団地内で家の取り壊しが始まった。
家を建て替えるためだ。
この作業に青年が来ている。顔つきはマレー系の顔で、「こら、バカ」と言われて働いている。
声をかけてみた。
「君はベトナム人?」
はい、そうです。すみません。
「ベトナム国は尊敬している。ビエンフーの戦いでフランスに勝った。日本が負けたアメリカにも勝った国だ」
破顔一笑、嬉しそうに笑った。
恐らく彼の年齢ではビエンフーの戦いも、ベトナム独立戦争も体験していないだろう。
だが異国で働いていて、母国が褒められて嫌なわけはない。
昔、中近東の国へ行くとロシアに勝った日本が称賛され、東郷平八郎の名前さえ出たそうだ。
私の称賛はこの故事の習いであるのと、青年の応援である。
元気に帰国してほしい。
それはいいことをなさいました。
きっと彼の心に誇りの種火がついたかも。
それにしても日本若者、しっかりしてほしい。
他の国でそういう風に声をかけても「??」となるかも。
何もできない私ですが、声をかける事は出来ます。