舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

小森はるか監督「空に聞く」長岡上映会を見に行って来ました。

2023-03-13 12:43:43 | Weblog


3/12(日)、長岡市社会福祉センター トモシアで開催された、小森はるか監督「空に聞く」の上映会を見に行って来ました。



個人的に「空に聞く」は2021年に2度観ていました。

被災地で始まり復興とともに終わっていったラジオの、今までとこれから「空に聞く」観てきました。
映像作家・小森はるか作品集スタート!初日は「空に聞く」、小森監督の舞台挨拶も。


しかし、今回の上映会が気になったのでまた観に行ってきました。



まず、上映前に地元のバンド、ウィズコーションさんがライブを披露。
ウィズコーションさんは、東日本大震災を受けて平和を願う気持ちを歌うために結成されたバンドということで、被災地で撮影した「空に聞く」のテーマとも合っていました。



続いて、高校生平和大使の去年と今年の新潟代表の2人によるトークと、核兵器廃絶に向けた署名の呼びかけもありました。
僕はこの日、高校生平和大使という活動を始めて知ったのですが、若い人達が平和のために活動していることは本当に素晴らしいことだと思うし、微力ながら僕も署名しました。



そしてこの日のメインである「空に聞く」の上映。
「空に聞く」は、東日本大震災の直後、被災地の一つである岩手県陸前高田市の復興住宅で「陸前高田災害FM」のパーソナリティを務めた阿部裕美さんを追ったドキュメンタリーです。

映画の前半は、ラジオの収録や取材の風景を、阿部裕美さんを中心に追っていきます。
ラジオに登場するのは、仮設住宅で暮らすごくごく普通の人達へのインタビューや、時には地元のお祭りを取材したりもしていて、本当に地域に密着しているラジオなんだなあと感じさせられます。

印象的なのは、阿部裕美さんが一人一人にとても丁寧に取材していること、そして取材された地元の人達がみんな楽しそうにお話をしていることでした。
被災地というとどうしても悲しいイメージが付きまといますが(実際悲しい出来事であることは否定できないのですが)、それでもどんな状況でも楽しさを見付けて生きている人間の強さを感じました。

また、東日本大震災の起こった3月11日には、ラジオで黙祷するための無音をしっかり生放送で流していて、この時間を聞いている人達と共有することを大切にしたいという想いを感じました。
そんな阿部裕美さんがパーソナリティを務めるラジオ番組は3年半続いて終了してしまったわけですが、カメラはラジオの終了の瞬間もしっかり撮影していて、さらに終了後にラジオ局の外に出たら今まで出演していた地元の人達がお祝いに訪れていて、本当に最後まで地元の人達に愛されたラジオパーソナリティなんだと感じられました。

その後、ラジオパーソナリティを辞めた阿部裕美さんは、復興工事で新たに出来た嵩上げ地の町の一角にある飲食店で働いているとのこと。
映画は、阿部裕美さんがラジオパーソナリティとして働いていた当時の映像を振り返りつつ、その合間に現在の職場で阿部裕美さんにもインタビューを行い(おそらく2018年くらい)、阿部裕美さんのこれまでと現在を映し出していきます。

2011年に起こった東日本大震災という悲劇、それでも被災地でラジオによって地元の人達と触れ合った3年半という大切な時間、そしてそのあとの新たな嵩上げ地でも続いていく新しい生活。
阿部裕美さんを通して、震災以降も少しずつ前に進み続ける人々の営みや、その時間の尊さが伝わる映画だったと思います。

僕は今まで小森はるかさんの映画は「息の跡」「空に聞く」「二重のまち/交代地のうたを編む」などを観てきましたし、小森さんと共に活動する瀬尾夏美さんの書籍も読みましたが、どの作品にも震災後から復興が進むこの10年間の中での、人々の生活の変化が映し出されています。
そこで浮かび上がるのは、大規模な復興によって新しい町が作られる中で、この10年間に生まれては失われていった人々の営みの中に、大切なものがたくさんあったということで、安部裕美さんのラジオもその一つだったのでしょう。

それらは復興が進む中で生まれては失われていくものですが、それらをこうして映像という記録に残すことで、その価値を再確認するという意味で、非常に意義のある映画だったと思います。
それは、変化していく生活や風景の真っ只中から、人間の営みに向き合い、人間がこれまでの生きた時間を肯定するという、映画という記録の文化そのものの価値を体現したような映画だったと思います。

上映後には小森はるか監督の舞台挨拶もあり、大学の卒業の直前に東日本大震災を体験し、ちょうどアルバイトも辞めていたタイミングだったことから瀬尾夏美さんとボランティアに行こうと決めたこと、最初は茨城の方にボランティアに行ったが、東北の方がもっと被害が大きいと聞きレンタカーで向かったこと、東北までの道のりや到着した時の夜の暗さに不安も感じたこと、阿部裕美さんを撮り続けていたが途中でラジオが終了してしまい、どうしようかと考えていた数年後に再び阿部さんを撮影する機会があり「空に聞く」が完成したこと…などを話してくれました。
映画の上映と小森さんの貴重なお話、是非これからも震災が風解しないように映画と言葉で語り継いでいってほしいと思いました。
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