最近の世相は紛(まぎ)らわしいことが多くなった。その弊害の一例がパソコンのメールである。いかにも関係がある内容で、よくよく思えば心当たりがないメールなのだ。うっかり読み込んでしまえば被害を被る・・といった手合いのメールで実に紛らわしいから困る。^^ 迷惑メールで消去すればいい訳だが、巧妙に釣り糸を垂れているのである。フィッシング詐欺…私は魚かっ! とついつい気分を害していたが、まあこれも世相の流れか…と、最近は右から左へ流しています。左から右の場合もありますが…。^^
雲尾は朝からブツブツと呟きながら怒っていた。
「どうしたの?」
山の神的存在の妻が台所から居間にやってきて、ブツブツ言っている夫に気づいた。
「いや、なんでもない…」
「なんでもなかったら、ブツブツ言わないでっ!」
「はい…」
青菜に塩である。夫は山の神には弱かった。^^
「どうしたのよ…」
気になったのか、山の神の方から訊(たず)ねてきた。
「いやなに…。つい今し方、電話がかかってな。雲井さんのお宅ですか? って言うんだ。いや違います、雲尾ですっ! って言ったらな…」
「なんて言ったのよ」
「ははは…紛らわしいですね。失礼しましたで、プツンさ…」
「そりゃ、私でも怒るわ」
「だろっ! 間違い電話をかけて呵(わら)うこたぁ~ないよなっ!」
「まあ、そうね…」
「それにしても、紛らわしい苗字もあるんだなぁ~」
夫の怒りは、いつの間にか静まった。かくしてこの家庭の朝食は、紛らわしくなく、いつものように始まった。
平和ですねぇ~雲尾さんっ!^^
完