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1/20(月)、イオンシネマ新潟西で「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を観てきました。
言わずと知れた2016年の「この世界の片隅に」に、描かれなかったエピソードを新たに加えた、完全版とも言うべき作品で、昨年末に公開されていたのですが、新潟では今年になってから上映が始まりました。
予告編はこんな感じです。
個人的には、もうこの予告編の時点でかなり泣けるんですよね。
そもそも僕は、2016年に公開された「この世界の片隅に」が大好きだし、すごい名作だと思っているんですが、実はあの映画はこうの史代さんの原作漫画のエピソードのすべてを映画化したわけではなかったんですよね。
そんな「この世界の片隅に」では描かれてこなかったエピソードも、新たな追加シーンとして加えた本作、3時間近くもある長尺の映画ですが、本当に素晴らしい映画で、あっという間でした。
前作「この世界の片隅に」は、戦争という時代を生きたすずさんという一人の人間の人生を丁寧に描いた作品でしたが、本作では新たに、周作さん、リンさん、水原さんなどのすずさんの周りにいる人達の背景も丁寧に描かれています。
そうなることで、前作ではなんとなく触れられる程度で処理されていたエピソードを「そういう背景があったのか…」と知ることができたことで、この物語に深みが出ていたし、そのことで主人公すずさんの人生への理解も深まり、結果的にこの作品をさらに愛することができました。
そして、これは前作「この世界の片隅に」でも思ったことですが、戦争という大きな悲劇とすずさんのささやかな暮らしは常に隣り合わせにある、というところが、この映画のいいところだと思うんですよね。
例えば大切な誰かが亡くなったり、町が空爆されたり、まったく笑い事じゃない出来事が起こるような時でも、下らないことを考えたりもするのが人間なんですね。
喜怒哀楽は常に一つじゃない、悲しいのに笑ったり、怒っているのに泣いたりするのが人間なわけで、それは戦争という大きな悲劇の時代を生きたすずさんのような人達も、現代を生きる自分達も、変わらないんだろうな。
そういう、多面的で奥行きのある人生を描き、戦時中の話だけどどの時代に見ても人の心を打つ普遍的な名作だとあらためて思いました。
戦時中を生きたすずさんと様々な人達の人生を描いた壮大な物語ですが、当時の生活や戦争のディティールの描写も声優さんの演技一つ一つも本当に丁寧に作られているのも、この映画の魅力だと思います。
個人的に先月、片淵須直監督のドキュメンタリー映画も観ていたから、あの映画で見たようないくつもの努力の積み重ねがこんな名作になったんだなと思うと感慨深かったです。