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📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

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2023-03-02 | 村上春樹(翻訳物)

 

レイモンド・カーヴァー
訳 村上春樹
『ぼくが電話をかけている場所』★★

 

中々手に入らなかった春樹の初期の翻訳本

昭和58年7月 中央公論社刊

1986年1月10日 初版
1989年9月5日  13版

初版本じゃないけど、ぱらりと捲ると古本の香り

 

レイモンド・カーヴァー・・
レイモンド・チャンドラー・・

過去の備忘録にはないけど傑作選は持っているはず。

短編と詩を主としためずらしいスタンスの作家さん。

 

レイモンド・カーヴァー - Wikipedia

レイモンド・カーヴァー - Wikipedia

レイモンド・カーヴァー - Wikipedia

 

 

 

・ダンスしないか?



・出かけるって女たちに言ってくるよ

 どういう展開なのかアメリカっぽいね。
 日本じゃ・・ないない。

 

 

・大聖堂

 わけのわからない盲人って・・(苦笑)
 三人でがつがつと夕食を平らげる描写が臨場感

 

 

・菓子袋

 主人公が本のセールスをしている。
 そこから『中国行きのスロウボート』の百科事典販売の中国人が浮かんだ。

 

 

・あなたお医者さま?

 「私たち会うべきだと思うの」

 

 

・ぼくが電話をかけている場所

 引き続き電話がキーワード?

!!!
これは驚き 春樹の原点(と言えるよね?)井戸の話はここからもらったのね。
是非 春樹好きは読んでみて下さい。

抜粋は省略

 

 

・足もとに流れる深い川

 よく読み込まないと彼女の思考が・・オチを求めてはいけない。

 春樹のあとがき(巻末)にあるよう、カーヴァーは奇妙な執筆作業をする人らしく、
 ひとつの物語をリトライして短くしたり、長くしたりしていた。これは長い方の版

 

 

・何もかもが彼にくっついていた

 

 

 

ちなみにこの文庫本 定価290円です。
290円!!(1989年9月)

今がどれだけ文庫本の値段が高いかよく分かります。

 





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2022-02-14 | 村上春樹(翻訳物)

 

マーセル・セロー
訳 村上春樹
『極北』★★★

 

この危機は、人類の未来図なのか―—

極北 FAR NORTH

2020年1月25日 初版発行

 

My本箱に眠っていた本
読書会で自ら推薦したらあっさり了承を得た。

何の前情報もなく、表紙と帯を眺めサバイバル小説なんだろうなと。

どこまでも広がる雪原
主人公はどこへ向かうのか。

 

---著者紹介

マーセル・セロー
1968年ウガンダに生まれ。英国で育つ。
ケンブリッジ大学で英文学を、イエール大学でソヴィエト、東欧の国際関係を研究。環境問題から日本の「わびさび」まで、多様なテーマのドキュメンタリー番組制作に携わるほか、2002年に発表した小説 The Paper Chase でサマセット・モーム賞を受賞
本書『極北』は全米図書賞及びアーサー・C・クラーク賞の最終候補となり、「主要な文学賞が見過ごしている格別に優れた作品」に贈られるフランスのリナペルスュ賞を受賞
その他の作品に Strange Bodies などがある。

 

---

 

近未来が舞台(最初は北斗の拳「ケンシロウの世界」をイメージ)
しかし砂埃って言うより雪原な世界ってことで、どう想像してよいのか?

アラスカを旅する旅行記の白夜な風景

一体どこに連れてゆかれるのだろう?
とっかかりの率直な感想


3日ぐらいで一気読み(読書会の二日前)
翻訳本はそうしないと横文字→名前と街名等を忘れてしまう。
そのまま読み飛ばすことが出来ない質なので、見つけて納得しないと進めない(^▽^;)

 

 

--- Memo(忘れた記憶)

 

ビル・エヴァンス

 

カインとアベル(訳注・旧約聖書に登場するアダムとイブの子。兄のカインがねたみから弟アベルを殺してしまう)

 

ハンソム
 囚人たちの中には野獣そのもののような人間がいた。ハンソムと呼ばれる男

 

 

 

善き事ことをおこなうのに言葉はいらない。

 

 

 

ポリン
 巨大な工業都市 人口は十万を超えていた。

 私はロシアのポリンで生まれました。

 

私は双眼鏡を上着に入れた。

 

 

 

私がどのような道を選んだところで、結果はいつだって変わらない。いずれにしても悪しきことは起こるのだ。都市は燃える。愛するものは死ぬ。飛行機は墜落する。私は別の飛行機を探す。ようやくそれを見つけたとき、そこにはイーベン・カラードが乗っている。

 

 

 

イーライ・ローゼンバウム

 

 

 

「ルディー・ベラスケスのことを覚えているか?」
  どうしてもこの人がどこに出てきたか探したが見当たらず・・(読書会の質問事項①)

 

 

---

 

ネタバレかな?
まず主人公の性別の展開に驚く。
「警官」「荒廃した街をパトロール」「独り」
このキーワードから想像しちゃうと(^▽^;)たくましく育ったのね。

そう言えば昔ハムのCMで「たくましく育ってほしい」ってあったよね。


311を彷彿、それ以前にチェルノブイリかな。
でも書かれたのが2011年以前ってことは、チェルノブイリの方かと思われる。

 

ラストがあまりしっくりこなかった。
そう突っ込みどころ満載

 

読書会で「新鮮さがないかな」って言ったら即「それは必要ないんじゃない」って。
もっと早く読んでいたらまた違っていたんじゃないかと。

今じゃ当たり前に定着している状況に慣れてしまっているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

お次の課題本は話題な芥川賞 早速新作のハードカバーGET



砂川文次『ブラックボックス』です。


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J

2021-07-15 | 村上春樹(翻訳物)

 

ジョン・グリシャム
訳 村上春樹
『「グレート・ギャツビー」を追え』★★★★


一ヵ月ぐらい前に読み・・書こう書こうと思っている内忘却・・
新しめな(2020年10月発行)春樹の翻訳本です。


 

OGPイメージ

S - ◆BookBookBook◆

スコット・フィッツジェラルド春樹訳『グレート・ギャツビー』★★★★★よく「人の評価は棺桶の蓋を閉めてみないことにはわからない」と言われるが、...

S - ◆BookBookBook◆

 

 

--------(抜粋)


プリンストン大学図書館の厳重な警備を破り、フィッツジェラルドの直筆原稿が強奪された。
消えた長編小説5作の保険金総額は2500万ドル
その行方を追う捜査線上に浮かんだブルース・ケーブルはフロリダで独立系書店を営む名物店主
「ベイ・ブックス」を情熱的に切り盛りするこの男には、希覯本収集家というもう一つの顔があった。
真相を探るべく送り込まれたのは新進小説家のマーサー・マン
女性作家との〈交流〉にも積極的なブルースに近づき、秘密の核心に迫ろうとするが……。

あのグリシャムの新たな魅力を楽しむ
本好きのための快作!

〈独立系書店店主が事件の鍵を握る!?〉全米ベストセラー



--------

この筆者は映画の『ペリカン文書』で有名な作家さん
なつかしい!



翻訳本なのに春樹らしさが匂うかと思ったらそうでもなく、
翻訳者として成功している感 それは意識したものなのかな。

 

---

 

「過去十年間、彼らは自分たちは結婚していると広言してきた。ニースの小高い丘で結ばれたのだと。ロマンティックなお話だけど、それは真実じゃない。二人は結婚していない。いわゆるオープン・マリッジというやつ。彼も好きに遊ぶ。彼女も適当に遊ぶ。でもいつも最後には元の鞘に収まる」

 

---

 






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2020-10-15 | 村上春樹(翻訳物)

 

レイモンド・チャンドラー
訳 村上春樹
『大いなる眠り』★★★★
 
 
私立探偵フィリップ・マーロウ
知る人ぞ知る ですな。
 
こちらシリーズ第一作の新訳版(春樹の訳はよきです!)
 
作品は多々あって楽しみは続く。
 
しかしマーロウ33歳!?
自分より年下かと思うとあまりに稚拙さに愕然とする(笑)
渋いぜマーロウ
 
 
自分でもビツクリしているが、並行読書が10冊を超えてしまった・・
飽きっぽさにも程がある!
泣きたくなる。
うえーんって子供みたいに泣く女(それも料理を作りながら(笑)
泣くって浄化
 
ウィットに富んだ会話にクスッとして、
味がある作家と好きな作家の翻訳本ににっこり。
 
 
 
---
 
 
 
「こんなことしてただで済むと思うなよ、とは言わないのか」と私は言った。私は身を乗りだし、オーバーコートのポケットから拳銃を取り上げた。「最近、みんなが私に拳銃をくれるんだ」と私は言った。「その重みで身体が曲がって、まともに歩けないくらいだ。もう行っていいぜ」
 
 
 
---
 
 
 
翌朝も雨が降っていた、クリスタル・ビーズのカーテンが揺れるような、斜めに降る灰色の雨だ。ぐったりと疲れ果てた気分で、窓際に立って外を眺めた。
 
 
 
---
 
 
 
「警察にできなくて、おたくにできることが何かあるのか?」と市警失踪人課のグレゴリー警部に尋ねられて、マーロウは「何もない」と答えるしかない。それは実に正直な答えだ。個人が正面から勝負をして、組織に勝てるわけはない。しかしそれと同時に、マーロウは警官には決して手にできないものを手にしている。それは「自由」だ。個人であることの自由だ。
 
 
 
---
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
翻訳本も増えてきたし、「春樹翻訳」カテゴリー作成しよう。
 
 
 
新幹線移動で読む読む。
 
 
次作はMy本箱に眠ってます★

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J

2020-09-02 | 村上春樹(翻訳物)

 

ジム・フリージ
訳 村上春樹
『ペット・サウンズ』★★
 
 
中々見つからなかった翻訳本
代官山の蔦屋にあった。
 
さて世代的に全く分からない未知なビーチ・ボーイズの名盤
『ペット・サウンズ 』
それをテーマに描かれた物語
 
新しいものへの入り口があり、古いものからの出口がある。
 
読んでいて裏淋しい気持ちになってしまった。
放り出そうかとも思ったけどやめた(笑)記しておこうと。
 
 
---
 
 
今の若い人に「ビーチ・ボーイズはかつて、ビートルズと同じくらい優れたバンドだったんだよ」なんて言ったら、おそらく変な顔をされるのがおちだろう。でもそれは嘘じゃない。
 
 
---
 
YouTubeで聴いてみた。
んー・・
『Sufin´U.S.A.』を聴いてあぁこの曲って分かった♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


夏の終わり
台風シーズン到来!

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R

2020-06-08 | 村上春樹(翻訳物)

 

レイモンド・チャンドラー
訳 村上春樹
『ロング・グッドバイ』★★★★

 

言うまでもない傑作
これぞ旧きよきハードボイルド
女子にもその渋さ分かります。

探偵と美女(それも完璧な)そして大富豪 ギャングも登場

多くは語らない。

 

春樹の熱き想い それは解説を読むとよく分かる。

 

長きに渡り時間がかかってしまった・・
いつかまた忘れた頃に再読したい。
(清水俊二訳もちょっぴり気になるところ)

 

---

 

「夕方、開店したばかりのバーが好きだ。店の中の空気もまだ涼しくてきれいで、すべてが輝いている。バーテンダーは鏡の前に立ち、最後の身繕いをしている。ネクタイが曲がっていないか、髪に乱れがないか、バーの背に並んでいる清潔な酒瓶や、まぶしく光るグラスや、そこにある心づもりのようなものが僕は好きだ。バーテンダーがその日の最初のカクテルを作り、まっさらなコースターに載せる。隣に小さく折り畳んだナプキンを添える。そのいっぱいをゆっくり味わうのが好きだ。しんとしたバーで味わう最初の静かなカクテル――何ものにも代えがたい」
私は賛辞を表した。
「アルコールは恋に似ている」と彼は言った。

 

---

この描写!

迷わず「ギムレット」ですな(知人がステイホーム中作ってくれた写真を拝見)

 

 

 

---

 

少なくとも彼女は若く美しいまま死んだ。放蕩は男を老けさせるが、女を若く保たせると人は言う。

 

---

 

「一家に一人の酔っぱらいで十分」と彼は私の顔をじっと見て言った。

 

---

 

「ものごとの陰には常に女あり」と彼女は静かに言った。「ちらちらとほの見える、というところかしら。それはべつに宿命的な相手である必要はありません。でも、私たちの話のポイントはどうもすれ違っているみたいですね。それとも私たちは、まったく違うものごとについて話をしているのかしら」
「そうかもしれない」と私は言った。

 

---

 

遅くに帰宅したとき、くたびれて気が滅入っていた。空気はもったりと重く、夜の物音はくぐもって遠くに聞こえた。霞のかかった月が、空の高いところに我関せずという顔で浮かんでいた。部屋の中をあてもなく歩き回り、レコードを何枚かかけたが、ほとんど聴いてもいなかった。どこかからこちこちという規則的な音が聞こえてくるような気がした。しかし家の中にそんな音を出すものはない。
それは私の頭の中で鳴っている音だった。私は独歩する死の時計なのだ。

 

---

 

私はキッチンに行ってコーヒーを作った。大量のコーヒーを。深く強く、火傷しそうなほど熱くて苦く、情けを知らず、心のねじくれたコーヒーを。それはくたびれた男の血液となる。

 

---

 

 

 

 

 

 

 

 



ハヤカワ文庫って普通の文庫本の規格とちがう なぜ?

 

さてお散歩に出よう!わんことGOGO


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J

2017-05-13 | 村上春樹(翻訳物)



ジョン・ニコルズ
訳 村上春樹
『卵を産めない郭公』★★★


村上柴田翻訳堂 第二弾

沖縄読書に持参した『動くものはすべて殺せ』
厚めのハードカバーで数行読んだだけでスーツケースの中だけの物語に・・
ふらりと那覇のジュンク堂
中々よい品揃えで田舎とバカにしてはいけない(汗)
色々物色したけど『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』がインパクト強
重版を重ねているのもあるしいつか読んでみたい。
ちょっとした覚悟は必要


さて選んだのは春樹の新作ね。


舞台は60年代前半
翻訳物でも色褪せることなく生き生きしている。
そういう春樹の文字の羅列が好きなのかもしれない・・


巻末の解説セションも中々おもしろい。


「切実さ」


独特のプーキー語にはアタマを悩ませるよりサラッと流した方よし(笑)


村上「この人のユーモアの感覚が、なかなかいいんです」
そうユーモアは大事よね。
何度も挫折してるジョン・アーヴィング再トライしようかしら・・

















































あっという間の6日間
独り旅だったはずが独りの時間がちょっとだけだった沖縄の旅

新たな出逢いの数々
初対面で怖気づいている暇なんてない(笑)



名護の山中で一瞬空を眺めただけで北斗七星を見つけた☆
「よく一瞬で分かったね」
田舎での日課だった駐車場での星空観察



そう 前回の翻訳本備忘録を読み返したら、奥多摩で天体観測をしていて・・
回想に「過去に想いを巡らしてしまった」とあり、星空にはそういう気持ちを引き出す力があるのかもと。
想い出が多すぎるってね(笑)

それから一ヶ月もしない内に出逢ってしまった。

理由付けしようとしてる?
運命の人って何だろうね。


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T

2017-03-27 | 村上春樹(翻訳物)

 



ティム・オブライエン
訳 村上春樹
『本当の戦争の話をしよう』★★★★


原題は“The things they carried.”― 直訳するなら「彼らが担ったもの」

やっと読むことが出来た。



抜粋した文面が全て消えてしまった!
もぅ何度目?あぁ

記憶を辿る



---



あの可哀そうな野郎はただばたっとまっすぐ前に倒れただけなんだぜ。ズドン・ばたっ、それだけ。それは四月半ばのよく晴れた朝のことだった。


みんなあれ見るべきだったね、あっというまだったんだ、あの可哀そうな野郎はまるでもうコンクリートみたいにただばたっと倒れたんだぜ。ズドン・ばたっ、セメント袋みたいだったね。



「離れてるけれど結びついている」というのはいったい何を意味するんだろう?



こいつ死んじゃったぜ。こいつ死んじゃった、と彼は言い続けていた。それはすごく深遠な言葉のように思えた。こいつ死んじゃってる、本当だぜ。



本当にあっという間の出来事だったな、と彼は思った。どたっと倒れたらもう死んでた。何も感じない。ただびっくりしただけだ。



ズドン・ばたっ、もう死んでいる。その真ん中はない。



---



「よう、今日の戦争はどうだったい?」
「メロウだねえ。いやあ、今日の戦争は実にメロウだったよお」



物語が過去を未来に結びつけるのだ。物語というのは夜更けの時刻のためのものだ。どのようにして過去の自分がこうしてここにいる今の自分につながっているのかわからなくなってしまうような暗い時刻のための。物語というのは永遠という時間のためのものだ。記憶が消滅してしまい、物語のほかにはもう何も思い出せない
時間のための。



---



その夏確かだったことは、人々が精神的に混乱しているという事実だけであった。理由もわからずに戦争なんてできない、というのがそのときの私の意見だったし、その意見は今でも変わらない。もちろん本当に何かわかるなんてことは不可能である。しかしいやしくもひとつの国家が戦争に向かうときには、国家は自らの正義に対するしかるべき確信を持ち揺るがざる根拠を持つべきである。間違っていたからあとで修復しますというわけにはいかないのだ。一度死んでしまった人間は、どれだけ手を尽くしても生き返りはしないのだから。


私は自分の身が危険にさらされるなんて思ってもみなかったのだ。自らの人生の岐路がすぐそこに迫っていることにも思いいたらなかったのだ。お気楽にも、どうしてそんなことを思ったのか自分でも見当がつかないのだが、適当にいろんなことがうまくいって、殺したり殺されたりといった問題は自分の身にだけは降りかかってこないものと決めこんでいたのだ。


私は死にたくなかった。それは言うまでもないことだ。



まだ八月だったけれど、あたりにはもう十月の匂いが感じられた。
~紅葉した樹木、きりっと澄んだ空気。私は高く青い空を思い出す。



---








どんな戦争の話をするときでもそうだが、とくに本当の戦争の話をするとき、そこで実際に起こったことと、そこで起こったように見えることを区別するのはむずかしい。起こったように見えたことがだんだん現実の重みを身につけ、現実のこととして語られることを要求するようになる。映像のアングルが歪んでくる。



多くの場合、本当の戦争の話というものは信じてもらえっこない。すんなりと信じられるような話を聞いたら、眉に唾をつけたほうがいい。真実というのはそういうものなのだ。往々にして馬鹿みたいな話が真実であり、まともな話が嘘である。何故なら本当に信じがたいほどの狂気を信じさせるにはまともな話というものが必要であるからだ。
ある場合には君は本当の戦争の話を口にすることさえできない。それは時としてあらゆる言葉を越えたものであるからだ。



本当の戦争の話というのはいつまでたってもきちんと終わりそうにないものだ。そのときも終わらないし、そのあとでもずっと終わらない。













---



もっと別の考え方ができたらなと彼は思った。でもそれ以外に考え方はありえなかった。きわめて単純明快で、きわめて決定的だった。



---



私はかつて兵隊だった。そこにはたくさんの死体があった。本物の顔のついた本物の死体だ。でも当時私は若かったし、それを見るのが怖かった。おかげで二十年後の今、私は顔を持たぬ責任と、顔を持たぬ悲しみを抱えている。



---



その長い雨中での一夜を過ごしたあとで、私は体の芯まですっかり冷えきってしまったように思えた。すべての幻想は消えてしまった。自分に対してかつて抱いていた野心や希望はすっかり全部泥の中に吸い込まれてしまった。それから何年ものあいだ、その冷やかさは体から抜けなかった。人生において時折、私はきちんとうまく感情を抱くことができないことがあった。悲しみやら憐れみやら情熱やらが、どうしても湧いてこないのだ。それというのもきっとこの場所のせいだと私は思ってきた。そして私は、かつての私が失われてしまったのもこのせいなのだと思っていた。二十年間というもの、この野原こそがヴェトナムという名の消耗すべてを、野卑さと恐怖のすべてを具現しつづけてきたのだ。



---



「心配すんなって」
「脇をちょっとやられただけだ。妊娠してなきゃ何の問題もない」
「ぎゅっと押さえてるんだぞ」
「赤ん坊のことは心配するな」

「楽しい旅をな」



撃たれるという経験をすると、人はそこからささやかなプライドのようなものを得ることができる。



我々は敵のことを幽霊と呼んだ。「悪い夜に幽霊が出てくる」と我々は言う。スプークされる(幽霊を見る・脅えるの意味)というのは我々の専門語ではぞっとするというだけではなく、殺されるということである。「スプークされるなよ」と我々は言う。「気を落ち着けて、生き残るんだ。」あるいはこう言う、「気をつけろ。幽霊がいないなんて思うなよ。」奥地はまさに幽霊の国のようだ――影、トンネル、闇の中で燃えるお香。幽霊の土地だ。



心理学について多少は心得てる。かんかんでりの真っ昼間に君は誰かを怖がらせることはできない。日が暮れるのを待たなくてはならない。暗闇が内面から人を締めつけるからだ。人は外的世界から切り離され、想像力がそのあとを埋める。こういうのは基本的な心理学だ。



君の後ろにいる幽霊と君の前にいる幽霊と君の体の中にいる幽霊。


夜はもうほとんど明けかけていた。靄のかかった銀色の夜明けだった。しばらく我々は何もしゃべらなかった。



---



まるで秋の始めのような涼しくてよく晴れた朝だった。ジェット機は青空を背景につややかに黒く光っていた。



「私、死んでいるように見えるかしら?」



「そうね、今のところ私は死んではいない」
「でも死んでいるときには、私はまるで……なんて言えばいいのかしら、それはちょうど誰も読んでいない本の中に収まっているような感じだと思う」
「本の中?」
「古い本よ。それは図書館の上の方の棚にあるの。だから何の心配もないの。でもその本はもうずっと長いあいだ貸出しされていないの。だからただ待つしかないわけ。誰かがそれを手に取って読み始めてくれることをね」



---



上手くゆかなかった抜粋・・
再読時にはリアルタイムな気持ちを。




































リフト約15分停止
宙吊りのまま・・
「ある意味監禁だよね」
ぽかぽか陽気な春だからのんびり景色を楽しんだり冗談言って紛らわせてたけど、
吹雪いてたらアウトでしょ~
「リフトから降りたりしないで下さい」
途中からアナウンスが流れたけど、そりゃあ降りたくもなるよね。
「トイレ我慢してなくてよかったよね」




























私たちは最高な時を過ごしている。
月夜野
「星見える?」




























春の冷たい雨の中
新宿でちょうど一時間
どんな気持ちで待っていたんだろう?
案外わたしよりロマンチックなのかもね。








今さらだけど『ヨシヒコ』おもしろい。


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M

2017-01-30 | 村上春樹(翻訳物)

 



編訳 村上春樹
『恋しくて Ten Selected Love Stories』★★


いろんな種類の、
いろんなレベルのラブ・ストーリー

個人的には『 L・デバードとアリエット - 愛の物語』がグッときた。
春樹曰く「短編なのに、まるで大河ドラマを思わせるような壮大な歴史小説仕立てになっている」
まさしくそんな作品です。


下記参照

-----------



*愛し合う二人に代わって(The Proxy Marriage) マイリー・メロイ

*テレサ(Theresa) デヴィッド・クレーンズ

*二人の少年と、一人の少女(Two Boys And A Girl) トバイアス・ウルフ

*甘い夢を(Sweet Dreams) ペーター・シュタム

*L・デバードとアリエット - 愛の物語(L. Debard And Aliette - A Love Story) ローレン・グロフ

*薄暗い運命(A Murky Fate) リュドミラ・ペトルシェフスカヤ

*ジャック・ランダ・ホテル(The Jack Randa Hotel) アリス・マンロー

*恋と水素(Love And Hydrogen) ジム・シェパード

*モントリオールの恋人(Dominion) リチャード・フォード

*恋するザムザ(Samsa In Love) 村上春樹



-----------

抜粋はなし。
ただ最後の『恋するザムザ』
「誰かに会いたいとずっと思っていれば、きっといつかまた会えるものだよ」
それがまさに現実になったばかりで。
念!?何か通じる想いがあるのかもしれない。ただ怨念にならないよう・・(苦笑)

恋をするということ。































初夢に出てきたブレスレット バリ夢










毎朝富士山がキレイに見えるか見えないかを見るのが日課
朝陽を浴びてパワーをもらう。

 

新しい街に越してきて、やっと慣れはじめた朝の通勤時読書最初の一冊となりました。
ガラッと変わった生活 まさかこうなるとはね(笑)


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C

2016-12-04 | 村上春樹(翻訳物)



カーソン・マッカラーズ
訳 村上春樹
『結婚式のメンバー』★★

 

村上柴田翻訳堂
シリーズ開始 第一弾

カバーをかけずに毎回表紙の3人を眺めてから読んだ。
バッグに入れて色々な場所に連れて行ったから、
表紙は少々色褪せ、擦り切れてしまった。。
味がある本とも言える?

旧き良きアメリカ南部の田舎町

これぞ想像力


とても描写がキレイで何度も読み返した文が多々あった。
さすが春樹?



---








街の歩道は早朝と夜には灰色だったが、昼間の太陽がそこに釉薬をかけ、焼きついたセメントはまるでガラスみたいに眩しく輝いた。








夕方の空は青白く空虚で、台所の空から洩れる明かりが暮れゆく庭に黄色い四角形の照り返しをつくりだしていた。








まだ六時半になったばかりで、夕方の一刻一刻が眩しい鏡のようだった。








その日は土曜日で、彼女は街に出かけたのだが、出口のない空白の夏はもう終わりを告げ、突然彼女の前に街は大きく開かれた。そして新しいあり方で彼女は街に属していた。








夜明けの柔らかな灰色は薄らぎ、空は水彩絵の具の淡いブルーに塗られたばかりで、まだ乾ききっていないように見えた。きらきらと輝く空気は新鮮で、茶色く日に焼かれた芝生には涼しげな朝露が降りていた。








「灰色の目はガラスの目」








黄昏は白みを帯び、長い時間続いた。八月には一日は四つの部分に分けことができた。朝と午後と黄昏と暗闇に。黄昏の時刻には、空はちょっと不思議な青緑色に染まる。そしてほどなく白へと褪せていく。空気は柔らかな灰色で、あずまやと潅木は次第に暗さを増していく。その時刻になると雀たちが群れて、街の上空を飛び回る。街路に並ぶすっかり暗くなった楡の木から、八月の蝉たちの声が響く。黄昏時の音は鈍くくぐもり、いつまでも消えずに漂っている。








「わたしは一本の緑の木を見る。わたしにとってそれは緑色なの。そしてあなたもそれを緑色だと言う。わたしたちはそのことで同意する。でもあなたが緑と考えている色は、わたしが緑として考えている色と同じかしら?あるいはわたしたちは二人とも、ある色を黒と呼ぶかもしれない。でもだからといって、わたしが黒と考えるのが、あなたの考える黒と同じとは限らないでしょう?」








「でもこういうこともあるの。あなたがこれまで、そんなことを考えたことがあるかどうか、わたしにはわからないけれど。つまりわたしたちは今こうして、ここにいるじゃない。ちょうど今、この瞬間。でもわたしたちが話しているうちに、この瞬間は過ぎ去っていく。そしてもう二度と戻ってはこない。世界中探しまわっても、どこにも見つからない。ただふっと過ぎ去ってしまうだけ。この地上にあるどんな力をもってしてもそれを引き戻すことはできない。ただ消えてしまう。それについて考えたことはある?」








---

抜粋をしてなかったけど、再度ぱらぱら見ているとこうやって出てくる。


翻訳というのは究極の再読なのだ――



「気の触れた夏」

最初の出だしが、
「緑色をした気の触れた夏のできごとで、フランキーはそのとき十二歳だった」
だからね<



























「雑めく」






「嘘はつかない。わたしは子供が大っ嫌いだ。言ったぞ正直に」



「他の人がどう思おうと気にしないで。分かった?」



「待つのは嫌いだ」



「善意は見返りを求めた時点で消える」








奥多摩 星空Night☆
初めて天体望遠鏡を持参して冬の星空を眺めた。
気温は2℃
トレーナーの上にパーカー2枚でも寒くなかった。
ただしおなかと腰にホッカイロ


申し訳ないけど、過去に想いを巡らしてしまった。
これは悪縁と言えるのか?それとも?
時間だけが過ぎてゆく。焦り?

真夜中の首都高の新宿を過ぎたあたりで限界
想い出が多すぎる。


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