マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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一ノ井松明調進行

2007年04月09日 10時04分25秒 | もっと遠くへ(三重編)
三重県名張に位置する黒田荘は東大寺堂衆出身者の関係からの荘園で、摂関時代、藤原実遠所領の一部を東大寺別当に寄進されて矢川荘になったといい、雑役や納める物資が免除される寄進系の荘園。

赤目町の一ノ井極楽寺から東大寺に向けて出発する松明調進は700年前に居住していた道観長者の遺言から始めたという説がある。

私有田地を東大寺に寄進しそこから松明を切り出し修二会に献上せよとの遺言から始まったといわれる松明調進。

一方、宝治3年(1249年)黒田庄の聖玄法眼が始められたとの説もある。

東大寺には法眼聖玄寄進状で田6段、松千二百把を寄進したと文書が残っていることから起源は、約750年前の鎌倉時代から続く行事であると松明講衆や地区の方らは誇りにもっておられる。

昭和8年ころまでは早朝3時に極楽寺から山中を徒歩で担ぎ午後3時に東大寺に着。

昭和5年に近鉄電車が名張まで延伸されたのでその後は朝8時の電車に乗って近鉄奈良駅で行事継続。

出勤を急ぐラッシュアワーの時間帯。

ご苦労さまと声を掛けられると嬉しっかったと回顧される長老。

十数年ほど前、JCの協力もあって一部徒歩(寺から上笠間、奈良教育大から東大寺)を復活させたという。

運搬形態は変わっているものの、将来も松明調進は続けていきたいとおっしゃる伊賀一ノ井松明講。

最近は一般参加者も加えて盛大な行幸になっているもので井出の橋から上笠間まで山道を登っていくのが一番苦しい行程。

登りきった上笠間では二軒の家でお茶の接待、旧小学校跡でのおにぎりや猪汁接待をよばれると地元の方々が支援する温かさを感じる。

(H19. 3.12 Kiss Digtal N撮影)