弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

口頭弁論 開かぬままに 先にありきの「主文」読む

2023年09月05日 00時11分44秒 | 裁判
そもそも全ての判決は「結論先にありき」である。現に判決本文の冒頭には「主文」が記載されており、その後に「事実及び理由」欄が続く。
しかし、既に結論が分かっている状態で、判決期日を当事者に知らせて言い渡すことの当否は、長らく議論されてきた。
結局、平成初期の民事訴訟法改正に伴い、最高裁も口頭弁論を開かないまま判決期日を指定し、上告棄却判決を言い渡すことが通例になった。しかし、それまでは判決期日を知らせないまま、いきなり上告棄却判決を言い渡していた。原判決を破棄するためには口頭弁論を開かなければないので、開かずに判決期日を通知すると、判決内容が言渡し前に判明してしまうからである。
現行民事訴訟法では、事件の重要性を認めて上告を受理した上で、決定ではなく判決で決着を付ける以上、たとえ、上告棄却判決になるにしても、口頭弁論くらいは開いて上告人の言い分を聞いてはどうか、そんな意見も当然あり得るところだろう。