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中日春秋(朝刊コラム) 先日逝った水木しげるさんが実体験をもとに描いた総員玉砕せよ!

2015-12-09 09:24:59 | 戦争立法
中日新聞より転載

中日春秋(朝刊コラム)

2015年12月8日


中日春秋
 先日逝った水木しげるさんが実体験をもとに描いた『総員玉砕せよ!』に、こんな場面がある。食糧はおろか明日の水のあてもない南洋の戦場で、兵隊が上官に、問い掛ける

▼「内地は毎日爆撃されてるって話じゃないですか かんじんの内地がめちゃくちゃにやられてたら 一体我々はなにしにこんなところで戦うのでしょうか」

▼七十四年前の今日、日本は米英に宣戦布告をした。圧倒的な国力を持つ米国と泥沼の戦争となり、やがて戦争遂行の大義の前に、「何のための戦争か、何を守るために戦うのか」という問いが抹殺されるようになった

▼その一つの象徴が沖縄だろう。戦中は本土防衛の捨て石にされた。戦後も主権回復の歩みから切り離され、基地の島となった。そして今、辺野古への新基地建設を拒む民意を選挙で重ねて示したが、政府は顧みず、ついに先週、新基地建設をめぐる裁判が始まった

▼政府は「国防上の問題を知事が判断できるはずがない」と言い、翁長雄志(おながたけし)知事は「歴史的にも現在においても沖縄県民の自由・平等・人権・自己決定権がないがしろにされてきたこと」が問題であり、問われるのは「日本に、本当の地方自治や民主主義が存在するか」だと語った

▼自由や民主主義がないがしろにされているとしたら、何を守るための基地、何を守るための安全保障か。そんな素朴な問い掛けである。

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