5/5の朝日新聞オピニオン面→ 新聞記事全文はこちら
http://ameblo.jp/tousekitetsu/entry-12157643730.html より引用
(憲法を考える)1947年の祈り 国際基督教大学学務副学長・森本あんりさん
<1947年の祈り>朝日新聞2016.5.5
憲法を考えるより 森本あんり(国際基督教大学 学務副部長)
憲法が制定された当時、キリスト教徒も仏教徒も無神論者も、みんなが祈っていました。何百万もの人が死んだのです。屍を前にして、できたのは、祈ることくらいだった。だれもが頭を垂れる。それと同じ気持ちが、この憲法に込められていると思います。
第2次世界大戦:軍人の死者数。22,000,000~ 30,000,000人。
多くの軍人は、戦闘で死んだのではない、兵站が途絶え、
餓死したのだ。
「元最高裁判事の那須弘平氏は、日本国憲法を『祈りの書』と呼びました。『懺悔(ざんげ)と謝罪の書』とも言っています。憲法を読むと、『決意し』『念願し』『信ずる』『誓う』と、ふつうの法律文書にはない言葉が出てきます。『永久』『恒久』という言葉もありますが、それは明らかにこの世の政府や法律が保障できる範囲を越えています。言葉づかいからして『祈りの書』なのです」
第2次世界大戦:民間人の死者数。38,000,000~ 55,000,000人
憲法が制定された当時、キリスト教徒も仏教徒も無神論者も、みんなが祈っていました。何百万もの人が死んだのです。屍を前にして、できたのは、祈ることくらいだった。だれもが頭を垂れる。それと同じ気持ちが、この憲法に込められていると思います。
*
「日本で、憲法は非常に大事にされてきました。いろいろと文句をつけられ、『改定したい』という人もいる。でも、改憲がどんなに大きなステップかをみんな分かっている。つまり、約70年の戦後を憲法とともに過ごしてきて、身についているのです。私はそれが一番貴重だと思います」
第2次世界大戦:総死者数。 60,000,000~ 85,000,000人
「終戦直後に人々の目前にあった屍のリアリティーがなくなったからじゃないでしょうか。改憲を唱える安倍晋三首相は戦後生まれです。何百万人という犠牲を前にして世界に誓ったリアリティーを感じられなくなった世代が、政治の中枢にいるという状況です」
だから、もうやめようと、人類は誓ったのではなかったのか。
誰が、創ったのか? 人類が、人智が、作ったのだろう。
◾️私は、そうは思わない。
票を集めて改憲する。それは、それで、民主的ではないか。
「
選挙で数さえ集まれば、何でもやれる。デュープロセス(法による適正手続き)を踏んで票数だけ集めれば、手続き的には正統だ、という主張です。
」
――それが民主主義でしょう。
「いや、私はそうは思わない。手続き的に正統でも、事実的に正統とは言えないことはあります。人権の問題はその典型で、多数決では決められません」
「カトリック教会には『カノン法』という近代法の淵源(えんげん)になった長い法伝統があって、知恵のある言葉がいっぱい詰まっています。そのひとつが『イリキタ セッド ヴァリダ』。ラテン語で『合法的ではないけれども妥当』といった意味です。いまの憲法には内容的な正統性がある。手続き的な正統性でそれをひっくり返しても、権威は備わりません。手続き上はたとえ合法だとしても、です」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342541.html
死者数の概算は、コモンウェルス戦争墓地委員会*による。
*コモンウェルス戦争墓地委員会(コモンウェルスせんそうぼちいいんかい、英: Commonwealth War Graves Commission, CWGC):
「第一次世界大戦および第二次世界大戦においてイギリス連邦加盟国の軍役に就いた戦死者の墓地および記念碑に関する記録および管理を目的に、イギリス、インド、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、南アフリカの6か国で構成される政府間組織である。」
憲法9条は、遺産ではない。
「今ここにあるもの」である。
人が人として在り続けるために、今ここに在るもの、である。
【写真】私はそうは思わない。
「いまの憲法には内容的な正統性がある。
手続き的な正統性でそれをひっくり返しても、
権威は備わりません。
手続き上はたとえ合法だとしても、です。」
参照元:5/5の朝日新聞オピニオン面→ 新聞記事全文はこちら