転記 ダイヤモンド社より
東日本大震災の大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。この世界でも例を見ない「惨事」について、震災から1年経った今、これまで伏せられてきた“真実”がついに解き明かされようとしている。この連載では、大川小学校の“真実”を明らかにするとともに、子どもの命を守るためにあるべき安心・安全な学校の管理体制を考える。
津波からの避難を地域住民に呼びかけた続けた
市職員が知る津波襲来直前・直後の大川小周辺の状況
職員が、A教諭に出会ったのは、翌日、裏山の向こう側の入釜谷生活センターに避難したときだ。
翌朝7時頃、前日に入釜谷の集落に向かった職員が、釜谷地区の住民とともに5~6人で、皆が山に避難している場所へ来て「入釜谷生活センターに行きましょう」と迎えに来たという。山を下りて舗装の道路までは自力で歩き、途中から車に乗って同センターへと向かった。
入釜谷生活センターでは、地元の人たちが引き受け体制をつくってくれていた。ただ、当時、この地区は孤立していた。
「C君が目をこすって怪我していたので、怪我している子どもたちを優先して避難させようという話になったとき、先生に付いていくって聞いたんです。Yシャツを着ていたし、初めて(大川小の)A先生なんだなと認識しました」
当時、陸路が寸断されて、救急車が入れなかったため、怪我した人たちは、途中まで舟に乗せて運んだ。
震災の夜、被災者たちと山で過ごした職員は、3月14日までに、入釜谷生活センターに避難していた人たちのうち「留まりたい」という希望者以外すべて、北上川上流にある飯野川の避難所に送り出した後、総合支所へと戻った。
震災から時が経ち、職員は異動して、防災担当ではなくなった。いま、職員が地域の人たちと当時の話をすることは、あまりないという。
地域の人たちは、大川小の惨事をあまり話したがらないし、どこかタブー視しているようにみえる。少し離れた石巻の市街地でも、大川小の名前を出すと、一瞬、顔を曇らせる人が少なくなく、あまり話題に上ることはないのが現状だ。
写真は11月24日撮影人影他人つんくただダンプが行き交うだけ、線香を手向け合掌礼拝。
子どもたちをはじめ、学校で亡くなった人たちの無念な思いに、残された大人たちは向き合うことがないまま、こうして風化が進んでいくのだろうか。
(池上正樹)
大川小学校関係者や地域の方、一般の皆さまからのお話をお聞きしたいと思っています。情報をお持ちの方は、下記までお寄せください。
teamikegami@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)
東日本大震災の大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。この世界でも例を見ない「惨事」について、震災から1年経った今、これまで伏せられてきた“真実”がついに解き明かされようとしている。この連載では、大川小学校の“真実”を明らかにするとともに、子どもの命を守るためにあるべき安心・安全な学校の管理体制を考える。
津波からの避難を地域住民に呼びかけた続けた
市職員が知る津波襲来直前・直後の大川小周辺の状況
職員が、A教諭に出会ったのは、翌日、裏山の向こう側の入釜谷生活センターに避難したときだ。
翌朝7時頃、前日に入釜谷の集落に向かった職員が、釜谷地区の住民とともに5~6人で、皆が山に避難している場所へ来て「入釜谷生活センターに行きましょう」と迎えに来たという。山を下りて舗装の道路までは自力で歩き、途中から車に乗って同センターへと向かった。
入釜谷生活センターでは、地元の人たちが引き受け体制をつくってくれていた。ただ、当時、この地区は孤立していた。
「C君が目をこすって怪我していたので、怪我している子どもたちを優先して避難させようという話になったとき、先生に付いていくって聞いたんです。Yシャツを着ていたし、初めて(大川小の)A先生なんだなと認識しました」
当時、陸路が寸断されて、救急車が入れなかったため、怪我した人たちは、途中まで舟に乗せて運んだ。
震災の夜、被災者たちと山で過ごした職員は、3月14日までに、入釜谷生活センターに避難していた人たちのうち「留まりたい」という希望者以外すべて、北上川上流にある飯野川の避難所に送り出した後、総合支所へと戻った。
震災から時が経ち、職員は異動して、防災担当ではなくなった。いま、職員が地域の人たちと当時の話をすることは、あまりないという。
地域の人たちは、大川小の惨事をあまり話したがらないし、どこかタブー視しているようにみえる。少し離れた石巻の市街地でも、大川小の名前を出すと、一瞬、顔を曇らせる人が少なくなく、あまり話題に上ることはないのが現状だ。
写真は11月24日撮影人影他人つんくただダンプが行き交うだけ、線香を手向け合掌礼拝。
子どもたちをはじめ、学校で亡くなった人たちの無念な思いに、残された大人たちは向き合うことがないまま、こうして風化が進んでいくのだろうか。
(池上正樹)
大川小学校関係者や地域の方、一般の皆さまからのお話をお聞きしたいと思っています。情報をお持ちの方は、下記までお寄せください。
teamikegami@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます