望月義夫環境相が代表の自民党支部が2013年、総合物流会社「鈴与」(静岡市清水区)が国の補助金2件の交付決定を通知された4カ月後と9カ月後に、同社から140万円の寄付を受けていたことがわかった。補助金の交付決定通知から1年以内の政治献金を禁じる、政治資金規正法に違反する可能性がある。

朝日新聞の取材に対し、望月氏側は26日午後11時までに回答を寄せていない。

 鈴与の鈴木与平会長兼社長は26日、朝日新聞の取材に、「(望月氏とは)何十年もお付き合いして応援しており、毎年献金している。(問題の寄付は)補助金交付のお礼という意味ではない」と話した。

 政治資金収支報告書によると、望月氏の「自民党静岡県第4選挙区支部」は13年12月30日に、鈴与から140万円の寄付を受けた。

 国交省環境省によると、同社は13年3月15日に国交省所管の「広域物資拠点施設整備費補助金」の交付決定を通知され、3件計4200万円を受け取った。また同社は環境省所管の「低炭素価値向上基金事業」についても補助金を申請。同省所管の一般社団法人から、同年8月19日に約1億7千万円の補助金の交付決定を通知された。

 国交省の補助事業は、災害発生時に支援物資を避難者らに円滑に届けるのが目的。環境省の事業は二酸化炭素の排出量を抑える技術を導入した企業に補助をするものだった。同社は補助金申請で、物流施設の非常用電源設備や蓄電装置がついたクレーン設備などの導入計画を示していた。

 鈴与経営財務企画室の担当者は、13年に望月氏の支部へ140万円を寄付したと認めたが、それ以外の詳細については「事実関係が確認できていないので、わからない。(望月氏が)地元の議員なので、応援しようということだと思う」と話した。鈴与は、望月氏の選挙区内に本社がある。

 望月氏の支部の収支報告書によると、13年までの5年間に、鈴与は毎年140万~390万円、計950万円を寄付。14~15社あるグループ会社を含めると、寄付額は5年間で計約2800万円に上る。

 補助金を得た企業からの寄付に絡んでは今月、西川公也前農林水産相の自民党支部に12年、林野庁所管の補助金を受けた地元・栃木県の木材加工会社が、300万円を寄付していた問題などが発覚。西川氏は寄付金を返した上で、今月23日に大臣を辞任している。

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 〈補助金を交付された法人からの寄付の制限規定〉 政治資金規正法は、国から補助金や給付金などの交付が決まった法人は、交付決定の通知を受けた日から1年以内は政党(支部を含む)などに寄付することが禁じられている。政党側が、国からの補助金の交付決定を受けた法人と知りながら寄付を受けることも禁じている。違反した場合の罰則は、禁錮3年以下または罰金50万円以下。