弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

控訴審との 見解の相違「連絡してね」と 言われても

2023年09月02日 00時10分27秒 | 裁判
志摩市医療助成 収入認定は違法 地裁判決
(三重 | 毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220618/ddl/k24/040/144000c
約1年前に私が言い渡したこの判決は、名古屋高裁であっけなく取り消された。津地裁裁判長としてのこれまで2年5か月間において、控訴審で覆された唯一の合議判決である。

ちなみに、私の単独事件でも、控訴審で覆された唯一の判決の事案は、同様に三重県内のある自治体を敗訴させた国家賠償請求訴訟であった。

こういう場合、原審裁判官には速やかに控訴審判決が、問合せ先として控訴審の主任裁判官の名が記された送り状を添付して届けられる。
私も名古屋高裁で主任裁判官として日照権裁判で原判決を変更した際、原審裁判官から問合せのメールを受けて、意見交換をした経験がある。それはそれで有益な場合もあろう。

しかし、本件のような見解ひいては価値観の相違に起因する判断の逆転の場合、控訴審に連絡を取ったところで平行線をたどり、場合によっては喧嘩別れになることが目に見えている。異例ではあるが、本件については、いずれ原審裁判長として、控訴審判決に反対する評釈を書きたいと思っているほどである。
ちなみに、控訴審の裁判長は私と同期だが、間もなく東京高裁部総括に御栄転されている。