男は武勇伝を自ら語らず。

トビキリのエピソード


③「遅れてきたヒーロー」


公演最終日の朝、レイさんだけが集合時刻に来ませんでした。
大方寝坊でもしたのだろうとみんなが話す中、おもケンが言ったのです。

おもケン「どうします？この後レイさんが凄くボロボロの格好でびしょ濡れになって登場して、僕とかが『どうしたんですか』って聞くんですけど『何でもねえよ』とか言って話さないんですよ。で、何事も無かったかのように公演が終わるんですけど、僕らが気付かないうちに受付に小さい子と母親が来ていて、レイさんに『先程はウチの娘を助けていただき…』とか言ってて、レイさん実は人助けして遅れてたっていう…」


なんというドラマティックな展開！！
そして便乗しはじめるそうめい。


そうめい「それで、みんなでその母親のところに駆け付けるんだけど、レイさんは何も言わずに楽屋とか行っちゃって、それで俺らが母親から『今朝ウチの娘が溺れていたところを…』とか話を聞いて、俺らで『レイさーん！』とか言って楽屋に駆け付けるとレイさんが椅子に座って一人で煙草吸ってて、俺らが『レイさん凄いじゃないですかー！」とか言ってレイさんの肩を叩くと、次の瞬間に煙草がポロっと落ちて、レイさんがバタって倒れて、『レイさーん！！レイさーん！！』っていう」


まさかの殉死！！


おもケン「絶対レイさん凄いボロボロになって来ますよ」

そうめい「寧ろ普通の格好で来たら全く空気読んでないな」


無駄に高まる期待！！


そして全員に注目される中、レイさん登場。


レイ「ゴメン、遅れた」

そうめい「レイさん、何で普通の格好なんですか？」

レイ「は？」

おもケン「レイさん、何で遅れたんですか？」

レイ「ゴメン、普通に寝坊した」

そうめい「はぁあ！人助けとかじゃないのかよ！マジ空気読んでないし……」


普通に遅れただけなのに、酷すぎる言われよう！