マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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竜谷のお大師さん

2016年10月25日 08時51分28秒 | 桜井市へ
大和郡山市の番条町で行われていたお大師さんを振り切ってやってきた桜井市竜谷(りゅうたに)。

この日は本尊の子守地蔵尊を安置する竜谷寺でお大師さんをすると聞いていた。

参るのは老人会の人たちになると云っていた。

竜谷の年中行事に氏神さんを祀る三輪神社のマツリがある。

平成26年平成27年の連続取材。

マツリの日はいずれも11月3日である。

竜谷寺でお大師さんをしていると聞いたのは平成27年のときだった。

お話を聞いていたこともあるのでできる限り早めに伺いたいと思っていた。

この日は午後辺りから雨になるという天気予報だった。

着いた時間は午前11時半。

大和郡山を出発してからおよそ1時間もかかる。

早めに切り上げたが雨は待ってくれなかった。

着いたときはすでに土砂降り。

マツリの場でもある会所に集まる老人会。

杖をついてやってくる人もいる。

杖をつく老婆には傘をさす婦人がついていた。

履物を脱いで会所に上がるのはちと難しい。

これもまた婦人が援助する。

団地では考えられないような光景が目の前にある。

すごく胸が熱くなった村の人が村の人に手を差し伸べる介護に国の援助はどこへ行ったやら、である

老人会が頼んでいたパックの膳をよばれるのは営みを終えてからだ。

子安地蔵尊を安置する本堂は薄暗がり。

目を凝らしているうちに慣れてくる。

この日は弘法大師の縁日。

僧侶の姿はどこにもない。

導師の婦人は花を飾った弘法大師坐像の前に座る。

右手の壁には弘法大師像を描いた掛軸だ。

鴨居から吊るしているが、堂師の正面は弘法大師坐像である。

ローソクを灯して線香をたてる。

本尊の子安地蔵尊にもローソクと線香がある。

線香の数は7本であるが、略して3本にしているという。

手前にあった木魚を叩いて唱える般若心経。

その前に唱えるのはご真言。



大きな器型の大徳寺リンを打てばカーンと鳴る。

お堂に登った人たちは手を合わせてご真言を唱える。

次が般若心経。

木魚を打つ速度は早いほうだと思った。

それも徐々に、少しずつ早くなっているのでは、と思ったぐらいの心経は三巻唱える。



そして、最後に「なむだいし へんじょう こんごう・・・」を唱えて終える。

営みを終えた導師に話しを伺った。

導師は昭和7年生まれのNさん。

息子さんが交通事故におうてな、と云われかけて思いだした。

平成26年2月に初めて訪れた竜谷。

年中行事のお供えは特に覚えておられた婦人。

記憶は鮮明で正月初めの七日座行事やマツリなどを教わった。

婦人は先代のおばあさんから引き継いだ導師を20年間も務めてきた。

おばあさんがついていたときはお供えがあった。

近くで摘んできたヨモギの葉。

若い新芽のヨモギだ。

それを蒸してヨモギのクサモチを作っていた。

いまではそうすることはしなくなったという。

畑もしているNさん。

「えー歳になったんで、そろそろ潮時や」と思っていると云う。

雨は降りやまずの日。

会所に集まった人たちはこれより会食。

頭を下げて失礼する。

(H28. 4.21 EOS40D撮影)