見えない赤い紐に繋がれた猿が一匹。
放れ猿は猿廻し親分の傘の下で、自らがボス猿にでもあるかのように振る舞った。
所詮猿なのだが、解ったようなことを言う。
本当は赤い紐に繋がれた可哀想な一匹の猿。
赤い紐がなければ、君は逃げることが出来るのかい。
それとも、赤い紐が護ってくれているのが解っているから、逃げないでいるのかい。
自分では旨い芸で皆が喜んでいると勘違いしているようだ。
でもね、皆その芸は猿廻しの親分の指金だと知っている。
知っているからこそ、楽しんでみているのさ。
猿廻しの猿君、君がどんな演技をしようとも赤い紐が君の喉元を締め付けるのを知っている。
君がどんな偉そうな振りをしようとも、それが猿廻しの親分の指金だと知っている。
猿廻しの猿君、君の名前は何?
今のままだと、本当に馬鹿な猿になってしまうよ。