分離をうたい文句にしたはずの規制庁の幹部には、経済産業省などで原子力を推進してきた官僚がズラリと名前を連ねています(表参照)。これで、厳しい規制ができるのか―。元原子力委員会委員長代理であり、原発推進の立場に立つ田中俊一氏を国会の同意を得ず、委員長に任命した規制委員会の人事強行とともに批判の声が上がっています。
 原発再稼働などを判断する原子力規制委員会は、原発を推進してきた環境省の「外局」として設置されるなど、とても独立した規制機関とはいえません。
 事務局となる規制庁の定員は473人ですが、原発を推進してきた経済産業省原子力安全・保安院などの職員が横滑りしました。
 規制庁自身が「幹部」として発表しているのは7人。うち、長官の池田克彦氏(59)と、災害時の住民の安全確保対策にあたる「原子力地域安全総括官」の黒木慶英(よしひで)氏(54)は、警察官僚で、ほかの5人はいずれも原子力安全・保安院や旧科学技術庁、環境省で原発を推進してきた人物です。
 環境省出身で、ナンバー2の次長になった森本英香(ひでか)氏(55)は、21日の初の定例会見でさっそく、次のように発言しています。原発で重大事故が起きた場合などに、規制委員会の委員らを補佐する「対策委員」の人選について、専門家であれば電力会社などに所属する原発推進派でも問題ないと、述べたのです。

オスプレイ配備強行 背景に密約 米解禁文書 「事前協議の対象外」

2012-09-24 10:56:55 | 日記
     しんぶん赤旗より               2012年9月24日(月)
オスプレイ配備強行 背景に密約
米解禁文書 「事前協議の対象外」


(写真)米海兵隊岩国基地で試験飛行を強行するMV22オスプレイ=21日、山口県岩国市
 米海兵隊の欠陥機MV22オスプレイの沖縄配備について、日本政府は「(是非を言う)条約上のマンデート(権限)はない」(森本敏防衛相)などとして配備強行を容認するという、あってはならない政治姿勢をとっています。こうした米国言いなり姿勢の背景には、1960年の日米安保条約改定時に結ばれた「事前協議密約」があることが、米政府解禁文書で判明しました。
 解禁文書は、62年から63年にかけて米空軍三沢基地(青森県)などで進んだ、「ANNA」と名付けられた軍事スパイ衛星の地上局(追跡装置)設置計画に関わるもの。在日米大使館が同装置のような「在日米軍基地への新しい装備の持ち込み」について米国の法的立場を問い合わせたのに対し、米国防総省が回答した文書(63年2月12日付)です。国際問題研究者の新原昭治氏が米国立公文書館で入手しました。
 同文書は「日米安保条約、米軍地位協定、日米双方の覚書に基づき、米国は、…(米軍)装備の持ち込みを日本政府が拒否する権利に対抗する強力な法的立場を有している」と指摘。日本には事実上、拒否権がないことを強調しています。
 同文書はその根拠として、60年の日米安保条約改定時の事前協議密約を引用。同密約が、「米軍の装備における重要な変更」をめぐって日本政府との事前協議の対象になるのは核兵器の日本への持ち込み(イントロダクション)やそのための基地建設だけで、「非核兵器の持ち込み」は対象にならないとしていることを紹介。これは「既存の(米軍)施設・区域への非核兵器の持ち込みについて日本政府は拒否権を持たないという日米両政府の意図を明確にしている」と指摘しています。
 日本政府がオスプレイの強行配備に唯々諾々と従うのは、安保条約の下で今もこの密約に縛られているためです。一刻も早く密約を廃棄し、日本国民の生命と安全を最優先に米国に堂々と物を言える立場を確立することが求められています。


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 事前協議密約 1960年の日米安保条約改定の際、当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が頭文字署名した密約。「討論記録」という名前が付いています。核兵器を積んだ米軍艦・米軍機の日本への寄港・飛来(エントリー)も事前協議の対象外とする内容が含まれ、「核持ち込み密約」として有名です。


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解説
オスプレイ強行容認の背景
日本縛る密約 廃棄すぐに
 日本政府がオスプレイの配備強行に従順な背景に、日米安保条約に基づく事前協議制度を完全に骨抜きにし、米軍基地の自由使用を保証する密約が存在することが明らかになりました。
 事前協議はもともと、日本への米軍部隊の配置や装備の変更などについて米政府が前もって日本政府に相談する仕組みだと宣伝されてきた制度です。
 この制度は1960年1月19日、米軍の日本駐留を認めた改定日米安保条約第6条に基づき、当時の岸信介首相とハーター米国務長官が交わしたとされる「交換公文」(岸・ハーター交換公文)で規定。▽米軍の日本への配置における重要な変更▽米軍の装備における重要な変更―は、日本政府との「事前の協議の主題とする」としています。(このほか対象になるのは、日本から行われる戦闘作戦行動のための基地使用)
 「配置における重要な変更」や「装備における重要な変更」が具体的に何を指すのかの細目を示した裏の取り決めが、「事前協議密約」です。60年1月6日に当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が頭文字署名し、「討論記録」と題しています。
 「討論記録」は、「装備における重要な変更」について「核兵器および中・長距離ミサイルの日本への持ち込み(イントロダクション)ならびにそれらの兵器のための基地の建設を意味するものと解釈されるが、たとえば、核物質部分をつけていない短距離ミサイルを含む非核兵器の持ち込みは、それに当たらない」としています。
 非核兵器であればほとんど何を持ち込んでも構わず、日本政府はこれに口を挟めないという取り決めです。
 加えて「討論記録」は、核兵器を積んだ米軍機の飛来も、核兵器積載の米軍艦の日本領海や港湾への立ち入りも、事前協議の対象外としています。日本への核持ち込みを野放しにし、危険な米軍装備や部隊の導入も自由勝手にできることを認めているのです。
 民主党政権は、2009年に実施した「密約」問題の調査で「討論記録」の存在を認めました。しかし、これを「密約」とは認めず、米国に対して廃棄措置を何らとりませんでした。そのため今も効力を持ち、オスプレイの配備問題でも日本政府を縛っているのです。密約の廃棄は急務です。(榎本好孝)

領土問題をどう解決するか ニコニコ動画 志位委員長の発言

2012-09-23 16:23:17 | 日記
しんぶん赤旗より            2012年9月23日(日)
領土問題をどう解決するか
ニコニコ動画 志位委員長の発言
 20日に生放送されたニコニコ動画の番組「まるごと紹介! 一気に見せます共産党!」で、日本共産党の志位和夫委員長が尖閣諸島や竹島問題について語った部分の要旨を紹介します。インタビュアーは政治ジャーナリストの角谷浩一氏です。穀田恵二国対委員長が同席しました。
「反日デモ」で暴力に訴えることは絶対に許されない


(写真)ニコニコ動画で尖閣諸島問題について答える志位和夫委員長(左)。右から角谷浩一さんと穀田恵二国対委員長=20日、党本部
 角谷 ところで中国との関係はどうなっているんでしょう。
 志位 日本共産党と中国共産党との関係は、1998年の関係正常化以降は、多面的な交流が発展しています。同時に、“いうべきときには、モノをいう”という立場をとってきました。
 角谷 その「いうべきこと」ですけども、今日もお二人は(首相)官邸にのりこみましたね。それは、尖閣の問題(ですね)。
 志位 そうです。
 角谷 どういうふうに共産党は尖閣問題を考えているのですか。
 志位 それを少し説明させていただきましょうか。尖閣問題を考える際に、まず、いま「反日デモ」をやっていますね。どんな理由があっても、暴力で表現すると(いうことは)、絶対に許されない。中国にいる日本人、日本企業、日本大使館をしっかり守るための措置に万全をつくせというのが第一点(です)。
 角谷 それは日本政府にももちろんそうだけれども、中国政府にいうと(いうことですか)。
 志位 いいます。
 角谷 つまり、尖閣問題については、日本共産党は、いささか中国政府の対応には怒っていると見ていいんですか。
 志位 いまの「反日デモ」のようなやり方はまずい。
 角谷 よくない。
尖閣諸島――日本の領有は歴史的にも国際法上も正当
 志位 それが一つです。それから尖閣諸島についての日本共産党の立場なんですけども、私たちは突っ込んだ「見解」を2年前に出したんですよ。きょうの官邸への申し入れでも、その中心点は言ったんですけれど、尖閣については、日本の領有の正当性は、歴史的にも、国際法上も、明らかだというのが私たちの立場なんです。
 尖閣を日本に編入したのは1895年1月なんですけれども、そのときは、どの国の実効支配も及んでいないということを、当時の明治政府がかなり慎重にたしかめたうえで、編入の手続きをしているんですね。つまり、「無主(むしゅ)の地」の「先占(せんせん)」というんですけども、持ち主のない土地を先に占めると(角谷「先に占めるですね」)。こういう手続きをとったわけですから、国際法上、正当だというのが第一点です。
 角谷 手続きをとるって、どこにとるんですか、そのころは。
 志位 日本がきちんと領有の宣言をする。これで十分なんです。
 角谷 “うちのものだよ”と、告知するんですね。
 志位 そうです。そして、その後、実際に古賀辰四郎さんという人が中心になって、アホウドリ(の羽毛の採取)とか、カツオブシ(の製造)とか、そういうことをやっている村もあったんです。実効支配もしていた。ですから、これはもう明瞭な日本の領土だといえます。
 それから、二つ目の点は、中国の主張の一番の弱点はどこかと(いいますと)、1895年に日本が領有を宣言してから、1970年まで75年間にわたって、一度も日本の領有に対して異議も抗議もいってこなかったと(いうことです)。これは一番の中国側の主張の弱点ですね。もし、中国のものだというふうに思っていたんだったら、抗議すべき、あるいは異議をいうべきですが、一度もいっていない。領土問題というのは、そんなに長い時期(異議を)いわなかったら、決着がついてしまうというのが、普通なのです。
 それから、三つ目の重要な点は、中国の主張というのは、(1894年~)1895年の日清戦争に乗じて(尖閣諸島を)日本がかすめとったという主張なんです。しかし、これは、根拠がない。私たちは、日清戦争の講和条約、つまり下関条約に関するすべての記録を調べてみましたけれども、下関条約で日清戦争の結果として清国から奪取したのは、台湾とその付属島嶼(しょ)と澎湖(ほうこ)列島だということがはっきりしていて、そこに尖閣諸島というのは出てこないんですよ。それから台湾を実際に(清国から)日本に引き渡す際に、どの島を引き渡すかということが(日本と清国の間で)問題になったときも、尖閣は、まったく問題外だったんです。
 ですから、日本が、日清戦争で奪ったのは、台湾と澎湖列島で、これは返さなきゃダメですよ、不当に奪ったものですから。しかし尖閣というのはもともと違う、まったく別系統のものなんです。
 角谷 なんか、官房長官の説明よりずっとこっちのほうが明瞭なような気がするんですねえ。(一同笑い)
 志位 それをずっといっているんですよ。つまり、尖閣諸島の領有は、日清戦争という侵略主義、領土拡張主義によって奪ったものとはまったく別の問題なんだということです。
 角谷 これはいいなあ。
日本政府は、領有の正当性を一度も理をつくして主張してこなかった
 志位 これが、私たちの見解なんです。問題は、いま私がいったことを、日本政府は中国政府に対していっていない(ということです)。国際社会にもいっていない。つまり理をもって中国に領有の正当性を主張するっていうことを一度もやっていないんです。
 角谷 それは外交としてダメですよね。
 志位 外交としてダメです。私は、今日の官房長官との会談で、二つの点がダメだと(言いました)。一つは、日中国交正常化をやった1972年、田中角栄首相と(中国の)周恩来首相と会談をやっている。ここで尖閣のことが1回だけ話題になっているんですけど、議事録を見ますと、田中首相が、「尖閣諸島についてどう思いますか」と聞いているんです。
 角谷 田中さんのほうが。
 志位 聞いているんです。それに対して周首相が「いまこれを話すのは良くない」、これで終わりです。つまり、事実上の「棚上げ」の合意をやったんです。
 角谷 周首相が、いまこれを話すのはよくないと答えて、双方でこの問題を「棚上げ」するという、事実上の合意がかわされたと(いうことですね)。
 志位 かわされたと、これは事実なんです。
 角谷 先送りを宣言しちゃった、2人で。
 志位 「棚上げ」を宣言しちゃった。それから、1978年、日中平和友好条約を結んだときに、このときは園田さんと小平さん(中国副首相)が会談しているんです。
 角谷 園田直外務大臣(ですね)。
 志位 園田さんの回想記(『世界 日本 愛』、1981年)で、どういうことをいっているかというと、副首相が「二、三十年放っておこう」といったのに対して、「閣下、もうそれ以上いわんでください」といっています。これは「棚上げ」の暗黙の了解ですね。72年の(国交)正常化、78年の(日中)平和条約、尖閣の領有の正当性をちゃんと理をつくしていうべきときが、この2回だったわけでしょう。そのときに両方とも「棚上げ」しちゃったんです。
 角谷 いま自民党総裁選で、たくさんの方が威勢のいい話をされていますけれども、元は自民党の…。
 志位 元は自民党(の責任)ですよ。はっきりいって、だらしない外交を自民党はやってきた。
 角谷 民主党だって知らないことばっかりじゃないですか。
「領土問題は存在しない」と棒をのんだように繰り返し、自縄自縛に陥る
 志位 もう一つ問題があると(官房長官に話しました)。そういう「棚上げ」をしておきながら、「領土問題は存在しない」と、棒をのんだように繰り返すだけで、中身をいわないわけです。
 角谷 フタをしちゃっただけ…。
 志位 フタをしちゃっただけ(です)。「領土問題は存在しない」ということを(日本政府は)いうために、たとえば、中国側は「日清戦争に乗じてかすめ取った」というでしょう。(それに対して)日本側は何の主張も反論もしない。そういう関係になっている。
 角谷 (領土問題が)存在しないんだから何もいわないと(いうことですね)。
 志位 「(領土問題は)存在しない」からいわないと。(主張や反論を)いうと、領土問題の存在を認めたことになっちゃうということで、「自縄自縛」に陥っちゃったと(いうことです)。
 角谷 それは原発の話と似てますよね。安全だっていうことになっていますから(志位「そうそう、そうそう」)。安全ですからといって、安全じゃないことが想定できなくなっちゃったんですよね。
 志位 そうそう。「領土問題は存在しない」といってしまったから、領有の正当性もいえないし、向こうから何をいわれても反論できない。主張も反論もできないと(なります)。
 角谷 これは自民党と外務省の責任大じゃないですか、もともとが。
 志位 大なんです。だから、私、今日(政府に)提起したのは、「領土問題は存在しない」っていう棒をのんだような硬直した対応じゃなく、領土に関する紛争問題は存在しているんだから、それを認めるべきだということです。
 角谷 志位さん、これはメチャクチャおもしろい。なぜならば、世の中の人は、棒のような硬直化したことをいうのは共産党だと思ってたんです。(一同爆笑)。実は硬直化しているのは自民党だったり、外務省だったり。
領土に関する紛争問題の存在を認め、外交交渉のなかで領有の正当性の主張を
 志位 いうべきことをちゃんといっていない。反論もしていない。(中国に)いわれっぱなしになっている。「領土問題は存在しない」というのは、一見「強い」ようにも見える。しかし、主張もしなければ反論もしないんだから、一番日本の外交を弱くしている。
 だから、今日は、(政府に)そこは転換しなさいといいました。「領土問題は存在しない」という立場をあらためて、領土に関する紛争問題があることは、誰が見ても疑いがないんだから、それを正面から認めて、外交交渉を正面からやって、外交交渉のなかで、中国に対して領有の正当性を堂々と説けと(いいました)。
「国有化」をめぐって――ここでも「外交不在」が問題
 角谷 じゃあ、今回、日本政府が国有化しましたけれど、「ここはこのままです」「もう何も変えませんから」っていうのは間違っている(と思いますか)。
 志位 「国有化」の問題は、島の平穏な管理のうえで、私たちは当然のやり方だと考えていました。ただ、この「国有化」一つをやるのでも、たとえば、(ロシアの)ウラジオストクで、(中国の)胡錦濤さん(国家主席)が野田首相に“国有化はやめてくれ、国有化をやったら大変なことになる”といったわけです。その2日後に、閣議決定で決めちゃったでしょう。やっぱり、相手の国家元首が“国有化はやめてくれ”といったわけですから、国有化が必要だという立場であったとしても、しっかりと外交交渉をやって、“カクカクシカジカですすめるのです”ということを相手側に徹底的に説明して、問題を解決する努力をする必要がある。そういう努力をしないままにことをすすめた。結局ここでも、外交不在なんですよ。
 角谷 “外交音痴”ですね。
 志位 外交不在でやったのが問題です。
 角谷 日露首脳会談のとき、こういう話(領土問題)になったというときも「そんなこといっていない」とロシアからいわれて…。自分のところでおきたことも(説明できない)。
 志位 まあ、官僚の書いた紙を読んでいるだけで、自分の頭で考えた外交をやっていないことが問題ですね。
 角谷 いまの話を官房長官にいっても、なんかこう…。
 志位 官房長官との会談で、重要だと感じたのは、私が、「結局、『領土問題は存在しない』ということばかりいうから、自縄自縛になって、言うべきことも反論すべきこともいえなくなっているではないか」といったら、「たしかに、自縄自縛という疑問は検討すべき疑問です。検討します」といいましたよ。
中国の政府と党にも日本共産党の立場をきちんと伝える
 角谷 もっというと、もし中国共産党とのいろんなチャンネルが日本共産党にあるなら、二重外交だろうが、これは乗り込んでいって、話をするのはできないんですか。
 志位 可能な条件をつくってやりたいと思います。明日(21日)は、中国大使館にうかがって、大使にお会いして、突っ込んで私たちの立場を中国政府に直接お伝えします。それを中国の(政府と党の)指導部に伝えていただくということになると思います。中国にも直接私たちの立場を伝えることは、これはやるつもりです。
 角谷 仲がいいからいろんな話ができると思ったら、実は外交は、仲がいいといわれるアメリカに一番モノが言えないっていう感じじゃないですか、日本の外交ってのは。アメリカが怒ったら大変だからっていうのは、日米同盟の深化なんて、ぜんぜん深化してなくて。
 志位 アメリカのほうからも軽んじられますものね、結局。
侵略戦争への反省をきちんとしてこそ、道理ある解決ができる
 角谷 逆にいえば、日中関係は、行き違いや掛け違いいろいろあるでしょう、政権が変わってからいうことが変わるのもでてくるでしょう、だけど、もしかしたら、本当にちゃんと話ができていなかったんじゃないか(と感じます)。
 志位 本当にそうです。日中関係というのは、もっと根源をたどりますと、国交正常化交渉のときに、日本の過去の侵略戦争について、きちんとした反省がない。
 角谷 日本側が?
 志位 日本側がやっていない。
 なぜ、尖閣問題で日本政府が及び腰か。この問題をたどると日清戦争までさかのぼるわけです。日清戦争というのは、結果を見れば明らかなように、中国の領土を奪った侵略と領土拡張の戦争でした。しかし、そういう問題についても、きちんとした歴史認識がないでしょう、自民党の政権にもなければ、いまの政権にもない。
 ところが、尖閣問題を本当にきちんと日本の立場にたって、解決しようと思ったら、日清戦争で日本が奪った領土はどこなのか、そうではない領土はどこなのか、これを仕分けしないといけない。奪ったのはさっき言ったように、台湾と澎湖列島です。尖閣諸島はそうじゃない。この仕分けをきちっとしてこそ、解決する。
 これは、逆にいうと侵略戦争に対する反省をちゃんとやってこそ、仕分けができる。侵略戦争に対する反省がないと、侵略で奪った領土と、そうじゃない領土の区別が、自分でもつかなくなる。そういう問題なのです。
 角谷 共産党に話をうかがうと生活や雇用や消費税の話、こういう話がどうしても広がるでしょう。でも、こんなに外交に一本スジが通って、尖閣について日本政府もむにゃむにゃしてやってこなかったのに、「うちはずっとそう思っているし、やっているし、いってきました」という話は、実は一番、政党として長く、90周年の政党が、ここは譲れませんよとか、はっきりしているじゃないですか。これは本当に。
 志位 外交というのはもちろん駆け引きもあるでしょう。それから、利害得失も当然考えないといけないこともあるでしょう。しかし、領土問題というのは、歴史の事実と国際法の道理にたって、理詰めでやっていかないと、感情論でやったら絶対に解決するものではありません。
竹島問題――植民地支配への反省が、冷静な話し合いのテーブルをつくるうえで不可欠
 角谷 竹島についてはどう考えればいいですか。
 志位 竹島についても、私たちは日本の領土だと(主張しています)。歴史的にも国際法上も日本の領土だという見解を持っています。ただ、竹島は尖閣とは違った事情もあります。竹島を日本に編入したのは、1905年なんです。1905年に島根県に編入した時期と、日本が韓国を植民地にしていった時期が重なっているという問題がある。
 角谷 なるほど。
 志位 ですから、韓国側からすると、時期が重なっているものですから、「日本による植民地支配の象徴だ」というふうにとらえるわけです。
 私たちは、この問題を冷静に解決するうえでは、日本が韓国の植民地支配に対する反省をきちんとやる、そうすることが冷静な話し合いのテーブルをつくるうえで不可欠だと主張しています。
 角谷 最近、日本共産党は韓国政府から大変気に入られているじゃないですか。(一同笑い)
 志位 私は、(2006年に)韓国にいったときに、いまのセヌリ党、かつてのハンナラ党の院内代表をやり、そのあと国会議長になった、金炯旿キム・ヒョンオ)さんと会談しました。靖国問題とか、教科書問題など、いろいろやりました。そのなかで、先方が、「独島」――竹島問題についてぜひご理解いただきたいといってきました。「竹島については、日本共産党は日本の領土だという見解を発表しています」といったら、「日本共産党がですか」とびっくりしたような顔をするんです。
 ただ私は、同時に、「竹島を編入した1905年という時期は、日本が韓国を植民地化していった時期と重なっています。だから、そういうこともよく考えて、植民地支配への真剣な反省のうえに、お互いに冷静に事実をつき合わせる共同研究をやったらどうでしょうか」という提案をしたんです。そうしますと、「いいお話ありがとうございます」という反応が返ってきました。
 韓国で、植民地支配への反省抜きに「竹島は日本のものだ」とだけいったら、日本の政治家はボコボコになりますよ。私は、韓国に最初にいったときに、最初の韓国メディアとのインタビューでそれを聞かれて、「日本の領有の主張には根拠があるといっています。同時に、編入した時期のことも考えて、植民地支配の反省のうえに冷静な話し合いが必要だと思います」と話しました。そうしたら、非常に冷静に受け止められました。
 角谷 もう外交は、共産党に任せたほうがいい。(一同笑い)
尖閣問題で道理ある態度をとることが、竹島問題の解決にもプラスに働く
 志位 もう一つ、尖閣と竹島との関係という問題があります。今日、官房長官にも話したのですが、尖閣については、いま日本政府は「領土問題は存在していない」といっているでしょう。それで、外交交渉もしないという立場ですよね。実効支配は日本がしています。ところが竹島についてはどうかというと、実効支配は韓国がやっていて、そして韓国が「領土問題は存在していない」といっていて、日本政府は外交交渉を求めている。
 そうすると、日本は竹島のほうでは「外交交渉をしてくれ」といっている、尖閣では「外交交渉はしない」といっている。これは、ダブルスタンダード(二重基準)になるんですよ。
 角谷 そうですよね。
 志位 だから、(尖閣、竹島の)両方とも、外交交渉で解決するというふうにドーンと構えてやると、竹島の(問題を解決する)ほうにもプラスに響くことになるのです。私は、こういうふうに、官房長官にいったんです。そうしたら、官房長官は「(ダブルスタンダードというのは)そうみえますね、確かに」と言いました。
 角谷 何を初めて聞いたみたいなこといってんだろうね。(笑い)
 志位 尖閣で道理ある態度をとると、竹島にもプラスに響く。こういう関係なんです。
 角谷 どうしていままでできなかったんですか。
 志位 竹島についても、過去の植民地支配の反省を日本政府がちゃんとやっていないものですから、後ろめたいのでしょう。だから、きちんとした解決を政治としてやれなかったという問題がありますね。

外交交渉による尖閣諸島問題の解決を

2012-09-22 00:26:41 | 日記
しんぶん赤旗より              2012年9月21日(金)
外交交渉による尖閣諸島問題の解決を
2012年9月20日 日本共産党幹部会委員長 志位 和夫
 日本共産党の志位和夫委員長が20日、藤村修官房長官に申し入れた尖閣諸島問題での見解・提案は以下の通り。
 尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題をめぐって、日本と中国の両国間の対立と緊張が深刻になっている。この問題の解決をどうはかるかについて、現時点での日本共産党の見解と提案を明らかにする。
(1)
 まず、日本への批判を暴力で表す行動は、いかなる理由であれ許されない。どんな問題でも、道理にもとづき、冷静な態度で解決をはかるという態度を守るべきである。わが党は、中国政府に対して、中国国民に自制をうながす対応をとること、在中国邦人、日本企業、日本大使館の安全確保のために万全の措置をとることを求める。
 また、物理的対応の強化や、軍事的対応論は、両国・両国民にとって何の利益もなく、理性的な解決の道を閉ざす、危険な道である。日中双方ともに、きびしく自制することが必要である。
(2)
 日本共産党は、尖閣諸島について、日本の領有は歴史的にも国際法上も正当であるという見解を表明している。とくに、2010年10月4日に発表した「見解」では、つぎの諸点を突っ込んで解明した。
 ――日本は、1895年1月に、尖閣諸島の領有を宣言したが、これは、「無主の地」の「先占」という、国際法上まったく正当な行為であった。
 ――中国側は、尖閣諸島の領有権を主張しているが、その最大の問題点は、中国が1895年から1970年までの75年間、一度も日本の領有に対して異議も抗議もおこなっていないということにある。
 ――尖閣諸島に関する中国側の主張の中心点は、同諸島は台湾に付属する島嶼(とうしょ)として中国固有の領土であり、日清戦争に乗じて日本が不当に奪ったものだというところにある。しかし、尖閣諸島は、日本が戦争で不当に奪取した中国の領域には入っておらず、中国側の主張は成り立たない。日本による尖閣諸島の領有は、日清戦争による台湾・澎湖(ほうこ)列島の割譲という侵略主義、領土拡張主義とは性格がまったく異なる、正当な行為であった。
 そして、「見解」では、尖閣諸島問題を解決するためには、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府に対して、理をつくして主張することが必要であることを、強調した。
(3)
 この点で、歴代の日本政府の態度には、重大な問題点がある。
 それは、「領土問題は存在しない」という立場を棒をのんだように繰り返すだけで、中国との外交交渉によって、尖閣諸島の領有の正当性を理を尽くして主張する努力を、避け続けてきたということである。
 歴史的にみると、日本政府の立場には二つの問題点がある。
 第一は、1972年の日中国交正常化、1978年の日中平和友好条約締結のさいに、尖閣諸島の領有問題を、いわゆる「棚上げ」にするという立場をとったことである。
 1972年の日中国交正常化交渉では、田中角栄首相(当時)と周恩来首相(当時)との会談で、田中首相が、「尖閣諸島についてどう思うか」と持ち出し、周首相が「いまこれを話すのは良くない」と答え、双方でこの問題を「棚上げ」するという事実上の合意がかわされることになった。
 1978年の日中平和友好条約締結のさいには、園田直外務大臣(当時)と小平副首相(当時)との会談で、副首相が「放っておこう」とのべたのにたいし、園田外相が「もうそれ以上いわないでください」と応じ、ここでも双方でこの問題を「棚上げ」にするという暗黙の了解がかわされている。
 本来ならば、国交正常化、平和条約締結というさいに、日本政府は、尖閣諸島の領有の正当性について、理を尽くして説く外交交渉をおこなうべきであった。「棚上げ」という対応は、だらしのない外交態度だったといわなければならない。
 同時に、尖閣諸島の問題を「棚上げ」にしたということは、領土に関する紛争問題が存在することを、中国との外交交渉のなかで、認めたものにほかならなかった。
(4)
 第二に、にもかかわらず、その後、日本政府は、「領土問題は存在しない」――「尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しない」との態度をとり続けてきた。そのことが、つぎのような問題を引き起こしている。
 ――日本政府は、中国政府に対して、ただの一度も、尖閣諸島の領有の正当性について、理を尽くして主張したことはない。そうした主張をおこなうと、領土問題の存在を認めたことになるというのが、その理由だった。「領土問題は存在しない」という立場から、日本の主張を述べることができないという自縄自縛(じじょうじばく)に陥っているのである。
 ――中国政府は、「釣魚島(尖閣諸島)は、日清戦争末期に、日本が不法に盗みとった」、「日本の立場は、世界の反ファシズム戦争の勝利の成果を公然と否定するもので、戦後の国際秩序に対する重大な挑戦である」などと、日本による尖閣諸島の領有を「日本軍国主義による侵略」だとする見解を繰り返しているが、日本政府は、これに対する反論を一度もおこなっていない。反論をおこなうと、「領土問題の存在を認める」ということになるとして、ここでも自縄自縛に陥っているのである。
 ――尖閣諸島をめぐるさまざまな問題にさいしても、領土に関する紛争問題が存在するという前提に立って、外交交渉によって問題を解決する努力をしないまま、あれこれの措置をとったことが、日中両国の緊張激化の一つの原因となっている。
 日中両国間に、尖閣諸島に関する紛争問題が存在することは、否定できない事実である。そのことは、72年の日中国交正常化、78年の日中平和友好条約のさいにも、日本側が事実上認めたことでもあった。にもかかわらず、「領土問題は存在しない」として、あらゆる外交交渉を回避する態度をとりつづけてきたことが、この問題の解決の道をみずから閉ざす結果となっているのである。
 「領土問題は存在しない」という立場は、一見「強い」ように見えても、そのことによって、日本の立場の主張もできず、中国側の主張への反論もできないという点で、日本の立場を弱いものとしていることを、ここで指摘しなければならない。
(5)
 尖閣諸島の問題を解決するためには、「領土問題は存在しない」という立場をあらため、領土に関わる紛争問題が存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべきである。
 領土問題の解決は、政府間の交渉のみならず、相手国の国民世論をも納得させるような対応が必要である。「日本軍国主義の侵略」だと考えている中国国民に対しても、過去の侵略戦争にたいする真剣な反省とともに、この問題をめぐる歴史的事実と国際的道理を冷静に説き、理解を得る外交努力こそ、いま求められていることを強調したい。

あきらめず声をあげよう

老いも若きも安心して暮らせる世の中を 最低年金月七万円 戦争する国つくりダメダメ 投票に行かなければ何も変わらない