アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

根羽村の子供たちと杉皮染めをしました。

2023-08-13 14:07:16 | 草木染め

  先月末、根羽村の「放課後子ども教室」の依頼で、草木染め教室を開きました。

   場所は、グリーンハウス森沢。根羽村の昔の小学校の建物を移築して、宿泊もできる施設としたものです。玄関の屋根の下の「学」の字は旧字の「學」だから、もしかしたら戦前の建物かもしれません。

   放課後子ども教室は、いわゆる学童保育。一般社団法人ねばのもりが、教育委員会から委託を受けて運営しています。

   一般の学童保育とほぼ同じような時間帯、子供を預かっているのですが、こちらは子供たちに体験してもらうことを重視。それで今回、染め講習開催の運びとなりました。

   夏休みのこの日、集まったのは1年生から6年生の子供たち25名くらい。全校生徒が30名ちょっとだそうなので、かなりの生徒が参加しました。

   「根羽の子供たちが身近に知っている根羽の植物を使ってほしい」というのが代表の杉山泰彦さんのご希望。そこで選んだのは、杉の皮です。

    根羽は林業の盛んな地域です。森林組合の活動はとても盛んで、組合職員の大半が移住者だと聞いています。森林組合を紹介した、美しい根羽の森の動画も見たことがあります。根羽は稲武に隣接する一番近い長野県。以前根羽から稲武にかけて、昔の塩の道を辿ったことがあるのですが、よく整備された根羽の森から、稲武に入った途端、森の手入れがなされていなくて、びっくりしたことがあります。

   この日使った杉皮は、その森林組合でもらってきたもの。煮出し始めると、子供たちが「臭い臭い」と連発。わたしにはいい匂いと思いこそすれ、少しも臭く感じないのに、杉独特のあの匂いを、子供たちは「臭い」と感じるらしい。林業の村の子供とはいえ、身近に木々と接しているわけではないようです。もっとも子供たちの半分は村外からの移住者のお子さんたちだそうなので、嗅いだことのない子も大勢いたかもしれません。

   杉の皮は、ソーダ灰を加えてアルカリ抽出しました。赤味を引き出す方法です。煮だしてから、空気に触れさせて参加させます。すると、みるみるうちにワイン色に変化。色の変化に子供たちの目が輝きます。

     エコバッグにビー玉や割りばしで作った模様を施し、染液に投入。

    子供たちは学年を越えての付き合いが当たり前。年上の女の子は、下の学年の女の子たちにとてもやさしい。小規模校ならではのよさが、あちこちで感じられました。

    放課後子ども教室のスタッフには、ふるさと協力隊の隊員も数名参加。昼食後、子供たちとビー玉遊びに興じるスタッフも。

    媒染はアルミ。お昼過ぎには作業終了です。根羽杉の染め、なかなかいい。

    ちょっとしたことでも面白がってくれる子供たちとの一日は、楽しかった。

    学童保育あるいはそれに類する活動は、預かる子供の人数が多すぎて、スタッフはもめごとや事故が起きないようにするのに精いっぱいで、子供にちゃんと向き合う時間を過ごせるようなシステムになっていないと、しばしば聞きます。こちらの子ども教室は、主宰者もスタッフも若く、さらに夏休みの特別スタッフとして高校生がくわわっていることもあって、子供たちと年齢が近いせいか、雰囲気がとてもなごやか。たぶん学校とはだいぶ違うのだろうと思います。子ども教室は、高学年の生徒対象に学習塾も開催。村が、子供たちのために、さまざまな支援をしているようです。

    主宰の杉山さんは、「いつか村を出て、都会に住み始めた子どもたちが「子供の時、杉の皮で染めをして面白かったな」とふと思い出してくれたら嬉しい。そういうふうに思ってもらえるような体験をいっぱい増やしたいなと思っています」と語ります。彼らの成長の一助になったら、わたしもうれしいことです。

 

 


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