信玄堤

大井川は静岡県下だけを流れている一級河川で　
赤石山脈を水源とし、駿河湾に注いでいる　
１５０ｋｍを南進し、最後の２０ｋｍを東進する　
今でこそ流れは固定しているが　
昔は暴れ川で、川筋が洪水のたびに変わっていたようだ　

東進するには訳があり、南側に牧之原台地が横たわっているからだ　
台地にぶつかった濁流は暴れまわったのだろう　
信玄が編み出した技術を惜しみなく使い治水を試みた　
その痕跡が下流域左岸に幾つか見られる　
「石積み出し」と呼ばれるものだ　

「出し」とは土手から川の方向に直角に伸びた土手だ　
本来は流れそのものを変更するための手段だったようだが　
この辺りのそれは別の意味合いがありそうだ　
台地に反射して来た強い流れを弱める役割　
我が家の北側に２本、南側に１本ある　

戦国時代の天才が考案した堤で　
我が家の近くで堤防は決壊しない　
そう自分自身に言い聞かせている　
雨が去って二日目　
水量は今も増している　

決壊

堤防の決壊程恐ろしいことはありません　
大河川のすぐ傍に家がある身として　
何度も脳内シミュレーションをしています　
２階であれば何とか凌げる筈　

今回の鬼怒川の状況は私の予想を遥かに超えています　
２階へ逃れたとしても　
孤立してしまうことは考えても居ませんでした　
決壊しないことを祈るのみ　

越水

初めて聞いた言葉でした　
水が河川の容量を超えて溢れ出ることでしょうか　
私の家も大井川の土手の傍　
他人ごとではありません