http://the-liberty.com/article.php?item_id=12287 幸福の科学出版
本欄では「消費税を上げても、景気が冷え込んで、むしろ税収が減ってしまう」と何度も指摘してきました。
そして消費税が8%に上がってから、実際に消費が冷え込み、企業が値下げを始め(デフレ)、各企業の収益も悪くなったために、政府の税収も7年ぶりに下がり始めました。
そこで編集部に、こんなお問い合わせやリクエストが増えてきました。
「なぜ、それでも政府やメディアは、消費税を元に戻そうと言わないのですか?」
今回は、そんな根強い「増税派」の思考回路をご紹介いたします。
(1)「1997年からの不況は外国のせい」説
「消費税を上げるべきか」の論争で、最大の争点になっているのが、「1997年、消費税を5%に上げた時の影響はどうだったのか」です。識者同士の議論になると、必ずこの話になります。
本欄では「5%への増税で景気が冷え込み、税収も下がった」と指摘してきました。しかし、いわゆる「増税派」の人たちは、「1997年から景気が悪くなったのは、増税のせいではない」と主張しているのです。
では、なぜ景気が悪くなり、税収が減ったのか? 彼らはこう答えます。
「アジア通貨危機のせいだ」
ちょうど増税をしたのと同じ頃、タイなどを中心に「通貨危機」という金融不安が起きました。その煽りを受けて、日本企業が苦しみ、不況になったというのです。
この言い訳を"発明"したのが、今の財務省(当時の大蔵省)だと言われています。統計をたくさん引っ張り出して、それらしい理論を組み立てたわけです。それに、マスコミや偉い学者たちもこぞって追随しました。
これが"博識な人々の常識"になっているため、「増税しても不況になって、税収が減る」という声が、政府の中枢部に聞き入れられないのです。
しかし、彼らの「外国のせい」説は、「僕が風邪を引いたのは、今年の冬が寒かったからだ」と言っているようなものです。
もちろん、アジア通貨危機は、日本経済に少なからず影響を与えたでしょう。しかし、日本よりも通貨危機の影響を強く受けた韓国は、その後すぐに景気回復しています。一方、日本は長期不況に突入しています。
もし、消費税を上げていなければ、日本はそれほどダメージを受けていなかったでしょう。
「確かに風邪を引いたのは、今年の冬が寒かったこともあるかもしれない。でも、お腹を出して寝たことを正当化することはできない」という話です。
ちなみに、ここ最近の景気の冷え込みや、税収の落ち込みについても、政府やメディアは「円高で輸出企業が影響を受けた」「中国や欧州の経済危機のせい」と、同じような"屁理屈"を使っています。
(2)「増税すれば人々が消費を増やす」説
増税派の思考回路として、次に挙げられるのが「増税すれば、人々は消費を増やす」という説です。
税金が上がったら、例えば全国の主婦が「これで将来の財政破綻や年金破綻の心配がなくなった。将来、大増税される心配もなくなった。安心してお買い物できるわ」と考えるだろう、というすごい学説です。
記者はまったくピンと来ないのですが、読者の皆様は消費税が上がった時に、安心しましたか?
一応断っておきますが、増税派に意地悪をしようと思って、「極端な珍説」を紹介しているわけではありません。大学の経済学部では、この話は1年生で習います(「リカードの中立命題」「非ケインズ効果」)。官僚になるための試験でも出てきます。そして、財務省の公式見解にも近い見方です。
こうした学説の基礎にあるのは、「人間はコンピューターのようであり、将来の政府財政なども計算して行動する」という人間観があります。「ホモ・エコノミクス(経済学的人間)」という考え方です。
しかし実際は、税金が上がれば、直感的に財布の紐を締めるのが普通の感覚です。
(※こうした経済学の問題点について、大川隆法・幸福の科学グループ総裁は『幸福の科学大学創立者の精神を学ぶ1(概論)』で指摘しています)
こういう庶民感覚からかけ離れた"常識"が、政府を増税に走らせているのです。(馬場光太郎)
(後半に続く)
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2016年11月24日付本欄 「中国が覇権を目指す思考回路」にピンと来ない人へ【思考回路が分からない】
http://the-liberty.com/article.php?item_id=12224