水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -75- 雨の日

2025年02月04日 00時00分00秒 | #小説

 コレといった理由もないのだが、雨の日はどういう訳か心が陰気になりやすい。最近の世相は暗い陰気なことが多く報じられ、どうも世相は雨や曇りの日が多いように感じられる。ここは、スカッ! と晴れ渡って欲しいものだ。晴れれば、コレといった理由もないが、自然と気分が明るくなるような気がする。お願いしますよっ! ほんとにっ!^^
 とある山奥に村落があった。正式な呼称はあるのだが、気流と地形の関係からか雨が一年中降りやすく、世間では雨多(あめだ)と俗称で呼ばれていた。
「よく降りますねぇ~」
「ええ、雨村ですから…」
 単線ながら、この村を通る電車に揺られながら、二人の男が座席で話している。今、無人駅から乗った二人である。駅名も誰がつけたか分からないが、雨多だった。
「村にすりゃ、少しは雨が降らなくなりますかねぇ~」
「ははは…そりゃ無理でしょう。自然には勝てませんから…」
「いや、分かりませんよ」
「いやいや、それは無理ですよ。いや、無理です」
「私は明日から日多(ひだ)と呼ぶことにします」
「まあ、あなたのご自由ですから、御勝手に…」
 言われた男は少しムッ! としたが、軽く受け流した。
 どういう訳か雨多は、次の日から晴れることが多くなった。気象庁でも、その原因が掴(つか)めず、七不思議の一つに名を連ねることになった。すると、どういう訳か、国の世相は晴れへと好転していったのである。
 まあ、雨の日のも困りますが、出来れば少なくして欲しいものです。雨の日は陰気なりやすいですが、世相がよくなるよう晴耕雨読の工夫で過ごせば如何でしょうか。^^

                   完


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