1/12(火)、シネ・ウインドで「おかえり ただいま」、観てきました。
予告編はこちら。
様々な社会派ドキュメンタリーを制作している東海テレビが、13年前に3人の男性によって女性が拉致、殺害された「名古屋闇サイト殺人事件」を追った新作ドキュメンタリー。
前半は女性の生前を描いた再現ドラマ、後半は事件後の被害者の母親を追ったドキュメンタリーという構成です。
前半1時間くらいは再現ドラマで、被害者の女性が幼少期から大人になるまでの日常を母親を中心にかなり長く描きます。
斉藤由貴さん、佐津川愛美さんが親子を演じ、ドキュメンタリーでここまでドラマに力を入れるのは珍しいと思ったけど、だからこそ日常がある日突然奪われるショックの大きさが伝わりました。
同時に、加害者男性3人もドラマで再現され、特に1人の男性は幼少期からじっくりと描いていきます。
そこでは幼少期に母親が失踪し貧困な家庭で育ちいじめられていた少年が、大人になり犯罪者になってしまう過程が描かれ、彼が殺人の加害者になってしまうことは防げなかったのだろうかと考えさせられてしまうものでした。
男性は加害者となり、平和に暮らしていた女性が殺害されるという最悪な展開を迎えたところでドラマは終わり、そこからは被害者女性の母親を中心としたドキュメンタリーになっていきます。
彼女は加害者3人の死刑を求める運動を行い、仕事も辞めて裁判に出続けます。
実際に起こった事件なのでネタバレも何もないだろうと思うので書きますが、判決は、1人は死刑、残りの2人は無期懲役というものでした。
ちなみに死刑になったのは、再現ドラマで幼少期を描いていた男性でした。(ここも言葉にできない気持ちになりました)
被害者の母親は、どうして裁判が被害者の目線ではなく加害者の目線で行われるのかを強く訴えます。
数年後に死刑が執行され裁判も終わった後、被害者の母親は50代になってからできた仲間と過ごしたり、各地で講演を行ったりして生活を取り戻しているそうで、その様子もドキュメンタリーとして描かれます。
ただ、生活を取り戻しつつあると言っても、当たり前だけど亡くなった人は戻ってはこないわけで、決して立ち直ったわけではないんだなと伝わってくるんですよね。
後半、加害者男性が幼少期に幸せに育ったかも知れない場面と、被害者の女性が生きていたらきっと幸せだったであろう場面という、2つの架空のドラマが描かれることで、かえって事件の悲しみが際立っていたと感じました。