舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

宇宙小説「地球のお箸で食べたい」

2010-10-28 01:34:09 | 小説
「地球お箸で食べたい」


宇宙なう。


やっと地球に帰れるぞー!
惑星探査の仕事って、移動時間の方が長いんだよな。
親父と喧嘩して家を飛び出して、スペースレンジャーに入隊して地球も飛び出した。
仕事で宇宙に行けるのは嬉しいけど、これじゃ退屈すぎて発狂するかもな。
昔は無重力ってだけで興奮してたのに、今では重力も親父の石頭も懐かしい。
自動操縦に切り替えて、宇宙食でも食って寝るか。
地球出る日にお袋が親父に内緒で作ってくれた弁当。
そのままじゃ持っていけないから、宇宙食にしてもらった。
まさにお袋の味が袋の味にっつってな。
けど、やっぱりお袋の弁当は、

地球のお箸で食べたいー!地球のお箸で食べたいー!

と、歌っている俺の耳に、警報が鳴り響いた。
前方に巨大な未確認飛行物体が出現だ!
まさか宇宙人の基地か?
いや、アレは宇宙ステーションだ!

単独飛行用スペースシップで近づくと、ゲートが開いた。
一体、中に誰がいるんだろう。
ゲートが閉じると、俺は単独飛行用スペースシップを停止させた。
酸素があることを確認して、宇宙ステーション内部に降りる。

あれ、ここは定食屋じゃないか!?
しかも重力もついてる!!
誰がこんな人通りの少ないところで定食屋をやってるんだ?
すると、厨房から懐かしい声が。

「元気だったかい?」

お、お袋!!
何でここに!!

「アンタが宇宙で寂しい思いするといけないと思ってね。夕ご飯を作ってあげるよ」

お袋!!宇宙だから夕方とか無いけど、嬉しいよ!!

「宇宙食ばっかじゃ飽きるだろう。ほら、あんたが好きだった唐揚げとカボチャの煮物だよ。地球のお箸で食べたいだろうと思ってねえ」

お袋…嬉しいよ…
でも、どうやってこんなところに?

「俺だよ」

親父!!

「お前みてえな半人前が宇宙でやってけるかって母ちゃんが心配してよう、俺がこの店作ったって訳よ」

「どうだい?地球の味は」

親父…お袋…
美味いよ…とっても美味いよ…

それは久し振りの、親子揃っての食事だった。
やっぱり料理は、

地球のお箸で食べたいー!地球のお箸で食べたいー!

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ウホッ、いいプラネテス)
2010-10-28 09:36:16
後の大ヒット携帯小説である
返信する
メンドーサ一族年代記 (虚無僧)
2010-10-28 18:54:11
「俺は惑星マドロスの移民、メンドーサ。
ああ、まったくこんな星に来てしまって、
あれをやるのも、これをやるのも
何もかも面倒さ!

敵は天下の豪商、ゴメス一家。
ああ、でも戦うのは面倒さ。
素直に頭を下げて謝ろう、
ゴメン、スンマセン。
ああ、天下の平和は俺のもの。」

これ思い出したw
返信する
宇宙へ (ローメン)
2010-10-29 01:31:37
>ウホッ、いいハチマキ

恋空を超える超大作である。

>虚無僧さん

何でそれを思い出した。
なんて理由を考えるのも面倒さ。
返信する

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