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2/6(火)に、シネ・ウインドで『永遠のジャンゴ』を観て来ました。
ひとまず予告編はこんな感じです。
と言う訳で感想を書いていきますが、この物語はナチス占領下のパリに実在したジプシー出身のジャンゴの伝記映画です。
なので、当時のナチス占領下のパリでどんなことが起こっていたのか、ということも、かなり生々しく伝えています。
映画の冒頭、どこかの森の中で暮らしているジプシーたちが音楽を演奏しているのですが、そこがナチスの襲撃を受け、ナチスたちがジプシーを銃殺した途端にそれまで鳴っていた音楽が止まる…というかなりショッキングなシーンから映画は始まります。
今思うとですが、この映画は権力の支配下における音楽を描いた物語だと思うので、この冒頭は、一度は音楽が権力に負けた、という、今後の展開のための前フリのようなシーンだったんだなあという気もします。
すると、シーンはどこかの大きな音楽ホールに満席の観客が、演奏を待っているというシーンに切り替わり、そこに「DJANGO」というタイトルが出ます。
この観客たちはジャンゴの演奏を待っているのですが、その頃ジャンゴは自分の出番が間近だというのにのん気に釣りを楽しんでいるという、かなりマイペースな人物であることが示されます。
そんなジャンゴを待ちわびたスタッフが呼びに行き、準備もほどほどにジャンゴはステージに上がるのですが、そこで彼が繰り出すギターの天才的な速弾きに観客は大興奮!
このライブシーンはストレートに物凄くカッコ良かったですし、ライブの様子をフルで見せてくれたことも嬉しかったです!
と言う訳で、ここまでの開始15分くらいのシーンの中で、ナチスに殺されるジプシーという当時のナチス占領下のパリがいかに恐ろしい場所であったか、そしてそんな状況下でもいかにジャンゴは天才的な音楽家であったか、この対比がはっきり示されていたのです。
そしてこれは、このまま今後の物語の大きなテーマだったなあと思います。
映画では、ナチスの支配がじわじわと迫りくるパリの様子が、(これはナチスの登場する映画ではお決まりなのかも知れませんが)かなりショッキングな映像によって描かれていきます。
特にジプシーたちが強制的に住居を奪われたり連行されたりしていく様子は、人が殺されるシーンはそこまではっきり描かれていないにしろ、観ていてとても恐怖を感じました。
そして、そんな状況下に於けるジャンゴの音楽活動も描かれるのですが、徐々に彼の音楽も制限が強まっていく様子が、例えば歌詞の内容や演奏時間などの規制が徐々に厳しくなっていく様子などから伝わって来て、文化の支配がそのまま人間の支配に繋がっていることが伝わってくるなあと思ったりしました。
しかし、そんな状況下に於かれても、ジャンゴのあまりの天才っぷりはナチスも認めざるを得なくなり、なんと、ナチスの官僚が集う晩餐会の会場で演奏を頼まれるという驚愕の展開に!
ここでジャンゴは、なんとナチスたちを自分の演奏に夢中にさせている間に、仲間のジプシーたちを逃がすとい驚愕の作戦に!
ジャンゴの音楽の盛り上がりに惹きつけられていくナチスたち…その間に川面を逃げ去っていく小舟…ジャンゴの作戦は成功するのか?ジプシーは逃げ切れるのか…?
まさにジャンゴが「音楽を武器にする」という彼だからこそ出来るやり方で、権力に勝利できるのか…?というこの映画のテーマそのものを表現するシーンであり、ジャンゴの演奏の盛り上がりに合わせて、ストーリーも盛り上がっていくという、この映画最大の見せ場になっていたと思います。
この映画は前半から中盤にかけては比較的、静かなシーンが多いだけに、ここで一気に盛り上がる、非常にハラハラするサスペンスになっていました。
しかし、ネタバレするとこの作戦は目前で失敗してしまうのです。
このシーンは、音楽で権力に立ち向かう限界を感じさせるようで、非常に悔しい気持ちにさせられました。
その後、ジャンゴは国外に命懸けで亡命し、このシーンも非常にハラハラするのですが、なんとか亡命は成功します。
そしてラストシーン…詳しくは書きませんが、ジャンゴがちゃんと生き延びていたこと、そして生涯を音楽に捧げたことが示されます。
このラストシーンを観た時は、まず何よりジャンゴがちゃんと生き延びていたこと、そして一度は権力に負けた音楽がしっかり生き続けていること、人々の希望となっていることに、とても報われた気持ちになりました。
どんなに絶望的な時代に生きても、希望を捨てずに生き続けることの大切さ、そしてそれを音楽によって成し遂げたジャンゴのカッコ良さの伝わる、いい映画だったと思います。
それにしても、最近のシネ・ウインドでは、このような権力の支配に立ち向かうようなロックな映画を観る機会が多いですねえ…
あらためて映画にはそういう力強さがあるなあと思いますし、これからもそんなロックな映画を楽しみにしています!