◆BookBookBook◆

📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

R

2022-05-27 | 翻訳物

 

レイ・ブラッドベリ
訳 宇野利泰
『10月はたそがれの国』★★


不思議な世界観で、どう表現してよいのやら・・
書評が絶賛されている訳を知りたいがために、じっくり読んでゆく。
人により感想は違うにしても、独特の世界に惹かれる要素があるはず。
先が読めない展開にどう反応するのか。想像力の世界

 

--------(抜粋)



ポオの衣鉢をつぐ幻想文学の第一人者、SFの抒情詩人ブラッドベリの名声を確立した処女短編集「闇のカーニバル」全編に、新たに五つの新作を加えた珠玉の作品集
後期のSFファンタジーを中心とした短編とは異なり、ここには怪異と幻想と夢魔の世界がなまなましく息づいている。
ジョー・マグナイニの挿絵十二枚を付す決定版

 

--------



・こびと(ラストがよく分からず二度読み・・)

 ≪マジックミラー≫
 

 

・つぎの番(難解?読後、疑問が残り苦笑)

 ミイラ


---

犬は人間に聞きとれぬ音を感じるという。通常の聴覚範囲を越えたかん高さのために、人間の耳では受けつけることもできぬ音を聞きとれるのだ。


---



・マチスのポーカー・チップの目(もはや何だか分からない形相)

 ≪地下室の七人≫



・骨(コメントしようもない(笑))

 

---

 

「わたし、あなたの顔が好きなの。このところ、ずっとよくなったわ。線がひきしまって、つよく感じられるのよ」
「これは、ぼくの線じゃない。あいつのだ。あのいまいましいやつのものだ。きみは、ぼくよりあいつが好きだというのか?」
「あいつ? あいつってだれのこと?」

 

---



・壜

 そうその壜の中身の正体は!?

 

 

・みずうみ

 

---


汽車は記憶を遠去ける。あらゆることを、背後に押しやる。
子供のころの河、橋、湖水、渓谷、小屋、よろこび、悲しみ、なにもかも、背後に大きくひろがって、いつか地平線の向こうに消えていく。

 

---

 

 

・使者

 標題に相応しい?10月に相応しい短編
 やっとまともな作品に出逢えた感(失礼!)

 ただダーク

 

 

・熱気のうちで

 華氏九十二度(大体33℃のことを言う(調べた))
 なんのこっちゃ

 

 

・小さな殺人者

 これぞ狂気!?気が触れて、周りが見えない。

 

---

「あの子は、ああやって横になったまま、わたしをどうやって殺そうかと考えているんだわ。できるだけかんたんな方法でよ。」

彼女のそばに立っていた。動くこともできなかった。からだじゅうの血液が凍りついていて、どの細胞も動かなかった。ひとつとして。


---

 

 ルシファー

 

 

・群集

 野次馬根性
 

 

・びっくり箱(結構好きかも。)

 

 

・大鎌(すっかり惹き込まれた。)

 

 

・アンクル・エナー

 「翼のある男だわ」
 はい。翼のある男と出逢った~



・風(独特だなぁ)

 

 

・二階の下宿人

 青い世界、赤い世界、黄色い世界がいっしょになって生きている。
 みどり色の世界

 『悪の法則』でマルキナがローラに言った一言が浮かんだ。

 

 

・ある老母の話

 身体を取り戻せ!!

 

 

・下水道

 

---

「死んでいるのよ。彼も死んでいるし、彼女も死んでいるの」


--- 

 

 

・集会(・アンクル・エナーとつながっている?)

 浮かぶ吸血鬼のパーティー
 最近のエド・シーランのPVみたいな夜の宴会


 

・ダッドリー・ストーンのふしぎな死(最後は前向きなお話で)

 

---


ふりむいて、手をふっている。そして、にっこり笑うと、≪過去≫という名の、ぎらぎらときらめく海辺にある、≪忘却≫と呼ばれるかがやかしい町へ、走り去っていくのだった。

 

---

このフレーズ聞いたことあるような気がする。

 

 

 

ツボにハマることなく最後何とか読み終えた。
これは題名の如く10月に読むべきだったのかしら。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A

2022-05-15 | 翻訳物

 

アーサー・コナン・ドイル
訳:小林司/東山あかね
[注・解説:C・ローデン 訳:高田寛]
『シャーロック・ホームズ全集⑧ シャーロック・ホームズ最後の挨拶』★★★

 

題名から今度が本当の最後!?
一体いつが最後なのよ(苦笑)
(細かいことはシャーロッキアンに任せておこう クドイ解説(^▽^;))
あとラスト1冊となる。

物語の表題は「シャーロック・ホームズの追想録」
既に名声を得て、売れっ子作家になっていたドイル
連載をがんばる必要もなく、定期的な掲載はせず、自由に書きたい時に書き掲載していた模様

 

--------(抜粋)

 

ホームズ最大の危機を描く「瀕死の探偵」、探偵業引退後を描いた「最後の挨拶」ほか、死の影と怪奇、
そしてなにより奇想と冒険に満ちあふれた第四短編集
コナン・ドイル晩年の円熟期の傑作群

 

--------

 

42作目
・ウィステリア荘 

  今回から挿絵がアーサー・トワイドゥルに(アーサー・コナン・ドイルに名前似てない?(笑))
  44作目から違う人に変更になるけど、比べると後者の挿絵の雑さが見て分かる。
  このシリーズは挿絵も一緒に楽しめるのが特徴

  内容的には回顧録事件簿
  老後に過去を懐かしむ感じかしら。



43作目
・ブルース-パーティントン設計図

  兄のマイクロフト登場
  ホームズよりキレッキレな貫禄が半端ない兄です。



44作目
・悪魔の足

  ホームズ療養中に持ち込まれた事件
  まさしく老後回顧録(それもホームズから希望して公表)
  ただここまでくると新鮮さはない。
  
  ワトスンあってのホームズです。
  

45作目
・赤い輪

  当たり障りのない王道な事件
 

 

46作目
・フラーンシス・カーファックスの失踪

  今回のホームズは人間味があるというか、これが現実
  そう簡単に上手く事は運ばないってことです。


 

47作目
・瀕死の探偵★★★★(私的に騙されてGood(笑))

  あまり深読みせずに気軽に読んでいると騙される。
  確かに身近な人から騙さないと真実が見えないこともある。
  迫真に迫るものがあるからこそ、伝わるものもある。うむ。

 

 

48作目
・最後の挨拶

  さてラスト(ここから先が進まなかった・・)

 

---

 

八月二日の夕刻九時――世界史上で最も恐ろしい八月だった。堕落しきったこの地上に、神が怒ってつかわされた天罰がこれから下されるものと人々が思い込んでいたかもしれない。

 

---

こんな出だしからスタート
この大げさ過ぎる冒頭の「最も恐ろしい八月」とは?
即ち1914年、ドイツがロシアに対して宣戦布告を行った月である。ふむ。

翻訳本を読んでいる雰囲気ですな。

ネタバレは挿絵から・・ホームズと丸わかりですな(笑)

 

 

 

こちら付録付(正直何のこっちゃ)

 

「死の影」が裏テーマらしい・・復讐 トラウマ アイルランド

 

 

 

次作『シャーロック・ホームズ全集⑨ シャーロック・ホームズの事件簿』
結構な大容量(京極夏彦並みです)

 

 

 





昨日の深大寺の薔薇 「黄色がよき!」

神代植物公園へ行こう!


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

O

2022-04-26 | 翻訳物

 

オー・ヘンリー
訳 越前敏弥
『オー・ヘンリー傑作集1 賢者の贈り物』★★

 

「何読んでるの?」お友達が読んでいる本に興味あり。
それがこの本だった「渋いね~」

賢者の贈り物はもちろん知っているし、あと有名なのが『最後の一葉』よね。

こちら装丁も素敵!
「夜のカフェテリアじゃない」「??」(貸してくれた本人は気づいていなかった(^▽^;))
結婚式の電報によく使用してたな・・

 

--------(抜粋)

 

1900年代初頭のニューヨークに生きる人々の姿を描いた、珠玉の短編集!

1ドル87セント。クリスマスを翌日に控え、若妻デラが夫へのプレゼントに費やせるのは、たったそれだけだった。しかし、愛する夫にどうしても世界一の贈り物をしたい。デラは唯一の自慢である髪を売る決心をするが……(「賢者の贈り物」より)
世界中でもっとも愛読されているこの一編をはじめ、「警官と讃美歌」「金のかかる恋人」「春の献立表」など、短編の名手オー・ヘンリーが、1900年代初頭のニューヨークに暮らす庶民の姿を独特のユーモアとペーソスを交えて描きだした短編16話を収録


警官と賛美歌
賢者の贈り物
忙しい株式仲買人のロマンス
洒落男の失敗
御者台から
第九十九分署の外交方針
金のかかる恋人
桃源郷のはかなき客
ハーグレイヴズのふたつの顔
アイキー・シェーンスタインの惚れ薬
富の神とキューピッド★(私的にGood!)
緑のドア
マックの救出代
振り子
自動車を待たせて
春の献立表

 

--------



『賢者の贈り物』は子供の頃読んで印象に残っている。
確か綺麗な絵で描かれた本だった。

無駄になってしまった美しい櫛と懐中時計の鎖

 


どうしても訳にクセを感じてしまった(翻訳者は有名な方らしいけど・・)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A

2022-04-18 | 翻訳物

 



アーサー・コナン・ドイル
訳:小林司/東山あかね
[注・解説:C・ローデン 訳:高田寛]
『シャーロック・ホームズ全集⑦ 恐怖の谷』★★★

 

少々ブランク ホームズカムバック!!
忘れていませんよ~(笑)
どうしても後回しになってしまった。
(一緒に読書しているコが長期出張になったため)

さて再会です(^▽^)/

 

--------(抜粋)

 

ある日ホームズのもとに届いた暗号の手紙。見事解読するも、殺人はすでに行われていた!背後にひそむホームズ最大の宿敵・モリアーティ教授の影。
奇妙な殺害現場からホームズが導きだした意外な答えとは?そして事件はかつてアメリカに存在した謎の殺人者集団の存在を明らかにしてゆく…。
「ホームズ物語」最後の長編作
決定版、充実した注と解説、全イラスト復刻

 

--------

そう「谷」と言えばモリアーティ教授との決死の対決を彷彿

中盤戦・・第一作の『緋色の習作』に展開が似ているなと(ただしサービス精神はこちらに軍配!)
舞台が20年前の過去へとぽーんと飛んで、別物語の様相になります。
途中でもはやホームズではないと苦笑します。


しかし挿絵が一掃一新?されて余計に渋くなり、
年齢と絵のギャップがあり過ぎる感・・みな老けて見えませんか?(^▽^;)
特にマクマード・・どう見ても老人じゃない?


ラストはするすると完読
素直に楽しめました(突っ込み等はシャーロッキアンに任せよう)
酒のつまみともなり、ホームズ話で盛り上がりました。

 

 

 

毎度のことだけど、今回の注・解説
途中から「英国版では・・」とどうでもよい解説になっていてウザイ!(苦笑)
いらんがな~この情報って必要ですか!?
確かに英国と米国での掲載の仕方が変わっているのは理解出来ましたが、物語と関係ある?
後ろを読みかえす人の気持ちにもなってほしいわ。
読んで後ろの解説、読んで後ろの解説、その繰り返し・・エンドレス!
読むなって話ですよね(^▽^;)たまには愚痴

 

残すところあと二作となりました。
パロディホームズは別腹

 

既にお次の課題本について思案
翻訳物から離れて、和製で昭和で探偵で?


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

W

2022-03-23 | 翻訳物

 



W・G・ゼーバルト
訳 鈴木仁子
『[改訳]アルステルリッツ』★★★

 

ゼーバルド・コレクション
第6巻(2003年初の邦訳→2012年改訳)

 

アウステルリッツ[新装版] - 白水社

OGPイメージ

アウステルリッツ[新装版] - 白水社

全米批評家協会賞ほか、多数受賞の最高傑作 建築史家の主人公が語る暴力と権力の歴史 建築史家のアウステルリッツは、帝国主義の遺物の駅舎、要塞、...

 

 

 

W・G・ゼーバルト
初作家さんです(ドイツ生まれのイギリス定住)

読書会メンバからのおすすめ!?本

パラパラ捲ってみて思ったのは「段落がない!」
どこまでも続く文字の羅列・・
写真が盛り込まれているのが救い。


--------(抜粋)

 

建築史家アウステルリッツは、帝国主義の遺物である駅舎、裁判所、要塞、病院、監獄の建物に興味をひかれ、ヨーロッパ諸都市を巡っている。そして、彼の話の聞き手であり、本書の語り手である〈私〉にむかって、博識を開陳する。それは近代における暴力と権力の歴史とも重なり合っていく。
歴史との対峙は、まぎれもなくアウステルリッツ自身の身にも起こっていた。彼は自分でもしかとわからない理由から、どこにいても、だれといても心の安らぎを得られなかった。彼も実は、戦禍により幼くして名前と故郷と言語を喪失した存在なのだ。自らの過去を探す旅を続けるアウステルリッツ。建物や風景を目にした瞬間に、フラッシュバックのようによみがえる、封印され、忘却された記憶……それは個人と歴史の深みへと降りていく旅だった……
多くの写真を挿み、小説とも、エッセイとも、旅行記とも、回想録ともつかない、独自の世界が創造される。
欧米で最高の賛辞を受けた、新世紀の傑作長編

 

--------

 

 

 

---

 

闇はいっこうに散じていかない。いやむしろ、われわれが記憶おけるものがいかに僅かであることか、ひとつの生命が消え去るたびにいかに多くのものが忘れ去られていくことか、それ自体は思い起こす力をもたない無数の場所と事物に付着していた種々の歴史が、誰の耳にも入らず、どんな記憶にも残されず、語り継がれれもいかないがゆえに、世界がいわば自動的に空になってしまうかを思えば、闇はいっそう濃くなるばかりなのだ。

 

---

 

カフェ・デ・ゼスペランス(「カフェ絶望」とも読める)

 

---

 

<駅狂い>

 

---

 

夜、寒い部屋で眠りに引きこまれる前には、自分も暗い水底に沈んでいるような気のすることがよくありました。ヴァルヌーイ湖の哀れな魂と同じく、眼をおおきく瞑って、頭上はるか、幽かに射しこむ薄日を仰ぎ見ているような、鬱蒼と木の茂る岸辺に恐ろしげな様相でぽつんと立っている石塔の、さざ波に見え隠れする水影に眼を凝らしているかのような気がしたものです。

 

---

 

あのふたりは、自分たちの心の冷たさによってゆっくり死んでいったのかもしれないという気がします。

 

---

 

私は何時間も窓辺にたたずんで、窓ガラスをしたたり落ちる水が横桟の上にこしらえた二インチから三インチの氷の山の、模様の妙に見入っていたものです。

 

---

 

言っておかなくてはならないことがある。試験用紙にはダヴィーズ・イライアスではなく、ジャック・アウステルリッツと書いてもらわなくてはなりません。

「どうやらそれが」
「きみの本名らしいのですね」

 

「すみません、先生、この名前はどういう意味なのでしょうか」

「じきわかると思いますがね、モラヴィア地方の小さな町がこの名前ですよ、有名な戦争があった場所です」

 

---

 

アウステルリッツの会戦

 

---

 

つまるところ、われわれは自分たちの知り得ないことを、<戦局は二転三転した>といった笑止千万な一行なり、似たり寄ったりの毒にも薬にもならぬ表現なりにひと括りにしてしまうしか、なすすべをもっていない。

 

われわれの歴史への関心というのは、つまるところ出来あいの、頭の中に先に刷りこまれたイメージへの関心にほかならず、われわれはそれをためつすがめつしているだけである、じつは真実はまったく別のところ、誰も気づかないどこか別の片隅にあるというのに、

 

---

 

問いただすと、大火事になってほしかったんですと、学校の建物がなくなって瓦礫と灰の山になってほしかったんですと答えました。

 

---

 

エンサイン

 

記憶もまた夜の闇からぽっかりと心に浮かび上がってくるのです、けれど摑もうとするとまたすうっと暗くなってしまう、それもまた、現像液に浸しすぎた印画紙によく似ています。

 

遠い道のりをひとり戻ってきた鳩の話を、私はのちにくり返し思い起こさずにはいられませんでした。

 

今にして思います。とアウステルリッツは語った。あのころ、あの場所に変わることなく漂っていた平安のなかであとかたもなく消えてしまえていたなら、どんなによかっただろうと。

 

---

 

ひょっとしたら人類の不幸は、いつのころか体温がこの基準値からはずれてしまって、しじゅう少し熱っぽい状態にあることと関係があるのではないだろうか、

 

現実世界の中に一瞬起こった非現実的なもののきらめき、

 

---

 

ターナーの水彩スケッチ

 

---

 

アルバムにでもするように、旅人として歩んだ、忘却の彼方にほとんど沈んでいた風景をいまひとたび眼の前に立ち現せてみたかったのです。

 

---



闇に沈んだわが家で机に向かい、鉛筆の先がライトの明かりにまるで生き物のようにその影像をどこまでも忠実に辿っていくのを、そしてその影が左から右、行からつぎの行へ罫線を引いた紙の上を規則正しく滑っていくのをひたと眺めていることに、いかばかりの安らぎを得ていたことだったでしょうか。

 

---

 

迷妄

 

---

 

 

アウステル語ります。とにかく語りまくります(笑)

一旦休憩

こちらの本は速読は不可能

 

 

---

 

夕闇が降りると家を出て、ひたすら遠くへ遠くへ歩くのです、

 

---

 

リヴァプール・ストリート駅

 

 

---

 

人生の決定的な一歩は、漠たる内面の衝動から踏み出されることがほとんどなのです。

 

---

 

見捨てられた状態こそが、過去の長い歳月のうちに私の心を破壊してしまったのだ、と気づいたことであり、そして自分は一度としてまことに生きていたためしがなかった、あるいは死の前日になってようやく生まれたようなものだ、との思いに、途方もない疲労感に襲われたことばかりです。

 

---

 

「安く上がって涙なしに暮らせる方法って?」

「<家賃無料=悲しみ無用>」

 

--

 

色鮮やかなマヨルカ焼き

 

---

 

手袋店

 

---

 

――食べ物が少し入ったリュックをひとつ
‥‥‥あれから思い返すに、自分ののちの人生はヴェラのこの短い言葉に尽きていた、

 

---

 

わたしたち制圧された側の人間は、なんというか、海抜以下に生きているみたいで、国じゅうの経済がナチの親衛隊に牛耳られ、企業がばたばたとドイツ管理下に置かれていくのを黙って見ているしかなかった。

 

---

 

写真の中でなにかが動いているような気がするの、ひそかな絶望のため息が、聞こえてくるような気がするの。まるで写真そのものに記憶があって、わたしたちのことを思い出しているかのように、わたしたち生き残りと、もうこの世のひとでない彼らの、ありし日の姿を思い出しているかのように。

 

 

 

---

 

過去のいずれかの時にか自分は過ちをおかしたのだ、との想いが沸き起こりました。だから今、自分はまやかしの、間違った人生を送っているのだ。

 

---

 

ユダヤ人虐殺のあった町バッハラッハの近辺で、折り畳み椅子に腰を掛けてさらさらと水彩画を描いているジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナーが浮かんできます。

 

---

 

追放され消し去られたという、私自身が長きにわたって抑圧し、いまむりやり扉をこじ開けられて出てきた感情に対して、理性は無力だったのです。

 

---

 

H・G・アードラーという私には未知だった人が、テレージエンシュタット・ゲットーの成立、展開、内部組織について記したもので、1945年から1947年にかけてのとみに困難な状況下にあって、一部をプラハ、一部をロンドンで執筆され、1955年にドイツの出版社から世に出るまで何度も改訂を得た書物でした。

 

テレージエンシュタットは、一平方キロたらずの面積に一時期六万人が詰めこまれていました。

 

偽りの楽園

 

---

 

≪世界のすべての記憶≫

 

---

 

幽閉された動物たちと私たち人間の観客が、おたがいに見つめ合っているので、理解のかなわぬ溝に、へだてられたままに、

 

---

 

 

 

 

 

 

プラハでヴィラに出逢い生前の母について話を聞く場面に心が動かされた。

 

「~とアウステルリッツは語った」が目に付いた(あえて不自然さをのんで、原文通り入れたそう)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A

2022-02-22 | 翻訳物

 

アーサー・コナン・ドイル
訳:小林司/東山あかね
[注・解説:C・ローデン 訳:高田寛]
『シャーロック・ホームズ全集⑥ シャーロック・ホームズの帰還』★★★

 

こちらもかなりの大容量!全798P!(レンガです)
13作品を纏めた短編集
付録まで付いていて読み応えたっぷり
解説こわい・・(^▽^;)

初めて出版されたのは、1903年
前々作の『最後の事件』でモリアーティ教授と共に死んだシャーロック・ホームズ
アーサー・コナン・ドイルの苦悩からの復活作です(^▽^)/


ホームズ生き返りました!
ゾンビか?(笑)

 

--------(抜粋)

 

『最後の事件』で滝底に消えたホームズ(『シャーロック・ホームズの思い出』所収)
しかしドイルは読者の強い要望にこたえ、巧妙なトリックでホームズを「帰還」させた(『空き家の冒険』)
独自のプロットで読者を魅了する『踊る人形』や、国家機密をめぐりあざやかな解決にいたる『第二の汚点』などの傑作群を収録した第三短編集
ホームズ物語を3倍たのしむオックスフォード大学版の精緻な注釈と解説
初版本イラスト全点を復刻掲載

 

--------

 

 

28作目
・空き家の冒険 

  ホームズ復活譚・・(笑)
  突っ込みどころ満載
  苦し紛れな言い訳にしか聞こえませんが、生きていたってことで流しましょう~

  しかしワトスンの不幸が少ししか触れられていないのは、タブーってことかしら? 



29作目
・ノーウッドの建築士

---

「あの故モリアーティ教授が死んでからというもの、ロンドンはひどくつまらない都市になったね」


---

 ワトスンの不幸は詳しく語られず、開業医をやめ(医院の権利を売却)
 再びホームズと二人暮らしをスタート

 vsレストレイド(毎度のホームズにしてやられるパターンですな)



30作目
・孤独な自転車乗り 

  美しい依頼人登場
  しかしホームズは女性に興味がないらしい・・(^▽^;)
  依頼人と恋に落ちるとか期待ゼロ
  ここでもワトスンネタはなし。
  ホームズの代わりに調査に行き、その報告にダメ出しをくらうワトスンが気の毒でならない。。
  いささか逆ギレしたワトスン(私も逆ギレするわ!(笑))



31作目
・踊る人形

  村上春樹の『踊る小人』が浮かんだ(全然関係ない)
  

---


「個々の推理そのものは単純で、なおかつ、それぞれ前に推理したものにつなげて一連の推理を作るのは、それほど難しいことではない。そうしてから、真ん中の推理を全部とりはずして、出発点と結論だけを話して聞かせると、人をあっと言わせる、すばらしい効果が出せるのさ。」


---

  推理小説っぽい暗号が出てきます(それが表題の人形の絵文字です)

---

「発明した人間がいるのなら、それを読み解く人間もいるということです」


---



このおでこが広いのがホームズです(^▽^;)イメージ通りですか?
(ディーン・フジオカ美化し過ぎ)



32作目
・プライオリ学校 ★★★★

  ホームズ多額の報酬に目が眩んだ模様・・(笑)
  綺麗事はいらないって?この事件以外は報酬なんて興味がなかったホームズ
  事件の質、興味をそそられる内容、自分の能力が試されるような奇怪な劇的な事件に着手
  

 

33作目
・黒ピータ

  定番中の定番って感じな事件
  新聞が連絡手段として重要な役割を果たしていた時代



34作目
・犯人は二人(元々は・ロンドン一の悪党)

  正義とは何か?悪(わる)とは?

  短期間で女性を手玉に取ったホームズ!(笑)



35作目
・六つのナポレオン

---


「これはたしかに新しい種類の犯行だ」かれは言った。


---

  『固定観念』 文字通りには、「固定した考え」「妄想・妄念」といった意味がある。英国、或いは米国の心理学者が最初にこの言葉を使い始めたのは、1830年代のことでその後広く使われるようになった。

 

---

 

わたしたちは、ファッションのロンドン、ホテルのロンドン、劇場のロンドン、文学のロンドン、商業のロンドン、そして最後に海運のロンドンの街を次々と通り過ぎ、川沿いの街についた。

 

---



36作目
・三人の学生

  表題の通り三人の学生の内犯人は誰か?当てクイズじゃないけど、当てました!
  (ネタバレですが、単純に「らしくない」一人に的を当てただけ(^▽^;))

  解説では相変わらず細かい話が進行中
  この舞台となった大学はどこか?
  運動所の距離まで測って予測している始末・・(苦笑)

 

 

37作目
・金縁の鼻めがね

---


前にも言ったかもしれないが、ホームズは、その気になれば、女性に取り入るのが大変うまく、すぐに相手との信頼関係を築かれるのだった。

 

---

 

 ロシアが絡んできた・・今も昔も裏で色々ありますな(^▽^;)戦争は勘弁

 

 

38作目
・スリー・クォーターの失踪

  さすがのホームズもラグビーとなると別世界らしい。
  それも一筋縄ではいかない相手との駆け引き・・ホームズ焦燥
  さてどうなる!?

  偵察役にわんこも登場🐶



39作目
・アビ農園 ★★★★

---
 

三つのワイングラス、あれがすべてだ。

---

  ホームズの推理が冴える。
  ラストに感動!
  何が何でも真実を白日の下に晒さなければならないということはない。

---

「民の声は神の声なり」


---

 

  

40作目 ラスト!
・第二の汚点 ★★★★★

 ホームズの手柄を立てようとする意気込みがなく、ユーモアを交えて大団円を迎え去ってゆく姿に拍手!

 

以上 13作品収録

 

ホームズ復活となった本作

「ホームズが死亡したのは、まず間違いのないところでしょう」と言っていたコナン・ドイル
その後に「しかし実際には彼は難を逃れ、健在であるのかもしれません」と認める。
・・ズルい!(笑)

映画の続編を作れるように、主人公の生死がどちらでも取れるようなエンディングを迎えると同じね。

売れるか、売れないか、
大人の事情も多々含まれる。

 

 

 

お次は『恐怖の谷』です。
谷と言えばモリアーティ教授・・一瞬の登場だったから生きていたらおもしろいのに。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A

2022-02-18 | 翻訳物

 

アーサー・コナン・ドイル
訳:小林司/東山あかね
[注・解説:C・ローデン 訳:高田寛]
『シャーロック・ホームズ全集⑤ バスカヴィル家の犬』★★★

 

シャーロック・ホームズシリーズ長編
四つの長編の中でも最高傑作と言われている作品です(^▽^)/

わんわんわんこ 魔犬伝説
がうがう 獰猛な獣!?

 

--------(抜粋)

 

「悪霊のはびこる暗い夜更けに、ムアに、決して足を踏み入れるな」――魔犬の呪いに苛まれたバスカヴィル家当主、
その不可解な死 湿地に響きわたる謎の咆哮
怪異に満ちた事件を描いた圧倒的代表作

「ホームズ物語」の中でも圧倒的人気を博す長編大傑作
充実した注釈と解説、全イラスト復刻の決定版

 

--------


中々読書する時間がなく、何とか完読

ってか途中で笑いが出てしまった。
だって・・ワトスンがどうしてもパシリに思えてきて、
全くホームズが登場せず、右往左往しているワトスンが気の毒になってきて、
同時進行で読んでるお友達に「これはワトスンの冒険だわ」ってメール
ちょうど佳境な場面で、闇に潜んでワトスンが張り込み中
怪しき人物が!!どうなるワトスン!?
予想はしていたけど、その怪しき人物がホームズだった・・(笑)
この登場の仕方はホームズあるある。
ホッとしたのは言うまでもない。
やはりホームズとワトスンのセットでなくちゃね。うん。
この掛け合いがあってこそ引き立つ物語なのです。

相棒なしじゃ味気なし。
(関係ないけど、右京さんの相棒が誰になるのか?)


 

一点不満が・・
相変わらずの(ゴシップ紙的内容)解説は置いといて、
今回の解説は次作のネタバレ満載・・(^▽^;)よいの?
小林さん、東山さん載せてよかったの?
いえ、このバスカヴィル家の犬のネタバレならよいけど(解説先に読むなって話で済む)
次作のネタバレはまだ知らない読者もいるのよって話です・・

 

あなたのメトニミーは?



内面を探る、本質は何か?
それを見極めると捉えればよいのかもしれないけど、
何だか痛いところだけ衝かれてる感じがして、嫌気がさしてきた。

 

この作品は1901年3月以降に執筆され、コナン・ドイルが一番苦しい時期の作品である。

 

---

 

人は、幼児期に抑圧された衝動を意識化するのに抵抗を示す。幼児期体験を想起する代わりに行為として再現する抵抗現象を、フロイトは「反復強迫」と呼んだ。

 

「反復」とは無意識の定義の一部

 

反復は不安を増幅させる効果をもっている。

 

---

めずらしくー(マイナス)な気分になる終わり方でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて日本版シャーロック!(知らなんだ)


こちらディーンさまで映画化されたようで・・イケメン過ぎる!(笑)
本当のホームズを見せてあげましょうか?

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』公式サイト

6月17日(金)公開!月9ドラマ「シャーロック」が映画になって帰ってくる!《シャーロック・ホームズ》シリーズ最恐の金字塔、日本初映画化。

 

 



 

 

次作は大容量な短編集です(^▽^)/気分変えよっ


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A

2022-01-28 | 翻訳物

 



アーサー・コナン・ドイル
訳:小林司/東山あかね
[注・解説:C・ローデン 訳:高田寛]
『シャーロック・ホームズ全集④ シャーロック・ホームズの思い出』★★★

 

本を手に取ることなくお正月が過ぎ・・
仕事始めでばたばた、週末はボードやらでこれまた本に触れず・・
やっと読み終わりました~

こちらも『シャーロック・ホームズの冒険』に次ぐ大容量!全681P
同じく12作品を纏めた短編集
読み応えたっぷり(^▽^)/

初めて出版されたのは、1893年
既にシャーロック・ホームズの生みの親として、有名作家となっていたアーサー・コナン・ドイル
色々な苦悩の末、ラストの『最後の事件』でシャーロック・ホームズに死が訪れる。
え!?って感じでしょ ホームズって死ぬの?

 

--------(抜粋)

 

学生時代のホームズや探偵初期のエピソードなど、ホームズを知る上で欠かせない物語満載
宿敵モリアーティ教授との対決を描き「最高の出来」と言われた《最後の事件》を含む、必読の第二短編集

日本を代表するシャーロッキアンによる新訳全集
全12編を、「ストランド・マガジン」に掲載された初出の順番どおりに初めて収録
精緻かつ権威あるオックスフォード大学版の「注釈・解説」を完訳して付し、シドニー・パジットのイラストすべてを復刻掲載

 

--------

 

 

15作目
・白銀号事件 ★★★★(私的に最初から盛り上がった!)

  聞いたことがあるような?それでも新鮮さがある。

 

 

16作目
・ボール箱

  耳

 

17作目
・黄色い顔 

  人種差別がまかり通っていた時代を彷彿させるお話

---

 

「ねえ、ワトスン」と彼は言った。「これから、ぼくが自分の能力を過信した時や、事件解決の努力を怠っているようなことがあったら、ぼくの耳もとで『ノーベリ』とささやいてくれたまえ。そうしてもらえれば、ぼくは君に大いに恩義を感じるよ」

 

---

 

18作目
・株式仲買店員

  トレーダーとか横文字じゃないのが時代を感じさせる。
  どこへ連れてゆかれるのか?ナゾがナゾを呼ぶけど、ホームズにはお手のものです(^▽^)/

 

 

19作目
・グロリア・スコット号

  ホームズ初めての事件「ぼくが、生まれて初めて解決した事件だからさ」

  学生時代にトレヴァーというお友達がいたらしい。
  愛犬のブルテリアがホームズに嚙みついたのが知り合うきっかけとなった。がうがう

 

 

20作目
・マスグレーブ家の儀式

  前の事件に続く過去の回顧録(『思い出』ですから?)
  ホームズにも下積み時代があったのです。


 

21作目
・ライゲイトの大地主

  休養先で起こる事件
  ホームズの演技が冴える!?

 

 

22作目
・曲がった男

  ベイカー街遊撃隊 小さなストリート・チャイルド登場

 

 

23作目
・入院患者

---

 

「そう。あなたへの助言は、まず、真実をお話しなさい、ということです」

 

---

 

 

24作目
・ギリシャ語通訳

  ホームズに兄弟がいた!(親族情報はあまり明かされていないから初耳!)
  それも徒歩圏内に住んでいたとは意外だった。

---

 

マイクロフト・ホームズはシャーロックよりかなり大がらで、体格もよかった。
体は肥満していたが、大きい顔の中に、弟に特有の、あの鋭い顔つきを思わせるものがあった。奇妙に明るい、うす灰色の目には、もてる力をすべて使いきって捜査をしているときの、シャーロックの目の中でしか見たことがない、もの思いにふけりつつ遠くを見つめている、内省的な目つきとよく似ていた。

 

---

 

 

25作目
・海軍条約文書事件

  ホームズの洒落っ気がおもしろく、ウケた。
  本人曰く「ぼくはいつもドラマティックな味付けがしたくなるたちでしてね」

 

 

26作目 この短編集最後!
・最後の事件

  見開きの挿絵が何を物語っているのか・・決闘からの死!?
 

  モリアーティ教授と言うか「モリアーティ」はこのホームズで知っている。

 

  今回は本家本元のモリアーティ(元)教授に対面!
  逃走劇が中心で詳細が何だか分からぬままの最後・・(ドイル投げやり?やる気ないな・・(苦笑))
  やっつけ仕事に思えたのはわたしだけ?
  どう思います?

 

---

 

「たぶん、モリアーティ教授のことは聞いたことがないだろうね?」彼は言った。
「ないね」
「ああ、そこがこの事件の特質であり、不思議な点だ!」彼は叫んだ。「この男はロンドンで幅をきかせているというのに、誰も彼のことは聞いたことがない。それだから、彼は犯罪史上最高峰に立つことになるのだ。ワトスン、ぼくは真剣だ。もし彼を打ち負かすことができたら、もし彼を社会から追い出すことができたら、ぼく自身の経歴は頂点に達したと感じるべきであって、もっと落ち着いた暮らしに変わろうかと思っている。ここだけの話だが、スカンディナヴィアの王室やフランス共和国を助けた最近の事件のおかげで、ぼくの性分に合った穏やかな暮らしを送り、化学の研究に専念できるだけのものは手に入った。でも、ワトスン、ぼくは休んでなといられない。モリアーティ教授のような男が、なんの問題にもされないまま、ロンドンの街を歩いていると思ったら、椅子にのんびろと座ってなどいられないのだ」

 

---

 

突如伏線もないまま現れたモリアーティ教授・・(・・?

違和感しかない。

 

 

 

前作の短編集に続くシャーロック・ホームズを取り巻く事件の数々でした。

 

やはり解説は、ドイルの私生活とリンク(^▽^;)ドキ
心情、内情何でもあり!
何とか平行で読み進めたけど。
ドイルはあまりにも有名になり一人歩きし始めたホームズに嫌気がさし、
死へと追いやるぐらい、上記に記した通り投げやり感半端ない。
「病んでたのかな?」

シャーロック・ホームズ
やはり独立系として単純に楽しみたい。
それ以上それ以下でもなく。

 

お次は中編『バスカヴィル家の犬』です。わんわん
ドイル復活!


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

K

2022-01-12 | 翻訳物

 

カズオ・イシグロ
訳:土屋政雄
『わたしを離さないで』★★★

 

やっと完読!!挫折に挫折を重ね・・
十年以上の月日を経て読み終わることが出来た。

こちらは表紙買いした本
カセットテープがよいなとその当時思った。

2008年8月20日 印刷
2008年8月25日 発行


その後カズオ・イシグロは2017年にノーベル文学賞を受賞
一躍脚光を浴びた。
その際も一冊ぐらいは読まないとと挑戦するものの、睡魔に襲われ挫折(^▽^;)

ずーっと本棚に眠っていた。

今回あえて読書会の課題本に提案
そうすればどうにか読めるかなと。

ホッとしてます(^▽^;)何語る?

 

--------(抜粋)

 

自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――

英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点

 

--------

 

カズオ・イシグロ - Wikipedia

 

 

---

 

 

「何か大事なものをなくしてさ、探しても探しても見つからない。でも、絶望する必要はなかったわけよ。だって、いつも一縷の望みがあったんだもの。いつか大人になって、国中を自由に動き回れるようになったら、ノーフォークに行くぞ。あそこなら必ず見つかるって‥‥‥」
ルースの言うとおりでしょう。ノーフォークはわたしたちの心の拠り所でした。そういう感覚は当時からあったかと思いますが、自覚していた以上に大きな拠り所でした。だからこそ、いい年をしたいまになっても、冗談を装いながら、相変わらずノーフォークについて語り合うのだと思います。

 

 

 

たぶん、わたしにとっていかに大切なテープか、みなには秘密にしていたことと関係があるのでしょう。そのくらいの秘密は、ヘールシャムの誰もが持っていただろうと思います。無から作り出した自分だけの隠れ家、恐れや望みをいくらでも持ち込める場所――それが秘密です。でも、そんな秘密を必要としていること自体が、当時のわたしたちには、周囲の期待を裏切ることで、いけないことのように感じられていました。

 

 

 

わたしたちは「教わっているようで、教わっていない」

 

 

 

ウォークマンセッション

 

 

 

「よし。で、そういう店はどこにあるんだ」
いま、あのときのことを思い出すと、胸に暖かさと懐かしさが込み上げてきます。小さな裏通りにトミーと一緒に立ち、これからテープ探しを始めようとしたあの瞬間、突然、世界の手触りが優しくなりました。一時間以上の待ち時間に、あれ以上の過ごし方があったでしょうか。わたしは必死に自分を抑えました。そうしなければ、どうしようもなく笑い転げたり、小さな子供のように歩道を飛び跳ねたりしそうでしたから。しばらく前、トミーの世話をしているとき、ノーフォークへの旅の思い出に触れてみたことがあります。トミーもまったく同じ気持ちだったと言っていました。わたしのなくしたテープを探しにいこうと決めた瞬間、突然、すべての雲が吹き払われ、あとに楽しさと笑いだけが残った。と。

 

 

---

 



 

---

 

 

「ね、トミー?わたしたちが知ったこと、ルースは知らないまま使命を終えたわけだけど、あれでよかったのかしら」
トミーはベッドに寝転がっていました。しばらく天井をにらんでいて、「偶然だな」と言いました。「おれもこの前同じことを考えてた。ああいうことになると、ルースはおれたちとちょっと違っていたからな。君やおれは知りたがり屋だ。最初から――ほんとがきの頃からそうだった。何かを見つけ、知ろうとした。おれたちの内緒話なんて、その典型だな。覚えてるだろ、キャス? けど、ルースは違うぞ。あいつは信じたがり屋だ。知るより、信じるのがルースだ。だから、そうさな、ああいう形で終わってよかったんじゃないか」そして、こう付け加えました。「それに、エミリ先生のこととか、おれたちはいろいろ知ったわけだが、だからって、ルースがしてくれようとしたことが変わるわけじゃない。おれたちに最善を望んでくれたんだ。最高の贈り物をくれようとした」
わたしは、その場でルースのことを深く話し合うつもりはありませんでした。ですから、素直にトミーに同意しました。でも、あれからずっと考え続けてきて、いまは、どうなのかと迷う気持ちもあります。わたしの一部は、知り得たすべてをルースにと分かち合いたいと望みつづけています。確かに、知ったらルースはがっかりするかもしれません。わたしたちにしたことの償いを望んだのに、それが果たされなかったのを知って、二重に後悔するかもしれません。それでも――正直の申し上げると、それでも――わたしの中には使命を終える前のルースにすべてを知らせてやりたかったと思う自分がいます。復讐心や意地悪もあるかもしれません。でも、それだけではありません。トミーが言ったとおり、ルースは最後にはわたしたちに最善を望んでくれました。あの日の車の中で、わたしに許されることはないだろう、とルースは言いました。でも、それは間違いでした。わたしには、もう、ルースへの怒りはありません。知り得たすべてをルースと分かち合いたいと言うとき、それはスールがわたしやトミーと違うままで終わったことが悲しいからです。一本の線のこちら側にわたしとトミーがいて、あちら側にルースがいます。こんなふうに分かれているのは、わたしには悲しいことです。知ればルースも悲しいでしょう。

 

 

---

 

わたしはトミーと同意見かな。
多分ルースには言わないと思う。
ルースの立場であってもよい思い出として最期を終えたい。

信じたがり屋でありたいし、綺麗な思い出と共に暮らしたい。
よい面だけを見るようにね。
だって、そうじゃないって分かっているから。

 

ノーベル文学賞を受賞した作家さんの作品は内面を巡る物語でした。

表面をなぞるだけでも、残るものがあるし、ちょっとした葛藤もある。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A

2022-01-01 | 翻訳物

 

明けました~(^▽^)/
2022年!!本年も引き続きよろしくお願いします。

ブログ10年目に突入ってことで感慨深い年になりそうです。

 

本当は年末に年間ベスト本!記したかったのですが・・
まぁ雑多な用事等であっと言う間に年明けです。
(昨年に引き続き大晦日は沖縄料理屋さんでした)

 

初日はシャーロック・ホームズからスタートです。
(冬休み読書出来なそう・・明日から雪山です*)

 

 

----------------------------

 

 



アーサー・コナン・ドイル
訳:小林司/東山あかね
[注・解説:C・ローデン 訳:高田寛]
『シャーロック・ホームズ全集③ シャーロック・ホームズの冒険』★★★★

 

こちらは大容量!!全732P
12作品を纏めた短編集で読み応えたっぷり大満足(^▽^)/

初めて出版されたのは、1892年10月
この作品がきっかけで一躍、アーサー・コナン・ドイルは有名作家へと。

シャーロック・ホームズの登場する短編小説、という発想がドイルの脳裏に浮かび、
最初のシリーズは彼がロンドンにいる間に執筆されたそう。

 

--------(抜粋)

 

ドイル自身がもっとも愛した短篇であり、探偵小説史上の記念碑的作品“まだらの紐”をはじめ、“ボヘミアの醜聞”、“赤毛組合”など、名探偵ホームズの人気を確立した第一短篇集
夢、喜劇、幻想が入り混じる、ドイルの最高傑作
オックスフォード大学版の注・解説にくわえ、初版本イラスト全点を復刻掲載した決定版

 

--------

 

3作目
・ボヘミアの醜聞

 「あの女」アイリーン・アドラー登場

 

4作目
・花婿失踪事件



5作目
・赤毛連合 

  デジャブ!?いやこのネタは結構使われてる。というよりこのお話が元とされている?

 

6作目
・ボスコム谷の惨劇



7作目
・オレンジの種五つ

---

 

シャーロック・ホームズは、目を閉じて、椅子の腕に両ひじをつき、両手の指先を合わせて言った。
「理想的な推理ができる人間というものはね、ひとたび一つの真実の全容を示されれば、そこに至る一連の出来事を探り出すだけでなく、そこからひきおこされるであろう結果まで推理してしまうものなのだよ。」

 

---

 

8作目
・唇の捩れた男

 アヘン窟なる場所を知る。
(過去の『つかまえて』シリーズに「アヘン窟」が出てきてイマイチ分からなかった)


9作目
・青いガーネット

  ちょうど舞台はクリスマス 時期が合っていて季節にぴったり



10作目
・まだらの紐

  しゅるしゅる

こちらの作品は米国のシャーロッキアン(出た!)1944年不動の人気NO.1作品です。
・・私的には普通



11作目
・技師の親指

---

 

「経験というのは、目に見えないが、価値あるものですよ。それを言葉にしさえすれば、今後一生の間、すばらしい話し相手だという評判を得ることができるのです」

 

---



12作目
・花婿失踪事件

 花嫁と花婿両方失踪事件有(^▽^)/

 

 

13作目
・緑柱石の宝冠

---

 

ありえないことを取り除くと、残ったものがどんなにありそうもないことでも、それが真実であるというのが、わたしの昔からの信条です。

 

---

 

 

14作目
・ぶな屋敷 ★★★★(私的に盛り上がって推理してみた(笑))

---

 

「危険ですって!どんな危険を予想していらっしゃるのですか?」
ホームズは重々しく頭を振った。「どんな危険かわかれば、もうそれは危険ではないのです」

 

---

 

とにもかくにもシャーロック・ホームズを不動のものとした短編集だそう。
(まだ次作を読んでいないので私的には何とも言えない)

 

それがまた解説が・・ドキ(^▽^;)
ドイルの私生活とリンクさせてて、読んでいて怖いわ~
何も知らず、シャーロック・ホームズを独立系として楽しみたい。はい。
(会社のコは「解説は飛ばした」とのこと)

 

一気に完読したいな。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする