G.W.の間にご自宅でお稽古する方も多いでしょうから、五文字一気に記述いたします。
作品全体を見ると、右側の三文字の結体が上から順に
ダイヤモンド型、小逆台形、逆三角と大きく変化させている事に気付きます。
それに比べて左側二文字は
縦四角形、四角形であって、変化の少ない結体となっています。
右側が動、左側が静の対比構造が、この作品の特徴のひとつと言えるでしょう。
さて一文字目の『早』ですが、
これはもう圧倒的に横画の角度と、その生命力が特徴です。
身体を使ってひいた横画の生き生きした美しさに目を奪われますね。
細かいところ見ていくと、一画目から起筆に工夫を凝らしています。
画数が少ない文字の存在感を出すための工夫と思われます。
次に二画目転折後のハネの様に見える部分ですが、私はトメとみています。
このトメが大きく下に出っ張りすぎると、横画がぶつかるのを避けて下に行ってしまい、ちっとも早くない隙だらけになってしまうので気をつけたいところです。
次は『蛩』です。
やはり二画目の細さと角度が目立ちますね。
極端な事を言えば、この作品で唯一腕だけで書いているのがこの二画目です。
この角度を身体使って書こうとすると、上半身が揺れすぎてしまい、私の好みではありません。
派手なところこそ、さりげなく書き上げるのがカッコ良いかな、と( ̄▽ ̄)
三画目が長いと、虫が下がってしまうので注意しましょう。
また、『虫』の二画目を真っ直ぐ書かないと、箱の窓がかっちり空かなくなるので注意してください。
二画目と虫の五画目の角度が違うのは分かりやすいですが、一画目の点から『凡』の二画目の右上がり角度が、『虫』の五画目の角度とほぼ同じである事を意識しましょう。
この『蛩』の難しい理由は、三種類の横画の角度がある点にあると思います。
さて次は『啼』です。
一画目の起筆に特徴あるのは『早』と同じですが、その理由は『早』とは違います。
『虫』で作った窓と被るのを避け、あえて箱を潰したと思われます。
『帝』は身体を小刻みに動く振り子の様に使って、緩急のリズム良く書きましょう。
そして最終画は右側をおさめる様にゆっくり締めてください。
駆け足で『復』にいきますね!
なんと言っても、このぎょうにんべんの二画目の入りと運筆がが難しいですね。
縦方向に、身体を使って書きましょう。
そのために机と身体の間をゲンコツ一個分空けているのです。
一画目を書く段階で、上半身を少し前に倒しておきます。
二画目に入ってゆっくりと下に下がって行く時に上半身を少し起こしながらゆっくりめで運筆すると、あら不思議!
書けますよ。
多分(^○^)
つくりの七画目の左払いが早く倒れてしまいぺしゃんこになる人と、立てすぎて大きくなってしまう人が多いようです。
立てすぎて大きくなってしまう人が多いかな。
七画目はほんの少しだけ早く書き、八画目はじっくりとアールをつけて、共に短めに書いてください。
最終画はその2本より更に下がるわけですから、この2本が長いととんでもなく細長い結体になってしまうので気をつけてください。
さて最後は
これは
の、異体字です。
この字も一画目の起筆に工夫凝らしていますね。
一画目と二画目の縦画のしぼりを表現してください。
へん部分は筆先使った書技の見せ所です。
テクニックが求められるところですから頑張ってお稽古してください。
『欠』の二画目を真横に書いてしまう方が多い様ですが、これも他の右肩上がりの角度と合わせて書きましょう。
唯一角度が違うのは、へん五画目の転折前の横部分です。
注意しましょう。
さて、最難関が最終画に待っていました。
ラスボスです(⌒▽⌒)
ここはもうひたすらお稽古して身につけるしかありません。
一文字の最終画としてのまとめでもありますが、作品全体のシメでもあるので、ここは気合を入れすぎない程度にアッサリと、でもシッカリととめてください。
難しい〰っ!
諸君の健闘をいのる!
近々競書かな課題私的考察でお会いいたしましょう!