【先日紹介したコラムの、論理性を向上させました】
2016年から毎年、トヨタを初めとする大手車メーカーでは数値偽装の不祥事が頻発している。
コンプライアンスが浸透したはずの令和になってなぜ不祥事が止まないのか。
これは、同質性の高い日本企業で強い「求心力」が働き、先輩が行ってきた社内慣行と常識に違和感・引っ掛かりを感じる「感性」が鈍ってしまうことと、その違和感を口に出す勇気がないことが原因だ。
「感性」が鈍ると、いつしか社内の「正しさ」が歪み、世間との乖離を生んでしまう。
日本企業の求心力の強さは組織目標への忠誠をもたらす良い側面もあった。しかし、組織に異を唱える「遠心力」が低すぎると、社会常識に基づく「感性」がいつしか鈍麻してしまう。
そこで、適度な遠心力を維持して「感性」を磨き、「正しさ」を常に相対化・客観視する工夫が必要だ。いい組織では求心力と遠心力のバランスが取れている。
では、どうやって「感性」を磨けばよいか。
端的には、「非日常」がキーワードだ。日常業務の中に埋もれていては、どうしても感性を磨くことは難しい。
具体的には、「場所」「人」「モノ」のいずれかにおいて、意識的に非日常に接
するようにしたい。
1 場所
非日常的な「場所」に行く。
例えば、普段は触れない芸術(美術館、コンサート、映画、寄席)に触れる。物理的な移動が感性陶冶に最も役立つ。
より具体的には、季節に一度は小旅行に行くことをお勧めしたい。
2 人
非日常的な「人」に会う。
仕事に繋がらない人と交流する、旧友・親戚や恩師に久しぶりに連絡してみる、地元のボランティアやお祭に参加する、などが挙げられる。
月に一度は自分で会食を企画してみてはどうだろう。小説を読んで他人の人生を疑似体験することも刺激になる。
3 モノ
非日常的な「モノ」に接する。
つまり、目に入るモノ(景色)、耳に入るモノ(音楽)、口に入るモノ(飲食物)、鼻に入るモノ(匂い)、手に触れるモノ(日用品)を変える。
「普段行かないコンビニエンスストアやスーパーに行く」「髪型を変える」「一駅前で電車を降りる」「勧められた本は全部買う」などがある。
週に一度は本屋に足を運ぶことがいい例だ。
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組織目標を実現するため、社内で頑張ることも大事である。
それと同様に、社外に出て「非日常」を積極的に味わうことで、感性を研ぎ澄ますことも重要だ。
(950字くらい)