荻野洋一 映画等覚書ブログ

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変な夢を見た。

2013-08-23 02:41:36 | 身辺雑記
 変な夢を見た。じつにあほらしい内容だが、あくまで備忘録として記述する。

 その日、北朝鮮軍による東京周辺への空爆が始まり、周囲に爆弾が落ちるなか、自宅(なぜか実家)から避難した私は、幾多の苦労と少なからぬズルを重ねた旅のあと、北朝鮮に亡命する。ピョンヤン市内での判決のあと、私の身柄はなぜかケソン市内の旧家に引き取られ、その家の跡取り息子(私と同年配)と意気投合するという物語。
 森の中の邸宅で大勢の召使いに囲まれ、監視される生活が始まる。日本人である私を、召使いたちが心の底から憎んでいることはおのずと理解できたが、この家の跡取り息子の客人として丁重に扱われる。斜面の森林に高低差を利用してしつらえられた邸宅は、いくつかの棟からなり、私はそのうちの、庵のような小さな建物に軟禁された。ただし軟禁とは名ばかりで、わりに自由に外出が可能である。私がこの地区の有名な俘虜で、地区住民はみな私の顔を知っているのだから、そっと逃げることは不可能である。
 近所に日本人のたむろするバーがあると聞いて、ためしに行ってみた。スタンディングの店。戦況について何でもいいから人々から訊き出したかったが、誰にもくわしいことは分からないようだった。ある客いわく「NHKは北朝鮮礼賛の報道を流しているらしい」とのこと。そうか、つまり日本は負けたんだなぁ。あのすさまじい爆撃じゃ、東京の知り合いはみんな死んじまっただろう。
 ここ数週間は恐怖、悲しみ、緊張に苦しめられたが、軟禁先の跡取り息子とは、金正喜(キム・ジョンギ)の書画など朝鮮王朝時代の古美術について、あるいは高麗時代の青磁の器について会話に花が咲くに任せるのだった(何語で会話したのかはよく覚えていない)。彼の自慢のコレクションも見せてもらった。21世紀のこの国に、こんな風流な人物がいたとは! …考えてみれば、北朝鮮の土地は元来、決して後進地域ではなく、仏教文化の花開いた高麗王朝(918-1392)の故地であり、王宮所在地の松都(現・ケソン)は商業や芸能、花柳界が栄え、儒学の最高教育機関「成均館(ソンギュングァン)」の所在地でもあった。
 とにかく抑留を強いられたこの家で、私が奇妙な心の平安を感じ始めていることは、否定しようもなかった。

 それにしても、いったいこの夢は何なのか? 見終わって起床した直後は、開いた口がふさがらなかった。前夜に南仏プロヴァンス地方の代表的なリキュール「アブサン」のなかの究極形である「L'Extrême d'Absente」というのを飲んだ作用で、こんなヘンテコな夢を見たのか?