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1/28(日)、創作表現者集団D-Soulの演劇公演「めざめ」を観てきました。
こちら、2022年に亡くなったD-Soulの渡邊忠義さんへの追悼公演として行われたもの。
個人的にD-Soulの皆さんには「カルチャーMIXフェスタ」で長年お世話になってきたので、渡邊さんが亡くなった時はかなり驚きました。
そんな縁のある皆さんの公演が、今年度の「カルチャーMIXフェスタ」の直前にあるということで、観に行ってきました。
こちら、なんと会場が結婚式場であるハミングプラザVIPのホールで、渡邊さんの訃報から時間が経った今、あえておめでたい場所で送りたいという意図なのかなと思いました。
会場に着くと、客席の最前列に渡邊さんの遺影が飾られていて、渡邊さんにこの演劇を見せるための公演なんだなと思いました。
無料公演だったのも、渡邊さんに縁のあった人達ともう一度集まるためだったのかなと思いました。
しかし、こんなにいいホールを借りて無料公演で大丈夫だったのだろうか…
さて、この公演は渡邊さんが1993年、31年前に初めて脚本家として書いた脚本を、もう一度再演しようというもの(作家名はKazuse)。
個人的に渡邊さんをはじめD-Soulにはイベント運営やライブのイメージが強かったのですが、もともとは演劇団体なんですよね…ちなみに前身は劇団Moonlightとのこと。
さて、物語は、D-Soulで渡邊さんと長年活動してきた司山さんが、電話で好きな先輩に失恋し(携帯電話ではなく固定電話のところが時代を感じる)、自暴自棄になって泥酔する場面から始まる。
しかし、目覚めると時間が何年も経っていて、自分も大人になっていて、当時はただの学生だったはずの先輩は大人になって訪ねてくる…という物語で、その先輩役は、同じくD-Soulで長年一緒に活動してきた村尾さんです(芸名はディーノ寅司)。
気付いたら時間が何年も経っていて、しかもその数年間の記憶が欠如しているので、先輩や色々な人との関係も知らないうちに変わっていたりするのです。
かと思えば、時折もとの時代に戻ったり、また未来に戻ったりを繰り返す。
これはおかしいぞ!というわけで村尾さん演じる先輩と二人で謎を解いていく中で、ある研究所みたいな場所を尋ねると、そこには怪しい博士と助手?みたいな二人組が…
その二人組は、劇団プロジェクトB@ZANTOの後藤ジツさんと坂井大輔さんが演じているのですが、渡邊さんは現在B@ZANTOの人達と当時から関わりがあったとのことです。
その研究所で怪しい二人組がとにかくコントのようなぶっ飛んだキャラクターなのですが、少しずつ謎を解説していく。
てっきり僕はここで謎が解けて元の時代に戻ると思ったのですが、なんと最後、司山さん演じる主人公は、もう何もかもどうても良くなったといって酒を一気飲みして、唐突に物語は終わるのです!
いや待て待て!物語全然終わってないし、結末投げっぱなしだろ!
…と思ったのですが、渡邊さんが若い頃に初めて書いた脚本と聞くと、確かに暴走して爆発するだけの物語からは、よく分からない初期衝動みたいなものを感じる気はします。
それにしても、いくら渡邊さんの追悼のためとはいえ、こんなぶっ飛んだ演劇を再演しようと思ったな…しかもVIPを借りて無料で…
考え見れば、追悼公演でも湿っぽくせずに、登場人物全員がハイテンションで叫んだりボケたりするという、物語の粗削りな勢いをそのままやったのは、これはこれでD-Soulの皆さんの渡邊さんへの愛は深く、そして重い!ということかもしれません。
そして最後に、渡邊さんのこれまでの活動の歩みをまとめたスライドの映像が流れたのですが、本当に僕がまったく知らない時代の新潟の演劇やイベントなどの歴史が知れて、非常に興味深かったです。
と思ったら、後半になると僕も関り始めたカルチャーMIXフェスタなどの映像も出てきて、あ、やっと知ってる時代が出てきた!と思ったのですが、渡邊さんの長い活動歴からすると僕なんかほんの最後の10年くらいだけの付き合いだったのかと思いました。
それでも、僕の知らない渡邊さんという方の人生があって、そこに僕も関っていって…という感じで、広い意味での新潟の文化の長い歴史の中に渡邊さんも僕もいたんだなあと考えさせられました。
正直、カルチャーMIXフェスタでは渡邊さんと意見がすれ違ったこともあるし、気持ちが乗らずに3年くらい関わらなかったこともありますが、何やかんや近付いたり離れたりしながら一緒に生きてきた一人なのかもしれません。
亡くなった方にできることは何もないですが、でも人間誰でもいつかは亡くなるわけで、せめてこれからも新潟の文化という世界の中で、自分にできることを続けていく、大切なものは記録に残していく、そうして新潟の文化を未来に繋いでいく…ということくらいですかね、僕にできるのは、担い手の一人として。
ひとまず今は、3月に迫った「カルチャーMIXフェスタ」に向けて頑張りたいし、毎回僕の展示を応援してくれていた渡邊さんもその方が嬉しいと思うので、このタイミングで公演というめちゃくちゃ忙しかったであろうD-Soulの司山さん、村尾さん、他にも関わっている皆さん、これからもよろしくお願いします。