8/25(日)、よろっtoローサ、「よろっto新潟妖怪講座」へ。
出演は、新潟妖怪研究所の所長の高橋郁丸さんと、実は会長でもあるNAMARA代表の江口歩さん。
第1回は、全国の妖怪を使った町おこしを紹介。
どんな町が登場したかと言うと…
・水木しげるさんの故郷、鳥取県境港市
水木しげるロードには全国から多くの人達の寄付によって妖怪像が建てられている。
・「稲生物怪録」の舞台、広島県三次市
妖怪博物館「三次もののけミュージアム」が作られ、妖怪アニメ「朝霧の巫女」の舞台にもなった。
・数々の妖怪伝説が残る、大分県臼杵市
妖怪イベントを企画している「臼杵ミワリークラブ」は、「臼杵」と「薄気味悪いクラブ」をかけているまさかの駄洒落!
・小泉八雲の雪女伝説が残る、東京都青梅市。
雪女伝説の調査にはオカルト作家の山口敏太郎さんも関わっている。
・「八日市は妖怪地」、滋賀県八日市市(現在は合併で東近江市に、八日市町という地名だけが残る)。
駄洒落だけで妖怪町おこし、「ガオーさん」という鬼のゆるキャラまでいる。
・商店街を挙げて妖怪をアピール、京都府京都市上京区、大将軍商店街 一条妖怪ストリート。
妖怪仮装行列の百鬼夜行も行われ、妖怪衣装の貸し出しも行っている。
・源頼光らが酒呑童子を退治した伝説が残る、京都府大江山。
ウルトラマンや怪獣のデザインで知られる成田亨さんによる鬼のモニュメントも作られている。
・水木しげるさんが長年暮らした、東京都調布市深大寺。
妖怪ショップの鬼太郎茶屋、水木しげるさんのお墓には、多くの妖怪ファンが訪れている。
・河童の伝説も残る、東京都かっぱ橋道具街。
江戸時代に治水工事を行った合羽屋喜八が川太郎の愛称で親しまれ、今では全国の河童を愛する「かっぱ村」が一堂に会する「河童サミット」も開催。
いやー、まさか全国にこんなにたくさん妖怪の町があるとは!
全国に調べに行った郁丸さんもすごい!
その後、新潟の妖怪伝説として、不思議な妖術で暴れ回り退治された武将の黒鳥兵衛の話題に。
その首は塩漬けにされて新潟市西区の緒立八幡神社に埋められ、そこには今も黒鳥という地名が残り、近くの緒立温泉は塩分を含んでいて皮膚病を治したなど色々な伝説が残っているので、黒鳥兵衛の出身地である東北の人にアピールして来てもらおうという話に。
他にも、ピア万代が去年と今年に開催した新潟妖怪まつりの話題も。
そこでは新潟妖怪研究所の妖怪スタンプラリーも行い、新潟島の中だけでスタンプラリーができるほど妖怪がたくさんいたことに驚き。
また、妖怪の仮装大会も行われ、そこに出場した化け茶釜の仮装をした小学生の女の子が最後に登場してくれました。
化け茶釜とは、茶釜が和尚さんに化けて檀家へ行ってそばを食べていたという三条市の長見寺に伝わる妖怪の伝説で、郁丸さんのイラストを見て仮装したそうです(目の付け所が面白すぎる!)。
ところで、2人の話を聞いて、郁丸さんは妖怪文化の研究・発信を重要視して、江口さんは経済や地域活性化を重要視しているという、2人の微妙な考え方の違いがあるように感じました。
2人それぞれの考えから、文化と経済の両立の大切さを実感しました。
そもそも妖怪には昔の人達の暮らしや気持ちが込められていると思うので、妖怪に親しむことはその背景にある歴史や文化に親しむことにもなると思います。
江口さんも言っていましたが、妖怪は自然と人間の共生の中から生まれたものなので、それは現代の物質文明や情報化社会の中で私達が忘れてしまった大切な考えだと思います。
しかし、妖怪を安易にイベント化、キャラクター化して経済利用することで、その背景となる大切な歴史や文化が忘れ去られてしまわないかと少し危惧する自分がいます。
例えばホラー映画の「リング」の貞子や「呪怨」の伽椰子はもともと殺されて怨霊になった背景が物語で描かれていたのがシリーズが進むごとにただの怖がらせるためのキャラクターと化していったように、妖怪の背景となる歴史や文化を忘れて安易にキャラクター化してしまっては、ゆるキャラやアニメやゲームのキャラクターと変わらず、それはちょっと寂しいと思うのです。
しかし、妖怪にとって本当に悲しいのは、妖怪の存在そのものが忘れ去られてしまうこと。
江口さんも言っていましたが、妖怪とは人間の生活の中から生まれるものなので、人間が忘れてしまえばそれは妖怪の死を意味し、もはや妖怪は絶滅危惧種とも言える。
だからこそ、妖怪をイベント化、キャラクター化することで、たくさんの昔の妖怪が現代に生き残っているのもまた事実。
これは水木しげるさんが「ゲゲゲの鬼太郎」にたくさんの妖怪を登場させた功績が大きいと思っています。
それに文化研究にもお金はかかるし、不況で人々が文化を楽しむ余裕ががなくなれば妖怪も忘れ去られていくわけです。
なので妖怪の文化研究と経済を両立のためには、妖怪をただの表層的なキャラクターではなくその歴史背景もしっかり伝えていくことが大切だなと思いました(その方が妖怪をより深く楽しめると思うので)。
妖怪好きとしては、新潟の妖怪を身近に楽しめるイベントがあれば行ってみたいです。
妖怪についてたくさん考えさせられました。お疲れ様でした!