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東日本大震災津波の復興の現状と課題

2012-11-30 00:35:36 | 日記
転載
東日本大震災津波の復興の現状と課題
日本共産党岩手県議会議員 斉藤 信
はじめに
3・11から1年8カ月が経過しました。岩手県における大震災津波の復興状況は、緒についたばかりです。政府の対策があまりにも遅く、不十分で、復旧が遅れ、被災者のいのちとくらしが脅かされています。多くが津波による被害です。人命、住宅、財産とともに仕事、産業が破壊されているのが津波被害の特徴です。それだけに住宅の再建とともに、仕事の確保、産業の再建が一体で取り組まれることが必要です。こんな状況の下で、復興予算を被災地以外に流用していることは許されないことです。消費税大増税を進めることは復興に逆行する「政治災害」というべきものです。
1、復興の現状―被災者のいのちとくらしが脅かされている
1) 戦後最大の津波被害―死者4,671人、行方不明者1,194人、合計5,865人(10月31日)、行方不明者の多さに津波被害の悲惨さが示されています。全壊・半壊・一部損壊33,268棟、応急仮設住宅12872戸、29647人、民間借り上げなどみなし仮設住宅は3846戸、10189人、自宅等被災者6,604戸、15,030人、内陸仮設以外601戸、1167人で合計23,923戸、56033人、県外避難、1,655人、合計、57,688人(10月26日現在)となっています。さらに宮城県から1327人、福島県から525人、合計1852人が県内に避難しています。被災者の全体を視野に入れた対応が必要です。また、多くの犠牲者を出した最大の教訓は避難の問題です。今後の防災計画、防災教育、防災の町づくりに生かすべき課題です。
2) 被災者のいのちが脅かされている―震災関連死323人(申請605人、審査中160人、9月30日現在)、その原因の37.7%が「避難所等における生活の肉体的・精神的疲労」、30.5%が「病院の機能停止により十分な医療を受けられなかったこと」となっていることは重大です。震災関連の自殺22人、仮設住宅での孤独死9人、沿岸市町村の新規要介護認定者は前年比687人、20.3%も増加しています(全県では8.9%増)。義援金等の収入を理由に生活保護が廃止された世帯は222件、辞退14件、停止が9件(11年3月~12年8月分)となっています。山田町の特定健康審査では「要医療」が56.6%を占め、高血圧性疾患と糖尿病が増加。震災健診アンケートでは「不眠」が44.1%となっています。被害の大きさと復興の遅れから今も被災者のいのちが脅かされ続けています。被災者に寄り添った支援、生活再建と心のケアの取り組みがますます必要となっています。
とくに、国による被災者の医療費・介護保険の保険料と利用料の免除措置は9月末までで打ち切りとなりました。10月以降は国保や介護保険、後期高齢者医療制度の枠内での減免措置ということになり、減免に対する国の支援は最大8割、市町村が2割負担することになります。県は国保・介護保険・後期高齢者医療・障害者の福祉サービスの一部負担(医療費、利用料)について、市町村に対する財政支援(市町村10分の1負担)決めました。その結果、国保では33市町村全部、介護保険では被災者にいる22保険者すべてで一部負担の免除措置が継続されることになりました。免除額は半年分で18億3400万円(昨年度は72億円の免除額)。陸前高田市などでは国保の保険料の減免も実施しています。しかし、被災市町村の負担には無理があります。減免は来年3月末までです。国の責任で免除措置を再開することが必要です。昨年度の減免は国保で2万9461人(一部負担の減免)、44億72百万円、後期高齢者医療で1万2048人(一部負担)、13億87百万円、介護保険5233人(一部負担)、13億60百万円、食費居住費減免が3億54百万円、合計72億18百万円となっています。
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灯油が高騰している中で、福祉灯油等の補助を昨年(被災地12市町村、5000~1万円)より拡充して全ての市町村で実現することも重要な課題です。
3)人口減少進む―昨年3月1日と今年10月1日の人口を比較すると、全県で23292人減少(うち社会減は6203人、自然減16511人)、これは福島県に次ぐ全国第2位の減少率です。とくに被災地は陸前高田市で3514人減(社会減1428人)、大槌町で3004人(社会減1525人)、釜石市で2569人(社会減923人)、山田町で2100人(社会減1031人)と被害が大きい自治体ほど人口減少が激しくなっています。
2、被災者の切実な要求は、被災地で働ける仕事の確保と住宅の再建です。
1) 安定した仕事の確保、雇用のミスマッチの解消は急務―延長されていた失業保険(4335人)は9月末で打ち切りとなり、失業保険切れ3268人(9月14日現在)のうち就職は1125人、32.4%にとどまっています。県のハローワーク前のアンケート調査では被災地の管内で就職したいが9割を占めています。有効求人倍率(9月)は0.90倍となっていますが、求人は建設業や警備、臨時・短期雇用や資格が必要な職種となっており完全なミスマッチとなっています。
2) 事業所の再建(事業継続・再開)は72%(9月1日現在、商工会議所・商工会会員)―被災市町村の会員事業所7,723のうち、被災事業所は4,325(56%)、営業継続・再開が3123(72.2%)、廃業690(16%)、休業284(6.6%)、転出73(1.7%)、不明155(5.4%)となっており、廃業、休業、不明で1,047(24.2%)を占めています。県の第2回被災事業所調査(1779事業所回答、2519事業所対象)では、再開済み51.52%、一部再開済み26.3%で合計77.9%、「被災前と同程度又は上回っている」33.2%、「震災前よりも減少した」は62.25となっています。来年2月までの雇用増は「0人」が63.7%、雇用増の計画は来年2月までに約2100人(1事業所平均1.6人)となっています。事業復興型雇用創出事業(1人雇用に225万円補助、15,000人目標、事業費300億円)の活用は徐々に進みつつあるものの、再建の遅れと使い勝手の悪さと周知の不徹底から620事業所、2083人(10月末現在)にとどまっています。2割までの新規採用が条件となっていること。昨年11月21日以降に限られていることなどの改善が急務です。
事業費の4分の3を補助するグループ補助金は中小企業の再建を支援する新たな制度で大変歓迎されていますが、第4次申請では43グループ、929社、255億円の申請に対し、交付決定は21グループ456社、140億円にとどまりました。第4次までに51グループ、751社、577億円の交付決定、申請事業者の約7割にとどまっています。商業者のグループの補助が新たに決まったのが特徴ですが、緊急に大幅な拡充が必要です。県は9月補正で国に先駆けて87億円の補正予算(総額97億円)を計上しました。これは第4次申請の不足分の規模に対応するものです。政府は10月26日予備費を活用し801億円のグループ補助の実施を決め、11~12月に公募することになりました。仮設店舗は340カ所の申請、323カ所1653区画(店舗)が事業開始し、着工320カ所、完成が311カ所(11月15日現在)となっています。
県単独の中小企業被災資産修繕費補助は427件、15億1949万円の実績ですが昨年度で終了。今年度実施の中小企業資産復旧事業費補助は、146件4億2547万円(11月12日現在)の利用にとどまっており、県は全業種2000万円(事業費の2分の1補助)までの補助に遡及して改善します。
二重ローン解消の制度がつくられたことは重要な成果でしたが、岩手産業復興機構の相談件数が336件、債権買い取り決定が31件(11月13日)、返済条件の変更(減額や延長)11件、条件変更検討・作業中29件にとどまっています。岩手産業復興機構と銀行の姿勢が問われています。(株)東日本大震災事業者再生支援機構では県内23件(11月19日)の債権買い取りとなっていますが、宮古地区では相談83件、再生計画提出23件、支援決定12件など取り組みいかんでは積極的な活用の道を開く可能性も出ています。
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3) 漁業・水産業の被害は5,649億円と最も大きく、その復興は中心課題です―岩手県では、漁協・漁民の取り組みを踏まえ、漁協を核に漁船の確保と養殖施設の整備(9分の8補助)に取り組むとともに、魚市場の再建を核に水産加工業と一体の復興に取り組んでいます。111漁港のうち108漁港が被災しましたが、すべての漁港の再建整備に取り組み、応急工事ですべての漁港で漁船の出入港や接岸が可能となり、潮位に関わらず利用できる漁港は6割まで復旧しています。本格的な復旧工事は88漁港で着手し、16漁港は完了、平成27年度までに全ての漁港の復旧する計画です。漁場・漁港・漁村が一体となっているのが岩手の漁業の特徴です。
9月末現在、漁船の確保は6375隻(被災漁船13,271隻の48%)、被災を免れた漁船を合わせると約8000隻程度が稼働可能、養殖施設整備は13,145台(49.5%)、被災した漁業経営体の再開状況は約7割となっています。県は9月補正で今年度450隻の漁船の確保をめざしていますが不十分です。流通・加工関連移設は54カ所の復旧・整備が完了し(7割強)、今年度は12カ所で事業実施中です。定置網の復旧は135ヶ統中100ヶ統、74%まで復旧しましたが、昨年の秋サケは大不漁でした。今年も不良の予測です。2015年問題も指摘されています。今年の春のワカメ漁は数量で震災前の75%、金額では震災前と同じ101%で重要な再建の一歩となりました。がんばる養殖業計画認定件数は9漁協24件(8月末)にとどまっています。
3、住宅再建に県・市町村が独自に100万円の補助、災害公営住宅の建設は5600戸
1) 貧困な仮設住宅(4畳半2間に3~4人)のもとで、住宅の確保は最も切実な要求です―「仮設から葬式を出したくない」「早く家を再建したい」「災害公営住宅に入居したい」は共通の声です。
2) 持ち家の再建を住宅再建の基本に抜本的な補助をすべきです―県と市町村は、住宅の新築・購入に100万円の補助を実施しています。9月30日現在の申請は1152件となっています。県はバリアフリー化(40~90万円)、県産材使用(20~40万円)で合計最大130万円の補助も実施。陸前高田市では水道工事費に最大200万円、道路整備に300万円、地元産材活用で50万円、浄化槽設置に最大115万円、造成に50万円、合計市独自に最大715万円の補助を実施しています。大船渡市でも水道整備などに200万円の独自補助を行っています。釜石市も100万円(新築50万円、宅地の盛土50万円)、大槌町は150万円の補助、住田町も新築に100万円、宮古市も地元産材で30万円の独自補助を決めています。国の被災者生活再建支援金(22920件)のうち、加算支援金は新築・購入1972件、補修2724件、賃借531件、合計5227件(9月末)となっています。県内の住宅建設費の平均は約2000万円となっており、県・市町村での100~200万円のさらなる支援策がなければ自力再建は難しい状況です。災害公営住宅は建築費で1戸当たり1540万円(釜石平田県営住宅)~2000万円です。さらに維持管理費もかかります。この点でも持ち家建設への支援が効果的です。
県・市町村の独自補助の拡充とともに、被災者生活再建支援金の300万円から500万円への引き上げが必要です。
被災住宅の補修、宅地復旧などへの生活再建住宅支援事業補助金は、2004件、7億1136万円の実績(4~7月)となっており、申請増を踏まえ9月6憶円の増額補正で24億円の事業費となっています。積極的な活用が必要です。
3) 良質で廉価な復興住宅の提供を地元木材と地元業者の総力を挙げて取り組む。
木造戸建ての仮設住宅を建設した住田町では、住田型復興住宅生産者グループを作り、木造軸組工法の地域型復興住宅を100平方メートルで1200~1500万円で建設する計画を示し、住田町では3棟のモデル復興住宅を建設しています。釜石・遠野・大槌の3市町による上閉伊地域復興住宅協議会は、総2階30坪タイプ、設備込みで1000万円の木造住宅建設のプランを示しています。岩手県地域型復興住宅連絡会議も3タイプの地産地消の復興住宅を提案しています。138の生産
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グループが会員となり8月末までに121件の受注となっています。
4) 災害公営住宅の建設戸数は5,601戸(7月25日現在、県分3,231戸、市町村分2,370戸)となっていますが、希望者が徐々に増加しており、応急仮設16,817戸(みなし含め)からみて極めて不十分です。釜石市の被災者アンケートでは40%が公営住宅を希望し、58%の集計ですでに市の計画戸数を上回っています。入居希望者が全員入居できる規模にすること。木造住宅は全体で533戸、うち県分は30戸だけ。比較的被害の大きくない野田村、田野畑村など県北地域では木造戸建て住宅を建設します。大船渡市でも検討するとしています。集落維持を基本に、最大限木造戸建ての公営住宅を建設することが課題です。とくに漁村にふさわしい木造戸建ての公営住宅が必要です。県分の着工戸数は1032戸、今年度内には1750戸に着手する予定です。
5) 持ち家再建の場合の課題は用地不足です―高台移転、土地区画整理事業の場合、造成事業完了まで3年以上かかり、取り組みが早い野田村の場合でも住宅建設は平成26年度半ばから28年までかかる。それまでは仮設住宅での生活が強いられる。土地が高騰しており用地確保に特別の手立てが必要です。陸前高田市米崎町松峰地区、宮古市田老地区が全国1・2位の地価上昇となっている。
6) 住宅ローンの二重ローン対策―私的整理ガイドラインの改善と取り組みの強化が急務。
個人版私的整理ガイドラインの相談件数は636件、登録専門家を紹介し準備中が835件(全体)、債務整理開始の申し出件数102件、債務整理成立件数がわずか28件(11月5日現在)となっており、機能していないのが実態。すでに金融機関からローンの返済が求められ、義援金等で返済を強いられている。積極的な活用と制度の改善が必要です。金融庁(7月)、東北財務事務所(10月1日)が金融機関に具体的で厳しい通知を出していることを活用し、周知の徹底、金融機関の対応の改善が必要です。
4、12市町村120地区で復興まちづくり事業―徹底した住民合意貫いて、早く
1) 12市町村120地区で復興まちづくり事業―7市町村21地区で都市再生区画整理事業、7市町村50地区で防災集団移転事業、6市町村10地区で津波復興拠点整備事業、11市町村32地区で漁業集落防災機能強化事業、3市町村7地区でがけ地近接住宅移転等事業が計画されています。普通1事業で10年かかる事業を今年度中に住民合意を踏まえ復興計画を策定し、平成26年度までに事業計画の手続きを終え、平成30年度までに完了させる計画です。
2) 徹底した住民による協議と合意を形成することが特別に重要―専門家の派遣など住民の立場に立った議論が行われるようにすべきです。行政にとっては技術者・用地の専門家が不足しています。県と市町村から11市町村に281人(10月1日現在、昨年度比142人増)派遣されていますが、要望数371人に対し90人(10月1日現在)不足しています。全国知事会を通じた派遣は258人の要請に対し121人となっています。土地の高騰と用地取得の問題、資材不足、埋蔵文化財調査の課題もあります。土地区画整理事業では宮古以南の6市町がUR都市機構と協定を結び取り組むことになっています。
3) 市街地・中心部の再生・復興を早く示すこと―役場、病院、商店街、公営住宅など中心市街地の再生の取り組みが遅れています。分散型ではない、効率的なコンパクトなまちづくりが進めることが求められています。
4) JR大船渡線・山田線の早期復旧に背を向けるJR東日本―鉄道と駅は町づくりの土台。
JR東日本は、JR大船渡線・山田線の復旧を言明せず、BRT(高速輸送バス)への転換を提起しています。2010年3月期決算で2,400億円の経常利益、2兆5千億円の内部留保をため込んでおり、十分復旧は可能です。ルート変更やかさ上げ分に対する国の支援も必要です。大船渡市、陸前高田市、気仙沼市長は10月4日、「JR大船渡線のBRTによる仮復旧について」の要望書を提
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出しましたが、BRTはあくまで仮復旧として鉄路の全面的な復旧を強く求めています。
5、被災地で住み続けられる町づくりを―医療・福祉と教育の復興の課題
1) 被災した高田・山田・大槌の3つの県立病院の再建の道切り開く―昨年8月に策定された県の復興基本計画には、被災した3つの県立病院の再建が明記されませんでした。地域住民の運動と県知事選・県議選のたたかいを通じて「被災した県立病院の再建を基本に取り組む」と知事が言明し、今年3月の「本県医療の復興計画」に県立病院の再建が位置付けられ、75億円余の地域医療再生臨時特例交付金が交付されました。今年度中に用地と再建の規模を決めることにしていますが、問題は用地の確保と医師の確保です。最優先課題の一つとして地元市町が取り組むことが必要です。地震で入院病床が使えなくなった大東病院も病院再建の方向(40床程度、平成26年4月)となりました。
2) 民間を含めた医療機関の被災と復興状況―病院は13が被災、3県立病院が仮設で診療(高田病院は41床の病床も再建)、10病院が自院で再開、診療所は54が被災し、24が自院で、17が仮設で再開、10が廃止、歯科診療所は60が被災、24が自院で再開、23が仮設で再開、7が廃止、調剤薬局は53が被災し、32が自院で再開、3が仮設、15が廃止となっています。
3) 介護施設では大船渡市の特養ホーム(53人)、山田町の老健施設(73人)が全壊の被害で計126人が犠牲となりました。一時使用不可となった介護施設は14施設ありましたが、7施設が再開し、6施設が再開・再建を計画中となっています。要介護認定者が急増している中での介護基盤の再建整備は急務の課題です。
4) 学校教育の再建は急務―「釜石の奇跡」と言われた釜石東中学校の生徒避難行動があったものの、県内全体では児童生徒78人が死亡し、13人が行方不明となりました。津波で全壊となった県立高田高校は、旧大船渡農業高校の校舎を使用し、毎日スク-ルバス10台で生徒を送迎しています。造成工事に着手し平成26年度末の完成をめざしています。小中学校の12校が仮設校舎で、7校が他校を間借り、3校が他施設を使用しています。被害を受けなかった学校でも25校のグランドが仮設住宅の全面使用、一部使用は12校で体育の授業や部活動ができない状況となっています。被災した校舎の再建(7市町17校で再建を検討、用地・移転場所決定が4校、用地交渉中が8校、協議・調整中が5校)、当面、仮設グランドの確保(41校中9校で整備中または予定)、仮設校舎へのエアコンの設置(釜石市の4校と大船渡・大槌町の6校に設置予定)などの取り組みが急務です。2300人の生徒が仮設住宅から通学しており、放課後の学習の場所の確保と学習支援の強化が必要です。
5) 震災孤児94人、震災遺児481人―震災孤児のほとんどは親族里親が面倒をみる状況となっています。昨年9月1日~9月22日に実施された児童生徒の「心と体の健康観察」によると、ストレスやトラウマなどで「優先的に教育相談をしてほしい児童生徒」は小中高で14.6%、沿岸市町村では15.8%となっています。生徒は仮設住宅での生活でも緊張を迫られており、心のケアの取り組みは重要となっています。
6) 「いわて学び希望基金就学金給付事業」―寄せられた46億円余の寄付を活用し、小学生に月1万円、中学生1万円、高校生3万円、大学生・専門学校生に5万円を給付しています。未就学児71人、児童生徒は482人(昨年度は532人)に給付しています。
6、被災者の生活再建優先の復興か、大規模公共事業優先の復興かが問われている
1) 岩手県の復興基本計画の問題点―「安全の確保」「暮らしの再建「生業の再生」を三つの原則にしていますが、「安全確保」の名のもとに、三陸縦貫道などの復興道路(高速道路)の整備(総事業費1兆1403億円)など大型公共事業優先の復興になりかねない問題をはらんでいます。復興
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道路は昨年度759億円(県負担139億円)、今年度836億円(県負担157億円)の事業費となっています。県が事業主体となる復興支援道路は総事業費737.9憶円、復興関連道路は938.3憶円となっています。防潮堤の整備も十分な住民の協議もなく、12~14mを超える高さの防潮堤が三陸海岸に整備されようとしています。背後地盤が高いことや農地のため、まちづくりとの調整を理由に19ヶ所21地区で防潮堤の高さを前と同程度に変更していますが、漁業・環境との共生、防災対策、維持管理費と経済効率性など総合的に検討されるべきです。今回の津波で破壊された釜石湾口防破堤、大船渡湾口防破堤も十分な検証もなくそれぞれ490億円、200億円の事業費で復旧されています。宮古市の水門の整備(166億円)もこれまでの市や市議会の堤防かさ上げの方向を無視して強行されました。
2) 復興事業は生活再建を最優先に、オール岩手で取り組むこと―被災者の生活と産業の再生に関わる高台移転や漁港の整備や水産業の再生、学校の再建整備などは遅れ、資材不足、生コン、職人不足、事業費の高騰が深刻となっており、復興事業の優先順位が問われています。建設事業はこれから本格的な発注となりますが、内陸の企業との復興JVなどオール岩手の取り組みとすることが必要です。
7、災害廃棄物(がれき)処理の問題
1) 県内の災害廃棄物は、525万t―10月末までに処理された量は103万t、19.6%にとどまっています。広域処理は44万tの処理必要量に対し、1都6県18市町村等で4万tにとどまっています。県内で最大限処理する計画ですが、県分で12年分、陸前高田市分148万tは255年分にあたります。とくに津波堆積物130万トンは県内処理をすることにしています。復興資材として活用する計画で、陸前高田市に分別処理施設を設置する計画です。80%活用できる見込みで、残りの処理方針は定まっていません。96.8万tの不燃物の処理も同様です。
2) がれきの広域処理の問題―福島原発事故による放射能汚染問題が大きな障害となりました。9都県と協定・覚書を結び、6都県が広域処理を行っています。広域処理に協力していただく県、市町村では、独自の基準(100ベクレル/kg)を決めて処理しています。
8、東京電力福島第一原発事故による放射能汚染対策
1) 原発事故による放射能汚染―稲わら(583t)・牧草(19729t)、シイタケほだ木(109万本、5450トン)、堆肥(6954t)、合計32726トンとなっています。畜産など岩手の農林業の危機的状況を招いています。原木シイタケ、山菜、きのこ等の出荷制限は14市町村に及び、2500頭に及ぶ廃用牛の滞留、15000haを超える牧草の除染、風評被害対策を含めると4万haとなるなど重大な課題に直面しています。産直施設・きのこの時期に向けた検査体制の強化確立も必要です。県は9月補正ですべての牧草の除染に対する助成を示すなど40億円の補正予算を提出しました。焼却処理の方針ですが5~6年以上かかる状況で見通しが立たないのが実態です。
2) 学校など子どもが利用する施設とホットスポットの除染対策、子どもの健康被害・健康調査の継続は引き続き待ったなしの課題です。県の9月補正では昨年度健康調査の継続実施(132人)と新たに希望者(3000人)への検査にも2分の1の助成を実施することを示しました。
汚染状況重点調査地域に指定された一関市、奥州市、平泉町における除染対策では、除染実施区域内の除染に限るとされ、ホットスポットの除染が対象外となっていること、表土除去後の客土による原状回復については基準額では復元できないこと。汚染廃棄物・土壌の共同仮置き場についても制限があることなど、国の責任で全面的に除染が実施されるように改善が必要です。
3) 損害賠償対策―JA協議会の第7次による請求額は111億円となっていますが、東京電力の支払額は8月の仮払い(5~6月請求分の50%)を含め69億円で62%にとどまっています。県・市町村・広域連合等の損害賠償請求額は8億7千万円余となっていますが、回答も支払いはありません早期の全面賠償を求める徹底した取り組みが必要です。

「いじめ」のない学校と社会を――日本共産党の提案――

2012-11-29 22:42:36 | 日記
しんぶん赤旗      2012年11月29日(木)
「いじめ」のない学校と社会を
――日本共産党の提案――
2012年11月28日
 日本共産党の志位和夫委員長が28日に発表した「『いじめ』のない学校と社会を―日本共産党の提案―」(全文)は次の通りです。
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 「いじめ自殺」が各地でおき、多くの人々が心を痛めています。深刻化する「いじめ」をとめることは、日本社会の切実な問題です。日本共産党は子どもの命を守り、「いじめ」問題を解決していくために、以下の提案を発表します。
今日の「いじめ」と社会がとりくむべき二つの課題
深刻さをます、子どもたちの「いじめ」
 今日の「いじめ」は人間関係を利用しながら相手に恥辱や恐怖を与え、思い通りに支配しようとするもので、ときに子どもを死ぬまでおいつめる事件に発展し、ネットによる中傷、傷害、性暴力、恐喝などの犯罪ともつながっています。多くの「いじめ」被害者は、その後の人生を変えてしまうような心の傷を受け、おとなになっても恐怖で社会に出られないなど後遺症に苦しんでいます。「いじめ」はいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です。
 しかも「いじめ」は、どの学級にもあるといわれるほど広がっています。責め合うような言葉をかわしたり、“遊び”や“ふざけ”として人が傷つくことを楽しんだり、その様子をまわりで見ていたり――こうした風景が日常のものになれば、子どもたち全体の成長に暗いかげをおとすことになります。
子どもの命を守り抜き、教育と社会のあり方を見直す
 「いじめ」問題の課題はさまざまありますが、とりわけ社会が次の二つのことに正面からとりくみ、事態を打開することが大切です。
 第一は、目の前の「いじめ」から、子どもたちのかけがえのない命、心身を守り抜くことです。この点で子どもを守れないケースが繰り返されていることは大きな問題です。同時に、「いじめ」を解決した貴重な実践が各地にあることが重要です。これらから教訓をくみとれば、子どもを着実に救う道が開けます。
 第二は、根本的な対策として、なぜ「いじめ」がここまで深刻になったのかを考え、その要因をなくすことです。「いじめ」の芽はどの時代・社会にもありますが、それがたやすく深刻な「いじめ」にエスカレートしていく点に、今日の問題があります。教育や社会のあり方の問題ととらえて、その改革に着手することが求められています。
提案1 「いじめ」から子どもの命を守る――「いじめ」対応の基本原則の確立
 「いじめ自殺」が社会問題になり30年近くたった今なお、子どもを守れないケースが繰り返されています。「いじめ」を訴えても何もしない、「いじめ」を「けんか」「トラブル」と扱う、表面的な「握手で仲直り」、子どもが自殺したら「いじめ」の事実を隠ぺいする――そうした対応で、いじめ被害者とその家族は深く傷つけられています。また「いじめられている側にも問題がある」という「いじめ」が人権侵害や暴力であることを見ない誤りも軽視できません。
 一方で、「いじめ」を解決し、辛くも子どもの命を守ったなどの経験が各地で積み重ねられています。その貴重な経験を学びながら、全国の学校で、子どもの命を守るための基本的な原則を、教職員や保護者の手で確立していくことが重要です。そのため私たちは以下の提案をします。
「いじめ」への対応を後まわしにしない――子どもの命最優先の原則(安全配慮義務)を明確にする
 「いじめ」の相談があったとき、忙しいから後まわしにするなどして重大な結果となるケースがあとを絶ちません。学校教育においてどんな「大切」な仕事があろうと、子どもの命が一番大切だという、子どもの安全への深い思いを確立することが必要です。この間、学校事故などの裁判をつうじて「学校は子どもを預かる以上、子どもの安全に最大限の配慮を払う必要がある」という学校における「安全配慮義務」が定着しつつあります。人権侵害と暴力である「いじめ」の放置・隠ぺいが、「安全配慮義務」違反に当たることを明確にし、学校と教育行政の基本原則とします。
「いじめ」の解決はみんなの力で――ささいなことに見えても様子見せず、全教職員、全保護者に知らせる
 「いじめ」はおとなに分からないように行われ、加害者はもとより、被害者も「いじめ」を認めない場合が少なくありません。それだけに訴えやシグナルがあった時は、相当深刻な段階になっていると考えたほうが妥当です。「いじめかな」と少しでも疑いがあれば、ただちに全教職員で情報を共有し、子どもの命最優先のすみやかな対応が必要です。「事実確認してから報告」などの形で様子見をして事態を悪化させてはなりません。
 具体的なことをどこまで言うかは別にして、「いじめがおきている」ことはすみやかに全保護者に伝え、保護者たちも子どもの様子や変化を見守れるようにし、保護者と教員とのコミュニケーションを密にすることも大切です。「いじめ」があることをみんなが知り、おとなたちが心配し、力をあわせる姿を示すことは、子どもたちを勇気づけます。
 「いじめ」アンケートは、子どもの信頼をえられる形で行うことが大切です。無記名で、内容は「自分が嫌なことをやらされたことがあるか」「給食をよそう時避けられる人はいるか」など具体的に尋ねるなどの方法が効果をあげています。
子どもの自主的活動の比重を高めるなど、いじめを止める人間関係をつくる
 「運動会を通じて団結ができ、『いじめ』になりそうになっても『やめなよ』と声がかかるようになった」――一つのことを一緒にとりくんだ子どもたちの達成感や信頼関係は、「いじめ」をなくすうえで大きな力を発揮します。
 ところが、国の「授業時間数をふやせ」などの政策のもとで、各地で運動会や文化祭などの時間が削られ、自主的活動の比重が下がっています。その比重をたかめ、授業も含めて、対等で安心できる人間関係をつくることを学校教育の柱として位置づけるべきです。生徒会や学級での自主的な「いじめ」を解決する活動も大切です。また、海外からはじまったピア・カウンセリングやさまざまないじめ防止プログラムも参考になります。
 「いじめ」のことは子どもたちが誰よりも知っています。「いじめ」を止める言葉も、子どもの言葉がいちばん効き目があります。そして多くの子どもが「いじめをなんとかしたい」と思っています。こうした子どもの力を信頼して、子どもたちが「いじめ」を止める人間関係をつくることを支えましょう。そのことは子どもの豊かな成長をもたらします。
被害者の安全を確保し、加害者には「いじめ」をやめるまでしっかり対応する
 いじめられている子どもは命の危機にさらされているといっても過言ではありません。安心して学校にいられるような対応とともに、「心身を犠牲にしてまで学校に来ることはない」ことを伝え、安全の確保を優先します。また現在、「いじめ」によって不登校になった場合、「適応指導教室」などのきわめて不十分な対応しかありません。本人の気持ちも尊重し、よりよい環境で学ぶための、医療費や通学費をふくむ予算と体制を保障すべきです。
 いじめる子には、「いじめ」を反省し、「いじめ」をしなくなり、人間的に立ち直るまで、徹底した措置とケアを行います。いじめる子どもは、「いじめ」に走るだけの悩みやストレスを抱えています。その苦しい状態に共感しながら、子ども自身が立ち直ることを支える愛情が欠かせません。厳罰主義は、子どもの鬱屈(うっくつ)した心をさらにゆがめるだけです。また加害者の「出席停止措置」は緊急避難としてありえますが、その間の措置やケア、学習の保障がなければ、逆効果になりかねません。慎重に選択すべきです。
 児童相談所などの専門機関、心理臨床家や医師等の専門家、被害者団体などと連携することも大切です。重大な犯罪にあたる場合、警察に被害届をだし、少年法による更生の手続きに入ることがあります。同時に、警察は子どもの教育や更生の機関ではなく、過度に依存することは正しくありません。
被害者、遺族の知る権利の尊重
 「いじめ」が重大な事件・事故となった場合、事実調査が行われます。被害者やその家族はほんらいその内容を知る権利があります。しかし多くの場合、事実調査は不十分で、その説明は被害者側からみてまったく納得できないものです。
 事実調査は、再発防止とともに、被害者、遺族の知る権利を保障するうえでも不可欠です。とりわけ自殺などの後のアンケートは、遺族につつみ隠さず伝えるとともに、遺族が真相の解明に参加することを保障すべきです。子どものプライバシーの保護を理由に、被害者、遺族の知る権利をほとんど認めない行政の姿勢は改められるべきです。
 以上述べてきた方向は私たちの試案であり、完成されたものではありません。全国の学校のとりくみをへて、よりよいものに発展することを心から期待するものです。
「いじめ」の解決にとりくむための条件整備をすすめる
  ――教員の「多忙化」の解消、35人学級の完成、養護教諭・カウンセラーの増員、「いじめ」問題の研修
 一般紙の調査では、7割の教員が「いじめ」対応の時間が足りないと答えています。上からの「教育改革」で学校の雑多な業務がふえ、教員は過労死ラインで働いても肝心の子どもと遊んだり、授業準備をする時間が確保できず悩んでいます。「いじめ」対策が最優先ですが、この状態は一刻も早く改善されなければなりません。多すぎる業務を教職員の参加のもとで整理し、教職員が「いじめ」に向き合う条件をつくります。
 子ども一人ひとりをていねいに見られる少人数学級も重要です。そのため、途中で止まっている「35人学級」をすみやかに完成させるべきです。「いじめ」を発見しやすい立場にある養護教諭の複数配置校を現在の児童生徒数800人以上から500人以上とし、増員をはかります。カウンセラーも増員し、専門職としての独立性を尊重します。
 「いじめ」がこれだけ深刻化しているのに、教員には独自の研修がありません。効果の薄い他の官製研修を削り、「いじめ」問題の研修を保障します。研修は文科省や教育委員会に任せず、教育学会や小児医師会などの関係学会が現場教員やいじめ被害者団体の参加も得てガイドラインを作成し、それを参考にしながら、教員たちが自主的に研修できるようにします。
 ――「いじめ防止センター」(仮称)の設立
 「いじめ」が教員にも及んだり、保護者も「いじめ」に加わるなど、解決がきわめて困難なケースがみられるようになりました。こうしたケースの相談・対応を行い、日本での「いじめ」対応のセンターとしての役割を担う、「いじめ防止センター」(仮称)を国の責任で設立します。専門性の高い医師、心理の専門家、法律家、ケースワーカー、教育研究者などで構成し、いじめ被害者団体との連携もはかります。「センター」は文科省の下に置かず、高い独立性を保障します。同時に、児童相談所等の拡充をすすめます。
 ――「いじめ」防止に関する法制化について
 今日の「いじめ」は深刻な人権侵害であり暴力です。それから子どもたちの安全と人権を保障するための法的整備が必要です。人権侵害と暴力性を明確にした「いじめ」の定義、子どものいじめられず安全に生きる権利、学校・行政の安全配慮義務、行政への条件整備の義務付け、被害者と家族の「知る権利」などが国民的に検討され、明確にされる必要があります。
 同時に法令によって子どもの言動を細かく監視したり、厳罰主義を導入したり、学校での教育活動や家庭での子育てに不当な介入をすすめることは、学校や家庭を息苦しい場にして、むしろ「いじめ」を広げることになります。そうした「いじめ」問題の解決に逆行する法令には反対します。
 ――教育行政の「いじめ」対応の改善
 「いじめ」問題を解決するうえで、国と地方の教育行政は積極的な役割を果たすことが期待されています。ところがこの間、隠ぺいなど大きな問題をかかえてきました。この事態をなくすために、次の三つの点で改善をはかることを訴えます。
 第一は、「いじめ半減」などの数値目標をやめることです。このことが教育行政の上意下達の風潮とあいまって、「いじめ隠し」の土壌となっています。また解決率を目標にしたとしても、数字の操作や隠ぺいがおきることは明らかです。
 第二は、教職員をバラバラにしている教員政策を見直すことです。上からの教員評価、中間管理職の新設などで教員の連帯が損なわれ、「いじめ」解決に必要な教職員の連携や協力にも悪影響を与えています。一刻も早く改善すべきです。
 第三は、「いじめ」問題の位置づけをただすことです。長年、「いじめ」を不登校などと一緒に「生徒指導上の諸問題」として扱ってきたこと、「いじめ」統計は県により発生率が極端に違う不自然なものにもかかわらず放置されてきたことなど、「いじめ」問題は真剣に扱われているとはいえません。ことの重要性にふさわしく、その位置づけをただすべきです。
提案2 子どもたちに過度のストレスを与えている教育と社会を変える
 「いじめ」をした子どもたちは「いじめてスカッとした」「自分のみじめな状態を救うために誰かを否定したくて仕方なかった」と言っています。「いじめ」は、子どものいら立ちの発散という面があります。
 「いじめ」が過去と比べ深刻化し、日常化しているのは、子どもたちが強いストレスの下におかれ、過去と比べものにならないようないら立ちをかかえているからではないでしょうか。それは「いじめ」だけでなく、多発する校内暴力、学級崩壊、自傷行為など子どもたちのさまざまな心配な行動の背景にもなっています。
競争と管理の教育と子どもたち
 子どもたちのストレスを考えるとき、教育自体が競争的で管理的になっていることを考えないわけにはいきません。
 受験競争は低年齢化し、塾通いの割合は十数年間で倍近くに増え、4割の子どもが「時間的ゆとりがない」と答えています。子どもたちは忙しく、遊ぶ時間もへっています。子どもの遊びは、子どもの心を解き放ち、友だちとのトラブルを解決しながら人間関係も学んでいく、子ども期に欠かせないものです。それがへっていることは大きな問題です。
 競争や忙しさは、人間をバラバラにし孤立させます。少なくない子どもたちが「友だちに本音を言えない」「友だちの中にいるとキャラを演じ続けるので疲れる」と訴えています。ユニセフの国際調査では「孤独を感じる」日本の子どもの割合は29・8%に達し、他国とくらべてきわめて高い数値となっています。また他人からの評価がたえず気になり、「ありのままの自分でいい」という安心感が十分もてないでいます。このような自己肯定感情がたいへん低いことも心配なことです。
 国内の調査では子どものストレスの最大の因子は「勉強」です。競争教育の勉強は子どもを早くから「できる子」「できない子」により分け、多くの子どもが劣等感を与えられ、「わかる喜び」やみんなで学ぶ心地よさを得ることができません。この間の「学力向上」政策でテストばかり繰り返したり、夏休みを減らしてまで授業時間を伸ばすなども、子どもに強いストレスを与えています。
 競争の教育と一体ですすめられている管理の教育は、子どもたちのさまざまな問題行動を上から押さえ込むものです。例えばこの間、「ゼロトレランス(許容度ゼロ)」政策が各地で導入されています。しかし、子どもが「悪さ」をするのは、何らかの悩みや事情があるからです。そうした悩みや事情を聞き取られず、頭ごなしに否定されれば、子どもは心に憎悪の感情を抱くようになります。
「いじめ社会」と子どもたち
 社会の変化に目をむければ、1990年代後半からの「構造改革」により、国民のなかに「貧困と格差」が急速に広がったことは重大な問題です。
 競争原理が労働や社会の各分野に浸透し、人間的な連帯が弱まり、弱い立場の人々を攻撃する風潮が強まりました。弱肉強食の社会を正当化するため、競争に負ける方が悪いという「自己責任論」の考え方もひろがっています。文化のなかでは、タレントをイジったり困らせたりして笑いをとる、嘲笑的で暴力的な要素が組み込まれるようになりました。
 こうして社会自体が「いじめ社会」ともいうべき傾向をつよめているのではないでしょうか。子どもの「いじめ」の深刻化は、その反映にほかなりません。
 「貧困と格差」は、子どもの生活の基盤である家庭を直撃しました。貧困ライン以下の家庭でくらす子どもの割合は15%、先進工業国35カ国中9番目の高さです。親たちの余裕がなくなり、家庭の機能が弱まっていることは、子どもにとってつらいことです。また親たちは、競争的な教育や子育ての「自己責任論」の風潮のなかで、子育てへの不安をつのらせています。そのなかでテストの点数を過度に気にするなどの傾向もうまれています。
子どもたちが、人と人との間で生きる喜びを感じられる教育と社会を
 のびのび育つべき多くの子どもたちが、いら立ちをマグマのようにため、強い孤独感につつまれている――このことは、これまでの競争的な教育制度や経済社会が、子どもの成長といよいよ相いれなくなっていることを示しています。その枠から出て、子どもたちが人と人との間で生きる喜びを感じられる教育と社会を築くために、私たちは以下の三つのことを提案します。
 ――子どもの声に耳をかたむけ、子どもの社会参加を保障することで、子どもの成長を支える社会や教育を
 子どもたちのいら立ちや孤独感の裏側には、「自分らしく生きたい」「本音で語り合える友だちがほしい」「生きづらさを受けとめてほしい」という前向きな願いや鋭い正義感があります。この前向きな力が引き出されたとき、子どもたちは自らすばらしい成長をとげます。
 そのために、子どもの声に耳をかたむけ、子どもの社会参加を保障することが大切です。世界では、子どもの権利条約の精神にそって生徒が学校運営に参加するなど、子どもの社会参加が大きな流れになっています。耳をかたむけられ、参加を保障された子どもたちは、自己肯定感情を深め、人と人との間で生きる喜びを感じながら成長できます。こうした教育や社会は、おとな同士の人間関係も豊かで平和なものにするのではないでしょうか。
 ――競争的な教育制度そのものからの脱却を急ぐ
 日本の競争的な教育制度は、憲法の精神に反して、財界の要求で1960年代ごろからつくられ、自民党政治により強められてきました。それは高校受験の存在、1点差できまる個別の大学入試など他国に例がなく、子どもたちの創造性や思考力をゆがめ、世界では通用しないものになりつつあります。国連・子どもの権利委員会も日本政府に再三、「過度に競争的な教育制度」の改善を勧告しています。過度な競争教育から脱却し、すべての子どもたちの能力を豊かにのばす教育と学校制度のあり方を探求する、国民的な議論ととりくみをよびかけます。
 ――「いじめ社会」に立ち向かい、人間的な連帯のある社会に
 東日本大震災はあらためて助け合い連帯することにこそ、人間らしさがあることを示しました。人間の尊厳を踏みにじる政治や経済社会にたいする国民の批判は、「原発なくそう」「ストップ貧困」などさまざまな運動や新しい政治を模索する動きとしてあらわれています。そうしたおとなたちの姿をみて、子どもたちは明日に希望をつなぎます。
 子どものことを学校、地域、社会の各分野で語り合い、「いじめ」のない学校と社会をつくるための共同をひろげることを心からよびかけます。



国民の選択にたる党―共産党の躍進を 志位委員長 「四つの試金石」を提起

2012-11-28 12:00:41 | 日記
しんぶん赤旗                  2012年11月28日(水)
国民の選択にたる党―共産党の躍進を
志位委員長 「四つの試金石」を提起
東京大演説会 渋谷
 首都・東京で必ず比例2議席以上の躍進を―。総選挙での議席倍増をめざして27日、東京都内の渋谷公会堂で日本共産党の大演説会が開かれました。志位和夫委員長は、日本の明るい未来を開く本物の改革ビジョンを提案するとともに、「政党らしい政党」日本共産党の姿をおおいに語りました。2階席まで会場をいっぱいに埋めた聴衆は「そうだ」「がんばれ」の声と指笛、力強い拍手を送り、必勝の決意がみなぎりました。
________________________________________
 総選挙の対決軸について「古い自民党型政治か、これを断ち切る本物の改革に取り組む日本共産党か―。これこそが総選挙における真の対決軸です」と強調した志位氏は、あらゆる分野での改革ビジョンを集大成し、発展させて総選挙政策を発表したことを紹介。
 「アメリカいいなり」「財界中心」という自民党型政治の「二つのゆがみ」を断ち切ればどんな展望が開けるかを、デフレ不況、消費税、社会保障と財政再建、原発とエネルギー、環太平洋連携協定(TPP)、米軍基地、憲法9条を守る問題、領土問題などで詳しく語り、党の大躍進を訴えました。
 そのうえで志位氏は、今回の選挙では政党の値打ちが丸ごと問われると強調。「選挙目当ての離合集散」「政党の渡り歩き」が政治不信を広げる中、“安心して一票を投じられる党かどうか”を見分ける「四つの試金石」を提起しました。
綱領
 第一は、日本の前途を開く綱領を持っている党かどうかです。
 志位氏は、日本共産党が改革ビジョンを示せるのは日本の前途を開く綱領を持っているからだと力説。綱領では、資本主義を乗り越えてすべての人に豊かで自由な生活を保障する未来社会を展望しつつ、「社会は国民の意思に基づいて一歩一歩段階的に進歩する」との見地から、いま求められることとして資本主義の枠内での「国民が主人公」への民主的改革を提起していると語りました。
 他方、民主党は綱領をつくれないまま党が溶け出し、自民党は綱領を持っていてもビジョンとよべる中身がなく、「新憲法制定」や社会保障否定の「自己責任」論しかないこと、乱造される新党は綱領以前の状態であり、「党そのものがどうなるかわからない」ことを指摘。
 特定の政策だけで党を解体、合流する動きについて、「それが大事な課題であっても、それをやっていたら選挙のたびに解体、合流をやらなければならなくなります」と述べ、「こういう政党のあり方が、まともな政党のあり方とは思えません。外交、経済、日本の進むべき進路についてまとまったビジョンを示し、その基本となる綱領を持ってこそ、国民に責任を持つまともな政党といえるのではないでしょうか」と語りかけました。
勇気
 第二は、憲法、平和、民主主義を脅かす逆流に対して、勇気を持ってたたかい抜く党かどうかです。
 志位氏は、憲法、平和、民主主義を壊す「突撃隊」となっている「維新の会」の正体を、「命がけで憲法を破る」という石原慎太郎代表や、憲法違反の「思想調査」を強行した橋下徹代表代行の言動をあげて告発しました。この動きにこびへつらう多くの党に日本の未来は託せないと強調し、「日本共産党は理性の声のよりどころとして、歴史の逆流を許さないためにがんばり抜きます」と力をこめました。
草の根
 第三は、草の根で国民と結びつく党かどうかです。
 志位氏は、離合集散を繰り返す党の共通項は、国民に根を持たない浮き草のような存在で、政党助成金を頼みにしていることだと批判しました。
 これに対して日本共産党は、全国に31万8千人の党員、2万の党支部、130万人もの「赤旗」読者、2700人をこえる地方議員を持ち、総選挙の候補者もすでに298選挙区で擁立していると紹介。財政は国民に依拠して自前でまかない、企業・団体献金も政党助成金も受け取らず、「日本共産党は、国民との結びつきでは“堂々たる大政党”として、政治を動かしています」と語りました。
歴史
 第四は、歴史で試された党かどうかです。
 志位氏は「歴史に責任を負わない党が多すぎる」として、侵略戦争への無反省、自民党型政治への無反省、民主党政権への無反省をあげ、「こうした政党に未来を託せますか」と問いかけました。
 日本共産党は、戦前は天皇絶対の暗黒政治と侵略戦争に反対し、戦後は旧ソ連や中国の干渉や覇権主義とたたかい、自民党型政治と正面対決するなど、1世紀近い歴史で試された党だと強調。「昨日今日できた党、明日どうなるか分からない党とは違います。21世紀の日本の未来を安心して託せる『政党らしい政党』です」と訴え、大きな拍手に包まれました。
 志位氏の訴えを聞いた女性(44)=足立区=は「消費税増税など生活の負担が増えることが心配。ほかの政党は言っていることがころころ変わってひどい。志位さんが首相になってほしいと思いました」と話しました。

(1)日本の前途開く綱領をもっているか
(2)憲法、平和、民主主義脅かす逆流に勇気をもってたたかうか
(3)草の根で国民と結びつく政党か、浮き草のような政党か
(4)歴史で試された党か、歴史に責任負わない党か

ついに国主導で“大川小の惨事”検証へ遺族が文科省に抱く大きな期待、よぎる不安6,7

2012-11-27 22:55:07 | 日記
転載   ダイヤモンド社
ついに国主導で“大川小の惨事”検証へ
遺族が文科省に抱く大きな期待、よぎる不安
<6
「(大川小では09年度から)各方面でこうした状況が増えました。このことは3月11日の教員集団が、子どもを守る集団として機能しなかったことと無関係ではないと思いますが、検証の対象になるのでしょうか」
 遺族たちが、懸命に我が子の遺体を探していたとき、年休で学校に不在だった校長は、第3配備体制にもかかわらず、震災後もずっと避難所にいて、大川小に捜索に行く保護者たちを「行ってらっしゃい」と見送っていたという。
 校長が学校現場に来たのは、震災から1週間近く経った3月17日のこと。
「報道陣の車に乗って、まだ遺体捜索の続く学校に着くやいなや金庫を探し、校舎の写真だけ撮ると、立ち去って行きました」(目撃した遺族)
 いったい、柏葉元校長は、学校の最高責任者として、どのような理念や哲学で、学校を経営していたのだろうか。
 10月28日の市教委と遺族の話し合い(第7回説明会)では、柏葉元校長は、校長ならだれもが熱く語れるはずの学校経営の理念についての質問に、こう答えている。
「子どもたちに、自分の思いが、えー、達成に向けて自分なりに頑張っていける、子どもをつくるために、えー、学校経営に当たってきました」
――学校教育目標は、校長先生になってからつくられたのですか?
「1年目は、そのまま前の学校目標ですけど、2年目については、私のほうで考えて、つくりました」
 遺族は、こう問いかける。

<7
「校長先生が考えられた学校教育目標は、(具体的に)浮かばないですよね。もしかしたら、そこがいちばん大事なところだったのではないかなと」
 54家族にはそれぞれの思いが詰まった20ヵ月がある。子どもが亡くなったことで、大川小のPTAのメンバーでもなくなり、学校という存在から切り離された生活を送る人も多い。
 すでに1年8ヵ月が経過したが、遺族の、市教委や市に対する不信感は相変わらず強いままだ。
 この4者会談は、事態の進展に期待を寄せて集まってきた遺族たちにとっては、お互いの再会の場でもあり、話し合いや情報交換のきっかけになっていくのかもしれない。
 事態の解決に向け、設置されることになる検証委員会には、副大臣、官房長らによる遺族への説明やタイミング、スピード感などをみても、文科省の本気度が感じられて、ようやく一歩前へ進むことにはなりそうだ。
 あの日、子どもたちや先生たちが味わった無念の思いを、決して“学校だけ”“現場だけ”の問題で片づけてはいけない。
(池上正樹、加藤順子)

原発での選択 「即時ゼロ」提案し行動する党

2012-11-27 11:08:25 | 日記
しんぶん赤旗       2012年11月27日(火)
主張
原発での選択
「即時ゼロ」提案し行動する党
 東日本大震災と東京電力福島原発など深刻な原発事故のあと行われる最初の国政選挙である今回の総選挙では、震災からの復興とともに、原発問題にどう対応するかが最大の焦点のひとつです。
 日本共産党は、「即時原発ゼロ」を掲げ、原発事故に苦しむ住民の願いに応えるためにも、政府が直ちに原発からの撤退を決断するよう求めています。こうした日本共産党の主張こそ、原発に依存しない社会を切り開く立場です。
深刻な被害直視し
 「脱原発」「原発ゼロ」などを看板に掲げる政党はありますが、「即時原発ゼロ」を主張している政党は日本共産党だけです。
 野田佳彦政権と民主党は「2030年代までに原発稼働ゼロ」を目標に掲げていますが、この目標自体閣議決定もされていないもので、実際には原発の再稼働や新増設の再開を認めており、30年代どころか、40年代も50年代も原発が残る、国民だましの目標です。他の政党の「20年代までに原発ゼロ」とか「25年までに」などというのも、結局それまでは原発の運転を認めることになります。
 東京電力福島第1原発事故では、発生から1年8カ月以上たってもいまだに16万人が避難生活を続けています。原発周辺では環境を汚染した放射性物質を取り除く除染も進まず、多くの住民が住みなれたふるさとへ帰るめども立たない状態です。地震国・日本でどの原発が地震や津波に見舞われてもこうした深刻な事態になることは目に見えており、この先何年も原発の運転を認めるのは危険です。
 しかも、原発は運転を始めたとたん、危険な「核のゴミ」(放射性廃棄物)がたまり続けます。現在の技術ではその最終処分の見通しはなく、すでに全国の原発は使用済みの核燃料でほぼ満杯の状態です。原発の再稼働や運転継続が、国民に危険しかもたらさないのはあきらかです。「即時原発ゼロ」が求められるのは当然です。
 自民党は、原発は「安全第一」で再稼働させ、今後のエネルギー政策については「10年以内」に結論を出すという立場です。「原発ゼロ」のめどさえ示していません。かつては「原発ゼロ」を口にした「日本維新の会」は、原発推進の「太陽の党」と合流したため、「原発ゼロ」を撤回し、「安全体制の構築」としかいいません。原発の「40年運転制限」を「厳格に適用」としか言わない公明党も、原発から撤退の目標は示しません。
 これらの党は結局、原発からの撤退を求める国民世論に背を向け、原発依存を続ける無責任な立場です。国民の暮らしと安全を守る立場とはとてもいえません。
米と財界いいなりでなく
 日本共産党が「即時原発ゼロ」の提言で明らかにしたように、原発をいますぐストップしても、電力の供給には問題ありません。電気料金などへの経済的な影響も、原発からの撤退を早く決めればそれだけ節約や原発に代わるエネルギー開発に力を注ぐことができます。問題は原発を押し付けてきた、アメリカや大企業との腐れ縁を断ち切ることです。
 「原発なくせ」「再稼働やめよ」と運動してきた首都圏反原発連合は「原発のない未来のために↓あなたはどの政党を選択しますか」と問いかけています。この声に応えることが重要です。

ついに国主導で“大川小の惨事”検証へ遺族が文科省に抱く大きな期待、よぎる不安3

2012-11-26 23:33:05 | 日記
 転載    ダイヤモンド社

ついに国主導で“大川小の惨事”検証へ遺族が文科省に抱く大きな期待、よぎる不安3
非公式な形でもご意見を伺いますが、この人を(メンバーに)必ず入れてほしいということは、私どもとしてはお受けするつもりはないわけです。具体的な人選については文科省で決めたいと思っております。
 こういうことをよく分かっている人がいいとか、そういうご意見は十分考慮させていただくというつもりはありますので、そういう意見は受け入れていきたいと。具体的にどこどこの誰々を入れてほしいということにはなっていない」(前川官房長)
 前川官房長は、3日の4者会談について、「文科省が人選するのはけしからんとは言われていない」と表現し、次のステップに進む一定の感触は得られたという認識のようだ。文科省は今後、委託先の選定や検証委員の人選を進めて、25日の4者会談に説明する予定だという。
 また、遺族から出された意見の中に、県が検証に関与することについては、遺族から「教職員の任命権者として考えた場合、県は中立な立場ではないのではないか」というものがあったと、前川官房長は会見で明らかにしたうえで、
「基本的には、文科省で人選を行います。県の教育委員会からこういう人を入れてほしいという要望があれば検討しますけれども、基本的には文科省で決めたい」
 と、あくまでも県より国の主導で行うことを強調した。さらに、こう付け加えた。
「それ(校長の任命権)が検証されるのであれば県(の存在)は中立性の担保にはなりません。その場合は文科省が監視をする」
 つまり、校長の任命権が検証の対象となる場合は、県を当事者としてみなすというのだ。
 ところが一方で、実際には「検証の中で任命責任そのものを扱うつもりはない」とも説明しており、大川小の当時の校長の人事については検証では触れたくないという思惑も見え隠れする。
遺族が文科省に期待する一方で
“遅すぎる検証”への不安感も
 この4者会談で提案された内容について、真相究明を進めてきた遺族のひとりは、こう感想を述べていた

<4
「54家族それぞれがどんな状況にいるのかというのを、文科省はどの程度わかってくれているのか。
 遺族は、いろいろな努力を積み重ねてきました。たとえば、(説明会や話し合いの)議事録は何回も読んでいるし、いろんな記事も、雑誌も、何回も読んでいる。あの人が当時の状況を分かっているようだと知ると、すぐに話を聞きに行く。そうしてきた状況も分かってもらいたいと思っています。
 検証委員の選び方に、遺族が入るとか、遺族の意志が反映されるとかの仕組みが必要だと思っているんです。
 文科省が委員を選出して、監視するというが、これまで続けてきた市教委との話し合いに、文科省が入ればいいという意見もある。
 また、組織の機能が停止してしまうような構造自体が、議論されるべきなのかなとも思うんです」
 文科省が提示した検証についての不安感は、遺族の中にはまだまだあるようだ。
 遺族が「構造自体が議論されるべき」というように、大川小の被災現場だけではなく、構造的な問題は、県や国のレベルでも起きている。
 私たちの今年7月の取材でも、文科省には1年4ヵ月以上にわたって、県からわずかな報告しか上がっていないことがわかり、そこから、文科省の中には、学校管理下での事故や被災の情報を集めて把握し、教訓として生かすための仕組みがなかったことがわかったのである。
 前川官房長も、会見で、文科省が動き出すのにここまで時間がかかったことや、有識者会議が作成した東日本大震災の報告書のなかには、大川小の問題が事例として触れられていなかったことに対して、反省の意を表明していた。
 会見では、県も、2011年の12月には、当時の高橋教育次長(現教育長)が、市教委に出向いて「検証を促した」と説明していたが、市教委が実際に補正予算を計上して議会に提出したのは、半年後の2012年6月のことだった。
 こうした関係機関による検証の出遅れが事態を深刻化させてきたのは、制度上の問題でもあるのだ。

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会見では、県も、当時の高橋教育次長(現教育長)が、「市教委に出向いて検証を促した」のは、2011年12月だったと説明していたが、市教委が実際に補正予算を計上して議会に提出したのは、そこから半年後の2012年6月のことだった。
 このように、あの日までにどんな備えをしてきたかということと、あの日に何があったのかということ以外に、起きてしまったことへの対処の問題についても、どれも切り離しては語れない。
 子どもたちが落とした命の意味が、こうした制度の谷間や対処の遅れによって、宙ぶらりんなままの状態が続いていることは、実は、私たち国民が向き合っている課題なのではないだろうか。
 遺族によると、3日の4者会談には、遺族54家族のうち、34家族が集まったという。その中には、普段、市教委が主催する説明会や「話し合い」には来なくなっていた人たちも多かったようだ。
 大川小の遺族の中には、真相の究明を目指してきた遺族がいる一方で、あえて“もの言わぬ”ことを選んだ遺族たちがたくさんいる。
 口を閉ざしてきた遺族たちの中にも、「真相を知ることを諦めてしまったのではなく、文科省の動きに対して何かしらの期待をして会談に参加して人も多かったのでは」と、その遺族は言う。
柏葉元校長など市教委、市に対する
遺族からの不信感は未だ拭えない
 4者会談の後、別の遺族から、こんなメールが届いた。
「市教委の対応で、最も欠けていることの一つは、(54遺族)一軒一軒に対して向き合えていないことです。石巻市教育長の家庭訪問も、頓挫しました」
 大川小では、子ども会育成会が主催するスキー教室にも協力的で、教師たちも2年前まで、毎年1人は参加していたそうだ。
 ところが、2009年に、柏葉校長が就任して以降、事態は一変。09年度は教頭先生が宿泊だけ参加し、朝には帰って行った。そして、10年度になると、誰も教師が来てくれなかったため、当時の育成会長はとても不安がっていたという。


大飯停止こそ信頼回復の道、有識者ら 原子力規制委に厳しい意見

2012-11-22 15:25:44 | 日記
しんぶん赤旗       2012年11月22日(木)
大飯停止こそ信頼回復の道、有識者ら
原子力規制委に厳しい意見

 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は21日の定例会で、規制委のあり方について、NPO法人環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏やNPO法人気候ネットワーク代表の浅岡美恵氏ら有識者と意見交換しました。
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 飯田氏は、関西電力大飯原発の破砕帯調査について「あそこだけ動いていて調査が進むという不思議な状況だ」と述べて、止める判断をすれば信頼回復につながると指摘しました。
 冒頭、田中委員長は、「独りよがりにならないよう、忌憚(きたん)のない意見をいただける方をお招きした」と述べ、9月の発足から規制委が進めてきた安全基準の策定作業の状況などを説明。「原子力規制行政の信頼回復が最大の課題」と述べました。
 飯田氏は「福島の事故を規制委の組織で防げるだろうか、事故の進展を防止できたか、絶えずチェックしてほしい」と提言。建設工事が再開された電源開発大間原発についても「古い基準で建設が進んでいる。基準を見直している間、大間原発など建設中の原発は行政指導的な形で建設を止めた方が信頼回復につながる」としました。
 浅岡氏は、規制委の権限について、「新たな規制の施行前だが、現状で危ないものは使用していけませんという使用停止の勧告はできるのではないか」と表明。
 また両氏は、原発の新しい基準を来年7月までに策定することについても、「根底から(基準を)見直すなら、スケジュールありきでなく、見直すべきものは見直して」と述べ、信頼回復につながる内容にするよう、期間延長を要望。
 作家で政府事故調委員を務めた柳田邦男氏は、同事故調では、事故の分析が不十分だったとし、事故調査の継続を求めました。

「第三極」迷走“対極”持たない党の離合集散

2012-11-21 21:46:57 | 日記
しんぶん赤旗              2012年11月21日(水)
主張
「第三極」迷走
“対極”持たない党の離合集散
 総選挙に向け、民主党からの「離党組」を中心とした新党の結成やその合流など、合従連衡を目指す動きがあとを絶ちません。総選挙はかつてない多党化の中で迎える様相です。これらの党は民主や自民・公明に対抗する「第三極」をめざすとしていますが、もともと出自は完全に自民党化した民主党か自民党です。アメリカいいなり・大企業本位の「自民党型政治」を根本から改める立場に立つわけではありません。「第三極」は結局、古い「自民党型政治」に“対極”を持たない勢力の離合集散です。
「維新」「太陽」合流の危険 「第三極」をめざす勢力の迷走ぶりを強く印象付けたのは、橋下徹大阪市長が代表で、反動化の突撃隊となってきた「日本維新の会」と、石原慎太郎前東京都知事が代表だった「太陽の党」の合流です。「太陽の党」は河村たかし名古屋市長が代表の「減税日本」との合流を決めていたのに、一夜で白紙撤回、「日本維新の会」の政策を丸のみする形で合流を決めたのです。代表には石原氏、代表代行には橋下氏が就任しました。
 「原発ゼロ」を口にしたこともある「維新の会」と、原発推進を公言する石原氏との合流は「野合」そのものです。国民に対してまったく無責任です。しかも、石原氏は憲法を否定する言動を重ね、橋下氏は大阪市職員への「思想調査」など憲法を踏みにじる暴挙を重ねてきました。2人が一致する「大同」とは憲法破壊そのものであり、反動的逆流の「突撃隊」誕生の危険は軽視できません。
 「維新の会」は、渡辺喜美氏が代表を務める「みんなの党」とも政策協議や候補者の調整を進めています。一方、石原氏と対立しているといわれる小沢一郎氏が代表の「国民の生活が第一」や、亀井静香元国民新党代表らが発足させた新党も他の党との連携を画策しています。選挙目当ての離合集散は、有権者を無視したものです。
 もともと民主党からの離党者が大半を占める「第三極」の新党は、消費税増税や原発問題などで色合いの違いはあっても、野田佳彦政権のもとで一気に進んだ自民党との一体化政治の根本を変えるものではありません。民主党や自民党など、古い「自民党型政治」の対抗軸にはなりえないものです。
 野田政権が大企業や大資産家への減税を続けながら国民に消費税増税を押し付けるのも、危険な原発への固執や環太平洋連携協定(TPP)参加を強行しようとするのも、自民党政権以来の、アメリカいいなり、財界べったりの政治を変えないからです。政治の害悪に根本からメスを入れないかぎり、「自民党型」の政治を抜け出せないのは明らかです。
自民党型政治に対決する
 自民党政権から交代した民主党の政権がすっかり行き詰まり、「民主党にはがっかり」「自民党にはうんざり」といわれる今回の総選挙で、もっとも大切なのは「自民党型政治」を変えることができる党を「しっかり」選ぶことです。
 創立以来90年の歴史に試され、筋の通った綱領と草の根の組織を持つ日本共産党は、アメリカいいなり・大企業本位の政治を根本から変えることを目指し、経済や外交など各分野の提言を明らかにし、その実現のために行動する党です。「自民党型政治」の根を絶つには、この党の躍進が不可欠です。

ついに国主導で“大川小の惨事”検証へ2

2012-11-21 21:25:26 | 日記
        転記      ダイヤモンド社
ついに国主導で“大川小の惨事”検証へ2
遺族はメンバーに加われない?検証委員会の人選をめぐって疑問も
検証委員会の人数は、5人~10人をイメージ。検証の実働と、検証を担う各部会の人数については、具体的なイメージはまだないということだった。
 検証の委託先と事務局については、文科省と県が選定し、石巻市は、予算を執行するだけになる。
 検証委員会の発注者は石巻市になるが、市の意向に左右されるようなことにならないよう、市や市教委から独立した委員会を立ち上げ、文科省と県教委が、指導・監視する。

4者会談後に、文科省、県教委、市教委が揃って会見を行った。ほとんどの質問を、前川官房長(手前から3人目)がマイクを握って回答。手前は、高橋仁宮城県教育長(2012年11月3日、石巻市河北総合支所)
Photo by Yoriko Kato
 国の予算ではなく、市の予算で検証を行うのは、「学校の管理下で起きた事故である限り、まず市が検証をする責任を負う」「検証は、どのようなケースでも、設置者である自治体で行う必要がある」(前川官房長)とのことだ。
 4者会談で示されたという資料は、A4で3ページ。その中に含まれている「検証のイメージ(案)」によると、検証委員会の「委員等参加」や「支援・協力」の中に、なぜか「東北大学等」と明記されていて、「専門機関としてこの委員会を全力で支援、あるいは参加する」(前川官房長)といった案になっている。
 しかし、検証を求める遺族たちは、東北大学などの地元の大学から委員が選出されることには、「県や市への公正・中立が担保できない」などとして、強く反発している。東北大と関係機関との間ですでに何か進められている話があるのかもしれないが、どんな人物や組織が検証委員会にかかわっていくことになるのかは、遺族の要望や県の意見などもすりあわせて、これから明らかにされていく模様だ。
 その後の記者会見でも、「(いじめ問題の渦中にある品川区教委のように)遺族を委員のメンバーに加えないのか」などと、検証委員会の委員の人選についての質問が多かった。
 文科省の案では、遺族は検証委員会のメンバーには加わらない形になっている。遺族の意見をどう反映させていくかについて、前川官房長は、会見でこう述べていた。
「ご遺族54家族全体を代表できる人がいらっしゃるか。ご遺族に入っていただくとしても、1人とか2人とかという話になると思います。
 けれども、ご遺族に入っていただくよりは、ご遺族でない方で検証委員を構成するけれども、ご遺族のご意見が届くように、ご意見や情報を提供していただく場を最大限作っていくほうが、結果的には客観性や公正性を高めるのではないかと思っております」
 検証の材料として、遺族がこれまで収集してきた情報を提供する場を設けたり、意見を反映させたりするための機会を別に用意する、という考えのようだ。

勤労者世帯の月収 12年間で5.4万円減

2012-11-21 13:10:07 | 日記
しんぶん赤旗              2012年11月21日(水)
勤労者世帯の月収 12年間で5.4万円減
所得増やす政策を
 2人以上の世帯のうち勤労者世帯の勤め先からの月収は、2000年から11年までの12年間に平均額で52万7818円から47万3115円へと5万4703円も下落しています。総務省の「家計調査年報」からわかります。
「中間層」で顕著
 収入の高低順に第10分位から第1分位に分けた階級別にみると、もっとも月収が多い第10分位は7%の収入下落にとどまっています。一方、第6分位で14%、第3分位で13%下落するなど、いわゆる「中間層」での収入の下落が目立ちます。
 第6分位では00年に51万9075円あった月収が11年には44万7953円へと、7万1122円も下がりました。第3分位も37万8223円(00年)から、32万9225円(11年)へと4万8998円もの下落です。
 09年以降の3年間をみると、もっとも月収が少ない第1分位での収入の下落が目立ちます。第1分位の月収は09年に22万7624円でした。しかし11年には21万2846円と1万4778円も下落しています。
 この結果、すべての収入階級の収入合計額に占める第1分位の収入合計額の割合(収入シェア)は09年の4・7%から11年には4・5%へと下落しています。
 相対的に収入の下落幅が小さかった第10分位は同じ期間に収入シェアを18・7%から18・9%へと上昇させています。政権交代後の3年間で収入の上位層と貧困層の格差はさらに広がったのです。
 貧困の増大と格差の拡大の背景に、政治の責任があります。民主党は09年の総選挙のマニフェストに「製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る」と掲げ、「日雇い派遣」の禁止などを盛り込んでいました。また、「最低賃金を引き上げる」として「最低賃金の全国平均1000円を目指す」ことを明記していました。
 しかし、労働者派遣法は自民党・公明党との談合によって、政府案から製造業・登録型派遣の原則禁止を削除し、現行の原則自由化と変わらなくなりました。不安定な日雇い派遣についても、2カ月以内の契約を原則禁止する政府案を30日以内に後退させたうえ、高齢者や主婦などを除外。政令で学生や年収500万円以上の世帯の人は、禁止の例外と定めました。
個人消費が停滞
 最低賃金も今年の改定を経ても時給737円(全国加重平均)で、全国平均1000円からは程遠い状況です。最賃法は最低賃金が生活保護水準を下回らないことをもとめていますが、いまだに達成できていない地域もあります。
 貧困と格差が深刻になることで個人消費が停滞し、日本経済はいつまでたっても回復しません。
 日本共産党は国民の暮らしと日本経済を立て直すために、所得を増やすことを提言しています。大企業の内部にため込まれた260兆円に及ぶ内部留保を日本経済に還元することで、それは可能となります。不当なリストラをやめさせることや、正規雇用が当たり前の社会をつくること、最低賃金を抜本的に引き上げることなどを主張しています。 (清水渡)


あきらめず声をあげよう

老いも若きも安心して暮らせる世の中を 最低年金月七万円 戦争する国つくりダメダメ 投票に行かなければ何も変わらない