青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

オリビア・ニュートン・ジョン 2010年・来日コンサート

2010-12-04 | 素晴らしかった興行・イベント

活動40周年を迎えた、英国生まれの世界の歌姫、オリビア・ニュートン・ジョンのジャパン・ツアー。11月26日に、その2日目の東京・渋谷のオーチャードホールのコンサートに行って来ました。40周年ということで、ファンの投票によって選曲されたベスト盤や、紙ジャケットのCDなどがリリースされ、僕のような古くからのファンにとっては嬉しいプレゼントになっています。

このベストや紙ジャケは日本独自のリリース。世界的に発売されたものではありません。現在も大きな人気を誇っているのは、オーストラリアと日本の2大マーケット。アメリカやヨーロッパでのコンサート予定はありません。しかしアメリカでも根強い人気はあり、僕は今回の紙ジャケCDを、大勢のアメリカ人から買ってくれと頼まれました。ちなみにファンの投票によって選曲されたベスト盤には、投票したファンの方の名前が何人かクレジットされていますが、僕は本名とペンネームの両方がクレジットされました。

今回のステージは東京・金沢・名古屋・大阪(と言うか、尼崎)が予定されていました。前回までの来日で、オリビアを招へいした会社と今回の来日招へい元は異なり、今回はウドー。金になると分かれば飛んでくる、あのウドー。案の定チケットも高額になったわけですが、まだ音響の良い中規模のホールをコンサート会場に選んでいただけ良かったと言えます。来年のイーグルスなんてドームで12,000円です。(スティング、ホール&オーツなどオールドネームが続々来日しますが、高い!)

さて、開演時間を迎えると、ステージ後方に設置されたスクリーンに、幼少時代から現在に至るまでのオリビアの姿を追う、写真や動画が次々に映し出されました。幻の映画「TOMORROW」の映像から可憐なデビュー当時のフォト。ジョン・トラボルタと共演したミュージカル映画「グリース」のカットや「ザナドゥ」のカットも。そしてオリビアの80年代最大のヒット「フィジカル」の新聞報道も披露。BGMには映像にマッチした、その当時の彼女の曲のインストロメンタル。(実はこれは、オリビアのオーストラリアコンサートのDVDのエンディングに収録されているものに、その後を加えたものです。)

そしてステージ上にはドラマー、ギタリスト、ベーシスト、キーボード奏者、男女コーラス各1名、それにサックスやフルートなどのウインド・パートとコーラスも兼任する男性が1名(この人が凄かった!上手い!)といったバンド・メンバーが登場。映像が終わると同時に、ステージ袖からオリビアの歌声が響き渡り、満場の拍手が巻き起こった。姿を見せた彼女は、ブロンドの髪が映えるエレガントな黒いドレスを身に纏っている。

伸びやかだが嫌味のない、ナチュラルでビブラートの効いた歌声が、1975年にビルボード1位を記録し「そよ風の誘惑」を皮切りにホールを満たしてゆく。ファンキーなR&Bや、スウィングするポップ・ナンバーなど、バラエティ豊かな選曲の中で彼女のピンヒールの足は軽快にステップを踏む。これが本当に、62歳の人の歌声と姿なのか?「ドーモアリガトウゴザイマス!ハロー、トーキョー!」と最高にチャーミングな笑顔で挨拶する。客席から「I’m really love you, OLIVIA!!」の声が飛ぶと、即座に「あら、ウチの旦那がいるみたいね」と切り返して笑いを誘った。

「昔、ジーン・ケリーと踊った曲よ。ヒア・ウィー・ゴー!」と、今度はカラフルな照明の中でダンサブルなタイトル曲を皮切りに、映画「ザナドゥ」からの楽曲群を立て続けに繰り出してゆく。メロディは派手ではないがグルーヴィな名曲「マジック」も格好がいい。ギタリストの肩に手を置いたり、男性コーラスとのデュエットで手を取り合ってダンスしたりと、バンドとしてのパフォーマンスも楽しみながらのステージだ。「カントリー・ソングは好き?1971年にアメリカで初めてヒットした曲なの。一緒に歌ってね」と、ステージ中央にバンド・メンバーが集まってボブ・ディラン作の「イフ・ノット・フォー・ユー」からは一転、カントリー・ポップのメドレーが。カントリー、R&B、ディスコ・ポップにバラードと、ジャンル的にボーダレスな楽曲の数々も、彼女の長いキャリアでの人気を支えて続けてきた証明だ。

椅子に腰掛けたまま、「たそがれの恋」が披露されると、そのままムーディーでかっこいいアレンジの「フィジカル」がプレイされ始めたのだが、「ノー、ノー、ノー!やっぱりこれ、立って歌わないとダメじゃない?」と、オーディエンスの喝采を誘いながら演奏中断。本来の力強いダンス・チューンのアレンジで仕切り直し。上手い!懐メロ人気曲であることを逆手に取った、心憎い演出だ。熱いギター・ソロに合わせてぴょんぴょんと飛び跳ねてしまうオリビア。更には情熱的なラテン・ファンク・チューン「ノット・ゴナ・ギヴ・イン・トゥ・イット」、そしてオリビアがイルカの群れと戯れる美しい映像がスクリーンに映し出される中での「ザ・プロミス(ドルフィン・ソング)」と、彼女の人生における様々な瞬間を切り取った楽曲が続いて行く。

ドレス姿からカウガールへと衣装チェンジ(一貫して黒を基調にしているのがかっこいい)したオリビアは、「ジョン・デンバーの曲です。知っているわね。」と「カントリー・ロード」のイントロをメンバー達と合唱する。「カントリー・ロード」と言えばオリビアのバージョン、という印象を持つ人も、少なくないのではないだろうか。その昔に「おはよう700」のテーマとして使われ大ヒット。ラジオ「ヤングリクエスト」で何週にも渡って1位を独走した曲だ。(最近では「耳をすませば」でもカヴァーされました。)そして「噂」からスタートするロック・メドレーへ。羽織っていたウェスタン・ジャケットを脱ぐと、セクシーでアクティブなキャミソール姿になる。それでも嫌らしさが皆無でヘルシーに見えてしまう。

そして、クライマックスは「グリース」からのナンバーで盛り上がる。ドタバタ恋愛ミュージカルを再現する、男性コーラスとの言い争うような「愛のデュエット」が楽しい。映像では何度も見ているシーンだが、生で見ると一層面白い。「想い出のサマー・ナイツ」ではスクリーンに歌詞が映し出され、オリビアがシンガロングを求めるのだが、正直、日本人にとっては、そんなに敷居が高いのか?と思ってしまった。オリビアファンが集まっていて、平均年齢も結構なのに歌えない??ま、楽しかったからいいけど・・・。

アンコールではこの日「最近録音したばかりの曲なの。世界の人に聴いてもらいたいの」と披露した新曲「Help Me to Heal」に続き、もう1曲の新曲「Grace And Gratitude」をドラマチックに歌い上げ、彼女のステージの最後を長年飾ってきた「愛の告白」を熱唱した。それでも鳴り止まない拍手に、何とオリビアは再度登場。「もう歌う曲がないのよ。全部歌っちゃったから・・。アカペラでもいいかしら?」と、「オーバー・ザ・レインボー」を美しい声で披露。メンバーが全員舞台から去った後、最後にステージの袖に妖精のように消えて行ったオリビアでした。

メドレーで披露されたそれぞれの楽曲やアンコールの3曲まで含めると、実に30曲を数えるというエネルギッシュで濃密な2時間。スクリーンを使ったシンプルな演出ではあったけれど、基本的には「最高のバンドと一緒に、自分が最高の歌を歌えれば、最高のステージになる」とでも言うような、オリビアのパフォーマーとしての根幹で成立したショーでした。自然体なのによく考えてみれば驚異的なパフォーマンスで、あっという間に夢見心地な気持ちにさせられてしまう。そりゃあ世界で40年、愛され続けるハズです。

■セット・リスト■

1: Olivia Walk On (Honestly)
2: Have You Never Been Mellow
3: A Little More Love
4: Sam
5: Xanadu
6: Magic
7: Suddenly
8: Country Medley
[ If Not For You~Let Me Be There~Please Mr. Please~Jolene~If You Love Me (Let Ne Know) ]
9: Don't Stop Believin'
10: Physical
11: Help Me to Heal
12: Not Gonna Give In To It
13: The Promise (Dolphin Song)
14: Soul Kiss
15: Take Me Home, Country Roads
16: Rock Medley
[ The Rumour~Make A Move On Me~Totally Hot~Deeper Than The Night~Twist Of Fate ]
17: You’re The One That I Want
18: Hopelessly Devoted To You
19: Summer Nights
20: We Go Together

EN-1: Grace And Gratitude
EN-2: I Honestly Love You
EN-3: Over the Rainbow