すずりんの日記

動物好き&読書好き集まれ~!

小説「雪の降る光景」第2章1

2006年10月31日 | 小説「雪の降る光景」
 ロシアの地で孤立状態にあるドイツ第6軍司令官の、フリードリヒ・パウルス陸軍元帥以下、ドイツ軍20個師団とルーマニア軍2個師団を救うため、12月12日、マンシュタイン将軍が南西部から攻撃を加えた。彼の部隊はスターリングラードへ30マイルの地点まで進出した。参謀本部は総統に、パウルスが包囲網を突破し解放軍と合流するのを認めるよう求めたが、総統は、11月にロシア軍が進攻してきた際の撤退と同様、これを許さなかった。案の定マンシュタインの陣営は、ドン川のずっと上流にいたロシア軍にイタリア軍の戦線を突破され、危険な状態に陥った。救出部隊はパウルスたちの運命を天に任せて、止むを得ず撤退し、ロシア軍に包囲された20万のドイツ将兵は、既に絶滅に瀕してしまっていた。
 年の明けた1943年1月8日、ロシア軍の指揮官はパウルスに、名誉ある降伏のための条件を提出した。回答の期限は、24時間だった。しかし総統は、またしてもパウルスに、「持ちこたえよ。」とだけ命じたのである。最後通告の期限が切れてから1日後に、ロシアの多数の大砲は砲撃を開始し、あっと言う間にドイツ陣営は半分になってしまった。さらにロシア軍が包囲網を狭めて行ったために、残された少ないドイツ軍は、2つに分断された。
 1月24日、ロシアは新たな条件の提示を行い、改めて降伏を促したが、総統は無線でこうパウルスに命じたのである。
「降伏は許さぬ。我が軍は最後の1兵まで現地点を死守せよ。西欧世界の救済のために!」
総統が我が国の政権を獲得した10周年にあたる1月30日、パウルスはこう返事を送った。
「最後の壊滅は、24時間以内に迫った。」
そして、その後まもなく、彼はわずか数十人の生存者と共に、降伏した。

 総統はこのことを、「ドイツ陸軍がこれまでに初めて受けた最大の敗北」と呼び、5日間喪に服すようにドイツ国内に命じたが、今や戦争の嵐がドイツに向きを転じたのは誰の目にも明らかだった。ドイツ国内で喪に服したあの5日間が、それを暗示していたのだ。スターリングラードでの敗北が、その後必ず訪れるであろう運命を予言し、私たちに黒服を着せたのだった。総統は今まで、一度も敵対国の実像を正確に把握したことは無かった。外国を一度も訪問したことが無く、ドイツ語しか話せない彼が、イギリス人、フランス人、アメリカ人、ロシア人などの精神構造を理解するという方が無理な話だった。
 総統は、ルーズベルト大統領の謙虚さを、自国がヨーロッパの抗争に巻き込まれることに対する気の弱さと評価し、スターリン率いるロシア軍の強大さをひどく低く評価していた。総統の目には、ルーズベルトは哀れな不具者、チャーチルは救いようの無い飲んだくれ、スターリンは殺し屋、山賊、としか映っていなかった。また、我がドイツ軍は、一突きでロシアを屈伏できるし、イギリスを容易く侵略でき、フランス軍は無力に等しいと言い放ち、アメリカはヨーロッパの戦争には絶対に加わらないと信じて疑わなかった。
 彼が政権の座に就いた当初は、万事が思い通りに進んでいた。ラインランド進駐、チェコスロバキア占領、さらにはオーストリアの併合も、民主主義国家に阻まれることは無かった。彼は血を流すこと無く各地を征服し、勝利を次々に治めていった。さらにその後、ベルギーを占領し、わずか2~3週間のうちにフランスを制圧した。彼の出足は申し分の無いものだった。・・・が、しかし、その後戦争の風向きは変わったのだ。

「カルタゴは、3度戦争を行なった。1回目の戦争の後も同国は強大だった。2回目の戦争後も、まだ住むことはできた。しかし、3回目の戦争によって、消滅した。」
そう言ったのは、ドイツの作家、ベルトルト・ブレヒトであった。快楽主義に埋もれている彼に、私は好意を持ってはいなかったが、彼が言ったこの言葉に、私は好感を持っていた。・・・この言葉通りの運命を、我がドイツがたどることは無いと、誰が断言できるだろう。

 私はいつものように、午前9時に総統の別荘に着き、エバ・ブラウンと少し言葉を交わして部屋のドアを開けた。そこには、総統もボルマンもいなかった。しかし、どこかで見たことのある、懐かしい、そしてわずかに殺気立った1人の男が、窓の方を向いて立っていた。彼はしばらくして、ドアの開く音を聞いて振り向いたが、私は彼が振り向く前に、彼が何者なのかがわかっていた。私にとっては、忘れようにも忘れることのできない、唯一の人間であった。
 彼がこちらに視線を向け、私たちは互いの姿を眺め合ってはいたが、互いに、言葉をかけることも目を合わせることも無かった。いや、あまりにも再会が突然であったので、そうすることを忘れてしまっていたのだろう。私が、ドアのノブをつかんだまま中に入ることさえ思い出せずにいると、玄関から、こちらに向かって来る話し声が聞こえてきた。

(つづく)


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はろの巨体

2006年10月30日 | ちょっとしたこと
実家に帰って来て、
日々心配になってきているのが、
5ネコの体重。

こちらに来てから完全室内生活になった5ネコ。
でも、ご飯の量は変わってません。

11月の体重測定が恐いです^_^;

写真は、運動無しの生活で、1人のびのびしている、はろです。

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久しぶりの美容院

2006年10月29日 | ちょっとしたこと
今日、久しぶりに髪を切りに行きました。

店の人に確認したら、なんと、半年ぶりでした。
もう10年以上もお世話になってるその店で、
「どうしてたの~?元気だった?」と聞かれて、
いろいろあった事をダイジェストで報告。

報告してて、改めて、いろいろあったなぁ、と
再認識しました。

でも、今年はまだ終わってません。
まだまだ、いろいろありそうですよ。

来週くらいから、小説も再開しますね!
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頑固者、ちぃ

2006年10月28日 | ちょっとしたこと
実家に帰って来て1週間が過ぎ、
ネコたちはそれぞれのペースで、
状況の変化に慣れてきました。

その中で、まだいまいちリラックスしてないのが、ちぃ。

前の住宅に居る時も、
外で会うスタッフにいつでもどこでも体を撫でてもらう、
人なつっこい同じ歳のすずに比べ、
ちぃを触ったことがあるスタッフは、
たぶんいなかったんじゃないかという人見知りぶり。

頑固なちぃが両親に心を開く時は来るんでしょうか?

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5ネコへの感謝

2006年10月27日 | ちょっとしたこと
私の実家に来たことがあるのは、
5ネコの中でねねだけです。
すず、りん、ちぃにいたっては、
以前の住宅を離れること自体が初めて。
それでも、一緒に連れて行くしかないと思って、
みんなで実家に居候しました。
たぶん、不安だっただろうけど、
少しずつ、こうやって、
くつろいでくれるようになったようで、
本当に良かった。
最近は両親のフトンや膝の上も
堂々と占領するようにまでなったみたい。

写真は、ねねとすずです。

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元同僚、そして会社への感謝

2006年10月26日 | ちょっとしたこと
解雇されてから、実際に社宅から立ち退く日までに、
これまで一緒に仕事をしてきたスタッフに最後の挨拶をしました。
とうとうこの日がきちゃいましたね~、なんて言われてしまいましたが、
残る自分たちも大変なのに、
みんな、「がんばってください!」と
力強く追い出してくれました(^_^)

この会社に入社して、5年数ヶ月。
会社側は今のところ静観をしていますが、
解雇してくれたおかげですぐに失業保険も出るし、
仕事以外は何も失わなかったし、
最良の時期に辞めることができたし、
思いがけず、いろいろ考えられる時間ができたし。

私としては、会社、そしてオーナーにとっても感謝してます(^_^)
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家族への感謝

2006年10月25日 | ちょっとしたこと
もともと私は、先週の土曜日の休みに、
実家に顔を見せる予定でした。

が、突然の解雇。

実家に、改めて連絡を入れました。

「予定通り帰るんだけど、・・・ネコたちも一緒に行くから。」

実家で両親が元気でいてくれたから、
私が居場所を無くした時、
こうやって実家に帰ることができるし、
5匹のネコも一緒に受け入れてもらえたんですよね。

いくつになっても心配かけて、すいません。

でもへこたれないでいる私を
見守ってくださいね(^_^)
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友人への感謝

2006年10月24日 | ちょっとしたこと
昨日アップした退職の話を、
取り急ぎ、数人の友人に報告した時の反応は、

え~~~っ!!ホント!?

と、絶叫した後、みんな、
「でも、良かったんじゃない?」
と言ってくれました。
その言葉にすごく助けられました(^_^)
こちらにコメントしてくださった方、
ブログを見て応援してくださっている方も同様です。
本当にこれ以上の支えはありません。
ありがとうございます!
足カセが1つ切れたんですから、
小説も仕事も、今が挑戦する時なんだと思っています。
みなさんこれからも、よろしくお願いします(^_^)
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突然ですが。

2006年10月23日 | ちょっとしたこと
先週の月曜日、職場でオーナーから呼び出しがかかりました。

内容は、「根も葉もないことに対する疑惑」、でした。
具体的には、オーナーである自分に細かい報告が無いこと、
報告が無いのは、自分に隠し事があるからに違いない、
隠し事は、使い込み、つまり横領に違いない、
呼び出されて2時間ほどの話の大半は
だいたいそんなような感じでした。
もちろん全て事実無根です。
私の部署は、つい数日まで報告は全て社長に対して行っており、
現場で起こる細かい出来事を全てオーナーに報告して、それで現場が回るのか、
その体制もオーナーから明確な指示がなされていないこと、
そして、今までオーナーと社長の指示以外で
経理として業務を行ったことは無く、
横領などもってのほかだ、と反論しました。
が、こちらの答えが明確であればあるほど、
私には理解できないオーナーの怒りは上がっていき、
しまいには、この会社の不況、売上の伸び悩みは経理のお前(私)の責任だとまで言い出す始末。
私はあまりにもバカバカしくなって、
思わず、・・・クスッと笑ってしまいました。


そして、その結果、
怒りがピークに達したオーナーによって、
私は、晴れて、解雇になりました。

ご心配をおかけしてすいません。
とりあえずの事実説明はこういうことなのです。
でも、このことで私が人生を悲観したり、
その後の毎日を泣き暮らしたりしている訳じゃないってことだけは
お伝えしておこうと思いました。
むしろ、このような形で会社を辞めたことに
感謝すらしています。
そのことについてはまた、
日を改めて書かせてもらいますね(^_^)
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ようやくそろってのご飯

2006年10月22日 | 
久しぶりの5ショットです。
金曜日に到着してから今日の昼まで、ずっと押入れにいたネコたち。
昨日の夜になってから家中の探索を始めて、
両親から苦情が出てしまいました。
こっちでは外に出られないから、
運動不足なんでしょうね。


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無事、到着!

2006年10月21日 | ちょっとしたこと
昨日の夜、無事に着きました。
着いて、ほっとしたのか、
ひいていた風邪がひどくなって、
私がダウンしてしまいました。
ネコたちは、ねね以外は実家は初めてなので、
昨日は4匹が、隠れた押入れから出て来ず、
今日になってようやく、
居間に出没するようになりました。


写真は、疲れ切って寝ている、はろです。

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無事、出発!

2006年10月20日 | ちょっとしたこと
乗る時にりんとちぃが大騒ぎでしたが
なんとか無事、5ネコ揃って出発です。
暗くなるのも早くなってきたし、
なんだか風邪ひいたようで頭が痛いので、
高速に乗って早く帰ろうと思います。
お金払う時に窓から逃げませんように・・・。

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外泊といえば。

2006年10月19日 | 
今やうちの5ネコの中で「外泊王」はすずですが、
以前は、ちぃもよく外泊してました。
すずとは違って、1日くらいで帰ってきてましたけど。

でも今はちぃはほとんど外泊しなくなりましたね。
高齢のねねとはろは、夜はほとんど出歩かず、
早朝出歩いていることが多いみたいですが、
ちぃも最近、同じサイクルになってきているようですね。

いまだにそうならないのが、黒ネコ兄妹の、すずとりん。
冷え込みも厳しくなってきてるから、おとなしくしててほしいんですけどね

写真は、右から、ちぃ、すず、りんです。

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油断はできません。

2006年10月18日 | 
今日、ようやくすずが帰宅しました。
部屋が真っ暗でも、
すずが「お腹すいた!お腹すいた!」と騒ぐので、すぐわかりました。

でも、ドライブ当日まで、まだ油断はできません。
どうかもう当日までおとなしく帰ってきてくれますように


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週末ドライブ

2006年10月17日 | 
今週末、とうとう、
5ネコを連れての札幌行きを決行することになりました。

それなのに、それを知ってか知らずか、
すずが昨日から家出中です。

果たして無事に、
5ネコそろって、札幌へ向かえるんでしょうか

写真は、すずです。

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