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📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

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2022-10-18 | 作家別諸々(あ行)

 

 

阿部和重
『ブラック・チェンバー・ミュージック』★★★

 

初作家さん
伊坂幸太郎との共著『キャプテンサンダーボルト』未読

阿部和重 - Wikipedia

『グランド・フィナーレ』で芥川賞受賞 全然知らなかった(^▽^;)無知



目を惹く装丁から何も読み取れなかった。
単純に音楽系?

 

冒頭

---

わたしは政治家でなかったら、映画監督になっていたでしょう

 金正日『人間の証し—』


---

ん?興味がわく。読んでみることにした。

 

初出 「毎日新聞」2019年8月1日~2020年12月3日
単行本化にあたり加筆修正をしました。

 

全P478

 

一つ突っ込み
なぜに三度目の横口健二にふりがなが??

 

一夜にして一気に読み進めて週末突入

キーワードはヒッチコック

アルフレッド・ヒッチコック - Wikipedia

アルフレッド・ヒッチコック - Wikipedia

アルフレッド・ヒッチコック - Wikipedia

 

 

 

編集者の知り合いを渡り歩き、映画論を専門とする大学教授に辿り着いたあたりから進展
大学教授のキャラ濃い愛人?恋人あたりから繋がり、神保町の古本屋さんへ。
その店主がまさかのバイト風

お互いの意思疎通が取れ愛の告白(独白)
拷問病院への拉致で睡魔に襲われ、そこからの脱出
探し物は沢口のバッグ(!?)
キャリーバッグだとは想像がつく。
そして再び神保町の古本屋さんの店主との対面

 

P280

 

---



「自分の意思で選んだことですから問題ありません。それにわたしは、どんなリスクがあっても事実を知ることにこだわってしまうタイプの人間なので、なにもかもつつみかくさず打ちあけてくださればあとはそういうものだと納得します。」



---

新潟ヤクザのヒッチコック論探しの露呈

 

やはり初作家さんは先読みも、パターンも未知だから展開の想像が出来ない。ブラック・チェンバー・ミュージック

 

 

そしてハナコお別れの時
新潟から船出の場面で再び睡魔・・( ゚Д゚)ネムヒー
結局失敗して戻ることになり密入国者用の宿舎で療養

尾行者のリアル

---



「調査協力?」
「はい」
「なんの調査でしょう?」
「横口さんは先月下旬から密入国者をかくまってらっしゃいますね?」



---



真偽が反転している鏡の世界

 

---

 

トランプ大統領の隠し子!?

 

 

---

 

「ただ、どちらにしても確たる証拠がありません。伝聞と想像の組みあわせただけでは説得力を持ちませんから、結局なにも動かせない。せいぜいこんな窓もない密室みたいな部屋にこもって、部外者のあなたひとりに向かって世間話のように推論を語りつぐことくらいしかできません。それ以上の行動は今のわたしには許可されていませんから、あいにくここで全部おしまいにせざるをえないのです」

 

 

「今後は二度とお会いするつもりはないと先にことわってありますが、ただ正直、わたしは無理を押して長時間あなたのご要望に応えたわけです。これは結構な貸しをつくったと理解してよろしいのではないでしょうか」

 

---

 

浅草での鬼ごっこ

そして大団円

 

最後は相合傘でEND///

 

 

共著を出しているぐらいだから伊坂幸太郎系
ちょっとしたドタバタ劇(殺し屋風ヤクザも出てきたしね)

お天気が微妙な週末に映画を観たような読後感
たまにはゆっくり過ごすのもよき。
お部屋の中は仏壇に飾ってある百合の花の香りが広がっている。


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U

2022-10-01 | 作家別諸々(あ行)

 

宇佐美りん
『推し、燃ゆ』★★

 

芥川賞受賞作
読書会の課題本だった本(その回は不参加だった)

「中々よかったよ」と聞き、図書館で予約して忘れた頃にやってきた。
だって薄っっすいハードカバーで1400円って・・買うわけない。
こんなに高くて本離れするのに歯止めがきかないよね。
ただの紙なのに。どれだけぼったくるのか。

最近は100円ブックオフがお気に入り(^▽^)/安っ

 

 

 

推し、燃ゆ :宇佐見 りん|河出書房新社

 

推し、燃ゆ :宇佐見 りん|河出書房新社

推し、燃ゆ 逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島...

河出書房新社

 

「推し」がいるかいないか。
いないんだけど、少し気持ちが分かる ような 気が する。

どちらかと言うと器用に立ち回れるわたしですが・・年の功とも言う。

 

先日も会社の産業医さんの講話で「発達障害」の話が出たばかり。
社会に出ても周りの人と上手く馴染めず、その周りも戸惑ったり。
本人には悪気があるわけじゃかく「出来ない」そう。 
そういう生きにくい人達は結構存在していて、それ専門の医療機関の予約は半年待ちだとか。。
アスペルガー症候群もよく聞く。

主人公のあかりの目を通した世界はそういうもどかしいようなどうしようもない、
本人的にはどうしようともがいている感じもない、どうしようもない世界
「推し」が全て。

 

 

 

「秒で読めますよ」

抜粋しようと思ったけどやめた。

 

装丁も含め若さが前面に出ている読みやすい芥川賞受賞作品でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



結構好きな味かも~ DyDo 🍑


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A

2022-09-16 | 作家別諸々(あ行)

 

鮎川哲也
『モーツァルトの子守歌』★★★

 

ちょっぴりブランク安楽椅子探偵最終章です。
もうやりつくした感があるのか、ラスト数章は突っ込みどころ満載です(笑)

眠気も+されちゃった(  ゚Д゚ )ネムヒー

 

--------(抜粋)

 

タフでなければ生き延びられない。三度の飯にも事欠く「わたし」は、仕事を求めて三千里
難事件であろうとも、神の如き洞察力を持つバーテンを訪ねれば……。
安楽椅子探偵譚、三番館シリーズ最終第六集

収録作品 クライン氏の肖像/ジャスミンの匂う部屋/写楽昇天/人形の館/死にゆく者の……/風見氏の受難/モーツァルトの子守歌

 

--------

 

金欠気味な探偵さんが四苦八苦

 



お約束のバイオレッドフィズね。
相談して速攻で解決、二杯目にギムレットが定番

そう言えば先日も西荻のバーでラストにギムレット飲んだわ。

 

 

 

シルクスクリーンの大家?

シルクスクリーン - Wikipedia

 

もはや探偵も必要なくなった最終巻・・(苦笑)
鮎川さんの遊び心満載の一冊と思ってね。

 

 

 

 

 

 

 

 



突如顔が表れて・・にっこり?泣き顔?。

 

 

トリプル台風が発生で今週末の山予定はリスケ
うー念願の涸沢カール
どうなることやら?


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A

2022-09-03 | 作家別諸々(あ行)

 

秋川滝美
『居酒屋ぼったくり』★★

 

会社のコとの同時読書
(未だ三番館シリーズ最終巻未読ですが(^▽^;))
お次の候補が決まらず、そうそう軽く読めそうな本を思い出した。

その名も『居酒屋ぼったくり』ネーミングがインパクト大

 

--------(抜粋)

 

東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」
名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情がある―全国の銘酒情報、簡単なつまみの作り方も満載
旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説、待望の文庫化!

 

--------

瞬時に読めるのも利点
酒飲みとしてのちょっとした気分転換に。

 

 

 





自分好みの日本酒に出逢うと毎回写メる(酔って忘れるので)
先月はこの咲耶美と鍋島

 

群馬県の蔵元紹介

 

群馬県の蔵元紹介

群馬県の酒蔵を一覧で紹介。各酒蔵のMAPとオフィシャルサイトへのリンクも掲載。群馬の酒蔵はここでチェック!

貴娘酒造|水のふるさと 群馬の地酒

 

佐賀の酒 鍋島

 

佐賀の酒 鍋島

日本酒「鍋島」の富久千代酒造公式サイト。商品紹介、受賞歴、蔵の紹介など。

佐賀の酒 鍋島

 

 

 

 

 

 

 

 

山本周五郎に本格シフト中
膨大なる書籍群の中から気になる作品を読み進めてます。
後日纏めてご紹介

 

 

 

昨日から何やらブログが騒がしい(・・?
そう「goo blogスタッフが選びました」に紹介されていました。
拙いブログにご訪問ありがとうございました。

思えば数年前、わんこネタで紹介されて以来です。



金時山 - ◆BookBookBook◆

金時山 - ◆BookBookBook◆

金時山 - ◆BookBookBook◆

リスケとなっていた金時山に行って来ました(^▽^)/2022/6/17(金)金時山-きんときやまきんときざん:標高1,212m金時山-きんときやまきんときざん:標高1,212m金時山-箱根...

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2022-08-03 | 作家別諸々(あ行)

 

鮎川哲也
『クイーンの色紙』★★★

 

三番館安楽椅子探偵シリーズ第五弾

慣れ親しんだ探偵さんと(+弁護士さん)そしてバーテンダー
今回はどんな事件が持ち込まれるのか。

 

--------(抜粋)

 

推理作家クイーンの半身ダネイ来日、レセプションに列席した鮎川哲也と歓談――両雄相見えた実話に基づく表題作で、作家鮎川哲也がサイン色紙紛失事件の渦中に。
真相を求めて三番館を訪れると……。
安楽椅子探偵譚、三番館シリーズ第五集

 

--------

 

・秋色軽井沢

 初っ端から仲間で軽井沢に別荘を借りているなんて、バブリー臭ぷんぷんな展開(笑)

 !?今さらだけど、探偵さんが三代つづいた江戸っ子だったのは初耳
 「まぁ、地方っぽくはない」確かに。

 栗田茂平治・・もへいじって・・人名にも哀愁

 



そして毎度のバイオレッドフィズ

一ヵ月ぐらい前かな?(第7波前あたり)西荻のバーで飲んできました💜
ただリキュールが違っていて、着色されていない赤い液体でした。
上記は色付けされているので綺麗なすみれ色

私的にもやっぱりギムレットかな?

 

 

・X・X

 本調子じゃないような?xoxo

 

 

標題作
・クイーンの色紙

 FD(フロッピーディスク)!!なつかし過ぎる・・ワープロの時代

 読んでいて思うのは、これを現代版に書き直したらどう事件は展開するのだろう?
 現場百編(刑事か?(笑))
 やはり旧式の現場に出向き、この目で確かめないと解決しない?
 その点を考えると安楽椅子探偵なバーテンダーさんはスゴイ
 想像力が旺盛なのかな。

 

 筆者は熱心なクイーン・ファン
 エラリー・クイーン - Wikipedia


 伏線に納得な解決でした(笑)あっぱれ!

 

 

・タウン・ドレスは赤い色

 環七、環八は分かるけど「環六!?」

東京都道317号環状六号線 - Wikipedia

東京都道317号環状六号線 - Wikipedia

東京都道317号環状六号線 - Wikipedia

 

 

 な~んだ山手通りのことでした(^▽^;)初台ね。

 

 ホワイトホースのダブル

 

 今回は事件が解決した後に三番館に立ち寄る、めずらしいパターン(笑)

 

 

・鎌倉ミステリーガイド

 鎌倉は色々と想い出が溢れる街
 今は・・よいかなぁ 素敵な想い出のままで(笑)
 公式サイト | 鎌倉プリンスホテル

  
 鎌倉アルプスは歩いてみたいと思ったことはある。

 

 本格中の本格と言う一作です。

 

正直主人公の探偵さんが出てこないと味気ない。
こういうシリーズ物は固定された楽しみと言うものがある。
毎度のパターンを崩した一冊となっています。

次作が最終回です。。ちょっぴり淋しい。


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A

2022-07-05 | 作家別諸々(あ行)

 

鮎川哲也
『材木座の殺人』★★★

 

三番館安楽椅子探偵シリーズ第四弾

慣れ親しんできたからか、突っ込みどころ満載だけど楽しい。
シリーズ物は感情移入してしまうからか、終わりに近づくとペースが遅くなる。
その世界が終わってしまうのが惜しくなる。

 

 

 

・棄てられた男

 ってか最近NHKでスタートした『拾われた男』が中々おもしろいです。
(全く本編とは関係ありません(笑))

BSプレミアムドラマ「拾われた男 Lost Man Found」放送決定のお知らせ - NHK

BSプレミアムドラマ「拾われた男 Lost Man Found」放送決定のお知らせ - NHK

BSプレミアムドラマ「拾われた男 Lost Man Found」放送決定のお知らせ - NHK

自動販売機の下で航空券を拾って、人生が動き出したー。松尾諭の自伝的エッセイに基づく、人生の可笑しみ溢れるヒューマン・コメディ。出演:仲野太賀 草彅剛 伊藤沙莉

NHKドラマ

 

・人を呑む家

 人間消失!
 と言えば‥わたしにとってはこの物語です(現在廃刊かな(^▽^;))

K - ◆BookBookBook◆

 

・同期の桜

 日本酒の鬼殺しって岐阜のお酒だって知ってました?
 知らなんだ・・酒好きが主人公だと色々勉強になります。
 今はなき新宿三丁目の屋台街の描写など、よき時代風景が目に浮かびます。

---

 

「心のカメラに焼きついたもの」

この、わたしの胸にひっかかっているのは一体何者なのか。

 

---

 

---

 

「この事件の犯人はなかなか頭がよろしいですね。警察も、こう申しては失礼でございますがあなたさまも、犯人の欺瞞にまんまと落ち込んでおいでです」

 

バーテンは落ち着いた動作でドライジンとライムジュースをベースにした辛口のカクテルをつくってくれた。淡い緑色をした、私の好きなギムレットである。氷がさわやかな音をたてた。喉がなる。
「まことに失礼でございますが、わたくしのおごりでして。事件は解決致しました、どうぞ祝杯を」

 

---

 

・青嵐荘事件

 資産家の遺産を巡る物語
 稼業の跡継ぎ問題やら、両家同士のお見合いやら二時間ドラマネタ満載です(笑)

 

・停電にご注意

 写真のネガの反転なんで、今じゃ「ないない」事件ですわ。

 バイオレッドフィズ!!
 (探偵は「バイオレッドフィーズ!」と注文)



まだ飲めてないのです・・
少々多忙中のためBarに行けてない(^▽^;)

なんとなんと探偵さんこの事件中4,50杯飲んで二日酔いになってます(笑)

ラストの解説でめちゃめちゃダメ出しされてますけどね。
分かっているけど、そこまで言わなくても・・

 

・材木座の殺人

 標題作です。が今までと変わって弁護士先生からの依頼ではなく、最後の最後に三番館
 そこに探偵さんが居合わせるパターン

 ちょっぴり味気ないかなぁ

 ホームズで言えば、ホームズとワトスンが談話していて、依頼人が現われる王道パターンってヤツ
 弁護士先生が現われ、脳内でこき下ろしつつ、探偵さんが動き出し、最終的に三番館!

 

 

 

残りシリーズ2冊となりました。
淋しい。ラスト1冊はまだ手元にない。

明日は「誰も死なない」平和なエッセイをご紹介(^▽^)/

 

 

 





くまりんビールで労をねぎらおう!!!


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2022-06-30 | 作家別諸々(あ行)

 

鮎川哲也
『ブロンズの使者』★★★

 

絶賛の短編集
<三番館>シリーズ第三弾(^▽^)/
引き続き安楽椅子探偵を楽しみましょう~

バイオレッドフィズを飲みながらね。
(まだバーで置いてあるのか聞けてない)

 

・ブロンズの使者

 ・・・バーテンさんのネタバレを聞いてもピンとこなくて、
 前のPに戻り再度した次第(^▽^;)
 ホントわたしのあたまはどうなっちゃってるの!?

 

・夜の冒険★★★★(私的に好き)

 探偵の独白モノが好み。

---

 

世間の道学者は、わたしみたいな男を女好きだなんぞといって非難めいた目でみたがるものだ。が、わたしにいわせれば、若い女をみて心が動かないとしたなら、そのほうがよっぽどおかしい。

だからわたしは、自分が女好きであることをべつに隠そうとする気はしない。それがノーマルな男性というものだからだ。

 

---

先日相方からのメールで既視感!!
これで長い付き合いの中で二度目

ちょうどこの一文を読んで・・納得せざるを得なかった(大人になれ)

 

・百足

 消えた宝石を探して自己推理

 猫👀石(キャッツアイ)

 

・相似の部屋

 違う場所にあるマンションに同じ部屋を二つ作り、アリバイ工作する。
 推理小説あるあるだけど、そのアリバイを証明する人がクルマで連れてこられた際
 杉並と王子の違いに気づかないってなくない!?
 まぁ成り立たなかったんだけど、そう推理する前に違和感を感じるでしょう。

 

・マーキュリーの靴

 この雪の密室も無理があるよ う な
 逆向きに(ネタバレしちゃいますが)それも女性の靴を履いて歩けるか?
 それも人を背負ったままでですよ!?
 無理くり過ぎるー!(笑)

 

・塔の女

 

---

 

刑事時代のわたしは先輩デカたちに「現場百編」ということをいやというほど叩き込まれた。読書百編意おのずかわ通ずといったことが論語かなにかにあるそうだが、現場百編の似たようなものだった。何度も何度も現場に立ってみると、見落としていた何かに気づいて、それが事件の解決につながるという意味である。

 

--- 

読書百遍意自ずから通ずとは - コトバンク

 

 

 

突っ込みどころが満載な結末でも、そこがまた楽しめるお話です。

最近だと事件を持ち込んでくる弁護士先生とのやり取りが秀逸
いつになったらエアコン買うの?いつになったら椅子買うの?(笑)

次作も楽しみです。


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2022-06-08 | 作家別諸々(あ行)

 

鮎川哲也
『サムソンの犯罪』★★★★★

 

<三番館>シリーズ第二弾(^▽^)/
引き続き安楽椅子探偵を楽しみましょう~

こちら希少本なのか「拡充書架」の本となります。
図書館活用OKです!



--------(抜粋)

 

捏造テープと換気扇の問題「中国屏風」や麻雀狂に捧げるエレジー「走れ俊平」事件、無名作家のとんだ有名税「サムソンの犯罪」など、調査が二進も三進も行かなくなると三番館に足を運ぶ私立探偵
安楽椅子探偵譚、三番館シリーズ第二集

収録作品 中国屏風/割れた電球/菊香る/屍衣を着たドンホァン/走れ俊平/分身/サムソンの犯罪

 

--------

 


やはりメインとなるカクテルはバイオレッドフィズです。





・中国屏風

 巻末にある作品ノートにうんうん頷いてみた。
 すっかりハマってしまった。

---


「まだお客さんも来ないしさ、話を聞いてくれるかい?」
「手前でお役に立ちますかどうか。それでよろしかったら‥‥‥」
よろしいもよろしくもないのだ。いままでに彼の知恵を借りて解決しなかった事件は一件もなかったのだから。

 

---

 

ドドメ色(死語だわ(笑))

 

 

・割れた電球

 新宿駅の西口に浄水場があった時代・・??

 昭和な時代 質屋でお金を借りる場面が日常として出てくる。
 この時代ATM、キャッシングがなかった模様
 今はホント便利な世の中です。
 現金を持ち歩かなくても「PayPayで」事足りる。

 

 

・菊香る★★★★★

 何がどうってわけじゃないけど、卓越した読ませる探偵譚
 当たり前に古臭さはあるんだけど、そこもまた含め時代の香りセピア色

 物語の中に痛風が出てきたのは初めて・・うちの相方ちゃん(@_@。

 そしてギムレットフィーズ(フィズ)
 愉快である。

 

 

・屍衣を着たドンホァン(この題名からしてセピア色・・紀州のドンファンっていたね)

ドン・ファン - Wikipedia

 

 

・走れ俊平

 突っ込みどころ満載ですが、発想がおもしろ過ぎる!

 

 

・分身

 わたしも地元に分身がいました(バスケットボールに試合に出ていたり・・)

 

 

・サムソンの犯罪

 発想的にはうなずける内容です。

 

 

 

この探偵の一人語りが私的にヒット★★★★★
希少本と聞くと手に入れたくなる。
(一緒に読んでいる彼女の図書館には置いてなかったそう)
どうにか見つけ出してお風呂本にして、もう少し読み込んでみたい。

愉快な世界へこんにちは。

 

 

 

 

 

 

 

 



先日飲んだ養命酒で作っているジンが美味しかった。
是非一度飲んでみて(^▽^)/

 

香の森|養命酒製造株式会社

香の森|養命酒製造株式会社

養命酒製造から、ハーブと、ハーブのお酒へのこだわりが生んだ、森の香りのクラフトジン誕生。和製ハーブ「クロモジ」と厳選されたボタニカルで造った、森の香りのクラフト...

養命酒製造株式会社

 

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A

2022-05-30 | 作家別諸々(あ行)

 

鮎川哲也
『太鼓叩きはなぜ笑う』★★★★

 

お次の課題本はこちら(^▽^)/
シャーロック・ホームズを完読していないのですが・・
(長丁場になりつつ?)
毎度の並行読書でこちら先に完読です。

安楽椅子探偵で有名なシリーズとゆきましょう~
今回は彼女のチョイスです。

まず設定がおもしろい ↓



--------(抜粋)

 

数寄屋橋近くの三番館ビル六階にバー「三番館」がある。落ち着いた雰囲気の、いい店だ。少し早い時間に行くと、達磨大師然としたバーテンがひとりグラスを磨いている。常連の私立探偵は、依頼された仕事を持て余すたび、雑学の大家であるこのバーテンに知恵を借りに来る。どんな事件も、たちどころに解き明かしてくれるのだから!
本格ミステリの巨匠が生んだ安楽椅子探偵、ここに登場

安楽椅子探偵譚 三番館シリーズ第一集
収録作品 春の驟雨/新ファントム・レディ/竜王氏の不吉な旅/白い手黒い手/太鼓叩きはなぜ笑う

 

--------

「太鼓叩き」から想像したのが、お江戸物語の太鼓持ち・・
はは・・
お友達に「ドラム叩き」のことだよと。
よく見るとシェイカーにドラムが描かれている。

さてめずらしいのは主人公に名前がない(吾輩は猫である的)
その主人公の私立探偵はどこか抜けているし、
推理が冴えるバーテンダーは、本職のカクテルの味がイマイチ・・
双方人間味があり、完璧じゃないところが何だか親近感(笑)

メインとなるカクテルはバイオレッドフィズです。





・春の驟雨

 突っ込みたい気持ちを抑える・・(苦笑)

 

・新ファントム・レディ

 霊魂のお告げ・・中々粋じゃないですか はは(^▽^;)

 

・竜王氏の不吉な旅★★★★★(好き!)

 ドンファン(死語?)
 元刑事の探偵さん。元同僚をしるこ屋に呼び出し情報収集(笑)
 そしてこの時代「秘密保持」が存在しない(1974年刊行)
 情報を聞き出すにも潔よくスムーズ!

 「死の島だよ」=「篠島」

 ラスプーチン?・・噂の?いえいえ違いました。

 

グリゴリー・ラスプーチン - Wikipedia

 

 

 犬みたいな人間 くんくん
(そう言うわたしも上長の体臭には敏感だわ(^▽^;))


 「バイオレッドフィズを半ダース!」

 

・白い手黒い手

 炒糸肉(シャオスールー)

 偽装はいただけないけど、まぁそれはそれで(笑)

 

表題の
・太鼓叩きはなぜ笑う

 

---

 

「あれ?あの男がハードボイルド読むんですか。ぼくもハードボイルドは好きだなあ。特にロス・マクがいいです。本格物なんてちっとも面白かない」
わたしにはこのロス・マクというのが何のことだかわからなかったが、わざわざ求めて恥をかく必要もないから黙っていた。

 

---

ロス・マク?知らなんだ。

ロス・マクドナルド - Wikipedia

 

---

 

 わたしは片手を上げでみせた。バイオレッドフィーズを五杯くれというサインだ。

 

---

 

 

 

二作目も順調に進んでおります。

わたしも今日は行きつけの吉祥寺のバーで一杯予定です。
小説に出てくるお酒が飲みたくなるけど、
バイオレッドフィズって今も存在しているのかしら。


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I

2022-03-29 | 作家別諸々(あ行)

 

伊藤桂一
『静かなノモンハン』

 

--------(抜粋)

 

昭和14年5月、満蒙国境で始まった小競り合いは、関東軍、ソ蒙軍間の4ヵ月に亘る凄絶な戦闘に発展した。襲いかかる大戦車群に、徒手空拳の軽装備で対し、水さえない砂また砂の戦場に斃れた死者8千余。生還した3人の体験談をもとに戦場の実状と兵士達の生理と心理を克明に記録、抑制された描写が無告の兵士の悲しみを今に呼び返す。
芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞受賞の戦争文学の傑作

 

--------

今度は体験談から読み解いてみる(他、戦場日記も同時進行)

最後に収録されている司馬遼太郎との対談は必読です!

 

 

・一の章 あの稜線へ

 

---

 

「お前なら甲種になれるな」と申しましたが、第一乙だったので、少々落胆したようでした。

 

---

 

ふしぎなもので、短い時間の間ながら、激しい訓練をされたためか、そのうちに、こちらを狙ってくる砲弾の、弾道がわかってくるようになりました。シューシュースポンという、不発弾の落ちる音もわかり、砲弾が炸裂し、その土砂を浴びた人よりも、案外遠くにいる人が破片創を受ける、ということもわかりました。

 

---

 

なかには、大声をあげて泣いている兵隊が、何人もいました。泣きわめく、といった泣き方です。私たちは、どんな負傷をしても、泣きわめいた者はひとりもいません。人種の違いからくるものでしょうか。その、泣きわめきながら、うごめきまわる兵隊に向けて仲間たちは狙い撃ちに撃ちました。
目標が近いので、面白いくらいによく当たるのです。
ソ聯兵は、撃たれると、さらに泣き声をたかめながら、逃げまわるのです。

 

---

 

父は、話をするたびに、捕虜にだけはなってはならぬ、捕虜になる時は、舌を噛んで死ぬのだ、ということを、いつも、話の結びの言葉にしたものでした。日露戦の時に、父にそういわせる記憶が、強く残ったのに違いありません。

 

(舌を噛んで、死ぬなどということができるのだろうか)

 

生きたい、生きられるかもしれない

 

---

 

戦線離脱

 

やはり一日も早く前線へもどらなければならない、といった思いに責められてきました。
たった一日戦っただけで、これほど長い休養の期間をとってよいものかどうか、草原と砂漠しかない土地で、なお戦いつづけている仲間たちのことを考えずにはいられませんでした。あれほど苦しかった前線の生活へ、一日も早くもどりたかったのです。

 

---

 

地元の新聞が送られてきているのを借りて読んでいるうち「芦塚部隊の勇士たち」という見出しがありました。眼をひかれて、記事を読んでみますと、善戦している状況の紹介のあとに、壮烈な戦死を遂げた人たちの名が記されていましたが、その中に私の名もはいっていたのです。出身地の町名もきちんと出ております。それをみて、私は、野戦病院で、戦線離脱とみなされはしないか、という不安を抱いていた時よりも、いっそうの不安をもって、その記事に見入ったものでした。
軍隊は、いったん戦死という公報を出してしまいますと、それを取り消すことを甚だ嫌い、むしろ、本人を闇から闇に葬ってしまうことを考えたりします。まして、私の場合は、あきらかに戦線離脱とみなされてよい事実があるので、立場は非常に不利になります。

それにしてもこれは、捕虜になると同様な、不名誉なできごとになりかねないのです。

 

---

 

(そうだ、おれはみんなと一緒に死んでしまっているのだ)

 

---

 

 

 

・二の章 小指の持つ意味

 

---

 

苛酷な、いじめられ方でした。あけてもくれても、私的制裁ばかりがつづきました。

 

調教哲学

 

非常に過ぎる私的制裁

 

---

 

「ノモンハンへ出ると、衛生兵だろうと軍医だろうと、まず生きて帰れないそうだ。」

 

戦いの場へ赴く、というよりも、死地へ身を入れる、という実感のほうがずっと強かったです。

 

「衛生兵はだいじな身体だ。死なないようにがんばってくれ。お前に死なれては皆が困る。どうにも死なねばならぬ時は仕方ないが、手段をつくして生きのびてくれ」

 

 

---

 

陣地の周辺は爆風の激しさのために、息苦しさを覚えるほどの状態でした。

 

敵ハ攻撃態勢ヲ整エツツアリ

 

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「死んでも、指は動くのですか」

指は、なおしばらく、不気味に動きつづけて、とまりました。死にたくない気持ちが、最後に、指先に残ったのだろう。

 

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「大隊長殿。どうぞお好きになさってください。どのような命令にも、自分は喜んで従います。ただ、自分の衛生兵としての任務を、ただいまより解除してください。自分は一兵として、生き残った仲間たちとともに戦いたいと思います。負傷者の介抱係は、もうこれでご勘弁願います。医療嚢の中には、一片のガーゼすら残っていません。全部使いつくして、空の医療嚢を持っているだけです。しかし、一個の兵隊としての戦力なら、まだ充分に残しておりますので、あとは死ぬための戦いに挺身したく思います」
これは、その時の、私の、少々やぶれかぶれの、本音の心情でした。いったいどこまで戦い、どこまで苦しめば終わるのか、という虚しい問いを、天をゆるがしている砲声に向けて、発していたということになります。

 

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一日ずつ戦っては、その日の戦場掃除をし、翌日また戦う、という、殺戮のし合いが重ねられて行くのでした。

 

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「早いか遅いのか違いで、みんな死ぬ。この状態で、どうして生きられるんだ?生きられるわけがない。小指や認識票を持ち歩く、というのは、死者を弔う者が残るからいえることだ。みんな死ぬとしてら、それをする意味はなくなってしまうだろう」

 

この、とりやめの申し合わせをしました時、私はこの世に対する物欲というものが、一切なくなってしまいました。生死についての、なんの感慨さえもなくなってしまいました。

 

小指を切ることをやめよう、と、互いにいいかわした時には、自然ににじみ出る涙が、頬を伝わって流れ出たのです。これは、私のそれまでの人生で、もっとも深い意味を持つ涙でした。なによりも、
(これでもう、互いに連帯してゆく立場を失ってしまった。ひとりひとりが真に孤独になった。そうして、ひとりひとりで死の道に向かうことになったのだ)
という、つらさを思うての涙です。ほんとうの意味の、無念の涙でした。
(死んでも、もう、だれも骨を拾ってはくれない。遺体を砂に埋めてもくれない。埋められてたとしても、掘り出して頭を焼いて遺骨にしてもくれない。小指さえ、切ってもらえないのだから。おれはいま二十二歳だ。おれは軍隊では、だれからも模範兵といわれるような、まじめな生き方を貫いてきた。

けれども、もう、何もかも終わってしまったのだ。もう何もない)
という、どうしようもない、はかなさ―—に対する涙でもありました。

 

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・三の章 背嚢が呼ぶ

 

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戦場では、なぜそうするかわからないのにそれを行っている、という場合が多いのです。
日々、死傷を重ねていますと、死傷してゆく、ということにも、一種の感覚の麻痺を生じて来ます。捨鉢になっているつもりはないですが、どこかにその心理があるようでした。腹をやられると、必ず死にます。それに、狂気のように水を欲しがります。腹だけはやられたくない、腹をやられて、のたうちまわりながら、ひとりで死になくない、と、これは、将校も兵隊をも問わず、だれにも共通の心情であったと思います。

 

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「隊長殿、お願いがあります」
と、呼びかけてくる者があります。足をとめると、その部下の兵隊は、
「一人壕でなく、二人壕にしていただけませんか」
と、申します。「なぜか」と、問い返しますと、
「寂しいのです」
と、正直に答えてきました。
「一人壕は、死ぬと、一人で靖国神社へ行かねばなりません。しかし二人壕だと、二人一緒に死にますので、二人で揃って行けます。死ぬとき、連れがあるのとないのとでは、まるで寂しさが違うのです」

その言葉には、いい難い深い意味があります。胸をうたれました。
「そうか、わかった、二人壕にしよう」

 

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旧戦場を見廻りながらの、私の、ただひとつの感懐は、
(ああ、みんな死んでしまったなあ)
と、いうことでした。この一語に尽きます。
(実に、みんな死んでしまった。みんな死んでしまったから、ここはいまこのように静かなのだ)
という、しみじみとした思いです。
遺体の収容は、なかなかに骨が折れました。

 

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最後の背嚢のぱたぱたは、震災の話を彷彿とする内容でした。

 

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