弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「司法官僚」その誤りは「正解思考」で「指導」する

2021年10月08日 23時52分36秒 | 裁判
弁護士任官してからも、しばらくの間、「司法官僚」批判には、正直なところピンと来なかった。
現場の裁判官の多くはごく常識的な人たちと思われ、結局は、組織というよりも個々人の資質の問題ではないかと感じていたからだ。
しかし、大分地裁で部総括を経験した後、徐々に実感する場面が増えてきた。要するに、「司法行政」が「司法」ではなく「行政」の例に寄り過ぎるところから問題が生じる。
「上位下達」や「上命下服」という行政組織(官僚制)の原理を司法の現場にまで持ち込まれると、「裁判の独立」は死文化しかねない。
そればかりか、評議における「多数決」(ただし、これは飽くまで立法機関の原則であって、司法においては割れた合議を決するための必要悪である。)さえも、危うくなるだろう。
司法の場で「正解」とか「指導」といった言葉を使うべきではないと思う。