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はい、そんな感じで、レティクル東京座「幕末緞帳イコノクラッシュ!」の公演期間中であるにもかかわらず、敢えてこのタイミングで2月に僕が初めてレティクル東京座を観劇した「學園使徒ノクト」の感想を書いています。
もともと公演が始まる前に書こうと思っていたつもりが、せめて自分が観劇する前に書こうとどんどん先伸ばしにしていたところ、書きながらついに東京まで来てしまったわけですが、このままの勢いで書いていきます!
僕がレティクル東京座を知ったきっかけについては、一つ前の記事に書いています。
「レティクル東京座と出会った!というあの2月の思い出!」
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さてさて、目的のレティクル東京座を観に行くために王子小劇場に到着すると、開場前にすでに行列が出来ていました。
人気だぜレティクル東京座!
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「學園使徒ノクト」の看板も出ていました!アガるぜ!
で、地下にある王子小劇場に入ったんですが、まず最初に目に入って来たのが舞台美術で、いわゆるアングラ演劇感と言うか見せ物小屋感が半端なくて、その時点で「なんかとんでもねえ場所に来ちまったぞ…!」と思いました。
と言うのは、この演劇は戦時中の大日本帝国をモデルにしているっぽいんですが、舞台美術が「大日本帝国!」っていう感じが異様なまでに全開で「えっこれ大丈夫なの?激しい思想の人が見たら勘違いするんじゃないの?」っていう(笑)
で、受付でパンフレットも貰う訳ですが、このパンフの内容がまた、妙に気合いが入っていると言うか濃い内容で…
せっかくなので、公式で上がっている、この作品のあらすじのコピペを掲載させていただきます。
大日本帝國と可憐な少女天皇にその身を捧げる
幼き兵士を育成する「皇立帝東(おうりつていとう)高等學園」。
その中には學園在學中に戦争に出陣する特SS超絶エリートクラス、
學園生徒が憧れてやまない通称『學園使徒ノクト』と呼ばれる奇跡の集団があった!
総理大臣の隠し子・月宮(つきみや)は政治家の権威を守る為、天皇の権威を失墜させるため、
と父親からの大義名分抱えさせられ乗り気じゃないけどシャーネーナ、
と座敷牢抜け出し特注學ラン身に纏い、鬼が出るか蛇が出るか、の、學園巣窟に潜入す!
目指すは「學級崩壊」
それは大人と子供が右顧左眄(うこさべん)に入り混じる
――君と出逢わなければよかった――愛多憎生(あいたぞうせい)ゼロサムゲーム!!
どうよ!この異様なまでに濃いあらすじ!ここでもやっぱり完全に趣味が全開と言うか、あらすじの時点でお腹いっぱいですヨ!
で、パンフに登場人物全員の説明が載ってるんですが、これがまた何と言うか濃い内容で…あれです、アニメとかのファンブックとかに載ってるやつです(笑)これぞまさに中二病設定と呼ぶにふさわしい内容で、執拗なまでのこだわりを感じました。
で、正直こういうの見ると僕はちょっと引いちゃうこともあるんですが、逆にこの時は赤星ユウさんらしさが全開だ!って思えてきたら、なんかもう笑えてきちゃったというか、妙な嬉しさがありました(笑)
という感じで、完全にレティクル東京座の世界を堪能するぞ!という気持ちで、期待と謎の緊張感を胸に、開演を待ちました。
で、いよいよ開演した訳ですが、開始早々、白塗りのメイクで異様に派手な衣装をまとった役者たちが、ほとんど叫んでいると言っていいくらいに、これまた異様なまでに誇張された演技で舞台上を動き始めたではないか!
で、それを目撃した途端、僕は、嗚呼、間違いない!赤星ユウさんの舞台だ!よっ待ってました!って気持ちになって、なんかもう一人笑いが止まらなくなってしまったのでした。
と、そんな冒頭の興奮が徐々に上がっていったところで、突如として爆音で音楽が流れ出したかと思えば、すごい大人数の役者さんたちが全員登場して(もちろん全員白塗りで派手な衣装を着ている)歌い出すという圧巻のオープニングが!
しかもそのオープニングテーマというのが、アガるアニソンっていう感じでマジで格好いい!しかも、オープニングの時点ですでに大量の紙吹雪が舞台に舞い散るという、あの、最初から飛ばしすぎだ!
FUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
最高です!オープニングの時点で100億点!
で、そこから物語が始まる訳ですが、例によって異様なまでに内容が濃いと言うか情報量が多すぎて上手く説明出来ないのですが…
やたらと横暴で好戦的な少女天皇が支配し他国と戦争しまくっている架空の大日本帝国が舞台で…(この時点で色々問題あるだろ!)
その天皇が率いる学徒を育成するための皇立帝東(おうりつていとう)高等學園の中の、超エリート集団にしてイケメン集団、それが學園使徒ノクトであった!
そんな天皇を牽制するために、座敷牢で育てられた総理大臣の隠し子の娘、月宮が、性別を偽って男性として學園使徒ノクトに侵入し、内部から秘密裏に学級崩壊を企む!当然主人公はめっちゃ強い!どうなる學園使徒ノクト!
さらにそこに、北海道の「エミシ国」から大日本帝国との交流と称してエミシ国の王子が率いる「學院騎士アクア」が送り込まれてくる!學院騎士アクアの真の目的とは何なのか!
と、主人公月宮、少女天皇、日本政府、學園使徒ノクト、學院騎士アクアそれぞれの思惑が絡み合い、うーん一体この先どうなっちゃうの~!
…って、だから情報量が多すぎんだよ!
架空の日本を舞台にした戦記ものであり、バトルものやスパイものっぽい要素もあり、よくもまあ、こんだけ色んな要素を一つの演劇にぶっ込んだなあという(笑)
さらに驚くことに学園ラブコメものでもあるという!
イケメン集団である學園使徒ノクトと美少女集団である學院騎士アクアが、バトルを始めたかと思えば、中盤から突如として双方の登場人物たちの間でラブコメが始まるという。
戦火の中で敵同士に芽生えてしまう愛…うん、わりとありがちだけどやっぱり美味し過ぎる展開!
さらに、本当は女性だけど性別を偽っている主人公月宮と、學園使徒ノクトのメンバーとの間にも、ライバル同士でありながら愛憎渦巻く複雑な感情が芽生えるという…これまたどっかで見たことある気がするけど美味しすぎる展開!
一言で言うと、あざとい!
オタク趣味的に美味しすぎる展開が多すぎです。だからお腹いっぱいなんだって!
あと、登場人物たちの衣装もとてもこだわって作られていて、特に學園使徒ノクト、學院騎士アクアの衣装は統一されたデザインでありながら、個々のキャラクターに合わせて微妙に異なるデザインになっているという、要するに、アニメのキャラクターとかアイドルの衣装とかでよくあるアレなんですが、そのまま漫画から出てきたみたいと言うか、本当にこだわりが凄いなあと思いました。
もっと言っちゃうと、學園使徒ノクトの衣装はモロにライチ☆光クラブっぽかったし、學院騎士アクアの衣装は帝国華撃団っぽかったです。
要するに、色々ありますが、ライチ☆光クラブと帝国華撃団がバトルしたりラブコメしたりするような演劇です!カオス!
さらに、そんな物語も登場人物も設定盛り込みすぎな演劇に、さらにミュージカルの要素もぶっ込んできて、劇中、20~30分に一回くらいで音楽がかかり、登場人物達が歌うシーンが挿入されます。これ、すごく良かったと思います!
格好いいアニソンみたいと言うか、ストーリーや登場人物の心情に合わせたキャラソンみたいだなって思ったんですけど、ミュージカルパートが挿入されることで、ただでさえお腹いっぱいになる演劇がすごくすっきりと見やすくなっていたと思います。
で、特徴的だったのは舞台つらに常にスタンドマイクが並んでいて、ミュージカルパートになるとそこで役者さんたちが歌い出すんですが、その見せ物小屋感と言うか、地下アイドル感があって面白かったです。
と言うわけで、アングラ演劇とか、色んなアニメとかのオタク的要素に加え、ミュージカルや地下アイドルの要素もあるという…だから好きなものぶっ込み過ぎなんだっていう!
ぶっ込み過ぎと言えば、ミュージカルパートになると歌ってる役者さん達の後ろでは登場人物たちが入り乱れてそこで色んなストーリーが同時平行して展開しているんです。
だからやっぱり情報量が多いんだよ!一回ですべてのストーリーを把握するのは無理な気がします。
でも、素晴らしいなって思ったのは、それだけの情報量にもかかわらず、訳が分からなくなったりストーリーに置いていかれることは、無いんです。
これ、本当に演出と役者さんたちの努力だと思います!素晴らしい!
あと、何が素晴らしいって、こんなアニメ1クールくらいの内容を、よくぞ100分くらいにまとめたな!という。
だからあっという間と言うか、エンターテインメントとしてすごく見やすかったです。こんだけ長いブログ書いてる自分が恥ずかしくなるくらいです(笑)
内容について、思うところがない訳じゃないです!一番思うのは、やっぱり情報量が多すぎて、ストーリーに若干の破綻があると言えないこともないです!
序盤、主人公月宮には「愛多憎生」という、周りの人間から愛されてしまう能力と同時に憎しみも受けてしまう運命にある、という設定があったにも関わらず、終盤その設定があまり活かされていなかった気もします!
あと、やっぱり中盤のラブコメですね!あれによって序盤のバトルが一体何だったんだ?ってちょっと思いましたし、かと思えば中盤で唐突に明らかに殺意を持ったキャラクターが登場したり、果ては戦争が勃発もするのに、何だかんだで全てうまい感じに解決してしまうという!
って言うか、あれだけの戦闘があったにもかかわらず死人が一人も出ていないって、そんな上手い話があるかよ!とか、突っ込み出したらきりがないです!
なんですけど…
そんなことはどーだっていいんだよ!
って思わせるだけの魅力に溢れた演劇であることは間違いないと、僕は思います!
何度も言ってますけど、これ、赤星ユウさんが本当に心から好きなもの、やりたいことだけを、一つの演劇にぶっ込みまくった演劇だと思うんですが、思うに、これ赤星ユウさんの中にもっと壮大な物語や設定があったと思うんです。
それをどうにかこうにか100分くらいにまとめ上げるに当たり、やりたいことの中からさらに本当にやりたいものだけを抽出したら、結果こうなったってことだと思うんですよ。
だから、ストーリーが多少破綻していたとしても、作家の愛の純度は物凄く高いと思うんです。
破綻も恐れずに本当に心からやりたいことを追及するのって、表現者としてすごく誠実だと思うし、それが伝わってくるからこそ、
赤星さんこれやりたかったのね!だったら、OK!っていう(笑)
だから多少の突っ込みどころがあっても愛してしまう劇団と言うか、って言うか、突っ込みを恐れたらレティクル東京座の魅力って半減してしまう気もします。
いいぞ!もっとやれ!っていう。
演劇を本気で楽しむってこういうことでしょう!って気もしますし、本気で楽しんでいるのが伝わってくるからこそ、自分がすごく演劇が好きだった気持ちを思い出したりもしました。
だから本当になんて清々しい人達なんだって思いましたし、演劇の最後にエピローグ的にライブがあるんですけど、それを見ていたらあんまり嬉しい気持ちになって恥ずかしながら正直ちょっと泣いちゃったんですよね。
と、めちゃくちゃ長々と語ってきましたが、一言で言うと、
たのしかったです!
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公演後に役者さんたちの写真撮らせていただきました。
あと、色んな役者さんたちと記念撮影もさせていただきました。
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いや、本当に観に行けて良かったです!気になったものは観に行ってみるもんですね!
本当、ツイ廃同士で相互フォローだった赤星ユウさんの演劇を観に行けて良かったなって思います。ありがとうございました。
と言ってる間に、僕がレティクル東京座の最新作「幕末緞帳イコノクラッシュ!」を見に行く時間が近付いて来たんですが、せっかくなんで、もうちょっとブログを書くかもです。