舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

紅白は考察が豊作2024。

2025-01-01 21:33:35 | Weblog


何でも感想を日記に書きたい人間、ちひろBLUESにも2025年が訪れました。
元日の思い出や今年の抱負などを書く前に、大晦日の紅白歌合戦の感想を振り返りたいと思います。

実は紅白歌合戦って、すごく考察のしがいがある番組だと思うのです。
とはいえ僕ももともとは毎年なんとなく見ているだけでしたが、考えが変わったのが2023年の紅白。

この年は10月にイスラエルによるガザの攻撃が起こり、反戦運動を行う人達の中で、日本はこの問題に無関心だ、メディアはもっと真剣に取り上げるべきだ、という考えから「#歌合戦より即停戦」というTwitterデモも起こったほどでした。
僕はこのツイデモに参加しながら、「批判してやろう」という気持ちで紅白歌合戦を大真面目に見ていたのですが、実は紅白はただの娯楽番組ではなく、色々なメッセージのこもった番組だということに気付いたのです。

まず、この年は「ボーダーレス」がテーマでしたが、例えば石川さゆり「津軽海峡・冬景色」ではウクライナの楽器バンドゥーラが演奏され、福山雅治は「私達の日常は大切に守らなければ簡単に壊れてしまうと感じた一年だった」、MISIAは最後に「来年こそは平和を」と発言し、明らかに世界に対する「反戦」「平和」というメッセージがあったと思います。
また、YOASOBIの「アイドル」に合わせて日韓のアイドルが次々と登場し、それが日韓の「ボーダーレス」であると同時に、ジャニーズ問題後のアイドル文化という問いかけにもなっていたと感じました。

前置きが長くなりましたが、2024年の紅白歌合戦を自分なりに振り返ってみます。
まずはテーマの「あなたへの歌」ですが、これは老若男女、あらゆる世代の「あなた」への歌という意味だと思うのです。

特に、テレビはオールドメディア、時代遅れ、若い人は見ないなどとも言われる時代に、若い人を置いていかない配慮がすごくあった気がします。
ME:I、Da-iCE、ILLIT、櫻坂46、JO1、乃木坂46、LE SSERAFIM、BE:FIRST、TOMORROW X TOGETHER、TWICE、Number_i…ざっと挙げただけでも若い世代に人気のアイドル、ダンスボーカルグループがこれだけ出ていたし、ネットで活動する顔出しNGのtuki.さんが顔を出さずに出演したのは驚きました。

さらに、こっちのけんとやCreepy Nutsはダンスがあるので、若い世代の文化をみんなで楽しめるような内容になっていたと思います。
一方で、南こうせつとイルカ、41年ぶりのTHE ALFEE、高橋真梨子、玉置浩二など、上の世代に人気のアーティストも出ましたが、全体的に「国民的ヒット曲」ばかりで、どの世代も一緒に楽しめる配慮がすごくあったと思うのです。

オープニングが音楽の授業にも採用される国民的名曲「切手のない贈りもの」、 緑黄色社会は高校の合唱部と共演、Eテレの名曲メドレーでは子供達が踊り、若手の新浜レオンはベテランの木梨憲武と所ジョージと共演、純烈はファンの一家が団欒する自宅に突撃、水森かおり「鳥取砂丘」繋がりで「名探偵コナン」の青山剛昌がコメント、国民的人気バンドのGLAYやB'zも出演し、さらに国民的俳優である西田敏行を竹下景子・武田鉄矢・松崎しげる・田中健が追悼。
全体的に選曲や演出から、老若男女が世代を超えて楽しめる番組をという意識が感じられました。

これは大晦日の歴史ある国民的番組だからこそ可能な、異なる世代が一緒に楽しめる番組、それこそが紅白、それができるのがテレビという、NHKの挑戦だと思うのです。
好きな曲だけを一人で検索して聞く動画サイトやサブスクでは、この世代を超えた楽しさは実現できない。

さらに、昨今SNSを中心に散見される「老人は若者の敵」みたいな、世代間対立を煽る差別的風潮への抵抗だったらいいな…と僕は思うのです。
議論が過激化してしまいがちなネットに対して、オールドメディアであるテレビがあくま平和的に抵抗する、そういう可能性がテレビにはまだあったらいいなと思います。

それともう一つ感じたのは、2023年も感じた反戦・平和的なメッセージを、2024年はより強く発信していたこと。
藤井風のNYからの中継には世界が繋がる可能性を感じたし、坂本冬美と石川さゆりは元日に震災に襲われた能登半島にちなんだ楽曲(しかも坂本冬美は被災地から中継)、米津玄師では「虎に翼」の特別ドラマで戦争や女性差別という現代にも通じる問題にも言及(セットと衣装がパレスチナカラーだったという説もSNSで見た)。

また、当初予定していた「地獄でなぜ悪い」が園子温監督作品の主題歌であることから二次加害の可能性を指摘されて変更になった星野源の「ばらばら」は、賛否両論な状況を助長しているという批判もありますが、僕は「人はみな分かり合えないけれど、共に生きて行こう」という現実を歌った歌だと思うので、良かったと思います。
それから、これもSNSで知ったのですが、韓国のアーティストは黒いリボンをつけて済州航空の飛行機事故への追悼の意を表していたのですね。

そして最後は、ガザやウクライナの映像のあとにMISIAと矢野顕子が平和を歌い上げる。
最後にその年のニュースを振り返る展開は毎年ありますが、「ガザ」「ウクライナ」という名前がはっきり表示されたのは2024年からで、もしかしたら2023年の「#歌合戦より即停戦」に対するNHKのアンサーかもなと深読みしてしまいました。

とにかく、世界では戦争に虐殺、国内でも災害や性加害、「紅白なんてやってる場合か」という批判もある中で、大晦日の歴史ある国民的歌番組だからこそ、幅広い世代に、なんなら「何となく見ている人達」にもメッセージを届けられるという意識を強く感じた、2024年の紅白でした。
テレビ不信、メディア不信は根強くあるし、テレビ関係者の性加害への加担も指摘される中、一方でテレビの世界にも心ある人、責任感を持って仕事をしている人は絶対にいるはずなので、そういう人達が今後もいい番組を届けてくれることを期待します。





ちなみに、紅白のあと、年越しは今年もEテレの「2355スペシャル」で迎えました。
2023年の辰年の歌が柴田聡子だったのもびっくりでしたが、2024年の巳年の歌が大槻ケンヂだったのもびっくりでしたね。
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