羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

俺物語!! 6

2015-06-25 22:57:51 | 日記
アフロ達が猛男に話し掛けてきた。「遊ぼうぜぇ!」子供か。「シィーッ」砂川が間に入り、指を口の前で立てた。猛男は机で教材を拡げていた。「ええッ?! 猛男が勉強してるぅ!!」動揺するアフロ達。「砂、不味いぞ。敵の姿が全く掴めねぇ! 投げようにもまともに組ませてもらえねぇ」猛男の中ではマーク模試は擬人化され、嘲笑うかのように奇妙に踊り出していた!「掴み所はあるさ、猛男、まず試合してみろ」砂川は一通りの教科の問題集をドサッと机に置いた。(何人と組手?!)ビビる猛男。「砂、今日俺ん家来ねぇか? 俺がピンチになったら、『大和』と言ってくれ」砂川は黙って話を聞いていた。
「あら、誠君いらっしゃい」「お邪魔します」すっかり腹の大きくなった猛男の母が砂川を迎えた。猛男の部屋では、「うぐぐ」「大和さん」「ぬおお」「大和さん」「むむう」「大和さん」「くっ」「大和さん」砂川に『大和さん』を連発させる猛男。ピンチになり過ぎ! そこへ、ピンポーン。誰か『剛田!!』家に来た。「はぁい」猛男母が出た。「ぬッ、ふぅッ、数1が強い」教材に脂汗を落とす猛男。「限界かな?」「まだまだぁ!」などと騒いでいると、「すいませーん、お邪魔しますぅ」大和の声!「いいのよ、いいのよ。猛、お客さん」猛男母が部屋のドアを開けた。「こんばんはー」「大和ッ?!」大和が顔を出した。「猛男君、今日勉強するってメールにあったから、チョコ作ってきたぁ、脳には糖分かなって。あ、カカオからは作ってないんだけど、チョコは作ってきたんだけどチョコは作ってないんだけど、あれ? ウチ、何言ってるんだろう」あれこれ言ってる大和をジッと間近で観察する猛男母。「お茶入れるから、ゆっくりしていきなさい。猛、ちょっと手伝って」「おう」「すいません」猛男母はキッチンに向かった。
茶筒をスポンッ、
     7に続く

俺物語!! 7

2015-06-25 22:57:42 | 日記
と開ける猛男母。「猛、彼女なのかい?」「彼女だ」幸福な衝撃を受ける猛男母! 猛男母はエプロンを取り去った! 茶筒も置き、「お茶、こんなんじゃダメだ! 母さん、いい紅茶買いに一走りしてくる!!」猛男母は玄関から慌てて出てゆく、「手伝いはいいのか?!」「無いよぉ、そんなもん!!」猛男は訳がわからないまま、部屋に戻った。
「おばさんは?」「紅茶買いに行った」砂川に答えると、大和が驚いた。「ええ?! わざわざぁ? なんか邪魔してごめんね、上がり込むつもりじゃなかったんだけど。でも猛男君のお母さんと話すの緊張したぁ!」ベッドに座り込む大和。「彼女だって、言ったからなぁ?」「え、うん」「言って良かったかぁ?」「うん、うれしい」(そうかぁ、勉強も中々いいもんだなぁ)教材を見る大和。「数1も一緒だぁ」「話せるなぁ」「暗記問題は一人でやるとして」猛男の勉強について話していると、ノックがあり、猛男母が入って来た。早い! 身重なのに!!「大和さん、紅茶好きかい?」「はい、大好きです、ありがとうございます!」ティーカップを置く猛男母。「どうぞ」(見たことねーコップだ。母ちゃんどっから出した?)猛男は困惑した。「ゆっくりしてってねぇ!」「はい。あ、でも遅くなるって言ってないから、紅茶飲んだら帰ります」「あら、そう、残念。猛男、送ってやんなよ」パイナップルなどの食材に、コップに歯ブラシまで買ってきていた猛男母!
「猛男君、無理しないでね」高架下を抜けて、夜道を大和を送る猛男。「この前皆の話を聞いてて、猛男君と同じ学校だったらなぁって思って、あんなこと言っちゃったけど、一緒の学校じゃなくても楽しいから」「いや、俺もそれはいいなと思ったんだ」(大和が同じ学校にいたらいいなと)「そうだね、一緒が楽しいよね! やっぱがんばろう猛男君!」
     8に続く

俺物語!! 8

2015-06-25 22:57:33 | 日記
「おう!!」「ウチもがんばるよ!」「俺は土日も勉強するから、暇だったら来てくれ」「うん、一緒に勉強しよ」(大和がいつも隣にいたらいいなと思ったんだ)
その日の猛男家夕飯の主菜は山盛りパイナップル乗せ焼きハンバーグだった。「明日、大和が家に来る」「大和?」ナプキンを付け、ナイフとフォークで食事をする猛男父。「大和さんだよ、猛の彼女」「彼女か! どんな子だ?」「良さそうな子だよぉ」猛男はモシャモシャとハンバーグを食べていた。「そうかぁ、良かったなぁ」「おう!」そして早朝になり、猛男が自室で眠っていると、猛男母が無言で部屋に入り、電気も付けず、バケツから出した布巾を絞り始めた。目覚め、目撃する猛男。猛男母は壁を拭き始めた。「どうした母ちゃん?」「起こしたかい? 目が覚めちゃってねぇ。寝てな」時計を見ると4時過ぎだった。新聞も今来た。眠い目をこすって、洗面所に向かい、歯を磨こうとすると、風呂場から父の鼻歌が聞こえる。朝風呂! ボロいハンドタオルがちゃんとした物に変わり、スリッパもいいヤツに変わった! 父母の服装もゴージャスに!!(親が、いつもよりちょっといい服を着ている!)
その後もバタバタする父母を見ていると、チャイムが鳴った。「いらっしゃい、ゆっくりしていってねぇ」おめかしした猛男母が出迎えた。私服の大和は厚手の髪は両サイドお下げ、上着は厚手のカーディガンだった。部屋に行くと、猛男の部屋はピカピカ!「あれ、なんかお部屋変わったぁ?」「大和が来るから片付けた。母ちゃんが」「ええ? そうなんだ、悪いなぁ、でも嬉しいなぁ」「適当に座ってくれ」「うん」世界史と数1の教材を出す二人。「よし、始めるかぁ!」「うん! ウチはウチの勉強する。今からがんばって30分喋らない」「うん、今からな」「よーい、スタート!」
     9に続く

俺物語!! 9

2015-06-25 22:57:23 | 日記
勉強を始めようとしたらノックがあった。「猛男、いいかな?」猛男父が顔を出した。「まだ、ご挨拶してないと思ってね。猛男の父です」「あ、はい、始めまして大和です!」「猛男がお世話になってるそうで」「はい、いえ! こちらこそ」「猛男をよろしく」猛男父は大和の右手を両手で軽く握り、「それでは」出て行った。「はぁ、緊張したぁ。猛男君、お母さん似かと思ったけど、お父さんにも似てるねぇ」「そうかぁ」「じゃあ、今から30分ね!」「おう!」仕切り直して勉強しようとする二人。
「お腹は減ってないかい?」突然、ドアを開けてくる猛男母。「大和さん、お煎餅好きかい?」「はい、ウチ、あ、私、持ってきたの甘い系だから被らなくて良かったぁ」テーブルに大和が持ってきたらしいカスタードパイ? と煎餅が紅茶と一緒に置かれた。母の湯呑みも置かれた。「これ大和さんが作ったの? 凄いねぇ! おお、美味しいわぁ。いつから猛男と付き合ってんの?」ぐいぐい質問し、大和を焦らせる猛男母!「勉強するんだから出てけ!!」猛男は湯呑みを持たせた母を部屋から追い出した。
入れ替わりに猛男父がまた来た!「大和さん、ゴルフ見ない?」もう勉強させる気0ッ!「ゴルフですか? 家でお父さんが見てます」「お父さんゴルフする人なの? 気が合うね、ちょっと待ってて!」父が下がるとまた母が来た。「大和さん、お茶のお代わりは?」「頂きます」母が下がるとすかさず父がゴルフ雑誌を持ってきた。「これ、石川君が載ってる」「ありがとうございます!」猛男は頭にきた!
「いいよ、今日親居ないから、適当にしてて」二人は砂川の部屋に移動した。「猛男君、ウチ問題出すよ、第二次世界大戦の開戦はいつですか?」「1939年だぁ!」「凄いせいかーい!!」「大和さん、もう少し難易度上げて」
     10に続く

俺物語!! 10

2015-06-25 22:57:14 | 日記
黙ってられなくなった砂川。「えっと、じゃあねぇ」その後も歴史クイズは続いたようだが、猛男は国語で詰まった。「わからねぇ! どうしてこの男は二人の女性の間でフラフラしているのか? 全く理解できねぇ」「猛男、テストはお前の感想とか求めてないから」「そうだね、ウチもそう思う。どっちが好きかわからないなんて、無いよね!」「大和さんも?」砂川は諭す方針を変えた。「猛男、大和さんが二人いたら迷うだろ? 大和さんも、猛男が二人いたら迷うだろ?」ショックを受ける猛男と大和。それぞれ二人に分裂した姿を想像する!「どっちが本物だ?」「ウチが本物だよ!」「ウチだよ!」「猛男君は?」「俺だ!」「俺が猛男だ!」めんどさい妄想になってきた。「大変だ、それは迷うな!」「キャーッ、困るぅ!」「はい、じゃあ、次進めて」ここは諦めた砂川。
暫く勉強したが、「だぁああおおおう~う」猛男は力尽きて倒れ、眠ってしまった!「猛男君?!」「ずっとがんばって勉強してたからねぇ。俺、始めて見たもん、猛男がこんなに勉強するの」蛍光ペンを引き過ぎて、どこが重要かよくわからなくなってしまってる猛男の教科書。(猛男君)「そのまま寝かせておこう。俺、お茶煎れてくるわ」砂川は出て行った。床で伸びた猛男に近付く大和。「一緒のとこ行けたら楽しいけど、一緒のとこ行けなくても、ウチはずっとずっと、一緒にいたい」大和は眠る猛男の胸に身を預けた。そこへ「コーヒーとほうじ茶、どっちが」砂川が急に入ってきた。状況を見て、砂川は黙ってドアを閉めようとした!「ひゃああわぁあッ!」大和は慌ててドアの所へ行った。「砂川君、待って待って!」「いや、続けて。何も見てないから」「違うの! 猛男君に言わないで! 寝ている猛男君に、ウチが色々していることは言わないでぇ!!」「言わない言わない」騒ぎに猛男が起きてしまった。
     11に続く